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全日本プロレス:2011 Heavyweight part.2の分析


名勝負 なし
好勝負 三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.真田聖也(7/31/11)

三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.秋山準(10/23/11)

RWTL戦:真田聖也、KAIvs.諏訪魔、征矢匠(11/23/11)

@諏訪魔、真田聖也、征矢学vs.永田裕志、関本大介、岡林裕二(6/12/11)
 諏訪魔、永田は打撃を打ち合ったり必殺技を前振りしたりと
 それぞれのトップとしての位置づけを忠実に再現して振舞っています。
 トリオの構成上それは素晴らしい事ですが
 攻防自体に目を向ければ実は他との絡みの方が興味深かったりします。
 まあ、その両方を堪能できるのがこういう前哨戦の良さって所でしょうか。
 真田、征矢vs.関本、岡林に関しては鉄板です。
 征矢と関本のぶつかり合いは加速度が光るし、
 岡林はコンスタントに面白い攻防を見せる。
 諏訪魔がBJW相手に強さを確立しポテンシャルを存分に発揮できるのも
 安定感のある真田が後ろに控えているところが大きい。
 好勝負に少し届かず。 

A三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.永田裕志(6/19/11)
 レスリングに交えるスタンディング状態の見せ方が光ります。
 しかしそれは感情よりも体の大きさを見せる物。
 前回と同じくベリー・トゥー・ベリーを防ぎ合うスポットで熱を帯びます。
 しかし中盤はあっさり永田が腰攻めを食らい、諏訪魔も腕攻めに無抵抗。
 全日スタイルの様式の中に対抗戦としての生の気持ちが取り込まれてしまった形ですね。
 その後、諏訪魔が脚攻め、永田が首攻めとお互い2つ目の箇所に一極攻め。
 各シーンが前のシーンの後にやるメリットを持っておらず
 起承転結ではなく起承承結といった感じですね。
 ただ色々やっていても全体に共通した意識からペースを変えていますし、
 ストーリーでバック・ドロップに明確に焦点を当てているので散漫にはならない。
 終盤は中盤からの十分な流れがなくても問題ない程熱い攻防を見せてくれました。
 レベルは高いがCC公式戦は越えれず。
 中々良い試合。

B三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.真田聖也(7/31/11)
 諏訪魔の打撃の荒々しさと鋭さの両立は見事です。
 この力強い諏訪魔に対して真田はエルボーで向かい合う。
 これが思いの外どっしりと安定していてやり合う事が出来ていましたね。
 良い意味でアンダードッグという感じはしません。
 諏訪魔も強さを見せつけているスタイルながら
 今回はいつも以上に調整利かしています。
 それでいながらいつも以上に地に足がついた素晴らしい試合運びです。
 中盤は諏訪魔の腕攻め。
 追い込まれて腕攻めではなく予防策としての腕攻め。
 どこにもつけいる隙なく盤石の王者像を築きます。
 普通はこんな事をしてしまえば勝敗が見えてしまうものだけど
 これが却って試合を面白くしている。
 真田はエルボーも発展途上で情念も十分に付随しておらず
 アンダードッグではないとはいえ若さを生かして大きな反撃が出来ていません。
 だからこそ真田自身の動き単独では物足りないのですが、
 上述のように諏訪魔が完璧であるにも関わらず
 どこかに勝ち目はあると信じ、何の裏打ちもない希望に縋って立ち向かっていく姿は
 実にドラマチックに映ります。
 結局最後は厳しい現実にねじ伏せられる形ながら不満は残らず
 試合の全てをお膳立てした諏訪魔の力量に感服するしかない。
 ぎりぎり好勝負。

Cキャプテンフォール・イリミネーションマッチ:諏訪魔(c)、船木誠勝、カズ・ハヤシ、近藤修司、稔vs.真田聖也(c)、太陽ケア、真田聖也、征矢学、大和ヒロシ、KAI(8/20/11)
 まずはそれぞれがレスリング。
 ヘビー級からJrと移した後、征矢x近藤のごつごつした攻防。
 勢いのコントロールが出来ているので観ていてのれますね。
 ここで控えが控えを抑えにかかります。
 征矢x近藤がそのまま一騎打ちを続け、
 大森に気を取られた形で征矢が脱落。
 優れた爆発力が見られたからこそここで終わらせてしまうのは勿体なかったですね。
 すぐにケアが近藤を沈め、4対4。
 適切ではあるものの流し目に試合を進め4対2で真田、ケアが追い込まれる展開。
 大和は場にフィットしていませんでしたし、
 KAIは中途半端にヘビー級スタイルで色が薄いのでこういう展開にするのもありですね。
 ここからのドラマの魅せ方がいまいちでしたね。
 真田がリーダにも関わらず出ずっぱりで、
 また丸め込みばかりで相手を脱落させていきます。
 三冠王座戦を経験後なのにスタイルが逆行していませんか。
 稔の緩急は素晴らしかったし、
 船木も腕攻めで攻防に深みを与えたので
 それだけ時間をかけるだけの物は最低限見せているけれども
 ケアが完全に空気になっており真田の過剰プッシュという印象が残る。
 中々良い試合。

