TOP日本のプロレス全日本プロレス 2020年代の大会 →全日本プロレス:Best of AJPW 2022

全日本プロレス:Best of AJPW 2022の分析


名勝負 なし
好勝負 タッグ王座戦:諏訪魔、芦野翔太(ch)vs.宮原健斗、青柳優馬(1/3/22)

三冠ヘビー級王座戦:宮原健斗(ch)vs.石川修司(3/21/22)

CC決勝:青柳優馬vs.ジェイク・リー(5/4/22)

@タッグ王座戦:諏訪魔、芦野翔太(ch)vs.宮原健斗、青柳優馬(1/3/22)
 青柳がこじれた感情を見せれるようになったので、
 宮原がより自由に表現できるようになっていますね。
 宮原の緩急の手繰り寄せは実に見事です。

 一方の王者の方も諏訪魔の暴れっぷりは相変わらず良好ですが、
 芦野が自分の本来の強さを全日のスタイルの中で最大限発揮できるようになったのが大きいですね。
 
 シーン作りも良好で攻防だけでなく
 展開の切り替えをポイント、ポイントでちゃんと入っています。

 4者の充実っぷりが内容に現れている一方で、
 それが故にタッグの構造的には物足りなさも。
 全体像の中でうねらせる展開をもってよりダイナミックにしたかったですね。

 また合体技もただ使うのではなく、
 使える場を作ることにせめぎ合いを持たせたかった。

 その点で名勝負にはいかなかったものの、かなり見応えのある内容でしたよ。

 文句なしに好勝負。

A三冠ヘビー級王座戦:宮原健斗(ch)vs.石川修司(3/21/22)
 50周年のビッグ・マッチ。

 石川が断崖ファイヤー・サンダーを決める等
 過酷な腰攻めで宮原を追い込んでいきます。

 石川は技と技の合間の泰然とした見せ方が素晴らしく、
 またオリジナル技:宮原殺しに宮原殺し2022まで
 複数の派生を用意することで多段階で盛り上げることに成功しています。

 宮原もいつも如く良い受けっぷりを見せ、
 ぎりぎりの縁際で反撃して緩急を作っていきました。

 期待通り濃密な激闘でした。

 文句なしに好勝負。

BCC公式戦:宮原健斗vs.野村卓也(4/13/22)
 野村が不意打ちを仕掛け、
 宮原の場外への仕掛けも逆に鉄柱にぶつけます。
 普通でないことでフックをかけます。

 中盤も宮原がテンポ・ワークではなく間を取った試合運びで、野村もダウン・ベース。

 意図的な不協和音での試みは
 小大会ならではのもので面白いですね。

 打撃を張り合ってギアをあげると
 パズルのように点を繋ぎ組み立てていきます。

 ただ技をつむぐリズムは見え方を考えてもう少し洗練させたかった。

 中々良い試合。

CCC公式戦:青柳優馬vs.宮原健斗(4/29/22)
 世代超えたライバル関係が確立されているカード。

 青柳が宮原コピーから生まれた個性をこの試合でも見せます。
 宮原のアクションに対してどう応対すべきかの理解力も良いものがありますね。

 宮原は緩急の意識が冴え渡っており、
 観客をどう操ってやろうか、も意識していて
 場が良く見えているな、と感心します。

 高クオリティな内容でしたが、30分時間切れという攻防としては終わりのない帰結が用意された中で、
 安穏とした落しどころで落ち着いてしまってもう一歩踏み込んで欲しかった、という思いが残りました。

 好勝負に少し届かず。

DCC決勝:青柳優馬vs.ジェイク・リー(5/4/22)
 演舞の中に一呼吸入れたりと
 青柳は観客の見え方に介入してフックをかけ、
 ジェイクも自分の世界に引き込む間の使い方を見せます。

 青柳は今のスタイルを確立して地位を上げてきましたが、
 元のアンダードッグ時代のスタイルも個性に基づいた魅力。

 今回は両方のスタイルを絶妙にミックスさせて
 一つの集大成的パフォーマンスを見せましたね。

 全日でオンリー・ワンの存在感を示す
 ジェイクの巧みなドラマ作りと相まって
 最年少優勝にふさわしい内容に仕上がっています。

 文句なしに好勝負。

 (執筆日:5/?/22)


注目試合の詳細

なし

試合結果

@タッグ王座戦:諏訪魔、芦野翔太(ch)vs.宮原健斗、青柳優馬(1/3/22)
A三冠ヘビー級王座戦:宮原健斗(ch)vs.石川修司(3/21/22)
BCC公式戦:宮原健斗vs.野村卓也(4/13/22)
CCC公式戦:青柳優馬vs.宮原健斗(30分時間切れ)(4/29/22)
DCC決勝:青柳優馬(優勝!)vs.ジェイク・リー(5/4/22)