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Wrestling Heart:Match of the Year 50's part1の分析


名勝負 NWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(NWA 1/25/52)
好勝負 NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.サイクロン・アナヤ(NWA 3/31/50)

NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(NWA 1/26/51)

パット・オコーナーvs.ボブ・オートンSr.(NWA 1/16/53)

1950年
@NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.サイクロン・アナヤ(NWA 3/31/50)
 接触した瞬間高速で両者動いて
 ポジションを探り、サブミッションを狙いに行く。
 力道山vs.テーズ(10/7/57)と同じく早送りしているかのような攻防です。
 ロック・アップした直後の緊張感が当時ならではですね。
 上質のレスリングをした後テーズ・プレスで一気に決着。
 2本目はスナップ・メア連発からのアナヤがアナヤーズ・コブラ・ツイストを決め追いつきます。
 素晴らしいレスリングが出来るだけに
 レスリングからの展開がやや短く、そっけない印象もありますね。
 3本目は引き続きレスリングが見られますが、
 リアルな対戦相手へのアピールに注目。
 コブラ・ツイストを狙ったところで両者転落し、
 アナヤが膝を抜くアクシデントがありましたが、
 それにしたってテーズが転落の際に
 自分が負傷しないようにしたたかさを見せていましたから
 リアルな戦いの優劣の帰結とも見て取れます。
 そしてアクシデントにも対応し綺麗に締めました。
 アメリカ版猪木vs.藤波。
 堪能させていただきました。
 ぎりぎり好勝負です。
 (執筆日:3/4/12)


1951年
ANWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(NWA 1/26/51)
 当時の黄金カード。
 ロジャースは仕切りながら打撃で煽ります。
 一方でテーズは基本技のヘッド・ロックで締め上げていく。
 プロレスのレスリングとアマレスのレスリングの対決ですね。
 ロジャースは観客を直接見ていないのに
 見事にタイミングを掴んだ動かしで観客の焦燥感を高めて行きます。
 また引っこ抜くように決める印象的な首投げを使っていて
 アマレスの技術に関してもトップと渡り合うのに引けを取らないだけのものがあることを感じさせます。
 そんなロジャース相手とあってテーズも全開の動き。
 テーズ・プレス、ドロップ・トー・ホールドの鋭さは目を見張るものがあります。
 そして最後はエアプレイン・スピン。
 現代で使えば笑いが起きることも多々ある技ですが
 フィニッシュ技として説得力ある回転速度です。
 2本目はロジャースがフライング・ヘッド・シザースで盛り上げ。
 その後グラウンドからロープ・ワークと王道の試合進行。
 カウンターのドロップ・キックからパイル・ドライバーを決め1-1に追いつきます。
 3本目もロジャースがテーズをターン・バックルに後頭部からぶつける、という
 ラフ殺法に出て試合開始直後からすぐに観客をつかみます。
 尤も3本目はお互いの技もなくなってきて決め手に欠けるところはありましたね。
 テーズの温存していたバック・ドロップを使えば
 もう少し見せ方があったように思いますけれど・・・。
 3本目で停滞したものの黄金カードにふさわしい内容でした。
 文句なしに好勝負。
 (執筆日:3/4/12)


1952年
BNWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(NWA 1/25/52)
 テクニシャン対決。
 フェイス対決は淡泊になりがちな中で
 テーズが最高のストーリー・テリングを見せてくれましたね。

 自分の領域であるレスリングで
 ガニアが思わぬ奮闘を見せたことで
 テーズは冷静さを失うと共に、
 その勢いに押され弱々しい姿も見せます。
 
 最強のテーズのこの表現も素晴らしかったし、
 それをさせるだけのものがガニアにありました。
 単なる仕掛け、見せ方だけではこの説得力は出せませんね。
 ガニアのベーシック・スキルがテーズに比類するレベルだからこそ。

 テーズが見事なバック・ドロップで一発逆転し1本。

 2本目はガニアが打撃モード解禁。
 ガニアのアスリートしての熱量に
 テーズは今度はスカして見せたり、
 ロープに押し込んで裏技でレフェリーに見えないよう
 バック・エルボーを叩き込んで場外に落とします。

 キャリア差も構図に組み込んだアクセント。
 心理戦、試合構成、ストーリー性が
 当年代の試合の中で桁違いに豊かですね。

 これに対してガニアは翻弄されるばかりではなく
 ならばと対抗して裏技を放ち、
 ローリング・クレイドル等美しい技の協奏。

 技のどれもが一撃必殺レベルの見せ方になっていて圧倒されます。
 ガニアがパワー・スラムからスリーパーで追いつきます。

 3本目。
 お互い慎重に間合いを取りつつ最後の攻防へ。
 ガニアがロープ際でヘッド・ロックをかけると
 中央に引きずりよせスリーパー。
 これはこの試合の中でも屈指の名場面でしたね。

