Highspots:Terry Funk Around the World Disc Oneの分析
名勝負 | なし |
好勝負 | インターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81) |
Highspots製。
Disc 1はシングル特集。
約2時間5分です。
@NWA王座戦、3本勝負:テリー・ファンク(ch)vs.ジャンボ鶴田(全日本プロレス 6/11/76)
1本目はグラウンド中心。
両者腕狙いでしたがテリーは動きをつけながら重みも感じさせます。
チョップ後に硬直時間を置く所も魅せますね。
流石NWA王座をまかされているだけの事はある。
一方で鶴田は同じように基本に沿っているものの
こちらは教科書通りにする良い子ちゃん、というかな。
動いた後で落とす所でもそこは攻めの狙いを体力からスタミナに変えるという表現であるはずなのに
そういう意味とか意図が感じられないのはまだ新人で至らない所がありますね。
この点から言ってテリーがもう少し攻めたり、
1つ手前のアトミック・ドロップから
もうクライマックス開始のロープ・ワークへ突入した方が良いですし、
また鶴田の先取もやや買いかぶり過ぎかなと思います。
しかしドリー戦のようにその中でのみの動きかと思いきや
過程を見せ、捻りも成功させたのはこの2年の成長の証です。
多少の粗はありますが盛り上がりに水は差されません。
2本目はフィニッシュ含め技がはまっていて中々良い内容だったけれども
ここでも鶴田とテリーのバランスがしっくりこなくてストーリー性に少し欠けるかな。
3本目は消耗戦的な投げの打ち合い。
安易な気もしますが締めとして適当ではあります。
しかしテリーがカウント1で立て続けに返して、
テリーがロープに振る形でスタンガン一発のフィニッシュ。
テリーの攻める王者、強い王者としての選択でしょうか。
どちらにせよこれは演出として弱いですよ。
テリー、鶴田どちらに対しても良くないです。
平均的な良試合。
Aテリー・ファンクvs.アブドゥーラ・ザ・ブッチャー(全日本プロレス 6/11/76)
間合いのとり方で雰囲気を出すと
いつもと異なり時間をじっくりかけた打撃戦へ。
観客の動きを読んでいるものの展開自体が小さいですね。
テリーの脚攻めを例にとると攻め手にたってからで反撃の手として繰り出されませんでした。
また最後のフォーク攻撃ですがテリーの脚に拘ったため動きがなく
反則フィニッシュの中でもアンチ・クライマックスです。
平均より少し上。
Bテリー・ファンクvs.トーア・カマタ(全日本プロレス 12/3/79)
打撃中心のラフ・ファイトになるかと思いきや
防御する形で見せ場を作ったり緩急をつけていたりと
細かい配慮が感じられる内容です。
場外の使い方で動かしているのも良いですよ。
只最後の最後チェーンの攻防に迫力が無かったのが勿体無い。
これさえインパクトあれば試合後テリーがカマタを流血させる展開含め
全てがつながるんですよ。
惜しいなぁ。
中々良い試合。
Cインターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)
(当時の放送もそうなのでしょうが5分ほどのカットが1回あります)
まず2年ほど前に書いたレビューを見てみましょう。
〜〜〜
兄弟対決。師弟対決。ドリーム・マッチ。
たまらないカードではないですか。
期待を裏切らない正統派プロレスで
1時間弱に及ぶ激闘です。
開始15分をヘッド・ロックだけで魅せたりと
思わず笑ってしまうようなドリーの上手さが際立ちます。
一方のテリーも、やや掌で踊らされてる感はあるものの
何度も場外への落下スポットを志願し
被虐のド根性ファイトを見せてくれます。
敢えてスピニング・トー・ホールドで決めない所なんかも素晴らしい。
