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全日本プロレス:All Japan Classics Vol.35の分析


名勝負 '80世界最強タッグ決定リーグ戦ファイナル:ファンクスvs.ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田(12/11/80)
好勝負 インターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)

Highspots製総時間2時間。

メ ニュー画面は市販のDVDR仕様で1つだけ、
チャプターもばらばら且つ短い間隔でついており不便です。

1試合目−ドリー・ファンクJrvs.アブドゥーラ・ブッチャー(Toronto,6/29/80)
 簡単に味のある攻防をして
 ブッチャーが流血すると場外に出てダブル・カウントアウトで終わり。
 おまけみたいな試合。 

2試合目−'80世界最強タッグ決定リーグ戦ファイナル:ファンクスvs.ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田(12/11/80)
 当時は連携技もほとんどないし
 捕まえた相手を逃したりしてタッグならではの面白みはやや薄いかなと思うのですが
 それはさておき、この試合。
 ファンクスが笑ってしまう程上手いですね。
 老獪なドリーにテキサス魂のテリー、最高です。
 馬場は初めて見たのですが、やはり時代を作るだけありますね。
 あの体形で迫力ないから正直な所あまり期待してなかったのですが、只々上手いです。
 鶴田もこの中では見劣りしますが
 それが逆に鶴田の見せ場になっているという感じ。
 フィニッシュは今からすれば、あっけなさすぎて
 ちょっとがっかりしますが名勝負です。
 この試合は80年の年間最高試合賞(プロレス大賞)を受賞しています。
 
Bインターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)
 (当時の放送もそうなのでしょうが5分ほどのカットが1回あります)
 まず2年ほど前に書いたレビューを見てみましょう。
 〜〜〜
 兄弟対決。師弟対決。ドリーム・マッチ。
 たまらないカードではないですか。
 期待を裏切らない正統派プロレスで
 1時間弱に及ぶ激闘です。
 開始15分をヘッド・ロックだけで魅せたりと
 思わず笑ってしまうようなドリーの上手さが際立ちます。
 一方のテリーも、やや掌で踊らされてる感はあるものの
 何度も場外への落下スポットを志願し
 被虐のド根性ファイトを見せてくれます。
 敢えてスピニング・トー・ホールドで決めない所なんかも素晴らしい。
 ぎりぎり名勝負。
 〜〜〜
 確かにこう評するのは簡単です。
 しかしそれは本質を突いていませんでした。

 おそらく考えている以上に血の繋がりは大きいでしょう。
 テリーとドリーが兄弟であるという事実が、
 シングル/タッグ共に実績を残しているという事実が、
 そして唯一のシングル対決という事実が
 こちらの感受性を否応無く大きくしている。
 受けて側での増幅は昭和プロレスのカラクリであるように思えるがそれはまた今度にしましょう。
 今回の物はカラクリの1つと言うには余りに突出していて独立していますからね。
 さてさてそれを考慮してもこの試合は奇異なるかな。

 一つの言葉に集約するならナチュラルな試合です。
 決して盛り上がりや勝負、演舞が第一義に来ていない。
 レスリングにおいてテリーは決してドリーに比類する技量の持ち主でない。
 その状況下でテリーはリスト・ロックを取った腕を回す、なんて不細工な見せ方で渡り合い、
 ダイナミズムにまでテリーが追い込まれる事もない。
 実際象徴するテリーの左ジャブは1発のみ、右フックは皆無です。

 そこにあるのは型になっていないレスリングです。
 昭和は昭和でも80年代のプロレスではなく、もっと古くに原風景がある。
 流れているのは生活のリズムです。
 それぞれ別の狙いを持って場外を挟んだり、
 心理的攻防や一極攻め、大技の引っ張り方など確かに上手く構築された物ですが
 極端に言えばほとんど、どのシーンを見逃しても傷がつかない。
 数少ないスポットがアッパー・ラインではなくベース・ラインとして働いていて
 この試合はアンダー・ラインの揺り篭になっている。
 だからこそのオリジナル。
 80年代プロレスにおいて唯一無二の試合として燦然と輝いている。
 ぎりぎり名勝負。 
 〜〜〜〜〜
 70年代で数少ないとはいえ同じ性質の試合が見られたので
 自分の認識の中でオリジナル性という評価要素がやや下がりました。
 また比較対照が出てきた事でテリーの足りないフィールドであった印象が少し強くなりました。
 そのため1つランクを下げて文句なしに好勝負。
 (執筆日:3/4/10)