D三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.秋山準(10/23/11)
 まずはお互いの大柄さをアピールして設定は出来ています。
 秋山は早い段階でエクスプロイダーを使ったりと技の幅が狭いですが、
 緩急の急の切り込み方が素晴らしく意味づけで色分けする事が出来ています。
 また環境を使って攻撃していて自分の状況を良く知っていますね。
 その衰えを認め、悟ってしまっている分、
 自然なダメージ設定で引いてしまっていて、
 強さの相乗効果が起きていないという欠点もあります。
 秋山なら多少ハッタリをかましても受け入れられる気がしますけどね。
 また緩急を使いこなさなければいけない都合上
 断崖式エクスプロイダーを放った際、
 自分もダメージを負うという追加表現が出来ないのも残念ではあります。

 秋山に比べると諏訪魔の間には不満が残る。
 全体ベースで考えていて、現状から計算されたそれではないですからね。
 しかし秋山と同じく理詰めの展開は素晴らしく、
 両者ダウン後のハイ・フライというスパイス、
 エクスプロイダーにジャーマンを同列化してくるアイディアも面白い。
 
 両者伸びきれない部分を抱えつつも
 上手く交錯して試合を高め、最後は想像以上の一押しで
 最後の三冠王座まで流出というエンディングにふさわしい盛り上がりを生みました。
 文句なしに好勝負。

ERWTL戦:真田聖也、KAIvs.諏訪魔、征矢匠(11/23/11)
 匠は本当に素晴らしいですね。
 こう動くものだ、という経験のインプットがないので攻防は多少汚いですが
 他はそこいらの中堅所も敵わないような光るものを持っている。
 まず基本技レベルから技に抑揚を持たせているため、
 その技は既に匠の技という印象を与えます。
 だからこそ匠はどんな技を持っているか、十分認知されていないにも関わらず、
 終盤になっても一つ一つの技で効果を発揮しています。
 終盤が出来る新人。
 これだけで匠の凄さが分かるというものです。
 またがたいが良い者にしては珍しく蹴りを使う匠。
 北尾を思い出しますね。
 しかし北尾とは違って才能溢れる匠です。
 蹴りをスタイルにフィットさせ、場面によって蹴りの間を変えています。
 いや、もう小橋を髣髴とさせるような原石です。
 
 他の3人に目を向けるとまず諏訪魔。
 打撃のリミッターが外れていて相当強烈です。
 三冠を失った事を忘れさせるような鬼っぷりです。 
 また征矢とタッグを組むことで様式に対する気遣いがいつもより生まれているのも良いですね。
 真田はこの諏訪魔と三冠王座戦より力の差をそこまで感じさせずに
 立ち向かっていく攻防で魅せる事が出来ました。
 KAIはヘビー級としての素質のある選手だな、と思っていましたが
 この試合を見て一層その印象は強くなりましたね。
 真田に続ける逸材です。
 この似通った真田、KAIが基本的な技を組み合わせた連携技を
 ここしかないという場面でそれぞれ配置して試合を大きく盛り上げていました。
 全員個人としてもタッグとしても魅力的で素晴らしい試合でした。
 ぎりぎり好勝負。
(執筆日:12/23/11)

