全日本女子プロレス:Best of AJW 1997の分析
名勝負 | 下田美馬、三田英津子vs.井上京子、アジャ・コング(8/9/97) タッグ王座戦、ケージ・マッチ:下田美馬、三田英津子(ch)vs.伊藤薫、渡辺智美(9/21/97) |
好勝負 | タッグ王座戦、3本勝負:前川久美子、渡辺智美(ch)vs.下田美馬、三田英津子(6/18/97) GP公式戦:豊田真奈美vs.伊藤薫(8/9/97) アジャ・コングvs.豊田真奈美(8/20/97) |
@タッグ王座戦、3本勝負:前川久美子、渡辺智美(ch)vs.下田美馬、三田英津子(6/18/97)
LCOがラフ・ファイトに持ち込みます。
渡辺が壊れそうな重戦車ファイトを見せるので
LCOの控えが攻撃を仕掛ける戦略性が引き立ちます。
その延長としてカットも使用し、
1本目からニア・フォールを見せていきました。
渡辺が流血しながらもフォールを取り1本。
2本目は前川孤立。
LCOが凶器を使って追い詰めていきます。
前川が力尽きるのは時間の問題となっており、
長ったらしくなってしまうかな、と思ったのですが
LCOの痛めつけっぷりが徹底されており、
フェンスも使うし、ついでにサード・ロープも壊れるしで
エスカレーションは止まらなかったですね。
また前川が切れてレフェリーの制止を聞かずに殴り続けDQというフィニッシュも良い。
敢えてこういう終わり方にしたことで
3本目も勢いをそのままにしてスタートできました。
LCOがテーブル上でのパイル・ドライバー、
バルコニーからの突き落とし(高さ自体はそれ程でもないが)で度肝を抜くと
良い意味での、しっちゃかめっちゃかのニア・フォール合戦で大いに盛り上げました。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:1/?/15)
A下田美馬、三田英津子vs.井上京子、アジャ・コング(8/9/97)
まずは場外乱闘からスタート。
京子が椅子を捨てると見せかけ椅子攻撃を仕掛けますが
ラフ・ファイトはお手の物のLCOが先に主導権を握ります。
下田のラフ・ファイトは素晴らしいですね。
打撃に動きがあり、荒っぽさもある。
それは印象的ながらワン・オブ・ゼムのムーブとしても成立しちえる。
相手の攻撃に対する懐深い受けも良い。
一方で三田は攻めでは一発のインパクト、
受けでは黙しているが故の表現を見せており対照的です。
ここにタッグとしての控え攻撃、凶器攻撃が加わり、
97年のベスト・タッグになっている。
アジャ、京子も同時サブミッションや連続ダイブなど
全体の構成を考えてスポットを配置。
アジャがバルコニーから落とされそうになるシーンからの終盤は
消火器、椅子、テーブル、毒霧とリングに入り混じり、
本格的にハードコアな攻防に入ってきましたね。
いつも相手の反撃を潰すアジャが劣勢状態を抜け出せないことに
実に納得感のある程LCOの戦略は行き届いていました。
最後がちょっと混迷しているものの
綺麗すぎる試合にならなかったのでこれもありか。
ぎりぎり名勝負。
(執筆日:1/?/15)
BGP公式戦:豊田真奈美vs.伊藤薫(8/9/97)
スピードに乗って技を置きながらも
上手く仕切ってクール・ダウンしています。
いつもの全女の試合運びではなく
全体の構成から抑制を利かせており
綺麗な段階を踏んで試合を高めていきました。
両者が常に同じステップになるように意識した綺麗な交流でしたね。
終盤はロング・マッチ故の消耗と
伊藤の場外ダウン相手へのダイビング・ダブル・ストンプなどといったえぐい攻めで
単なる公式戦に終わらない、ちょっとしたドラマ性を生み出している。
文句なしに好勝負。
(執筆日:1/?/15)
Cアジャ・コングvs.豊田真奈美(8/20/97)
アジャの全女卒業試合。
開始直後、アジャが豊田を引き寄せ不意打ちジャーマン。
これで主導権を握り重いサブミッション攻め。
豊田の場外の仕掛けも跳ね除け、観客席にぶつけます。
豊田が一斗缶を持ってきて使わずに捨て、
ナックル・ロックでヘッド・バットを決めれば
アジャがやり返して一斗缶を投げつけ、トぺも決めて、と
一つ一つ全女最後の試合として刻み付けるように
見せ場を作っていきますね。
卒業試合らしいメモラブルな内容になっています。
豊田の場外ミサイル・キック、
テーブルにのせてスプリングボード式コンヒーロを経て終盤戦。
何度も手を合わせてきた両者だからこそ
それぞれの技を最高に引き立てた攻防。
メモラブル・マッチとしての感傷が制限要素として
働いている部分もありますが、この数え歌は最後まで外れなし。
文句なしに好勝負。
(執筆日:5/?/20)
Dタッグ王座戦、ケージ・マッチ:下田美馬、三田英津子(ch)vs.伊藤薫、渡辺智美(9/21/97)
タッグ・ルールを守るわけもなく
試合が始まるなりLCOがトルネード式に襲いかかります。
LCOがゆったりとした底上げなんてする訳もなく
いきなり椅子を連打しケージにぶつける。
渡辺が負傷しプロテクターをつけている肩を狙ったりしながら
女の殺気に溢れた遺恨戦を表現しました。
アクションに乏しく地味なのが玉に傷ですが
緩急をつけるために意図的に抑えていたようです。
伊藤らが反撃すると同時に脱出要素も加えて急加速。
雪崩式ジャーマンに鎖で引っ張り入れたラダー攻撃と
体を壊しそうな攻防を繰り広げます。
渡辺が脱出し1対2になりますが攻防の質を落とすことなく
トップ・ロープ上からのエレクトリック・チェアーなど
危険技を繰り出し、流血を重ねて最後までやりきりました。
ケージ天辺からダブル・ストンプを決めた後、伊藤が脱出してフィニッシュ。
ぎりぎり名勝負。
(執筆日:1/?/15)
注目試合の詳細
なし試合結果
@タッグ王座戦、3本勝負:前川久美子、渡辺智美(ch)vs.下田美馬、三田英津子(新チャンピオン!)(2-1)(6/18/97)A下田美馬、三田英津子vs.井上京子、アジャ・コング(8/9/97)
BGP公式戦:豊田真奈美vs.伊藤薫(8/9/97)
Cアジャ・コングvs.豊田真奈美(30分時間切れ)(8/20/97)
Dタッグ王座戦、ケージ・マッチ:下田美馬、三田英津子(ch)vs.伊藤薫、渡辺智美(9/21/97)