総評
 言うまでも無いですが豪華すぎる2試合、
 ファンクス・ファンならマスト・バイ。
 (執筆日:8/2/09)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

Aファンクスvs.ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田('80世界最強タッグ決定リーグ戦ファイナル (12/11/80)
  鶴田、馬場組は勝利するしか優勝する手は無い。
  時間制限は45分である。
  鶴田対テリーで試合開始。
  テリーは力比べからアーム・ホイップを決めた所でドリーに交代。
  ドリーは老獪な動きでグラウンド・ヘッド・ロックに捕らえる。
  鶴田はドリーをロープに振るとリープ・フロッグからジャンピング・ニーを狙うが
  ドリーはロープを掴んで決めさせない。
  ドリーが再びグラウンド・ヘッド・ロック。
  鶴田はロープに振ると垂直に走る。
  ドリーがパンチで迎撃しようとするも鶴田はロープを掴んで防ぐ。
  テリーと交代する。
  鶴田がボディ・スラムを決めればテリーもボディ・スラムを決め睨み合う。
  馬場と交代する。
  馬場はロープに押し込みチョップを決めるとテリーは場外に落ちる。
  馬場に連携攻撃を狙う。
  馬場はロープを掴んで避けると同時に16文キックで威嚇。
  ドリーがショルダー・タックルで馬場を倒す。
  もう1発狙った所で馬場がチョップで迎え撃ちカバー。カウント1。
  鶴田と交代。
  レスリングの攻防からドリーが倒しスピニング・トー・ホールド。
  鶴田が蹴り飛ばして逃れる。
  ドリーはすぐにテリーに交代。
  テリーは入るなり鶴田の脚を取りにいく。
  鶴田を捕まえ脚攻め。
  鶴田は中々反撃の機会を掴めない。
  テリーは鶴田を落としリング内へのブレーン・バスター。
  カバーするもカウントは2。
  もう1発ブレーン・バスターを狙う。
  鶴田が逆に決めカバー。カウント2。
  テリーがすぐにヘッド・バッドを決めて交代。
  鶴田は交代できず。
  鶴田にダブル・ブレーン・バスターを決めカバー。カウントは2。
  テリーがダブル・アーム・スープレックスを狙う。
  鶴田はこらえるとリバース・スープレックスでテリーを場外に落とす。
  交代した馬場がリングに戻ったテリーに襲い掛かる。
  アイリッシュ・ウィップからコブラ・ツイスト。
  テリーが何とか体勢を崩して逃れる。
  しかしアイリッシュ・ウィップを食らい一回転して場外に落下。
  ドリーがテリーをリングに戻してやる。
  馬場がすぐさまコブラ・ツイスト。
  交代した鶴田が引継ぎ腰攻め。
  テリーはキャメル・クラッチを食らったまま自陣に歩み寄りタッチ。
  ドリーが鶴田に襲い掛かりコブラ・ツイストからグラウンド・コブラ・ツイスト。
  鶴田がインディアン・デス・ロックに返す。
  ドリーがグラウンド・ヘッド・ロックに返す。
  鶴田は食らいながらも自陣に行き交代。
  馬場がドリーを捕らえてドロップ・キック。
  カバーするもカウントは2。
  ココナッツ・クラッシュ連発からカバーするもカウントは2。
  ドリーがヘッド・ロックをバック・ドロップに返しカバー。カウントは2。
  アッパーカート連発からカバーするも馬場の脚がロープにかかる。
  30分経過。
  交代したテリーがネック・ブリーカーからスピニング・トー・ホールド。