注目試合の詳細

D三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.秋山準(10/23/11)
 ナックル・ロック。
 諏訪魔が絞りロープに押し込む。
 離れると思いきやエルボー。打ち合い。
 秋山がビッグ・ブーツ。
 ロープからのビッグ・ブーツを打ち合う。
 秋山がロープに走った諏訪魔にもう1発。
 場外に転がり落ちる。
 諏訪魔が振り返し柵にぶつける。
 突進。
 秋山がカウンターでドロップ・トー・ホールド。
 柵にぶつける。
 リングに戻しランニング・ニー。カウント2。
 エクスプロイダー。カウント2。
 首4の字。
 エプロンに寝かせニー・ドロップ。
 リングに戻るも出てエプロンから柵へのカーフ・ブラウンディング。
 戻ってきた諏訪魔にネック・ブリーカー。
 ニー・ドロップ。
 両腕を取り踏みつけてマットに叩き付ける。
 諏訪魔がロープに走った秋山にベリー・トゥー・ベリー。
 場外に出た秋山を柵にぶつける。
 鉄柱に腰からぶつける。
 リングに戻し腰を攻めていく。
 ボストン・クラブをロープ・ブレイク。
 諏訪魔がロープに振ろうとするも秋山は崩れ落ちる。
 秋山の腰にストンピング。
 ダブル・チョップを叩き込む。
 秋山がセカンド・ロープからハイ・ニー。
 諏訪魔がコーナー上の秋山を捕まえる。
 耐える秋山にスーパープレックス。
 エプロンに出た秋山にリング内へのブレーン・バスターを狙う。
 耐える秋山にローリング・ラリアットを叩き込み落とす。
 エプロンで秋山が場外へのエクスプロイダー。
 リングに戻る。
 何とか戻ってきた諏訪魔にランニング・ニー。カウント2。
 DDT。
 首裏にダイビング・エルボー。
 エクスプロイダー。カウント2。
 フロント・ネック・ロック。
 ロープ・ブレイク。
 エクスプロイダーを狙う。
 防がれたのでセカンド・ロープから飛ぶ。
 諏訪魔がカウンターでラリアット。
 コーナーへのラリアット。
 ベリー・トゥー・ベリー。カウント2。
 ロープに走る。
 ビッグ・ブーツをかわすとフライング・ショルダー・タックル。
 バックを取る。
 防がれたのでエルボー。
 打ち合い。
 エルボーを連打しロープに走る。
 秋山がエクスプロイダー。
 諏訪魔がジャーマン。
 秋山がエクスプロイダー。
 諏訪魔がジャーマン。
 ビッグ・ブーツ。
 秋山が耐えラリアット。
 両者ダウン。
 ラリアット相打ち。
 諏訪魔がドロップ・キックで落とす。
 トぺ・スイシーダ。
 リングに戻しエルボー。
 ロープに振りラリアット。カウント2。
 ラスト・ライドを狙う。
 秋山がリバース・スープレックスに返す。
 ロープに走りビッグ・ブーツを狙う。
 受け止められるもフロント・ネック・ロック。
 諏訪魔が放り投げる。
 延髄切り。
 ジャーマン。カウント2。
 ロープに走りラリアットを狙う。
 防がれるもバック・ドロップ。カウント2。
 ダイビング・ボディ・プレス。カウント2。
 ラスト・ライド。カウントは2。
 起こしてバック・ドロップを狙う。
 秋山が何とかロープを掴む。
 諏訪魔が引き戻しバック・ドロップへ。
 体重を預けて潰されるもビッグ・ブーツ。
 ダブル・チョップ。
 ローリングへ。
 秋山がカウンターでハイ・ニー。
 ロープに走りランニング・ニー。
 後頭部にもう1発。
 エクスプロイダー。カウントは1。
 起き上がってきた諏訪魔とエルボー連打。
 張り手の打ち合い。
 諏訪魔がヘッド・バッド。
 ロープに走る。
 秋山がカウンターでハイ・ニー。
 エクスプロイダー。
 2発目。
 起こそうとする
 諏訪魔が丸め込む。
 秋山はカウント2で返すとニーを叩き込んでいく。
 ニー。
 リスト・クラッチ・エクスプロイダー。カウントは2。
 天を指さしスターネスダストα。カウント3!
 秋山が新チャンピオンに!

試合結果

@諏訪魔、真田聖也、征矢学vs.永田裕志、関本大介、岡林裕二(6/12/11)
A三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.永田裕志(6/19/11)
B三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.真田聖也(7/31/11)
Cキャプテンフォール・イリミネーションマッチ:諏訪魔(c)、船木誠勝、カズ・ハヤシ、近藤修司、稔vs.真田聖也(c)、太陽ケア、真田聖也、征矢学、大和ヒロシ、KAI(8/20/11)
D三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.秋山準(新チャンピオン!)(10/23/11)
ERWTL戦:真田聖也、KAIvs.諏訪魔、征矢匠(11/23/11)