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アメプロ大賞2023投票F:小泉"ダーティ"次郎


■MVP
1位:ブライアン・ダニエルソン
2位:ウィル・オスプレイ
3位:イルヤ・ドラグノフ

 MVP。
 それはプロレスの本質の最高の理解者であるべきです。
 その点ではブライアン・ダニエルソンとウィル・オスプレイの2人こそが
 他を圧倒してその本質の中心地にいました。

 プロレス史に残る名レスラーである2人が最高の一年を過ごしましたね。 

 この2人と戦えば対戦相手はキャリア・ベストを叩きだせる確変状態で、
 その上でしっかりと年間最高試合も独占しました。

 甲乙つけ難いので、これは集計結果に頼るしかありません。
 2023年の名勝負リストからブライアン・ダニエルソンは名勝負5試合、好勝負15試合。
 同じくウィル・オスプレイは名勝負6試合、好勝負11試合ですが、
 その内の名勝負3試合、好勝負6試合は日本の団体。 

 ということでアメプロ大賞で言えばブライアン・ダニエルソンを1位に。
 
 2位に回したウィル・オスプレイですが、アメリカ以外にヨーロッパでの活動も印象的でした。
 各団体の逸材を引き上げる最高の仕事で、
 ヨーロッパ・マットの今後の成長につながるタネをまきました。

 この2人が圧倒的過ぎる印象の為に
 他は敢闘賞の方でイメージしてしまうので3位は非常に難しいですね。
 それでも上げるとすると外れのなかったイルヤ・ドラグノフでしょうか。
 独自のプロレス観を今年も貫き通しました。


■年間最高試合
1位:AEW世界王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:MJF(ch)vs.ブライアン・ダニエルソン(AEW Revolution 3/5/23)
2位:IWGP USヘビー級王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.ウィル・オスプレイ(AEW Forbidden Door 6/25/23)
3位:ブライアン・ダニエルソンvs.ザック・セイバーJr.(AEW WrestleDream 10/1/23)

 年間最高試合を考える上で出てきた候補が全てAEW。
 少しごたついた印象がありましたが、
 名レスラーが試合に没入できる最高の環境があるのは変わりありません。

 60分アイアン・マン・マッチ、オメガvs.オスプレイの現代プロレスの極地、
 タッグの教科書にのるべき1時間マッチ、最高のレスリング・クリニック、強烈に惹きつけるテキサス・デス・マッチ。
 5試合とも全て違うジャンルなのでここから3試合を選ぶというのは難し過ぎますが、
 他の年も含めて比類なきものという要素も加えて選考。

 
■最優秀タッグ
1位:FTR
2位:ケヴィン・オーウェンス、サミ・ゼイン
3位:MJF、アダム・コール

 FTRは今年も世界最高のタッグでしたね。
 「今年も」という意味では往年のヤング・バックスのように
 そのレベルに慣れて驚きを感じなくなっています。
 その点ではオーウェンス、サミは2023年の顔であり、
 逆転させるべきか悩みましたが、それでも尚圧倒的なタッグの完成度の前にひれ伏した次第です。

 3位はMJF、アダム・コール。
 人間関係を色濃くストーリーにも試合ぶりにも反映させていて深みがありました。
 このタッグはもっと観たかったですね。
 

■敢闘賞
1位:ロッキー・ロメロ
2位:エル・イホ・デル・ヴィキンゴ
3位:ブライアン・キース

 この賞は例年よりもかなり難しかったですね。
 
 充実の一年を過ごしたレスラーが多すぎます。

 その中で3名に絞るとしたら
 その活躍が自身だけに留まらず、団体やシーンに影響を与えるレベルだったかが指標になるでしょう。

 その点で1位にはロッキー・ロメロを。
 キャリア最高の輝きを見せ、
 後述のCMLL復興に一役買いました。
 ルチャ・リブレは他にない魅力があるだけに
 再び注目できるということは喜びです。
 
 2位はエル・イホ・デル・ヴィキンゴ。
 2023年のインディー・シーンで起きたルチャ旋風。
 それはグリンゴ・ロコらの健闘あってこそですが、
 そのきっかけはヴィキンゴの精力的な他団体活動にあったと思います。
 AAAのメガ・スターがこんなにメキシコ外で試合をしてくれるとは2022年の時には思いませんでしたね。

