全日本プロレス:Triple Crown Championship 1996の分析
名勝負 | なし |
好勝負 | 三冠王座戦:三沢光晴(ch)vs.田上明(5/24/96) 三冠王座戦:田上明(ch)vs.小橋健太(7/24/96) 三冠王座戦:小橋健太(ch)vs.スタン・ハンセン(9/5/96) |
@三冠王座戦:三沢光晴(ch)vs.ゲイリー・オルブライト(3/2/96)
ゲイリーは全日デビュー4ヶ月で三冠王座挑戦と大抜擢。
グラップルすれば投げ飛ばすスタイルを強調していますね。
迫力ありゲイリーの持ち味を活かす理想的な筋立てだと思います。
ただスタイナーみたいなスタイルですから
どうしても大味にはなってしまいますね。
それはブッキングの時点で分かっているのですから
三沢が一進一退に気を使っているといっても
もう一工夫用意しておいて欲しかったですね。
終盤も自分の攻めの見せ方だけで完結する盛り上げ方でした。
平均的な良試合。
A三冠王座戦:三沢光晴(ch)vs.田上明(5/24/96)
田上がドロップ・キックからハイ・インパクトのスポットを連発。
田上のスケール感を活かしたストレートな掴みでしたね。
三沢のスポット・ベースで分かりやすく手合わせ。
田上に対するリアクションが上手いですね。
田上を立てつつ、細かな調整も光りました。
ステップを踏んで試合のステージを上げていきます。
そして田上を上げておいて、その強敵を切り倒すに値する凄まじいエルボー。
三沢の掌で見事に演出されましたね。
喉輪落しを丁寧に技の攻防の中に折り込み最後の綺麗な帰結へ。
ただ綺麗い過ぎて四天王プロレス的には軽さも感じさせたことは否めません。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:5/?/21)
B三冠王座戦:田上明(ch)vs.川田利明(6/7/96)
田上は自分の試合運びが出来ていますが、
今回余り相手を活かすという意識がないですね。
安定していますが、化学反応も起きない。
川田はハード・ヒットとサブミッションの織り交ぜ、
ギアを変えての投げ連打、と投打締のコンビネーションが冴えています。
打撃戦から明確に終盤戦へシフト。
少し片方の試合運びが多いものの形を整えていきましたが、
最後のフィニッシュが只の喉輪落しというのは肩透かしでしたね。
平均的な良試合。
(執筆日:5/?/21)
C三冠王座戦:田上明(ch)vs.小橋健太(7/24/96)
小橋がショルダー・タックルと見せかけドロップ・キック。
田上も即座に仕掛け返す序盤は
小橋未勝利とはいえこれまで幾多の30分時間切れ引き分けを重ねてきた
この数え歌ならではのものに仕上がっています。
組み合うと頭突きの打ち合いまでしてましたからね。
小橋が耐えて首へのローリング袈裟斬りを連発。
この殺意は凄まじいものがありましたね。
中盤はアクション自体がオーソドックスなものに落ち着いてしまいますが、
それを彩る感情の見せ方、語り方は特別なものがあります。
田上のジャーマンで小橋がダウンし場外転落する等
攻防もちょっとした工夫が利いていてこの試合の特別感を演出しています。
後半に少し質にブレが出始めた所を
小橋のダイビング・ギロチンをキーに得意技の天丼構成で
しっかりと筋道を立てましたが、ロジカルな積み上げ構築が
前半の情感豊かなドラマ性と相反している気がして個人的には少ししっくりこず。
ただ以前見た時よりも印象は変わって十二分に楽しめる試合でした。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:5/?/21)
D三冠王座戦:小橋健太(ch)vs.スタン・ハンセン(9/5/96)
リング内外場を使いつつ
打撃のリアクションで調整しています。
ハンセンは耐え、0線トぺを放ったりと
47歳ながら新しい試行錯誤も混ぜつつ
場外スポットも織り込んで四天王プロレスにも対応しています。
とはいってもベースはあくまでクレバーな試合構築。
それに対して小橋は現在進行形の四天王プロレスから
少し揺り戻して対応しても良かったですね。
後半の攻防が余りベース・ラインを上げられず、
乱れも生まれたのはそれが原因でしょう。
1993年の一戦には遠く及ばないものの
ハンセンまだまだ一線級でやっていけると
そのスキルで瞠目させる内容です。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:3/?/21)
E三冠王座戦:小橋健太(ch)vs.川田利明(10/18/96)
抑え目に焦らす構築は良好。
それと同時に小橋が川田のポジションまで上がってきていることを示せています。
ちょっとした工夫もあれば、
単純明快なハード・ヒットもあります。
場外柵にぶつけられた川田が反撃で小橋の頭部を蹴り飛ばします。
何度も何度も蹴り飛ばします。
アクション自体はオーソドックスに抑えつつも
その蹴りを当てる場所、威力が尋常ではないですね。
20分経過を前に小橋が反撃。
得意技の素振りで盛り上げつつも、やり過ぎないバランス感が良いですね。
今一度川田の反撃を受けた後でドラスクで脚攻め開始。
ここからはまったり目の試合運び。
一方で帰結が直情的なジャーマンだったりするので
全体感からすると構成が崩れているように見えます。
35分でラリアット相打ちも行ってリセット。
これもタイミングとしては早いですよね。
一つ一つの見せ場に切り替えて、もう決まりそうな雰囲気にしていますが、
そうはせずなので、どうしても間延びしてしまいます。
お互い部位を痛める形でそれぞれそこへの攻めを織り込みますが、残り時間は遠い。
四天王プロレスのネバー・エンディング要素が一度道に入り込むと
引き返せず修正できない悪い側面として出てしまいましたね。
ポイントでは気合でダメージ感を吹っ飛ばして緩急をつけても良かったのですが、
そこは律儀にダメージ感から脱却もしなかった。
昨年の伝説の一戦には大きく見劣りしてしまうフルタイム戦でしたね。
好勝負に少し届かず。
(執筆日:5/?/21)
注目試合の詳細
なし試合結果
@三冠王座戦:三沢光晴(ch)vs.ゲイリー・オルブライト(3/2/96)A三冠王座戦:三沢光晴(ch)vs.田上明(新チャンピオン!)(5/24/96)
B三冠王座戦:田上明(ch)vs.川田利明(6/7/96)
C三冠王座戦:田上明(ch)vs.小橋健太(新チャンピオン!)(7/24/96)
D三冠王座戦:小橋健太(ch)vs.スタン・ハンセン(9/5/96)
E三冠王座戦:小橋健太(ch)vs.川田利明(60分時間切れ)(10/18/96)