これまた名勝負、ぎりぎり名勝負。
〜〜〜
確かにこう評するのは簡単です。
しかしそれは本質を突いていませんでした。
おそらく考えている以上に血の繋がりは大きいでしょう。
テリーとドリーが兄弟であるという事実が、
シングル/タッグ共に実績を残しているという事実が、
そして唯一のシングル対決という事実が
こちらの感受性を否応無く大きくしている。
受けて側での増幅は昭和プロレスのカラクリであるように思えるがそれはまた今度にしましょう。
今回の物はカラクリの1つと言うには余りに突出していて独立していますからね。
さてさてそれを考慮してもこの試合は奇異なるかな。
一つの言葉に集約するならナチュラルな試合です。
決して盛り上がりや勝負、演舞が第一義に来ていない。
レスリングにおいてテリーは決してドリーに比類する技量の持ち主でない。
その状況下でテリーはリスト・ロックを取った腕を回す、なんて不細工な見せ方で渡り合い、
ダイナミズムにまでテリーが追い込まれる事もない。
実際象徴するテリーの左ジャブは1発のみ、右フックは皆無です。
そこにあるのは型になっていないレスリングです。
昭和は昭和でも80年代のプロレスではなく、もっと古くに原風景がある。
流れているのは生活のリズムです。
それぞれ別の狙いを持って場外を挟んだり、
心理的攻防や一極攻め、大技の引っ張り方など確かに上手く構築された物ですが
極端に言えばほとんど、どのシーンを見逃しても傷がつかない。
数少ないスポットがアッパー・ラインではなくベース・ラインとして働いていて
この試合はアンダー・ラインの揺り篭になっている。
だからこそのオリジナル。
80年代プロレスにおいて唯一無二の試合として燦然と輝いている。
ぎりぎり名勝負。
〜〜〜
70年代で数少ないとはいえ同じ性質の試合が見られたので
自分の認識の中でオリジナル性という評価要素がやや下がりました。
また比較対照が出てきた事でテリーの足りないフィールドであった印象が少し強くなりました。
そのため1つランクを下げて文句なしに好勝負。
(執筆日:3/4/10)
総評
ネーム重視の試合が多いものの
川田、天龍戦があるのは嬉しいですね。
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:?/?/09)
注目試合の詳細
Cインターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)テリーが近寄ってきたドリーにフロント・ヘッド・ロックを決めるも背にロープがありすぐ離す。
ドリーが近寄ってきたテリーにフロント・ヘッド・ロックを決めるも背にロープがありすぐ離す。
ドリーがグラウンド・ヘッド・ロック。
テリーは起き上がると顔に手をかける。
ドリーが締め上げグラウンド・ヘッド・ロック。
(5分ほどカット)
ドリーが体重をかける。
テリーはカウント1で返すと体勢を直し立ち上がる。
ロープに振る。
ドリーがショルダー・タックル。
ロープに走る。
テリーが担ぎ上げエアプレイン・スピンを狙う。
ドリーは抵抗し十分回転する前にロープに脚をかける。
テリーはエプロンに下ろすと離れる。
ドリーがリングに入る。
ドリーがコーナーに押し込むもクリーンに離れる。
組み付いてきたテリーにヘッド・ロック。
締め上げる。
グラウンド・ヘッド・ロック。
テリーはカウント1で返して体勢を直す。
起き上がるとロープに振る。
飛び越えるとドロップ・キック。
エルボー・ドロップへ。
ドリーが避けて場外へ。
リングに戻るとかかってきたテリーにグラウンド・ヘッド・ロック。
テリーは起き上がると腕を押し上げていく。
そのまま倒す。
すぐにドリーがグラウンド・ヘッド・シザース。
テリーは背に担ぐ形で起き上がるとコーナーに置いて離れる。
ドリーがヘッド・ロック。
