STARDOM:All Star Grand Queendom 4/27/2025の分析
名勝負 | IWGP女性王座戦:岩谷麻優(ch)vs.朱里(All Star Grand Queendom 4/27/2025) ワールド・オブ・スターダム王座戦、完全決着敗者引退特別ルール:上谷沙弥(ch)vs.中野たむ(All Star Grand Queendom 4/27/2025) |
好勝負 | ノーDQ:鈴季すずvs.星来芽依(All Star Grand Queendom 4/27/2025) センダイガールズ・ワールド王座戦:橋本千紘(ch)vs.舞華(All Star Grand Queendom 4/27/2025) ゴッデス・オブ・スターダム王座戦:羽南、飯田沙耶(ch)vs.葉月、コグマ(All Star Grand Queendom 4/27/2025) ワンダー・オブ・スターダム王座戦:スターライト・キッド(ch)vs.AZM(All Star Grand Queendom 4/27/2025) |
@フューチャー・オブ・スターダム王座戦:妃南(ch)vs.八神蘭奈(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
八神は腕狙い。
もう少し周りを見たいですが、やることは一貫していて良し。
妃南はダメージ表現良いものの
攻めが今一つ見栄えせず、ダメージも反映できていないのが課題。
フューチャーゆえ至らない点もありますが
その過程の現時点において良い仕事はしています。
ニア・フォール合戦は多めで
オープニングから良い盛り上がりを生みました。
まあまあ良い試合。
A玖麗さやかvs.テクラ(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
さやかはシンデレラ・トーナメント優勝したもののまだまだ。
テクラが完全に掌で転がしていましたね。
相手への応対、観客の巻き込み方、
求められていることをしっかりやりきる
テクラの仕事っぷりにひたふら感服していました。
ここまで出来るなら対芸能人の試合も出来そうですよね。
一方のさやかはこの内容で勝利をもらっているプッシュ過剰はやや不安。
平均レベル。
B吏南vs.堀田祐美子(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
体重差ある上に、堀田のコンディション上ハイパー・アーマー性能加える事情もあり。
これくらいしかできないよねという内容です。
少し悪い試合。
C安納サオリ、なつぽい、さくらあやvs.里村明衣子、岩田美香、YUNA(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
さくら、YUNAと他4人で実力差ありますね。
岩田は不器用ながら他団体対決に求められる棘を出して
里村はまだまだ未来のある相手に良いスタンスで交流。
YUNAはちょっと実力が他と追いついていないですね。
それはさくらもですが、
こちらはなつぽい、安納が2人だけで完結させず、
さくらも混ぜてトリオとして整えているのでそんなに問題なし。
まあまあ良い試合。
DノーDQ:鈴季すずvs.星来芽依(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
すずの得意なハードコア領域。
序盤から流血しつつも堂々とした試合運びです。
それはある意味いつものことですが、
星来もまた流血してハードな受け身を見せたのには驚きました。
雰囲気のある一発一発を大事にした攻防。
後半は凶器皆無の攻防ですが文句を出させないやり取りでしたね。
ぎりぎり好勝負。
Eセンダイガールズ・ワールド王座戦:橋本千紘(ch)vs.舞華(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
パワー・ファイター対決。
橋本はゲストでありつつも、里村の伝承者であり、
とはいえ同系対決の均衡を求められる案外に繊細な調整を求められる状況でしたが、
実に良いバランスを見つけて試合を進めていましたね。
舞華のアクセントの腕攻めも良く、
両者の株が上がる内容でした。
ぎりぎり好勝負。
Fゴッデス・オブ・スターダム王座戦:羽南、飯田沙耶(ch)vs.葉月、コグマ(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
葉月は個とタッグを絶妙に切り替えていて相変わらず上手い。
この葉月が引っ張るのが数年前の印象でしたが、
今は葉月以外の3人も底上げされています。
羽南と葉月の火花散らす攻防は見応えあり、シングルでも見たくなる程でしたね。
この位置付けとしてハードなスポットも用意して他に負けない内容でした。
ぎりぎり好勝負。
GIWGP女性王座戦:岩谷麻優(ch)vs.朱里(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
オーソドックスなやり取りの中で呼吸合わせ。
一方で崩しを入れてフックをかけたり。
朱里は間のため方、顔の見せ方の調整流石ですし、
岩谷の受け含めた身体の躍動感は他に類を見ないレベルです。
相手のスキルへの絶対的な信頼があるからこその攻防ですね。
岩谷は動かない受けを効果的に織り交ぜ。
ただ派手に吹っ飛ぶだけが良い訳でないことを知っています。
一挙手一投足に注目させ疲労感も増していく後半戦。
昨年に次ぐ大激闘になっていきます。
ムーブに乱れも出てしまった中での
ラスト・スパートのギアは凄かったですね。
やはり王座がかかった時の朱里は凄い。
王者になる覚悟、王者であり続ける責務、
マイクで良く語る文言ではありますが、
朱里の心の入れ込み方は男性含めても比類するレスラーは片手ぐらいなものでしょう。
王座を本当に命として扱っています。
文句なしに名勝負。
Hワンダー・オブ・スターダム王座戦:スターライト・キッド(ch)vs.AZM(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
AZMは腕を狙いキッドは膝狙い。
安心感のある演舞のやり取りです。
受け手側の積極的カウンターが魅力なカードながら
その点でまだまだ出来る余地があったようで、
こんな攻防もするかと感心させる引き出しの多さです。
スターライトがこの5年勝てていないという背景がありましたが、
好敵手として認知され過ぎていて、
攻防としてもそこをドラマにしきれなかった感はありますが、
それでも素晴らしい試合に仕上がっています。
ぎりぎり好勝負。
Iワールド・オブ・スターダム王座戦、完全決着敗者引退特別ルール:上谷沙弥(ch)vs.中野たむ(All Star Grand Queendom 4/27/2025)
プロレス村の一部には軽々しい引退も存在しますが、
リアルな感情が試合の中にもある女子プロにおいてはその言葉は重い。
重いからこそ勝敗は見えている感がありますが、
それでもそこにあるのがリアルだからこそ
このシチュエーションの引力は本物です。
たむが覚悟を持った表情で試合開始。
上谷はキャラを入れて応対しますが、それも素の延長上です。
各環境を使ったバラエティ豊かなスポットで上谷がボロボロのたむに攻め込みます。
印象的な組み立てでしたね。
ビッグ・マッチとして絵になるスポットが当然に予想されていますが、
花道に、エプロンに、とその盛りだくさんっぷりは予想以上で、全てやるという覚悟が見えました。
終盤に尾を引かない形で、尚且つ散文的にならないように構築できていましたね。
執着的な、執拗な打ち合い。
仮装の部分を剥ぎ落してリアルと融合させながら
ドラマチックに引き込んでいきましたね。
たむは蓄積されている負荷がパフォーマンスに影響している印象が近年ありましたが、
前回の試合に続き今回もまた申し分ないパフォーマンス。最後の燃焼を見せました。
クライマックスは全部詰め込んでいるので正直くどい。
しかしそれはやっていること自体クオリティ・プロレス的な手法であるものの
本質は観客ではなく2人の心に根差しているので免罪符。
昭和の全女の怨恨的な情念と違って、
嫌いと言いつつ仲良しな青春は実に令和的で、
時代を語れる文脈すら持つ試合です。
歴史的な名勝負。
(執筆日:5/?/25)
Rating:★★★★★