新日本プロレス:Best of G1 Climax 2019 part.5の分析
名勝負 | G1公式戦:飯伏幸太vs.棚橋弘至(8/3/19) G1公式戦:SANADA vs.オカダ・カズチカ(8/3/19) G1公式戦:鷹木信悟vs.内藤哲也(8/4/19) |
好勝負 | G1公式戦:後藤洋央紀vs.石井智宏(8/1/19) G1公式戦:EVIL vs.ウィル・オスプレイ(8/3/19) |
@G1公式戦:鷹木信悟vs.ジェフ・コブ(8/1/19)
鷹木はコブに体格で劣るとして脚攻め。
ただ一方でストレートな打撃も叩き込むので
弱くなりすぎず木目細かな一進一退が実現できています。
BoLA決勝のクオリティの再現ですね。
コブは溜めを意識してゆったりした試合運びですが、
もう少し機動力を活かした方が
新日ファンにより好まれる気はしますね。
試合運び自体は悪くないけれども。
両者良いパフォーマンスで
最後のフィニッシュまで観客の鷹木への共鳴を維持して盛り上がりました。
好勝負に少し届かず。
AG1公式戦:後藤洋央紀vs.石井智宏(8/1/19)
がつんとタックル受け合い。
迫力ある打撃戦の中で後藤も珍しく受けの余韻を感じさせています。
緩急を利かせつつ、緩めたシーンでも緊張感は途切れず、
急の際の変化も複雑すぎない中で工夫を凝らしフロー感がある。
汗飛び散るエモーショナルな打撃に
後藤はまだこういう試合ができるのか、と感心し、
そして期待してしまいますね。
ラリアット相討ちかと構文で思わせつつ
石井がラリアットで刈りきって、その上でダウンのシーンなど
リアルの迫力をリアルでないプロレス技で感じさせる凄みがあります。
終盤になっても手を使わない頭突きの打ち合いなど
打撃が異常過ぎて逆にスポットであるはずの技が
スポットとして成立し難い状況になり、
そこの対応が不十分でしたが、その課題を残しつつも十分凄まじい試合。
文句なしに好勝負です。
BG1公式戦:EVIL vs.ウィル・オスプレイ(8/3/19)
EVILが体格差が邪魔にならない良い受身を見せるので
オスプレイも試合しやすかったでしょうね。
EVILが椅子攻撃から首攻め、という分かりやすい展開に
オスプレイの華のあるスポットが加わり盛り上がりました。
一つ一つ丁寧にステップを上げて積み上げていきましたね。
技の攻防の綺麗さが際立ちました。
ぎりぎり好勝負。
CG1公式戦:飯伏幸太vs.棚橋弘至(8/3/19)
飯伏の伸びやかなムーブに対し、
棚橋は蹴りを受け止めての脚攻め。
飯伏のシンプルな強度、躍動感は
メジャーに上がってきた際の本来の魅力だったように思いますが、
この試合ではそれを思い起こさせるように純度が高い。
棚橋もまたこの試合の脚攻めは味わい深く、
彼もまた見ていてフラッシュバックを感じさせる。
2人の味わい深い攻防は完全にぴたりと一致していて
序盤からのこの集中力・クオリティには恐れ入る。
飯伏がコーナーへのレイザーズ・エッジ、ロープ越しのジャーマンなど
インディー的な技を躊躇無く叩き込む中で
棚橋が必死に受けきり、睨み合って打撃を打ち込みあった
シーンの情感は滾ってこれまでにないレベルで、
それこそこのカードに期待されたエピック・マッチが実現している。
G1決勝とはまた違う形ではありますがonce in a life timeの類の試合で
そういった試合は何らかの形での"初めて"の試合が多くて、
例外は片方がまだレスラーとして成熟していない時くらいと思っていたけれど
まさかの嬉しい裏切りで両者がやってのけました。
ぎりぎり名勝負。
DG1公式戦:SANADA vs.オカダ・カズチカ(8/3/19)
G1全勝中で余裕感を醸すオカダ。
対するはトップ・レスラーになりつつもG1で思うように勝利できず、
その状況で「ライバル的位置付けになっている、でも勝利したことのないオカダ」
を対戦相手として迎えるSANADA。
このシチュエーションが今回の特殊な要素ですね。
観客の判官贔屓の雰囲気を上手く引き出し利用した試合運びと
同時にライバリティとして相同性も一方で作る構築が良いですね。
観客の機微に注意を払う必要がある中で
SANADAとオカダの直接のコネクションという意味では
若干落ちていて中盤は比較的単純な積み重ね方式。
それでも序盤からぶれない方向性を貫いているのは素晴らしい。
終盤は前回の王座戦に匹敵するクオリティの攻防を
上限30分という試合時間設定の中で再構築。
最後のカウンターからフィニッシュへの連打は絶妙というしかないですね。
SANADAはIWGP王者にふさわしいトップ・クラスの技力を身につけましたが、
あと少しという箔の部分をこの試合で掴み取りました。
今後の活躍に益々期待がかかります。
文句なしに名勝負。
EG1公式戦:鷹木信悟vs.内藤哲也(8/4/19)
鷹木のスピード感に合わせて
内藤は通常より多いチェーンの演舞。
鷹木が内藤の流れを阻害し、
上回るも高圧的にはならずにこなしていますね。
鷹木のハードな打撃に対して
内藤もまたヘビー級として、メジャーとして受けていますが、
彼もまた鷹木を潰さずに立てている。
全力を敢えて出さない形でセットアップした前半で
良好な関係性を築き上げると
終盤も説得力に齟齬が生まれないまま一進一退。
過剰な物量ではなく、じっくりとした見せ場で勝負できていて
最後もまた非常に素晴らしいフィニッシュでした。
ぎりぎり名勝負。
(執筆日:8/?/19)
注目試合の詳細
なし試合結果
@G1公式戦:鷹木信悟vs.ジェフ・コブ(8/1/19)AG1公式戦:後藤洋央紀vs.石井智宏(8/1/19)
BG1公式戦:EVIL vs.ウィル・オスプレイ(8/3/19)
CG1公式戦:飯伏幸太vs.棚橋弘至(8/3/19)
DG1公式戦:SANADA vs.オカダ・カズチカ(8/3/19)
EG1公式戦:鷹木信悟vs.内藤哲也(8/4/19)