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DDT:Best of 2011の分析


名勝負 なし
好勝負 KO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.アントーニオ本多(1/30/11)

KO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.飯伏幸太(3/27/11)

KO-D王座戦:石川修司(ch)vs.KUDO(7/24/11)

@KO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.アントーニオ本多(1/30/11)
 本多が執拗に組みついてこの試合にかける思いを語り、
 東郷はそのロックから見事な抑揚で逃れ、まだ一線級のレスラーである事を証明する。
 本多は徹底的に腕狙い。
 東郷のダメージ表現は序盤にしてはやや過剰に思えますが表現自体は上手い。
 場外戦において鉄柱を重く位置づけ、
 そこから本多が流血戦に追い込まれふらふらになります。
 ふらつき方はいつものコミカルさが抜け切れていないもののドラマチックで
 東郷のターン・バックルを使った追い込みに反撃して放った拳も最高です。
 その後も東郷がフォールを取りに行く技と
 クロス・フェイス系を上手く織り交ぜて、
 食らいつく本多を上回り綺麗にフィニッシュです。
 試合にかける思いが強すぎて多少やっている事がばらついた印象もあったが、
 2011年とは思えない程古風な要素を魅力たっぷりに活かしたユニークな試合。
 ぎりぎり好勝負です。

AKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.HARASHIMA(2/27/11)
 HARASHIMAがいきなり仕掛け腹攻め。
 鉄柱に蹴りを誤爆して所から東郷が脚攻めとなっています。
 つまり前半全て一極攻めの展開。
 普通中盤から始めるだけに土台としては決して適切なものではありません。
 しかしダメージ表現、その戦いにおいての蓄積したダメージ扱いは上手く、
 東郷の試合への集中力が伝わってくる攻防もあって
 派手さはなくともぐいぐいと惹きつけていきます。
 だからこそ終盤の構成は解せぬ。
 東郷が蒼魔刀、ぺディグリー、ダイビング・セントーンと3連続で決めたにも関わらずカウント2。
 そこから理よりもドラマ押しの攻防となっています。
 その後の引退ロードを考えての試行錯誤にも見えますね。
 最後は東郷がクロス・フェイスの見せ方を更に進化させ、
 素晴らしい盛り上がりの中でフィニッシュ。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

BKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.飯伏幸太(3/27/11)
 軽快な攻防から東郷がトペコンを決め場外DDT。
 これまでと違い今風のスタイルですね。
 そしてそのスタイルでもトップ・クラスである事を見事に証明しています。
 飯伏も場外DDTを食らった直後にセカンド・ロープからのムーンサルトを決める等
 負けていない所を示す、そう描こうとはしているものの、
 東郷の集中力が高く、東郷の主導権に拘った素晴らしい試合運びを見ていると
 どうしても見劣りする部分がある事は否めません。
 終盤は持ち技のセットに囚われず
 新規に考え直した素晴らしい攻防。
 しかし終盤が長すぎる。
 世界観の不一致で新技の"お披露目"ばかりが目立ち、攻防は乖離している。
 試合の中で力をかけるポイントがずれています。
 東郷の入れ込みようからはMOTYCになる可能性も感じ取れたが、
 その意気込みの器となる試合に少々穴あり。
 文句なしに好勝負。

CKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.石川修司(5/4/11)
 石川がJrの動きをやりきれない。
 それは初めから分かっていたはずですけどね。
 遅れて石川の脅威を描く絵図に入っていきます。
 東郷が必死な様子を伝える反撃を見せるも
 ヘッド・バッドで更に追い込まれ流血。
 腕狙いなどで形勢を逆転すべき試行錯誤していきますが
 グダグダと長ったらしいですえん。
 東郷と試合をする事を考える中で石川の良い部分より下手な部分が出て
 それが思っていた以上に試合に影響を与えています。
 ロープを使ったぺディグリーや
 ミスティカ式クロス・フェイスで
 石川を沈めれたか、という見せ場はドラマチックでした。
 そこで終わっておけば良いのに終盤もまた延々と攻防を続ける。
 このままではKO-D王座が海外に流出し
 海外にでも行かない限り取り返せる機会がない状況なのは分かるが、
 必殺技が無為に返されていく攻防はかなりしんどいですね。
 平均的な良試合。

