全日本プロレス:Best of AJPW 1975の分析
名勝負 | なし |
好勝負 | オープン選手権公式戦:パット・オコーナーvs.ディック・マードック(12/15/75) オープン選手権:ジャイアント馬場vs.ジャンボ鶴田(12/15/75) |
@USヘビー級王座戦、3本勝負:ザ・デストロイヤー(ch)vs.ザ・スピリット(7/25/75)
じっくりグラウンドから
スピリットが打撃にシフト。
モーション鋭い良い拳を見せますね。
当時のヒールの代名詞である暗器を使ったヘッド・バットでスピリット先取。
2本目。
スピリットが再びの暗器仕込みヘッド・バットでってデストロイヤー流血。
デストロイヤーも元はトップ・ヒールですから
同じように暗器仕込みの打撃でやり返していきますが、
この試合のもう一つの見どころは
暗器を丁寧にマスクに、タイツに、セコンドにと移して、
レフェリー・チェックを上手くかわしていく所ですね。
こういうディティールは軽視されがちですが、
非常に丁寧にやっていました。
3本目。
その延長線上の攻防。
デストロイヤーが暗器を場外に落としてしまい、
4の字で対抗できるかという見せ場を用意しました。
フィニッシュがセコンド鶴田の援護によるものというのが
少し弱いですが、充実のヒール対元ヒールでした。
好勝負に少し届かず。
Aオープン選手権公式戦:パット・オコーナーvs.ディック・マードック(12/15/75)
グラウンドの韻踏みで楽しみを提供し、
グラウンドから動かして戻す構築論も忘れない。
テンポを微妙に変化させ
先程とは少し高い位置に戻しているのでボルテージが高まります。
オコーナーらしい内容で、
マードックがいつ仕掛けてくるかと思いきや、
オコーナーから顔に拳を打ち込んだのは意外でしたね。
レフェリーのポジションが絡む拳の要素を加えて
マードックの領域でもオコーナーが引かずに盛り上げました。
ドギー・スタイルで頭突き合いまでしていましたね。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:5/?/20)
Bオープン選手権:ドリー・ファンクJr.vs.ホースト・ホフマン(12/15/75)
70年代レスリング。
オーソドックスながら細やかな布石を打っている。
続いてドリーの執拗なクラバートをめぐる攻防。
レスリングはあまり時代によって選択肢に差はないにしても
良く考え抜かれているな、と感心しました。
ホフマンは打撃、投げ、ドリーはサブミッション、と
技種をそれぞれに割り振ることで緩急の効かせた攻防。
また、シーンの担当尺もホフマンを短め、ドリーを長めにしてバランスが取れている。
当時の格付意識か、ドリーがピンチ感を敢えて薄めているので、
この試合だけで勝手なことをいうともっと盛り上げられただろうと思いますが、上質な内容。
好勝負に少し届かず。
(執筆日:8/?/19)
Cオープン選手権:ジャイアント馬場vs.ジャンボ鶴田(12/15/75)
翌年から82年まで毎年CCで激突した風物詩。
その初対決になります。
鶴田がドロップキック連打に行くも
馬場がグラウンドに押さえ込み腕狙い。
キャリア差をしっかり感じさせる良質な表現であると同時に
上下に動かす空間構成への意識も良いですね。
鶴田が足狙いで対抗。
この脚攻めが執着感を上手く演出している。
馬場がこれまた懐深く受け止めていて、
馬場が鶴田を後継者として育てようと
サイコロジーの髄を尽くしていることが実感できます。
最後は馬場の貫録勝ちという形で
その差は最後まで生まれなったものの
その状況下で素晴らしいストーリーを奏でている。
文句なしに好勝負。
(執筆日:5/?/20)
注目試合の詳細
なし試合結果
@USヘビー級王座戦、3本勝負:ザ・デストロイヤー(ch)vs.ザ・スピリット(2-1)(7/25/75)A・オープン選手権公式戦:パット・オコーナーvs.ディック・マードック(30分時間切れ)(12/15/75)
Bオープン選手権:ドリー・ファンクJr.vs.ホースト・ホフマン(12/15/75)
Cオープン選手権:ジャイアント馬場vs.ジャンボ鶴田(12/15/75)