全日本プロレス:Best of AJPW 2023 part.4の分析
名勝負 | 三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.宮原健斗(10/21/23) |
好勝負 | 三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.本田竜輝(9/23/23) 三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.中嶋勝彦(11/5/23) |
@三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.本田竜輝(9/23/23)
自分の形を作れるか心もとない本田ですが、
青柳がフェンスにぶつけて効果的に序盤を演出。
本田の理解を待って試合を動かすので
ベストのスムーズさではないし、
やらないといけないこと優先で
アクションのリアルさが攻防に反映できていないのは課題です。
本田のリアルさがなく作られた熱戦感がありますね。
それでも試合の構築としては本当に見事。
青柳がキー技を天丼の見せ方で盛り上げ、
本田が青柳のエルボーを食らいながら前に出る覚醒演出も成功していました。
課題ありつつも本田のキャリア・ベスト。
こういう若手相手に三冠王座として見応えのある試合が出来るところに
全日も遂に下の厚みが増してきたな、と実感して感慨深いですね。
ぎりぎり好勝負。
A世界タッグ王座戦:宮原健斗、青柳優馬(ch)vs.斉藤ジュン、斉藤レイ(10/9/23)
斉藤兄弟はハーフとはいえ日本人離れした体格とビジュアルで素晴らしい。
ヴ―ドゥー・マーダーズということでヒールですが、
地元宮城での興行なので声援も送られていますね。
フェイス/ヒール逆転現象も一部見られる中で
青柳らはヒールっぽく振舞う遊び心ある対応。
斎藤兄弟はロング・マッチをするための技量がまだ足りなく、
地元だからダレていない部分も否めませんが、
それでも背伸びして40分弱に及ぶキャリア・マッチをやりきりました。
全日の次世代を担うこと間違いなしの斎藤兄弟。
楽しみですね。
好勝負に届かずも中々良い試合。
B三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.宮原健斗(10/21/23)
全日が誇る数え歌ですが、今度は青柳が王者の立場として。
定番の場外戦の流れから宮原が先に主導権と思わせて
青柳がそのまま引かず柵でのレッグ・ドロップにカーフ・ブランディング。
煽り能力でそのまま弾みをつけ、中盤を落とさずに容赦無く追い込みます。
ただ技を流し打ちしている訳ではなくストーリーを語っていますね。
宮原のいつものダウン・モードと思わせつつ、
いつもならそろそろ反撃できているはずなのに、の狭間の見せ場。
もともと構成似通っている上に
最近はタッグ・パートナーとしての経験もあり、
同調性がますます上がっていてクオリティに間違いなし。
望むべきストーリーを語れています。
その際に五分五分の一進一退にしがちな中で
自在にメリハリをつけて語っていたのは印象的です。
どうなるか読めない攻防を大盤振る舞いで、
究極のニア・フォールを堪能することができました。
ぎりぎり名勝負。
C世界タッグ王座戦:宮原健斗、青柳優馬(ch)vs.本田竜輝、安齊勇馬(10/31/23)
パワー・バランス偏ってるので
青柳/宮原がアピールしながら試合を運びます。
10分経過し、ようやく若手が主導権。
2人で攻め込んでいてまずまずの試合運びですね。
引っ掛かりは弱いものの
子供が積極的に声を出してくれていて会場の雰囲気が良い。
20分経過。
帳尻合わせつつ時間を稼いでいきます。
それぞれシングルでは大成功しましたが、
タッグの中では場の流れに任せる形になっていて
主体的な熱が見えにくいのが難ですね。
それでも残り5分になるとリミッターを外して攻防。
時間切れぎりぎりの決着という演出もありえる程の見応えがありました。
好勝負に届かずも中々良い試合。
D三冠ヘビー級王座戦:青柳優馬(ch)vs.中嶋勝彦(11/5/23)
中嶋が高角度バック・ドロップで先手。
それを決めた後にじっくり見下ろすと、またがってナックル。
以前の全日Jr.の時とは違う今のヘビー級の姿を強烈に刻み付けます。
情熱ではなく怖さ、不遜さ。
青柳もいつもより足を使わず躍動感より重々しさを表現。
自分のターンになれば王者として自分のペースを作っていきます。
お互い確立された自我のもと
どう組み合わせるか見えていますね。
四天王の歴史から繋がる重々しい三冠王座らしい戦い。
ドラマ重視の中で攻防の幅は若干狭めている所もありますが
狙い通りの印象を作っていき最後は中嶋が最強の外敵として帰還する強烈なエンディング。
最近の三冠王座戦の遍歴は面白いですね。
文句なしに好勝負です。
(執筆日:11/?/23)