 3位はブライアン・キースを。
 WWE、AEWが非常に多くのレスラーを抱えることになって、
 良くも悪くもインディー色のあるレスラーが少なくなっていますが、
 その中でキースは様々なインディー団体に上がりながら実力を磨き、見せつけた一年でした。
 ベイリーとの数え歌も素晴らしかったですね。
 
 次点としてはダミアン・プリーストとリッキー・スタークス、アレックス・シェリー。
 プリーストは非常に良い仕事を積み重ねましたが、
 その中でも素人のバッド・バニーとの好勝負には驚きましたね。
 MITBという値する対価も得て2024年どのように行使するかも注目です。

 リッキー・スタークスはMVPブライアンが相手だったことを差し引いても
 歴史的なストラップ・マッチが素晴らしかった。
 彼にしかないスター性があり、今後の成長が期待されます。

 シェリーはセイビンと同じくキャリア終盤なはずなのに
 キャリア・ベストではないかという充実ぶり。
 各種インディー団体の王者を務めつつ、
 その充実ぶりそのままにImpact王座も巻きました。
 シングル・レスラーとしても魅力はありましたが、
 ここまでの活躍を見せるとは思わなかったですね。


■最優秀女性レスラー
1位:アセナ
2位:リア・リプリー
3位:高瀬みゆき

 AEW Dark?と錯覚しそうになる時もあるROHですが、
 ROHを観るべき強烈な理由になっているのが絶対王者アセナ。
 キャリア最高峰のコンディションを見せていて外れの試合はなかったですね。
 2024年はROH内外で様々な強豪との対決が見れることを願っています。

 2位はリプリー。
 WMでのシャーロットとの激闘は印象的です。
 個人としての活躍もさることながら、
 ジャッジメント・デイという軍団の魅力も押し上げているのはポイント高いですね。

 3位は高瀬みゆき。
 アメリカの感性にドはまりするストレートな魅力。
 アメリカ・マットで輝くその姿を見るのは最高に楽しい。
 初の海外王座を巻くに至ったさくらえみとの数え歌も素晴らしかったです。
  

■個人的イチオシで大賞
1位:ザッカリー・ウェンツ
2位:ロウ・キー
3位:アクセル・ティッチャー

 1位はザッカリー・ウェンツ。
 年始に竹下相手に素晴らしい試合を繰り広げましたが、
 ここで選出したのはクーガー相手に開花したデス・マッチ・ファイター資質。
 小さな体でタフに頑張っているというのを通り越して陰鬱な色気を醸しており、
 そこが何よりも魅力的です。
 無理ない程度にタイミングで今後も是非デス・マッチも見せて欲しい所です。

 2位に敢えてのロウ・キー。
 一世を風靡してから20年経過。
 ここ5年は昔の尖った感じはなくなったね、というのが定評でしたが、
 44歳になったこのタイミングで昔のような切れ味が戻ってきている感があります。
 もしかしたら、と期待させる存在に戻りつつあるので、
 2024年も面白そうなカードを是非組んで欲しいですね。

 3位はアクセル・ティッチャー。
 WWEが通り過ぎた後のヨーロッパ・マットは寂しい状況が否めませんが、
 その中でドイツ・マットの守り手は彼でしょう。
 キャリアの中でも非常に充実したコンディションにあり、
 後述のティハーニのように新たなレスラーを開花させる役割に期待です。
  

■新人賞
1位:ピーター・ティハーニ
2位:ドミニク・ミステリオ
3位:レオン・スレーター

 1位はピーター・ティハーニ。
 若さの中に垣間見えるセンスの良さ。
 ダニエル・ガルシアと被る所がありました。
 アクセル・ティッチャーとのキャリア・マッチを経て、
 2024年はドイツ以外のレスラーとも是非絡む所を見てみたい。

 2位はドミニク・ミステリオ。
 二世レスラーとして恵まれた機会を与えられてきたイメージですが
 ヒールとして良いキャラを出してきてJDの存在感に一役買っています。
 26歳ですが一般的なルチャドールと違ってキャリアはまだ3年目。
 この賞にふさわしいといえるでしょう。
 
 3位はイギリスからレオン・スレーター。
 ニック・ウェインと同じく期待の10代レスラーですね。
 1位のピーターと共にヨーロッパ・マットを盛り上げてほしいですね。


