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新日本プロレス:Best of NJPW July 2021の分析


名勝負 タッグ王座戦:タイチ、ザック・セイバーJr.(ch)vs.内藤哲也、SANADA(7/11/21)
好勝負 永田裕志vs.石井智宏(7/1/21)

ザック・セイバーJr. vs.SANADA(7/22/21)

タイチvs.内藤哲也(7/22/21)

@永田裕志vs.石井智宏(7/1/21)
 永田グラウンドで極めに行く時の初動はクイックで切れ味鋭い。

 この序盤によりまだ表に出ていないない
 永田の経験・技術に裏打ちされたポテンシャルを印象付けることになっています。

 その背景を感じさせた上で、ハード・ヒットな受け合い。
 ここでも単純な打ち合いに行く前に
 しっかり受け止めるシーンをそれぞれ。
 耐えながら視線や表情、体勢で語れるからこそですね。
 重いチョップ一発一発の音が響き渡りました。

 終盤は相同性のある技で綺麗に構成をまとめつつ、
 異常な張り手の打ち合いを見せます。

 若干無理のある攻防作りも見られましたが、
 永田がこの年齢でこんな試合をやってのけることに震えますね。

 文句なしに好勝負。

Aタッグ王座戦:タイチ、ザック・セイバーJr.(ch)vs.内藤哲也、SANADA(7/11/21)
 セイバーとSANADAのレスリング・クリニックで掴み。
 セコンド絡めて展開のスイッチを入れてきます。

 シングル、個のスキルに目を向けた次の瞬間、
 タッグ要素に転じて良い意味で翻弄されあっと言う間の10分間。

 特に今回は内藤が良かったですね。
 セイバーを締め上げるそれだけのシーンすら意図と見せ方があります。

 展開で挑戦者側に傾くかと思いきや重ねがけで王者側に。
 中盤も半端ない一瞬一瞬の集中力でありました。

 後半もセイバーとSANADAの数え歌は健在。
 シングルで真っすぐ自分と目の前の相手と真摯に向き合っているのに
 どこかにタッグとしてのかけらが残っています。
 ここら辺は新日に圧倒的に足りない要素ですが、
 それさえあればここまで加速していける。

 スピードにのった中でセイバーのチェーンの切り替え。
 どうやったらこんな動きが出来るのか、信じられません。
 シングルが前面に出るようで最後までタッグを維持。

 4者の気持ちが交錯し、
 タッグの戦略性ではタッグ屋のそれには勝てないものの
 新日本プロレスが新日のままタッグの最上を目指す理想の形が見れました。

 ぎりぎり名勝負。

Bザック・セイバーJr. vs.SANADA(7/22/21)
 空振る動きも決して道化にならず、
 レスリングの見えない動きを想像させる見事なレスリング。
 
 動かないことで見る方の集中力を研ぎ澄まさせ、
 そこから驚異的な動きで唸らせる。
 もはや掌の上に踊るまま。

 それぞれ相手が付いてきてくれるとの確信があり、
 後半それぞれの腕攻めのこだわりを存分に追求していきます。

 とはいえSANADAはもう少し感情を出しても良かったですね。
 セイバーは完全に定着したとはいえ
 それでも外人ですから、日本人という属性を活かすと
 より感情移入して熱が入ったことでしょう。

 最後のダブル・フォールは過去のどのそれよりもリアル。
 お見事です。

 ぎりぎり好勝負。

Cタイチvs.内藤哲也(7/22/21)
 静かな出だし。
 内藤の動きにタイチが合わせに行きます。
 前半は一方通行な感がありますが、
 構成としては丁寧なフォローを見せていて技の選択も適切です。

 試合が進むにつれ本質を伴ってきて、
 ハードヒットに偏っていないのにタイチの強みを活かした攻防へ。

 内藤の三次元の空間構成は美しく、
 試合の流れが視覚化されていて圧巻でした。

 タイチのシンプルなハード・ヒットの攻めがこれまた映えましたね。

 最後はタイチがかち上げエルボー。
 内藤の受け身も素晴らしく、クライマックスの印象度は飛び抜けていましたね。
 試合全体の印象を押し上げる程素晴らしいフィニッシュ。

 SANADA vs.セイバーとは全く違う方法論で素晴らしい試合になりました。
 だからこそ他にないタッグがこの4人は出来るのだと改めて確証させた試合です。 

 ぎりぎり好勝負。

DSANADA vs.タイチ(7/23/21)
 胸筋アピール合戦に負けた太一がチョーク。
 技の鬩ぎ合いよりも心理的なものを前面に出した攻防になっていますね。

 タイチのヒールとしての粗暴さが出せている一方で、
 SANADAも綺麗なムーブの前に観客を乗せるための所作がしっかり入っています。

 タイチが後半はヒールから四天王プロレスにシフト。
 タイチに寄せてサナダの良さは80%に留まった印象があるものの
 オコーナー・ロールからの最後の攻防は昨日と同じく成功。

 これまた違うベクトルでハイ・クオリティな試合をやってのけました。

 好勝負に少し届かず。
(執筆日:7/?/21)

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@永田裕志vs.石井智宏(7/1/21)
Aタッグ王座戦:タイチ、ザック・セイバーJr.(ch)vs.内藤哲也、SANADA(新チャンピオン!)(7/11/21)
Bザック・セイバーJr. vs.SANADA(ダブル・フォール)(7/22/21)
Cタイチvs.内藤哲也(7/22/21)
DSANADA vs.タイチ(7/23/21)