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新日本プロレス:New Beginning 2/12/12の分析


名勝負 なし
好勝負 IWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ

@YOSHI-HASHI、高橋裕次郎vs.キング・ファレ、本間朋晃
A石井智宏、飯塚高史、矢野通vs.タマ・トンガ、キャプテン・ニュージャパン、獣神サンダー・ライガー

BJrタッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.ロッキー・ロメロ、デイビー・リチャーズ
 ロメロは相変わらずの変幻っぷりを見せているが
 先日のJrヘビー級戦と違い戦い上マイナスに働いていてこれでは道化。
 デイビーも微妙に体格が小さいのも影響しているのか作りたい強さを手に入れられない。
 一方で田口は積極的に攻防を要求し、
 デヴィットは最近の傾向通り軽くユーモアを交え自由に試合を運んでいる。
 裏を返せば立場を確立できていないロメロ、デイビーの苦境に何ら配慮も払っていないということですけどね。
 不完全ながらそれぞれ個性を出し試合を構築。
 終盤の導入に関してテンポに身を任せて観客をおいてけぼりにして、
 同時に観客が自主的に追いつくほど凄くなかったのはマイナスながら
 終盤自体のボリュームがあったのでクライマックスまでにはしっかり盛り上がりました。
 控えも加わったスポットも豊富で中々良い試合。
 (執筆日:2/21/12)

Cイリミネーション・マッチ:鈴木みのる、高山善廣、ランス・アーチャー、TAKAみちのく、タイチvs.真壁刀義、永田裕志、井上亘、タイガー・マスク、KUSHIDA
Dタッグ王座戦:天山広吉、小島聡(ch)vs.ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン
EIC王座戦:田中将斗(ch)vs.後藤洋央紀
F内藤哲也vs.中邑真輔

GIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ
 オカダは本物か。
 結論から言うと未完の大器です。
 内藤よりも王座を任せる価値があるでしょうが
 いまだ継ぎ接ぎの張りぼてです。
 試合の中で説明していきましょうか。

 序盤、棚橋が打撃面で棚橋<オカダを作り上げ、
 その裏に身長差があることを仄めかします。
 オカダは技に余韻を生み出す動きを付加していますが、
 その技の動きと余韻の動きが完全に接着していませんね。
 オカダがこのように不完全に技の脅威を見せた後、
 棚橋が執拗なヘッド・ロックに出ます。
 ここではオカダがやたらジタバタしていたのがいけません。
 ヘッド・ロック以外の走り方にしても小刻みすぎる。 
 もっと歩数を絞らなければいけません。

 しかし技は高身長を活かしていてダイナミック。
 基本技のドロップ・キックが持ち技といえるレベルで
 実際コーナー上の棚橋にドロップ・キックを決めるというのが
 試合の転換点となっています。
 ここからオカダの首狙いへ。
 試合運びはグラウンド・サブミッションと技を交互に混ぜる
 教科書の基本にのっているそれです。
 しかしドロップ・キックのみならず他の技も総じてスケールが大きく、
 またサブミッションも幅広いプロレスに接したためか
 テクニカルなサブミッションを使用しているため
 他のレスラーの同じ試合運びよりも魅力的です。 
 勿論それはオカダの努力と無縁でないものの
 生来の魅力であり例えば内藤がいくらキレを増しても真似できない武器です。

 シーン内の一進一退は並列的で
 これはやばいと思わせた所でかわし反撃を実らせる、といった
 付加的な情緒を加えることはできていません。
 しかしこの試合において感心したのは
 オカダの駄目な部分も分かった上でこの試合を実現させているということです。
 シーン内の一進一退をくみ上げられないならと
 これまでの防衛戦と異なり1シーンの時間を短めにして
 展開数を多くする事で対応しています。

 ツームストンにしたってそうです。
 これはオカダの技の中でも飛びぬけて印象的な技です。
 しかし技を要所で使い、それを最大化するために他を組み立てるなんてことは出来ない。
 だから中盤の置き技として使っているし、
 場外ツームストンというカードも秘密兵器的位置づけなんかではなく
 単なる展開稼ぎとして大胆に切ってくる。 
 そして更に終盤とは別のクライマックスという展開も必要だからこそ
 必殺技はレインメーカーという名のショート・レンジ・ラリアット。
 かわすことで自然な流れでロープ・ワークに移り、
 それまでのダメージを引きずらないスピーディーな切り返し合いを生み出せる。
 完成されたレスラーにとっては技の特性上
 レインメーカーが持ち技でツームストンがフィニッシャーであるべきです。
 しかし発展途上のオカダにとっては
 敢えて逆にすることで大一番を行なうことが可能になっている。
 
 かくしてオカダの戴冠劇は見事な洞察によって
 最高でなくとも最善の方法が選択され、
 棚橋という最高のレスラーで組み立てられました。
 蛇足ですが最後のレインメーカーの受身は素晴らしかったですね。
 
 ぎりぎり好勝負。
 
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:1/25/12)
 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@YOSHI-HASHI、高橋裕次郎vs.キング・ファレ、本間朋晃
A石井智宏、飯塚高史、矢野通vs.タマ・トンガ、キャプテン・ニュージャパン、獣神サンダー・ライガー
BJrタッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.ロッキー・ロメロ、デイビー・リチャーズ(新チャンピオン!)
Cイリミネーション・マッチ:鈴木みのる、高山善廣、ランス・アーチャー、TAKAみちのく、タイチvs.真壁刀義、永田裕志、井上亘、タイガー・マスク、KUSHIDA
Dタッグ王座戦:天山広吉、小島聡(ch)vs.ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン
EIC王座戦:田中将斗(ch)vs.後藤洋央紀(新チャンピオン!)
F内藤哲也vs.中邑真輔
GIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(新チャンピオン!)