TOP日本のプロレス全日本プロレス 2010年代の大会 →Puroresu Love in Ryogoku 3/21/11

全日本プロレス:Puroresu Love in Ryogoku 3/21/11の分析


名勝負 なし
好勝負 アジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二

SlamBamJam製。
3枚、約4時間35分です。

東北・関東大地震被災者への黙祷。
TARUの前説にbrother YASSHIが登場。

@渕正信、宮本和志vs.ゾディアック、中之上靖文
 ラリアットを耐えた相手をフライング・エルボーで倒すという
 技の意味合いを考えていない連続攻撃が見られたりと
 まだまだ考え抜かれていない低レベルなプロレス。
 渕が百田みたいな位置づけで緩さもあり、フィニッシュへの流れはまったくない。
 ひどい試合。

Aカズ・ハヤシ、KAI vs.大和ヒロシ、BUSHI
 BUSHIが華麗な動きで魅了。
 KAIと大和に良いライバル関係が生まれているようで
 他も良い動きで観客を盛り上げていきます。
 只手数で押し過ぎず、もう少し試合構成を考えても良いですね。
 タッチを焦らし、成功後に爆発させる流れもありませんでした。
 平均より少し上。

Bビッグ・ヴァン・ベイダー、浜亮太、ジェシー・ホワイトvs.レネ・デュプリー、TARU、MAZADA
 ベイダーは今でも通用する強烈な攻撃を見せています。
 しかし相手が一切攻撃をしないという事はもう歳で試合できないんでしょう。
 ベイダー・マスクを被って出てきた浜も受けるシーンほとんどなし。
 ベイダー組が受けに回るのは経験の少ないベイダーの息子、ジェシーぐらいなものなので
 スカッシュ・マッチと変わらないぐらい技術が使われない内容。
 ひどい試合。

Cアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二
 ショルダー・タックルの耐えあいが無いように構図立ては最小限にされています。
 カウント1による意思表示や控えがノー・タッチで入る見せ場もありますが、
 それが活用されるシーン数は驚くほど少ない。
 かといって規律を失ったぶつかり合いという事でもない。
 既に試合前から存在する真剣な面持ちを害する様な感情の刺激し合いはありません。
 試合というものはレスラーとは別の外部的存在だけど
 この試合の熱はこの4人の内部に他の一般的な試合よりも依拠している。
 紛れも無く熱のある試合だが、一般的な熱のある試合とは違う。
 その熱は空気を通って伝わるに任せている。
 この試合の顔ぶれを眺めるとこの言葉を使って評するのはまったくもって奇妙な話だが、
 大和撫子のような奥ゆかしさを持っている。
 だからこそ他の同一カードと違って征矢、関本、岡林の原初的な攻防に
 真田のクイック、ハイ・フライが見事に共存している。
 2011年を代表するタッグの一つ。
 文句なしに好勝負。

D橋本大地vs.武藤敬司
 橋本はデビューしたばかりの選手という事で
 攻めでも受けでも痛みが伝える事が出来ず、
 蝶野のSTFや掟破りのシャイニング・ウィザードといった
 特別な技を使う事を許されているだけ。
 武藤は相手を良くみながらいつもの脚攻め。
 今やこれだけしか出来ないからからもしれないが、
 一直線だけに相手の頑張りが見せやすく良い試合運びでしょう。
 最後はシャイニング・ウィザードなどでフォールせず
 敢えてのムーンサルトでフィニッシュ。
 橋本の息子という御輿をかついだ内容。
 思い入れがないと温度差を感じてしまうかな。
 少し悪い試合。

E獣神サンダー・ライガー、永田裕志vs.船木誠勝、鈴木みのる
 レスリングや感情の篭った打撃など新日の基本的な風景を網羅した内容。
 4人参加のタッグであるためにひとつの要素に偏る事もなくバランスは良い。
 また船木、みのるは特に優れている訳ではないけどタッグとして連携技も見せています。
 問題はカードの段階で意味性を感じる物にも関わらず
 それを堪能するには試合時間が8分程と短すぎる事。
 平均より少し上。