移行したハンマー・ロックから倒してヘッド・ロック。
上に覆いかぶさろうとする。
テリーは逆に押し返して立ち上がるとブレーン・バスターを狙う。
ドリーは耐えて逆に持ち上げようとする。
狙いあいの中最後はドリーがロープに逃れる。
テリーが離れずエルボー。
頭部にエルボーを入れフロント・ヘッド・ロック。
倒して覆いかぶさるようにカバー。
ドリーが両肩をつかないように耐える。
15分経過。
ドリーがハンマー・ヘッド・ロックに返す。
バタフライ・ロックに移行。
テリーが起き上がり体勢を入れ替えようとする。
防がれ、回ったと思いきや更に回して戻される。
3度目でテリーが体勢を入れ替える事に成功。
そこからバック・スライドへと持って行く。
カウント1で返されるもバタフライ・ロックは離さない。
ドリーは起き上がると前転から蹴り飛ばす。
テリーが腕を取る。
ドリーが前転するもテリーが捻る。
テリーが腕を回転させる。
ドリーは起き上がる。
ロープに逃げる。
テリーが離すやヘッド・ロック。
すぐにロープに振られるもショルダー・タックル。
ロープに走る。
テリーがカウンターでヒップ・トス。
キー・ロック。
ドリーが体勢を変え両肩につくようにする。
テリーは返して離すも腕を取って倒しキー・ロック。
ドリーが後転しようと何度も狙うが回転しきれない。
テリーが前転して回転を加える。
ドリーが後転から両肩につけにいく。
テリーはカウント2で返すと同時にキー・ロックに戻す。
ドリーは体重をかけて両肩をつけにいくと見せかけて逃れるとスピニング・トー・ホールドを狙う。
テリーが蹴り飛ばして防ぐ。
テリーが腕を取る。
ドリーがエルボーを打ち込んでいく。
テリーはふらふらだが放さず捻る。
ドリーがドロップ・トー・ホールドで倒しレッグ・ロック。
インディアン・デス・ロックを決める。
マットに足を叩きつける。
レッグ・ロック。
テリーが顔に手をかけ胸を殴りつける。
ドリーは放さない。
ドリーがレッグ・ロックを決めた状態で腕を取る。
脚の方が取れたのでテリーは起き上がりヘッド・ロック。
ロープに振られショルダー・タックル。
ロープに走る。
ドリーがカウンターで場外へのショルダー・スルー。
テリーは脚を更に痛めてしまった様子。
リングに戻ってきたテリーにブレーン・バスター。
カバー。
テリーがカウント1で返す。
ドリーが脚を取って倒しレッグ・ロック。
テリーは足を当てると腕を取り回転する。
緩んだ脚のロックを外して起き上がる。
ドリーがエルボー。
エルボー。
テリーはリスト・ロックを離さずヘッド・バッドで打ち返す。
30分経過。
ドリーが起き上がりロープ際へ。
外したテリーにヘッド・ロック。
すぐロープに振られショルダー・タックル。
ロープに走る。
ヒップ・トスを狙ってきたテリーにコブラ・ツイスト。
グラウンド・コブラ・ツイストに持っていく。
テリーは体を起こすと手を組んでロックを引き外す。
起き上がると脚が絡んだ状態。
ドリーが軽く腕を取る。
テリーは倒れる形でロープに逃げる。
仕切り直し。
組むとテリーがロープに押し込む。
ドリーが体勢を入れ替えロープに振る。
バック・エルボーでダウンさせる。
組むとドリーがクラバート。
スナップ・メア。
起こそうとする。
テリーが隙を突いてバック・スライド。カウントは2。
ドリーが脚を取って倒すとレッグ・ロック。
もう片方の脚も絡めて反対にしインディアン・デス・ロック。
テリーが反対にして倒す。
ロープを掴む。
一足早く起き上がったテリーが起き上がろうとしたドリーにパイル・ドライバー。
カバーするもカウント2。
ネック・ブリーカーからカバーするもカウント2。
ヘッド・ロック。
ドリーが後ろに倒れて両肩をつける。
テリーがカウント1で戻して締める。
ドリーが起き上がる。
テリーが締め上げる。
ドリーがバック・ドロップに切り返す。
