TOP女子プロレスIce Ribbon →ChocoPro:Best of ChocoPro Season Eight 2021

ChocoPro:Best of ChocoPro Season Eight 2021の分析


名勝負 なし
好勝負 阿部史典vs.高梨将弘(Choco ProMasahiro Takanashi Return Show 7/13/21)

30分アイアン・マン・マッチ:ルル・ペンシルvs.クリス・ブルックス(ChocoPro #137 7/22/21)

さくらえみvs.駿河メイ(ChocoPro SP 8/9/21)

@さくらえみ、水森由菜vs.メイサン・ミッシェル、沙希様(ChocoPro Masahiro Takanashi Return Show 7/13/21)
 ChocoProでは普段見られないメイの別ギミック。
 そのキャラを交えてコミカルな盛り上げもありますが、
 一方でしっかりと本格派の攻防のチェーンもあり、
 一定以上のレベルを各ポイント満たしたものになっています。

 中々良い試合。

A阿部史典vs.高梨将弘(Choco ProMasahiro Takanashi Return Show 7/13/21)
 昨年高梨が骨折した同一カードにて復帰戦。

 グラウンドをじっくり行いながら時を巻き戻していきます。

 阿部は容赦なくアンクル・ロックをかけていきます。

 リングではない沈むマットだからこそのレスリングになっていますね。

 高梨がまだ本調子に戻っていない点もありますが、
 ロープ・ブレイクへの距離が短く手軽に使えることで補い、
 それにより脚への攻めをよりクリティカルに見せています。

 阿部が脚攻めで主導権を握りつつも
 ここで落ち着かせず苛烈な攻めでの追い込み。
 ChocoProには珍しい緊迫感を生み出します。

 高梨が脚を犠牲にしつつ窓から飛んで阿倍の腕にダイビング・ニー。
 こちらも腕に狙いをつけて打開していく展開。
 ここで高梨の腕攻めのシーンとまったりさせず、
 レスリング中心に目まぐるしく加速度を増していったので見応え十分。

 阿部のポイントで止める緩急が利いていましたね。
 
 高梨はそれに助けられながらも大仰に、リアルさとは反対方向にプロレスラーを演じて
 自分がやるべきポイントで試合に貢献していきます。

 移入感の高いクライマックスも素晴らしく、復帰戦として見事な内容でした。

 ぎりぎり好勝負。

Bアジア・ドリーム・タッグ王座戦:バリアン・アッキ、駿河メイ(ch)vs.SAKI、水森由菜(ChocoPro #136 7/19/21)
 SAKI、水森は先のタッグ・リーグで優勝。
 その時にもアッキ、メイに引き分けており満を持しての挑戦になります。

 4人の相互の引き立てが素晴らしいですね。
 SAKI、メイは身長の差を上手く見せています。
 アッキは水森の脚に狙いをつけて肉弾戦を封じることで、
 男女対決ながら水森のパワーをスケール・アップさせています。

 ラフ要素も含めていつものカメラ・アングル内に収まらない攻防。
 ある程度アングルが固定化されている2.5次元性がChocoProの面白さでもありますが、
 ここではそのデメリット以上にメリットを生み出し、
 試合時間の長期化にも寄与しています。

 アッキ、メイと比べてもSAKI、水森の連携技は引けを取らず良かったですね。

 メイと水森のシングル対決を挟んで切り替えたりしていますが、
 後半に向けた形作りは物足りず、
 41分の試合時間は少々長すぎた印象ですが、
 それでも手に余らせているとは思わせない攻防を見せました。

 好勝負に少し届かず。

C30分アイアン・マン・マッチ:ルル・ペンシルvs.クリス・ブルックス(ChocoPro #137 7/22/21)
 クリスが子供を相手にしているかのように付き合って甚振りつつ
 攻防に緊張感を失わせないのが素晴らしいですね。

 ルルのちょっとズレた感覚(良い意味で)がポイントで活かされていますね。
 クリスがルルの名前についている鉛筆を折って挑発したのに対し、
 ルルが逆に鉛筆の折れた先をクリスの脚に突き刺したシーンは印象的です。

 クリスが実体の弱い攻めに対しても
 しっかりスケール・アップできる表現力を見せつつも
 ピンフォールに対しては高い高い壁を保ち続けます。
 この一見相反する2つを両立させているクリスの凄さ。
 今年は非常に充実していてその視座の高さは目を見張りますね。