FJrヘビー級王座戦:稔(ch)vs.近藤修司
 静かな序盤からまずは近藤が不意をついた低空ドロップ・キック。
 脚攻めを始める訳ですが、これには懐疑的ですね。
 印象的なものばかりチョイスし、意識的に間を空けてきますが、武藤の真似にも見えてきます。
 またどこに帰結させるのかも良く分からない。
 後々でハーフ・ボストン・クラブを使っていますが、
 私が近藤のその技に対して初見であるという事を考慮しても伝わってこなかった。
 一方の稔は腕攻め。
 変則の入りからの腕サブミッションに一撃性が持たせられていて
 Jrのバリエーション豊富さ、つまり数ある腕を狙う方法から
 何故その行動を選択したのか、という見せ場に欠けるのが惜しまれます。
 カウンターや大技で終盤にかけて盛り上げるも、
 中盤までJrらしからぬ地味な内容にした意味合いは薄い。
 意図的に技種を使い分けて盛り上げている所は上手いが、
 それによってリアリティーや論理が欠如してしまうのは
 カズ含めた全日Jrに感じる欠点でもある。
 平均的な良試合。

G世界タッグ王座戦:ジョー・ドーリング、KONO(ch)vs.太陽ケア、大森隆男
 落ち着いた試合運び。
 ケアを初めとして細かい攻防の作り方は良いものがあります。
 しかし裏を返せば大きな魅力に欠けるという事。
 スター性を使って魅力を凝縮しアジア・タッグと差別化を図るのがベストなんですけどねぇ。
 彼らにそれ程のスター性があるかというと・・・。
 今の面子からするとタッグ王座を2つ維持するのは難しい印象。
 それもトップ・シングル・レスラーが都落ちで絡みやすい世界タッグ王座の方がいらない気がします。
 平均レベル。

H三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.KENSO
 KENSOは立ち姿で雰囲気を醸し、ムタばりに格好をつけた打撃を打つ他、
 序盤の段階で弱さをすんなりと見せたりと"実体の無さ"を意識的に売りとしている。
 団体風土と違う事を意識的に行い実現している点は評価されてしかるべきであり
 KENSOワールドと呼ばれているように観客に対しても一定の認知がされているようです。
 しかしまだ詰めが甘いですね。
 4回も連続ダイブを行い、その上で自爆、足を痛める展開や
 布で首を絞める、ロー・ブローを行う行動は常識外れでストーリーを語れていません。
 観客の予想を外すという事と試合を壊す事がごっちゃになっているんですね。
 只このKENSOに対し諏訪魔が何をするのか、それもまた極めて重要な点であります。
 アドリブを試される難しい状況であったとはいえ
 諏訪魔がやった事はと言えば困惑してKENSOを放置、
 終盤は脈絡なく自分の熱さ、真っ直ぐな魅力が出る世界に持っていく。
 30分と無茶な試合時間を設定して諏訪魔に、
 終盤に自分の持ち技を全て出し、いつも通りの諏訪魔として締めなければならないと思い込ませた
 裏方にも責任はあるけれども
 それにしたってKENSOとの生産的な交流がまったく無かったのは
 諏訪魔本人の責任である事は否めない。
 実験的で興味深くはあるものの、
 どちらかというと失敗に近い内容で平均レベル。

◆みのるらが現れCCに向けアピール。永田が現れ参戦表明。
 また代理で手紙が読み上げられる形ながら秋山も参戦する事が発表される。

総評
 相変わらずパッケージとしての意図があってその点は良いですね。
 しかし後半のクオリティが伸びず、最後のCCへのサプライズ参戦表明がなければ厳しかったですね。
 (執筆日:5/1/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@渕正信、宮本和志vs.ゾディアック、中之上靖文
Aカズ・ハヤシ、KAI vs.大和ヒロシ、BUSHI
Bビッグ・ヴァン・ベイダー、浜亮太、ジェシー・ホワイトvs.レネ・デュプリー、TARU、MAZADA
Cアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(新チャンピオン!)
D橋本大地vs.武藤敬司
E獣神サンダー・ライガー、永田裕志vs.船木誠勝、鈴木みのる
FJrヘビー級王座戦:稔(ch)vs.近藤修司
G世界タッグ王座戦:ジョー・ドーリング、KONO(ch)vs.太陽ケア、大森隆男
H三冠王座戦:諏訪魔(ch)vs.KENSO