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新日本プロレス:Best of NJPW 2011 part.2の分析


名勝負 なし
好勝負 IWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.中邑真輔(9/19/11)

Jrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.ロッキー・ロメロ(12/23/11)

IC王座戦:田中将斗(ch)vs.本間朋晃(12/23/11)

@IWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.中邑真輔(9/19/11)
 棚橋は特別なものを提供しようとする色気を出していますが
 ちょっと作為が目立ち過ぎる印象が今年を通じてあります。
 しかしレスリングの中で緊張感に加えて
 お互いの自己アピールが出来ているのは前回の戦いよりも優れている点です。
 また中邑の間に入れる動作が素晴らしくライバル関係を豊かに彩ります。
 何よりこの試合で優れていたのは俯瞰的な要素でした。
 瞬間瞬間で切り込むスポットと一定の時間をかけるべき攻防とのバランス、
 時間配分、棚橋がどこまで受け続けて良いか、その限界の見極め。
 全て天晴と言うべきレベルにありました。
 そして勿論ハード・ヒッティングという単純な要素も満たしていて
 中邑の激しいニー連打に棚橋の歯が折れた程です。
 終盤も中邑がしっかり足の痛みと付き合いながら攻防していました。
 vs.永田やvs.後藤と比べるとインパクトが薄い事は否めませんが
 前回の試合から改善させ、今の中邑とだからこそ出来る深みのある試合にリメイクしました。
 文句なしに好勝負。

AJrタッグ王座戦:アポロ55(プリンス・デヴィット、田口隆介)(ch)vs.NRC(デイビー・リチャーズ、ロッキー・ロメロ)(10/10/11)
 NRCが入場してきた王者を落としてダブル・トペ。
 いきなりスポットを披露して盛り上げようとしましたが、
 相変わらず外人には優しくない寂しい反応です。
 観客はほっておいて試合を冷静に見るなら
 連携技の質、試合転換のスポット、孤立時の狙い。
 どれもポイントを押さえていて前回より高いクオリティを誇っていました。
 デヴィットはもう少しJrらしい派手さを見せるべきだったかもしれませんね。
 田口が爆発力に欠けるのはいつもの事です。
 終盤はタッグの形を作りながら一進一退の攻防を繰り広げ最後までやりきりました。
 好勝負に届かずも中々良い試合。
 (執筆日:11/1/11)

BIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.内藤哲也(10/10/11)
 内藤の歓声の方が多いという状況で行われた試合。
 最初のレスリングで特に設定を作り上げる事なく
 ただ等身大で接するだけなのはアメリカに比べ勿体ないといつも思う所です。
 棚橋が太陽ブローで仕掛け、早い段階で脚攻めを行うならば
 内藤をもう少し驚異的に描いた方が効果的でした。
 棚橋の脚攻めに対し内藤は首攻めで対抗。
 棚橋のハードな自爆から始まるそれは素晴らしいものでした。
 グラウンド・サブミッションとスポットを交えるオーソドックスな構成ですが
 技は大一番にふさわしい魅力的なフォームで、
 サブミッションも厳しく締め上げている事をアピール出来ている。
 その中で棚橋から脚攻めに代表される戦略、経験を外せば
 能力バランスの点で棚橋と内藤が非常に似通っている事も実感される。
 舞台は整い後半戦へ。
 棚橋は観客の拒否反応を考慮して脚攻めをポイントに抑え込んでいるせいで技の意味合いが落ちています。
 脚攻めのウェイトが大きいために各技がメリハリで輝いていましたからね。
 後、終わってみればスリング・ブレイドがキーだった説明をつけられるけれど
 試合の中でそれがキーになっている事は伝わってこなかったですね。説明不足。
 内藤は他のトップ・レスラーと比べると技がオーソドックス過ぎます。
 その分表現で補いたい所。
 しかし両者の必殺技が不発に終わった後、一気に脚を破壊されますが、
 その痛みを引きずりながら戦う事はせず無視して一進一退を続けています。
 内藤人気を反映させ同格をテーマにして内藤のキャリアの中でトップ・レベルの試合に仕上げました。
 棚橋のIWGP王座戦目線で言えばそんなに飛びぬけた内容ではないですが、
 そこは数え歌の初手として今後に期待したい所です。
 好勝負に少し届かず。

CJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.ロッキー・ロメロ(12/23/11)
 Jrヘビー級として流れにのせて体を動かしながらも、
 その流れを止めて間で自己のスターとしての価値を示す。
 この両立は難しいものだけれどもお互い最初からそれが出来ています。
 またロメロがヒールとして様々な小細工を仕掛けていく。
 普通ならネタ扱いされて雰囲気が緩くなりそうなものですが
 優れたコンディションにある両者はジャスト・フィットな攻防を繰り広げ、
 同時に韻も踏む事で豊かな展開として成立しています。 
 デヴィットがチョップを繊細に使って大技とのメリハリを出していたのも面白い。
 両者の自由な発想が形となって現れた内容で
 新日Jrという枠を飛び越えて見せた内容。
 ぎりぎり好勝負。

 (執筆日:12/1/11)

DIC王座戦:田中将斗(ch)vs.本間朋晃(12/23/11)
 田中にはいつも通り邪道、外道がついていますが
 本間の方には棚橋ら錚々たる顔ぶれがついています。
 この試合がメインで実現する特別性が伝わってきます。
 といっても本間自体はIC王座に挑戦して
 全然おかしくない技量の持ち主です。

 ヘッド・ロックを食らう。
 その際中に膝をついたりロックされている腕を掴んだりする。
 そんな動作。
 本気で切り返す気がないならする必要がない。
 そう日本のレスラーは考えがちな印象を受けますが
 こういうディティールによって期待感や方向性、リズムは生まれます。
 そうリズム。
 本間の打撃、技がヒットする瞬間を音符として記すと良い。
 彼の奏でる音楽は実に心地よい。
 だからこそファイティング・スピリットや、同ロープ走り、ジャベといった
 異物さえ試合から逸脱しておらずメリハリとなっています。

 田中もこの試合が本間にとって大一番である事を理解し、
 テーブルを本気でぶつけたりと
 両者ならではの機動力を活かしたハードコア戦に仕上げている。

 本間はダイビング・ヘッド・バッドなどの技セットが激戦向きではないために
 クライマックスの作り方が他に比べ苦心した印象がありましたが、
 総じて本間の能力が形となって示された期待通りの内容。
 来年は是非ともプッシュして欲しいですね。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:11/1/11)