■最優秀興行
1位:WWE WrestleMania 39 Saturday 4/1/23
2位:AEW Revolution 3/5/23
3位:ROH Supercard of Honor 3/31/23

 1位はWM。
 2日制ながら豪華さを感じるラインナップで
 試合内容もストーリー・テリングを終結させつつクオリティ抜群。
 久しぶりに文句のつけようのない内容だったと思います。

 2位はAEWから。
 充実の興行は幾つもありましたが、
 AEWらしい濃密な名勝負を3試合も堪能できたこれを。
 名勝負→箸休め→名勝負なんていう、
 ある意味歪な構成が出来るのはAEWだけ。

 3位はROH。
 AEWの下部団体みたいなイメージもある中で
 この興行は往年のROHらしい充実の内容でした。
 こういう興行を定期的に行ってくれるとROHの存在意義があるというものです。
 

■最優秀団体
1位:AEW
2位:WWE
3位:DPW

 メジャー団体強しの印象の1年でした。
 その中でAEWを1位に。
 メンバーが増える中で団体として運営に苦慮した印象も残りましたが、
 MVPや年間最高試合、最優秀タッグをAEWから選出したように
 レスラーが最高の仕事をできる環境であるという1点に関しては間違いのない信頼感があります。

 2位としてはWWE。
 AEW以上に多くのレスラーを抱える訳ですが、
 その中で満点ではなくても上手く回している印象があり流石の一言。
 積み重ねてきたノウハウが物を言いましたね。
 
 この流れで3位はImpact Wrestlingと言いたい所…
 AEW、WWEと比べてネガティブな印象が全くないですからね。
 その点で見れば上位に選んでもおかしくないですが、
 ここは印象論で後ろに回して敢えてDPWを。
 
 DPWは今米インディーで一番ワクワクしながら追っかけている団体なので。
 ビッグ・ネームであるMCMGやさくらえみが王者になりつつ、
 トップ王座はDPWオリジナルのレスラーで回せている理想の状況です。
 来年も非常に楽しみです。

 次点としてはCMLLですね。
 ここ数年はソベラーノという注目すべきルチャドールこそいたものの
 観るべき試合は少なく寂しい印象でした。
 それが今年は見応えのある試合を連発。
 名勝負・好勝負数が16試合も生まれましたが、
 2019年〜2022年の合計が14試合ですからね。
 嬉しい驚きでした。


■頑張りま賞
1位:チャーリー・デンプシー
2位:CMパンク
3位:チャド・ゲイブル

 1位はWWEからデンプシー。
 2世レスラーというと何かと機会に恵まれる立ち位置ですが、
 いまいち表に出そうで出て来ませんね。
 アキシオムとの数え歌もあったんですが…。
 それでも年末に舞い込んできたまさかの全日参戦というサプライズ。
 そこへの期待感も含めて1位としました。

 2位はお騒がせパンク。
 スター性、見せ方は健在ですが、
 元々弱い体力面が年齢もあって一層の不安あり。
 それでもトップ・ストーリーに打ち出されるのは必然。
 何とか予想を裏切って試合面でも魅せて欲しいものです。
 
 3位はチャド・ゲイブル。
 ギュンターとの数え歌は最高でしたが、
 3戦目で特殊形式が組まれるということもなく、
 そしてギュンターが名勝負製造機過ぎて
 他の防衛ロードの中に最終的に埋もれてしまった印象。
 日の目を浴びる最大のチャンスを逃した感がありますが、
 2024年に何とかIC王座を奪還できたりしないものか。


◆抗争
1位:ローマン・レインズvs.サミ・ゼイン
2位:カルメロ・ヘイズvs.イルヤ・ドラグノフ
3位:ビリー・スタークスvs.アセナ

 1位は言わずもがな大きなムーブメントを起こしたレインズvs.サミ。
 オーウェンス、ウーソーズ交えた前後譚含めて最高で、
 最優秀興行に挙げたWM1日目の成功にも寄与しました。

 2位はNXTを代表する数え歌。
 イルヤの精力的なファイトは毎度目を見張りますし、
 カルメロも優れた資質を見せてSD昇格への足掛かりとしました。

 3位はROHから。
 ROHの象徴となったアセナに対して
 しっかり時間をかけたストーリー・ラインで人気者のビリーを当て、
 年末の大一番も成功させました。