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全日本プロレス:Best of AJPW 1995の分析


名勝負 タッグ王座戦:三沢光晴、小橋健太(ch)vs.田上明、川田利明(1/24/95)

CC決勝:三沢光晴vs.田上明(4/15/95)

世界タッグ王座戦:三沢光晴、小橋健太(ch)vs.川田利明、田上明(6/9/95)
好勝負 Jrヘビー級王座戦:ダニー・クロファット(ch)vs.ロブ・ヴァン・ダム(6/9/95)

三沢光晴、小橋健太、浅子覚vs.川田利明、田上明、本田多聞(6/30/95)

@タッグ王座戦:三沢光晴、小橋健太(ch)vs.田上明、川田利明(1/24/95)
 三沢が押しも押されぬトップで
 川田が二番手としてジェラシーを燃やす。
 その川田に小橋は格差を感じていないかのように噛み付き、
 田上が小橋、お前は一番下だと落としつつ、
 三沢とスケールの大きな攻防を対等に行なう。
 順列がはっきりしているはずなのに
 それぞれの組み合わせが他にはない魅力を持っている。 
 そうエッシャーの滝を思わせるような複雑な人間関係。
 これが四天王プロレスです。
 そしてその人間関係は攻防という形でこそ現れていますが
 試合の中で作られたものではなく試合前から存在しているものであるが故に
 他がそう簡単に真似できるものではないのです。
 また四天王プロレスともどきとを区別する要素としては
 四天王プロレスというものはこんなのはたいしたことないですよ、という
 スタンスでスポットを打つということです。
 確かに最終的には相当に過激な技に辿りつきますが、
 最初の導入は低く、低く入っていく。
 それ故ステップ・アップの数が他よりも圧倒的に多い。
 これこそが四天王プロレスが歴史的名勝負というクオリティの試合を数多く生み出していた理由です。
 このタッグもまたその試合の一つ。
 火花を散らす中で生まれる常識の一歩上を行く控え含みのユニークなスポット。
 じっくり腰を据えて見せるベースの試合運び。
 確固とした展開付け。
 4人の色合いが確立されているからこその4人それぞれの孤立。
 控えの三沢が場外でダウンして
 小橋がやられるのではないか、とドラマチックな展開からの終盤。
 刹那の雰囲気が維持される中での素晴らしい攻防。
 四天王プロレスの全てがあるが故に
 60分という時間がまったく長いと感じさせない。
 歴史的な名勝負です。
 (執筆日:?/?/12)

ACC公式戦:川田利明vs.田上明(4/8/95)
 川田の打撃に合わせて田上はゆったりとしたスタンスを取りつつも
 そこに鋭い攻めを織り交ぜていきます。
 この緩急がいつになく冴えていて田上の力強さは最高にスケール・アップされました。
 
 川田も田上の両足を引っ張って締め上げたりと小さなものから大きなものまで
 非常に高いレベルで試合を取り計らっています。

 田上のパフォーマンスは中盤以降も驚く程高いレベルにあり、
 川田も細かな調整で自分の存在感を上げていきました。

 田上が場外のマットを剥いでDDT、と
 更に脅威レベルを上げてくると印象深い技の数々。
 フィニッシュも最高で文句のつけようがありません。

 この数え歌のベストです。

 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:5/?/21)

BCC決勝:三沢光晴vs.田上明(4/15/95)
 過激な部分が強調される四天王プロレスだけど
 根幹にあるのはコンプレックス、スタイルを含めた人間関係によるスケーリングとスパークです。
 そして田上−三沢というのはスパークこそ弱いが
 スケーリングにおいては最上級クラスの物を秘めている。
 2年前の三冠王座戦は今でもこの種の試合の中で一番好きな試合かもしれません。
 今回も場外への逃げ、場外での攻防の使い方により
 かなりのレベルを誇っていましたが2年前程では無かった。
 それは何故か。
 やはりCC決勝戦、どちらも初優勝がかかっている、という状況でしょうね。
 これが同じ位置にある2人が凌ぎを削る、そういう要素を加え秤の傾きが弱められてしまった。
 避けあいから始め、ダイブに挟んでフェイス・ロックの攻防、
 サミングをやり始める、という完璧な構築と
 細かいコントロールが見られるし、
 三沢が眼の辺りを骨折しているという事実とCC決勝という舞台のおかげでスパークも決して引けを取っていない。
 完成度は高いし名勝負である事は間違いないんです。
 しかし4C2=6通りある四天王プロレスの中で差別化を図れたか、という意味で
 2年前程の面白さには辿り着いていませんね。
 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:1/?/09)


注目試合の詳細

なし

試合結果

@タッグ王座戦:三沢光晴、小橋健太(ch)vs.田上明、川田利明(60分時間切れ)(1/24/95)
ACC公式戦:川田利明vs.田上明(4/8/95)
BCC決勝:三沢光晴(優勝!)vs.田上明(4/15/95)