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新日本プロレス:Wrestle Kingdom 13 1/4/19の分析


名勝負 なし
好勝負 NEVER無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.ウィル・オスプレイ

IC王座戦、ノーDQ:クリス・ジェリコ(ch)vs.内藤哲也

UIWGPヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.棚橋弘至

@NEVER無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.ウィル・オスプレイ
 オスプレイは飯伏の三角飛びムーンサルトをエプロンから蹴り落とすとダイブで追撃。
 一方でハイ・フライの見せ場だけでなく
 じっくりの間を持たせながら挑発的な表現でも見せます。
 特殊な切り返し合いもあり
 このカードに期待するものはあります。
 問題は本来Jr.ヘビー級のこのカードにおいて
 NEVERという元々定義がなく、
 且つ石井らによって強く色をつけられたものを再定義するか。
 打撃色強めの内容を見ると
 これまでのNEVERと方向を違えるつもりはないようですが、
 飯伏に比べるとオスプレイがやや中途半端だったか。
 それこそ飯伏の脳震盪を引き起こしたとして
 問題になっているバック・エルボー。
 新日で使っていなかっただけで特別に作った新技でもないので、
 この技が危ない云々の議論をするつもりはないですが、
 脳震盪が起きた事実とセットとはいえ
 あれだけ危険じゃないかと議論が起きる程の技です。
 普段は繋ぎ技ではありますが、
 敢えてNJPWで初お披露目するならば
 これをフィニッシャーに選ぶくらいの尖った選択を見たかったですね。
 ぎりぎり好勝負。

AJr.ヘビー級タッグ王座戦:鈴木軍(エル・デスぺラード、金丸義信)(ch)vs.六本木3K(SHO、YOH)vs.LIdJ(BUSHI、鷹木信悟)

BRevPro統一ブリティッシュ・ヘビー級王座戦:石井智宏(ch)vs.ザック・セイバーJr.(1/4/19)
 石井がアンクル・ロックに切り返したり
 タックルで吹き飛ばしたりと
 面白いカウンターを見せていて
 鉄板の内容にフレッシュな風が新しく吹いています。
 ただ後半にかけて両者のスタイル・クラッシュが
 もう一つ踏み込んで欲しいところ。
 次のステージにいけないまま11分の設定時間が来てしまいました。
 中々良い試合。

Cタッグ王座戦:ゲリラズ・オブ・デスティニー(タマ・トンガ、タンガ・ロア)(ch)vs.LIdJ(EVIL、SANADA)vs.ヤング・バックス
DUS王座戦:コーディ(ch)vs.ジュース・ロビンソン
EJr.ヘビー級王座戦:KUSHIDA(ch)vs.石森太二

Fジェイ・ホワイトvs.カズチカ・オカダ
 ジェイがヒール色を出し、
 オカダも挑発的に応じるもののクリックはしておらず
 試合運びは攻め手が一方的に作っているだけ。
 外道がちょっかいを出して、
 柵越えクロス・ボディを食らったりしていましたが、
 これならもっとコテコテのフェイス/ヒールに持っていっても良かったかも。
 アクセント程度に押さえ込んでいましたが、
 その代わりとなる本質的な攻防が
 深いレベルに入りそうで入らずに終わっていましたからね。
 中々良い試合。

GIC王座戦、ノーDQ:クリス・ジェリコ(ch)vs.内藤哲也
 内藤が入場中のジェリコを襲撃。
 コーナーのクッションを外して殴ったりと
 目を引く特殊な行動を前面に出していますが、
 その実構築論は奇をてらっていない正攻法です。
 ジェリコも内藤のアピールに合わせ、
 間のコントロール力が輝いていますね。
 老齢で得意不得意の差がより出てくる中で
 自分の長所を活かせる方向性に大きく舵を切ったのは正解。
 カメラを持ったりゴングを鳴らしたりとユーモアも利いています。
 内藤もベテランのジェリコと同じ領域で勝負し張り合えているので面白い。
 終盤こそどうしても歳を取ったジェリコでは厳しい所が出ましたが、
 昨年のvs.オメガ以上にジェリコの妙技を楽しめる試合でした。
 内藤もまた普段見せない引き出しの部分でポテンシャルを最大限に発揮しました。
 文句なしに好勝負。

HIWGPヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.棚橋弘至
 ダメージ設定低めの技使いで棚橋が自分の世界へ引き寄せ。
 オメガはその中で背中攻めを行いますが、
 エプロン技やテーブルを持ち出すことで
 スタイル・クラッシュの位置付けも作れています。
 棚橋は自分の技設定と違いオメガの技は重めに。
 その上で得意のドラスクでオメガの動きを止めて凌ぎにかかります。
 技の後の余韻の表現は最高ですね。
 一方で技自体の効果も大事で、その点ではオメガに助けてもらっています。
 オメガの脚のセルの調整があってこそ
 この棚橋の脚攻めは輝いている。

 イデオロギー闘争というトピックは新日が好きで
 プロレスに試合としてはなっていないものを
 リング外の文脈で話題作る為の方法として利用してきた経緯があるけれども
 2019年になってプロレスの試合の中で
 芸能の理できちんと処理したのは
 良くも悪くも大人になったという気がする。
 しかしながらイデオロギー闘争というのを表に持ち出しておいて
 棚橋がテーブルにオメガを寝かせてハイ・フライ・フローを狙ったのだけは解せない。
 目の前に出したテーブルをお約束に反して使わずに試合を終えるとか、
 使う直前に逡巡してイデオロギーを曲げてでも勝利を渇望する表現にするとか、
 そうしないと分かりやす過ぎる突っ込みどころでしかない。

 30分経過してオメガは掟破りをする中で
 棚橋のプロレスを丁寧に扱っていて、
 棚橋もそこで一回引いて受けに回ることで
 試合をより積み重ねられるように調整しています。

 ただ試合が化けた印象は最後まで抱けなかった。
 棚橋がダメージ表現で多段階の調整をしていないという点では
 彼の本領は100%発揮されていないし、
 オメガはその棚橋を前にして凄く丁寧に接しましたが、
 それは去るべき者の非常にビジネス・ライクな姿勢で
 ベスト・バウト・マシーンのそれではない。
 となると結局本質的な部分でのプロレス論の会話はなかったともいえます。
 そこで生まれる意見の違い、淀みも
 適切に汲み取って飲み込めた2人でしょうが、
 そうするには余りにタイミングが良くなかった。
 文句なしに好勝負。

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@NEVER無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.ウィル・オスプレイ(新チャンピオン!)
AJr.ヘビー級タッグ王座戦:鈴木軍(エル・デスぺラード、金丸義信)(ch)vs.六本木3K(SHO、YOH)vs.LIdJ(BUSHI、鷹木信悟)(新チャンピオン!)
BRevPro統一ブリティッシュ・ヘビー級王座戦:石井智宏(ch)vs.ザック・セイバーJr.(新チャンピオン!)
Cタッグ王座戦:ゲリラズ・オブ・デスティニー(タマ・トンガ、タンガ・ロア)(ch)vs.LIdJ(EVIL、SANADA)(新チャンピオン!)vs.ヤング・バックス
DUS王座戦:コーディ(ch)vs.ジュース・ロビンソン(新チャンピオン!)
EJr.ヘビー級王座戦:KUSHIDA(ch)vs.石森太二(新チャンピオン!)
FBジェイ・ホワイトvs.カズチカ・オカダ
GIC王座戦、ノーDQ:クリス・ジェリコ(ch)vs.内藤哲也(新チャンピオン!)
HIWGPヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.棚橋弘至(新チャンピオン!)