  馬場はけり飛ばすも起き上がれない。
  交代したドリーがスピニング・トー・ホールド。
  馬場は脳天チョップを食らわせ逃れる。
  交代したテリーが拳を連打しカバー。
  鶴田が入ってテリーを蹴りまくる。
  それぞれがなだめコーナーに戻す。
  両者タッチし鶴田対ドリーになる。 
  鶴田はドリーを振るとドロップ・キックを狙うも完全に読まれており自爆。
  ドリーがダブル・アーム・スープレックスを決めカバー。馬場がカット。
  テリーが鶴田にダブル・アーム・スープレックスを狙う。
  鶴田は防ぐとタッチ。
  馬場が脳天チョップからネック・ブリーカーでカバー。カウント2。
  パイル・ドライバーを決めるもテリーはテキサス魂でカバーさせずタッチ。
  馬場がドリーにアイリッシュ・ウィップを狙う。
  ドリーは座る込むことで防ぐ。
  テリーが馬場にロールング・クレイドル。
  鶴田が入りカットし蹴りまくる。
  鶴田にはブーイングが起こる。
  テリーと鶴田が殴り合うもドリーが2人を引き離す。
  ドリー対鶴田になる。
  鶴田がコーナーに押し込んでアッパーカートを叩き込んでいく。
  ヘッド・ロックを食らっているドリーはニー・クラッシャーに返す。
  コーナーに押し込んでお返しのアッパーカート。
  テリー対鶴田になる。
  テリーは鶴田のパンチを避けると同時にエアプレイン・スピン。
  続けてエルボー・ドロップにいくも避けられ自爆。
  鶴田がカバーするもカウント2。
  鶴田がエルボー・ドロップにいくも避けられ自爆。
  テリーはドリーに交代する。
  鶴田がヒップ・トスを決め油断した所で
  ドリーがバック・スライドを決める。カウント2。
  ドリーがサイド・スープレックスからカバー。カウント2。
  鶴田は自陣に押し込み交代。
  馬場が16文キックからカバー。カウントは2。
  続けてドロップ・キックを狙うも読まれており自爆。
  交代した鶴田が蹴りに行く。
  ドリーは受け止めると倒してスピニング・トー・ホールド。
  鶴田は決められながらも自陣に手を伸ばしタッチ。
  馬場が16文キックからカバー。カウント2。
  もう1発決めタッチ。
  鶴田がコーナー上へ。
  ダイビング・ニー・ドロップに行くもテリーがドリーの盾になる。
  助けられたドリーが鶴田にバック・ドロップ。
  ドリーは場外に倒れているテリーを気遣う。
  ドリーが戻ってきた所で鶴田と馬場のダブル16文キックが炸裂。
  カバーするもカウントは2。
  馬場がロシアン・レッグ・スイープからカバー。カウント2。
  残り5分。
  鶴田がバタフライ・スープレックス、フロント・スープレックスと続けていくもカウント3を奪えない。
  テリーはまだコーナーに戻れないでいる。
  テリーがようやくコーナーに戻る。
  残り3分。
  鶴田がドリーにジャンピング・ニーをきめカバーするもカウントは2。
  パイル・ドライバーでもカウント3奪えない。
  ドリーはエルボーを入れ交代。
  テリーが鶴田に拳を連打。
  残り2分。
  場外で乱闘。
  リングでは馬場がドリーにネック・ブリーカーを決めている。
  テリーがリングに戻ろうとするもロープに振られた馬場と激突。
  突然レフェリーが鶴田、馬場の腕を上げる。
  権利のあったのはテリーと鶴田だったが
  鶴田が先にリングに戻りテリーはリングアウトになったのだという。  
  結果馬場、鶴田組が勝利、そして優勝となる!