Dディック東郷国内引退試合:ディック東郷vs.外道(6/30/11)
 オーソドックスなレスリングをしっかり見せる形。
 外道がキッチン・シンクから椅子を腹に突き、徹底的な一極攻め。
 東郷がダウン状態からペディグリーで要領よく反撃開始。
 トペコンも加えて盛り上げます。
 テンポの良い技術的な攻防後終盤へ。
 ここでもレフェリー絡みの見せ場があり、
 引退試合から想像するような特別性はなかったですね。
 それぞれがいつもやっている事をそのまま出した感じです。
 中々良い試合。

EKO-D王座戦:石川修司(ch)vs.KUDO(7/24/11)
 石川が蹴りを物ともせず、こなすべき怪物アピールを粛々と行います。
 KUDOはユニークな変化で攪乱しようとするも
 シンプルな深み、重みのないKUDOでは説得力がありません。
 攻防の際に綺麗に着地できないシーンも目立ちましたね。
 しかしその後も脚攻めを行ったりと
 試行錯誤を幾つか提示する中で
 それら要素が3本の弓として一体となった時に
 KUDOにも勝ち目が見えてきてドラマチックな雰囲気に包まれます。
 両国メインという事でその雰囲気に値する
 攻防がクライマックスに待っており素晴らしい試合となりました。
 試合の中でKUDOに対する不満が期待に変わる。
 ぎりぎり好勝負。

FKO-D王座戦:KUDO(ch)vs.石井慧介(8/28/11)
 (序盤カット)
 エプロンでのハリケーン・ラナを決めた石井の方が結構ダウンしていたりと
 憧れる四天王プロレスのダメージ観を見せていたのは面白いですね。
 しかし四天王はヘビー級です。
 そのずれが技の使い方をおかしくしている。
 自分の本質を最大限に伸ばすのではなく、
 他人の真似事で楽しむ形で終わってしまった。
 そういう折り合いをまだつけられていないのは
 試合数も外的要因も少ないインディー故でしょうね。
 平均的な良試合。

GKO-D王座戦:KUDO(ch)vs.佐藤光留(10/23/11)
 佐藤が張り手をかまして自分の土俵に誘い、
 サブミッションでバックグラウンドの違いを見せ付けます。
 ハードコアも加えて更に脚攻め。
 良質な展開ですが、
 佐藤は変体キャラを日頃やっているのも影響してかMMAの怖さがない上に、
 試合運びを任せられる程にはプロレスに慣れているのに見せ方が下手ってのが痛いですね。
 一方のKUDOは一つ一つのスポットを面白く見せていて印象に残りますね。
 佐藤の世界観をより面白くすることは出来ませんが
 佐藤の望む事に応じて完全燃焼した内容にする事で試合に熱を与えています。
 最後は異常に激しい打撃の打ち合いでフィニッシュ。
 中々良い試合。

H世界Jrヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.田中稔(11/27/11)
 (24分中17分)
 最初のレスリングですがオメガは稔のリズムから歪にずれていますね。
 稔も伸び伸びとやっているオメガが相手で
 対比的になっている部分もあろうが体の動かし方がこじんまりとしすぎ。
 一極攻め対決もオメガは過激化に、稔はテクニカルな切り返しに目が向いていてずれている。
 全体的に全日の試合より水と油な印象が強まってます。
 また1/3程度しかカットされていませんが、
 技にばかり重きを置いて細かいカットが結構入っているので
 試合の構成がひどく崩れているのも試合を楽しむことを阻害している。
 評価は難しいがそこまで良くない試合である事は分かる。


 (執筆日:12/22/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@KO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.アントーニオ本多(1/30/11)
AKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.HARASHIMA(2/27/11)
BKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.飯伏幸太(3/27/11)
CKO-D王座戦:ディック東郷(ch)vs.石川修司(新チャンピオン!)(5/4/11)
Dディック東郷国内引退試合:ディック東郷vs.外道(6/30/11)
EKO-D王座戦:石川修司(ch)vs.KUDO(新チャンピオン!)(7/24/11)
FKO-D王座戦:KUDO(ch)vs.石井慧介(8/28/11)
GKO-D王座戦:KUDO(ch)vs.佐藤光留(10/23/11)
H世界Jrヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.田中稔(11/27/11)