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新日本プロレス:Best of NJPW New Japan Cup 2020の分析


名勝負 NJC準々決勝:石井智宏vs.高橋ヒロム(7/2/20)
好勝負 NJC1回戦:石井智宏vs.エル・デスペラード(6/16/20)

NJC1回戦:鈴木みのるvs.永田裕二(6/17/20)

NJC1回戦:SHO vs.鷹木信吾(6/22/20)

@NJC1回戦:石井智宏vs.エル・デスペラード(6/16/20)
 デスペラードが石井の背の低さを馬鹿にしたり、
 脚攻めで反撃を封じたり、と
 手を変え品を変えて楽しませてくれます。

 石井は真っ直ぐな攻めで対比を貫きます。
 それでいて石井も脚攻めをやり返すといった
 細かな変調もあって充実していました。

 デスペラードの成功パターンに収まった
 良質な一進一退の試合でした。

 ぎりぎり好勝負。

ANJC1回戦:鈴木みのるvs.永田裕二(6/17/20)
 大ベテラン同士。
 自分たちの道はこれしかない、と真っ向からの打撃戦。
 非常に振り切った内容になっていますね。

 観客がいなくてもみのるはトラッシュ・トークに
 場外椅子攻撃の変調等が変わらず冴えわたっていましたね。

 終盤になっても偏執的な打撃のハードさは緩まず最後までやりきりました。

 ぎりぎり好勝負。

BNJC1回戦:SHO vs.鷹木信吾(6/22/20)
 開始するなりSHOがラリアット押し。
 この技だからこそ意気込みを伝えられるところがあって
 テンプレ感よりも個の感情を先に印象付けることができました。

 SHOが主導権をとって蹴りを打ち込み、
 それを耐えた鷹木がエルボーの打ち合い。
 攻防の移行、展開は粗さを感じますが情熱的で、
 真っ向から向かい合っている。
 
 ただ気合いでのノー・セルなど
 人為的変化は無観客と相性悪く、
 その歪さが普段よりも目立ちますね。

 鷹木が強烈な攻めで壁として高く立ちふさがりつつ、
 SHOの腕攻めに対して適切に振る舞い番狂わせの可能性を残す。

 無観客へのアドリブ感が弱いものの
 この試合で演じようとしていた特別感はしかと受け取りました。

 ぎりぎり好勝負。

CNJC準々決勝:石井智宏vs.高橋ヒロム(7/2/20)
 ヒロムがショルダー・タックルの打ち合いから始め、
 Jr.から脱却して臨むことを明示。

 チョップと張り手で偏執的に打ち合って、
 ヒロムの根性と不敵さを際立たせます。
 苦しさを必要以上に出さず
 Jr.という属性の前にヒロムという個であり続けたスタンスには唸ります。

 切り返し合いに韻を入れ
 ヒロムがトライアングル・チョークという絡め手で
 後半の攻防に広がりを持たせる布石を打ちます。

 ストレートな盛り上げと変化の妙。
 上手くミックスされていますね。

 終盤にヒロムが丸め込みを狙ったり派手な受け身を見せますが、
 あくまで強者としての位置づけを崩さず、
 ハード・ヒット・ウォーとしてエネルギーが凝縮されている。

 切り返し合いも豊富ですが、それぞれの切り返しの性質も良くわかっていて、
 同種の論理の多用も見られますが、単調性を感じさせず、
 最後まで完全燃焼しきっている。

 NJCの中で一番の激戦でした。

 ぎりぎり名勝負。

DNJC準々決勝:オカダ・カズチカvs.高橋ヒロム(7/3/20)
 ロープに押し込みヒロムがラリアット、と仕掛けていきます。
 ヒロムはこのNJCで自分の良さを残しつつ
 ヘビー級転向の下地を上手く作り上げていきましたね。

 対するオカダがNJCでキーにしているのがコブラ・クラッチ。
 オカダは余裕感を醸す試合運びで、
 コブラ・クラッチをリアルな試行錯誤に留めず、
 戦いの中での試行錯誤という表現としても成立させています。

 一方でそれ故に特別なファイトを見せるヒロムに対して
 個別具体的なリアクションとしては物足りなさを感じますね。

 ヒロムが場外へのサンセット・フリップ・パワー・ボムや
 掟破りのレイン・メーカーからパイム・ボムを決める等して
 攻防自体は均衡して見応えがあったものの
 個別の意図、ブッカーとしての意図が
 決して違った方向を向いているとまでは言わないものの
 一本にまとまりきらなかった印象が残りました。

 好勝負に少し届かず。

ENJC決勝:オカダ・カズチカvs.EVIL(7/11/20)
 決勝は久しぶりの観客あり。
 観客は声を出さず拍手で反応する新生活様式になっています。

 EVILが早々にラリアットからダークネス・フォールズで仕掛けますが、
 決勝としての舞台において適切とは思えませんし、
 上記観客の制限もあって全くもってリターンが得られていません。

 EVILが椅子を使って腕攻撃をしたり、
 レフェリーを巻き込んでロー・ブローを加えたりと
 ヒール・ムーブを積み重ねて熱を蓄積させていますが、
 煽りが不十分で物足りないですね。

 また攻防の面においても一進一退は一定量ありますが、
 一進一退を重ねるが故にこじんまりとまとまっていて、
 尚且つEVILの切り返しの簡易さが際立ちます。

 最後はバレット・クラブが乱入しオカダを攻撃。
 EVILがLIdJを脱退しBC移籍という衝撃の展開ですが、
 試合内容がいまいちだったことは否めないし、
 この展開に観客はブーイングを飛ばせないですからね。

 メインのIWGP王座戦線でヒール要素を主軸に据えるなら
 メキシコみたいな鳴り物でも用意してブーイングに変えるとか
 もう少し準備して望んでも良いのでは。

 会場でブーイングできない分、
 SNSをはけ口に投稿してもらって活性化するというのも
 発想としては少し誤っているように思えますし。

 まあまあ良い試合程度。 
 (執筆日:6/?/20)

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@NJC1回戦:石井智宏vs.エル・デスペラード(6/16/20)
ANJC1回戦:鈴木みのるvs.永田裕二(6/17/20)
BNJC1回戦:SHO vs.鷹木信吾(6/22/20)
CNJC準々決勝:石井智宏vs.高橋ヒロム(7/2/20)
DNJC準々決勝:オカダ・カズチカvs.高橋ヒロム(7/3/20)
ENJC決勝:オカダ・カズチカvs.EVIL(優勝!)(7/11/20)