Bインターナショナル王座戦:ドリー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(4/30/81)
  ドリーがグラウンド・ヘッド・ロックをかけていく。
  ロープに振られたドリーはショルダー・タックル。
  もう1発狙った所をテリーが抱え上げエアプレイン・スピンを狙う。
  ドリーは抵抗しロープに脚をかける。
  ドリーが再びグラウンド・ヘッド・ロック。
  テリーはロープに振るとリープ・フロッグからドロップ・キック。
  続けてエルボー・ドロップを狙うも、読んでいたドリーは素早く場外に逃れる。
  ドリーがヘッド・ロックをかける。
  テリーは腕を押し上げてキー・ロックに返すも
  すぐにドリーはグラウンド・ヘッド・シザース。
  テリーは持ち上げるとコーナーに置いて離れる。
  ドリーはグラウンド・ヘッド・ロックからカバーに持っていこうと押し込む。
  テリーは逆に力で立ち上がるとブレーン・バスターを狙う。
  ドリーは耐えてロープに逃げる。
  テリーがフロント・ヘッド・ロック。
  15分経過。
  ドリーがダブル・アーム・ロックに返す。
  テリーが体勢を入れ替えバック・スライドへ。
  カウント1で返されるもダブル・アーム・ロックを決めたまま。
  ドリーが蹴り飛ばして逃れる。  
  テリーは腕に狙いをつけた様子。
  ヘッド・ロックに返された所をロープに振る。
  ショルダー・タックルを食らうも2発目でヒップ・トスを決めキー・ロック。
  ドリーは何とか試行錯誤してスピニング・トー・ホールドに返す。
  テリーがすぐに蹴飛ばす。
  ドリーが脚を攻めていく。
  テリーがショルダー・タックルを決め、もう1回突進。
  しかしショルダー・スルーに返され場外落下。
  何とか戻ってきたテリーにドリーは容赦なくブレーン・バスター。
  カバーするもカウント2。
  脚を極める。
  テリーがアーム・ロックに返す。
  30分経過。
  ドリーはロープ・ブレイクからヘッド・ロック。
  ロープに振られたところでショルダー・タックル。
  テリーがヒップ・トスに返そうとした所でコブラ・ツイスト。
  グラウンド・コブラ・ツイストに持っていく。
  テリーは腕を取ると見せかけインディアン・デス・ロック。
  ドリーは抵抗して力を消費することなく、手近のロープを掴んで逃れる。
  テリーをロープに振ってバック・エルボー。
  スナップ・メアを決めていく。
  テリーが不意をついてバック・スライド。カウントは2。
  テリーはロープを掴んでレッグ・ロックから逃れるとパイル・ドライバー。
  カバーするもカウント2。
  ネック・ブリーカーからカバー。カウント2。
  ヘッド・ロックに捕らえる。
  ドリーがバック・ドロップに返す。
  ドリーもダメージを受けている様子でカバーに行かない。
  ダブル・アーム・スープレックスに続けようとする。
  テリーが耐え崩れる。
  ドリーがヘッド・ロック。
  テリーはアトミック・ドロップに返そうとする。
  ドリーは耐えるとバックを取り返しアトミック・ドロップ。
  エルボー・スマッシュからボストン・クラブへ。
  40分経過。
  テリーは体を起こすとロープまでたどりつく。
  ドリーのエルボー・スマッシュを食らってテリーはふらふら。
  ドリーはアイリッシュ・ウィップからダブル・アーム・スープレックスを狙う。
  テリーは押し倒して防ぐ。
  ドリーがふらふらのテリーを捕まえバック・ドロップ。
  何度もカバーに行くがカウント2止まり。
  テリーはドリーをロープに振ってローリング・エルボー。
  ダブル・アーム・スープレックスを狙う。
  ドリーが押し込んで防ぐ。
  場外に落ちそうになったテリーをドリーが引き戻す。
  テリーがパイル・ドライバーを狙う。
  ドリーがリバース・スープレックスに返すとテリーは場外に転落。
  痛がる様子を見せたテリーをドリーが気遣う・・・
  不意をついてテリーがスピニング・トー・ホールド。
  ドリーは体を反転させ逃れる。
  ドリーがヘッド・ロックをニー・クラッシャーに返しトー・ホールド。
  ハーフ・ボストン・クラブに移行する。
  テリーはロープに逃れるとボディ・シザースでドリーを場外に落とす。
  リング内へのブレーン・バスターからカバー。カウント2。  
  50分経過。
  ドリーがエルボー・スマッシュを連発しダブル・アーム・スープレックス。
  何度もカバーするがカウントは2。
  テリーがエルボーを叩き込んでいく。
  ロープに振られたところでショルダー・タックル。
  もう1発狙う。
  ドリーはかわすと同時に場外へ投げ捨てる。
  テリーは上手く着地しエプロンに戻ってくると
  ショルダー・ブロックを狙ったドリーにサンセット・フリップ。
  ドリーがローリング・クラッチ・ホールドに切り返し1,2,3!
  54分もの激闘の末勝利したのはドリー。
  両者お互いの健闘を称える。
  テリーがドリーにベルトを巻いてやる。

試合結果

@ドリー・ファンクJr vs.アブドゥーラ・ブッチャー(ダブル・カウントアウト)(Toronto, 6/29/80)
A'80世界最強タッグ決定リー グ戦ファイナル:ファンクスvs.ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田(優勝!)(12/11/80)
Bインターナショナル王座戦:ド リー・ファンクJr(ch)vs.テリー・ファンク(60分時間切れ)(4/30/81)