 27分で3-0の状況。
 クリスの勝ちが確定している状況で
 ルルが一矢報いることができるのか、
 初めてのピンフォールを他ならぬこの試合で得られるのか、というドラマ。

 後者は試合外の要素、事実ではありますが、
 それを例え知らずとも同じ境地に至ることができるだけの
 圧巻のストーリー・テリングが30分間全編を通して見られました。
 かつてない程に1つのピンフォールに価値が生まれました。 

 文句なしに好勝負。

Dスーパー・アジア王座戦:藤田みのる(ch)vs.新納刃(ChocoPro #141 7/31/21)
 オーソドックスなレスリングの中に
 実況の過剰な反応込みとはいえ
 ポイントとなるスポットを上手く織り込んでいます。

 藤田の技を重々しく見せ、
 アンクル・ロックも加えて攻め込み。
 藤田が完全優位も決めきれず攻め疲れを見せて、15分経過。

 新納が不意打ちの手を蹴り飛ばして
 一気にシチュエーションを変えます。
 新納の疲労感を見せながらも輝く切れ味も良ければ
 そういう刹那的な受けを出す藤田も良いですね。

 この20分で仕込みとしては満了。
 まとめにいって激しいエルボーの打ち合い。
 30分試合として帰結させればかなり良かったんではないでしょうか。

 しかし試合はまだまだ続きます。
 30分経過後は窓の外に出たり会場内の通常アングル外を使ったり、
 ハードコア要素も加えていきます。

 観客をリフレッシュさせるものの
 それは試合の方向性から横道に逸らしてのことなので、
 試合の完成度の観点からはNG、試合時間を延ばすための方策でしかないですね。

 40分経過するとストレートなハード・ヒットに戻す等
 タイム・マネジメントの意識は感じますが、
 60分試合ありきな作り方な所はあります。
 
 しかし距離感の近いChocoProだからこその
 生の感情の伝わり具合はぐっと来るものがありました。

 中々良い試合。

Eベスト・ブロズ(バリアン・アッキ、駿河メイ)vs.百均サンダース(さくらえみ、マサ高梨)(ChocoPro #144 8/8/21)
 ゴングが鳴るなり立体的演舞。
 タッグの動きで掴みの盛り上げは十分です。

 攻防の主導権が切り替わろうと
 タッグとしての面白さを維持し続けます。

 距離感の近いChocoProならではのテンポ感ですね。

 キッチン上の攻防、百均サンダースの誤爆から切り替えて終盤。
 さくら独特の間合いも光りましたが、
 試合の中でのスムーズな形作りかというとやや粗かったか。

 また明日の一騎打ちに向けてメイvs.さくらも
 もっと期待感を煽る導き方があったかと思います。

 好勝負に届かずも中々良い試合。

Fさくらえみvs.駿河メイ(ChocoPro SP 8/9/21)
 さくらえみが主導を取って
 メイも環境を活かした攻めで対抗。

 ふざけて、ほんわかした雰囲気が生まれつつも
 それを余裕を見せるベテランの強さに結びつけるさくらえみの御業。
 色々散りそうな所を上手く東郷させますね。

 テンポ・コントロールの利いた攻防から
 終盤はさくらえみがダウンするめいに立て、と要求するドラマ推しに。
 ストーリーにのった攻防で36分の試合をしっかりまとめあげました。

 最後までさくらえみがらしさ全開で記憶に刻み付けた勇退でしたね。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:10/?/21)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@さくらえみ、水森由菜vs.メイサン・ミッシェル、沙希様(ChocoPro Masahiro Takanashi Return Show 7/13/21)
A阿部史典vs.高梨将弘(Choco ProMasahiro Takanashi Return Show 7/13/21)
Bアジア・ドリーム・タッグ王座戦:バリアン・アッキ、駿河メイ(ch)vs.SAKI、水森由菜(ChocoPro #136 7/19/21)
C30分アイアン・マン・マッチ:ルル・ペンシルvs.クリス・ブルックス(3-1) (ChocoPro #137 7/22/21)
Dスーパー・アジア王座戦:藤田みのる(ch)vs.新納刃(60分時間切れ)(ChocoPro #141 7/31/21)
Eベスト・ブロズ(バリアン・アッキ、駿河メイ)vs.百均サンダース(さくらえみ、マサ高梨)(30分時間切れ)(ChocoPro #144 8/8/21)
Fさくらえみフェアウェル・マッチ:さくらえみvs.駿河メイ(ChocoPro SP 8/9/21)