ダメージからカバーにいけない。
ドリーはテリーを起こすとバタフライ・スープレックスを狙う。
テリーがこらえる。
ドリーはひとまず倒して圧力をかける。
反転させてカバーに持っていく。
テリーもカウント2で耐える。
ドリーはフロント・ヘッド・ロックの状態。
テリーが起き上がりロープへ逃げる。
ドリーが放さずヘッド・ロックへ。
テリーがアトミック・ドロップに切り返そうとする。
ドリーは着地すると逆にアトミック・ドロップ。
起こしてエルボーで倒す。
ボストン・クラブを狙う。
テリーが耐える。
ドリーは回転方向を急に反転させることでボストン・クラブを決める。
40分経過。
テリーが両手をついて体を挙げるとロープまで這い寄る。
ロープ・ブレイクでドリーが離れる。
組むとドリーがボディ・スラム。
起こしてエルボー。
テリーはふらつくも拳の構え。
ドリーは慎重に一回場外に出る。
リングに戻ってくる。
テリーをコーナーに押し込む。
コーナーに振ってぶつける。
コーナーに振ってぶつける。
バタフライ・スープレックスを狙う。
テリーが耐える。
押し込んでドリーを倒す。
ドリーは起き上がるとテリーの背後を取りバック・ドロップ。
カバーして何度も押し込むがカウントは2止まり。
ヘッド・ロック。
テリーは起き上がるとロープに振りローリング・エルボー。
ふらつきながらもドリーの頭部にエルボー。
もう1発。
バタフライ・スープレックスを狙う。
ドリーが耐えてロープの方に押すとテリーはロープの間から転落しかける。
ドリーが手を取りリングに戻しエルボー。
エルボー。
テリーがパイル・ドライバーを狙う。
ドリーが場外へのリバース・スープレックスに切り返す。
テリーが何とかリングに体を入れる。
テリーは肩を押さえている。
ドリーが気遣って近づく。
いきなりテリーが脚を取って倒しスピニング・トー・ホールド。
スピニング・トー・ホールドを決める。
ドリーが体を回転させて逃れる。
組むとテリーがロープ際に押し込む。
ヘッド・ロック。
ドリーがニー・クラッシャーに切り返しレッグ・ロック。
テリーが脚を頭部に押し当てる。
ドリーは払いのけて脚を押し込む。
ハーフ・ボストン・クラブに移行する。
元に戻してレッグ・ロックを決める。
テリーが体を起こしてロープに逃げるとボディ・シザースでドリーを場外に落とす。
エプロンに上がってきたドリーにリング内へのブレーン・バスター。
カバーするもカウント2。
50分経過。
テリーが右ジャブ。
警戒して2発目は打たず距離を測る。
組むとドリーがテリーをコーナーに押し込み腹へのエルボーを打ち込んでいく。
エルボーを打ち込んでいく。
バタフライ・スープレックスを決める。
カバー。カウント2。
何度もカバーに押し込むがカウントは2。
テリーが起き上がる。
ロープに逃げると頭部にエルボーを落としていく。
エルボーを打ち込んでいく。
ヘッド・ロック。
ロープに振られショルダー・タックル。
ロープに走る。
ドリーはかわすと同時に場外へ投げ捨てる。
テリーは上手く着地しエプロンに上がる。
ショルダー・ブロックを狙ってきたドリーにサンセット・フリップ。
ドリーが逃れてローリング・クラッチ・ホールドに切り返し1,2,3!
54分もの激闘の末勝利したのはドリー!
両者お互いの健闘を称えハグに握手。
テリーがドリーにベルトを巻いてやる。
試合結果
@NWA王座戦、3本勝負:テリー・ファンク(ch)vs.ジャンボ鶴田(2−1)(全日本プロレス 6/11/76)Aテリー・ファンクvs.アブドゥーラ・ザ・ブッチャー(DQ)(全日本プロレス 6/11/76)
Bテリー・ファンクvs.トーア・カマタ(DQ)(全日本プロレス 12/3/79)
Cインターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)