 新王者誕生の予感を感じさせつつ最後まで盛り上げきりました。

 オールド・スクールながら
 全く退屈しない60分間でした。

 文句なしに名勝負。
 (執筆日:5/?/20)


1953年
Cパット・オコーナーvs.ボブ・オートンSr.(NWA 1/16/53)
 オートンがえぐい打撃を顔にコンスタントに打ち込んでいきます。
 オコーナーがふらふらな状態からこちらも負けず劣らずの鉄拳で盛り上げます。
 ラフ・ファイトを序盤に持ってくるのはユニークですし、
 そのインテンシティーは特筆すべきものがありましたね。
 続いて未遂とはいえ10カウント・パンチや
 背を通して一回転させてから倒したりとオコーナーの華やかなスポット。
 同時に悠然と対して大物の雰囲気を漂わせます。
 これに対しオートンは序盤とは打って変わり小物化。
 せこく打撃を打ったり、ロープの外に半身を出して外します。
 リアルに走って逃げ、リアルな技術で転がしながらも
 立合いの様式はプロレスという50年代ならではの戦いが繰り広げられ、
 最後は場外転落から疲労感を漂わせながら最後のムーブへ。
 このオコーナー・ロールが綺麗に決まらなかったのが惜しまれますが、
 50年代らしからぬ幅広い色合いの攻防が1つの試合に入っている素晴らしい試合でした。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:3/4/12)


1954年
なし

注目試合の詳細

@NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.サイクロン・アナヤ(3/31/50)
  アナヤは身軽さを生かしてテーズとグラウンドで対抗していく。
  アーム・ロックを狙ったテーズにボディ・スラム。
  クリーンにロープ・ブレイクし合う。
  アナヤはレッグ・ロックをヘッド・ロックに返す。
  アナヤのスピードにテーズもついていく。
  今度はテーズが同じようにヘッド・ロックを決めていく。
  嫌ったアナヤがロープに振る。
  それを待っていたテーズはテーズ・プレスを決め1,2,3!
  アナヤが股裂きから先手を取り
  そしてアヤナーズ・コブラ・ツイストを狙うもロープに逃げられる!
  テーズがヘッド・ロックを決める。
  アナヤはロープに振りパワー・スラム。カバーするもカウント2。
  スナップ・メアを連続で決め合う。
  アナヤがアナヤーズ・コブラ・ツイストに切り返しギブ・アップを奪う!
  これで1対1!
  いきなりアヤナーズ・コブラ・ツイストを狙い牽制する。
  また右腕を取って投げ挑発する。
  テーズも顔面を蹴りつけ応じる。
  アヤナは体重差から攻めあぐねている。
  テーズは蟹挟みからレッグ・ロック。
  アヤナは逃れるとアヤナーズ・コブラ・ツイストを狙う!
  テーズはロープに押し込む。
  勢いあまって両者転落。
  アヤナは脚を怪我してしまう。
  テーズはその脚を取ろうとする。
  アヤナも蹴り飛ばして防いでいく。
  テーズはドロップ・キックを決めるとハーフ・ボストン・クラブでギブ・アップを奪う!
  テーズの勝利!
  テーズはアヤナに肩を貸し健闘を称える。


ANWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(1/26/51)
  テーズがまず腕を取る。
  ロジャースが脚を取る。
  腕取りに返されたロジャースはボディ・スラムを決める。
  仕切り直し。
  ロジャースがコーナーに押し込みロープ・ブレイク時に殴りつける。
  ストラットを間で見せる。
  テーズがヘッド・ロックに捕らえる。
  ロープに振られたところでテーズ・プレス。カウント2。
  ボディ・シザースに捕らえる。
  ロジャースは何とかロープを悪用して逃れる。
  ヘッド・ロックを食らったロジャースはテーズをロープに振る。
  テーズ・プレスに来たところをパワー・スラム。
  ボディ・プレスでカバーするもテーズの脚がロープにかかっている。
  執拗なヘッド・ロックでテーズを弱らせる。
  ロープに振られたところでショルダー・タックル。
  テーズはもう1回振ってドロップ・トー・ホールドから蟹バサミ。
  ロジャースはヘッド・ロックで無理矢理逃れる。
  ロジャースはロープ・ブレイク時に突き飛ばしストラット。
  ヘッド・ロックを決められたテーズはロジャースをロープに振る。
  テーズはリープ・フロッグでかわしクロス・チョップ。
  カバーするもカウント1。
  ロジャースがレフェリーの目を盗んだ卑怯な攻めで挽回していく。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  ヘッド・ロックを決められたテーズはロープに振ってエアプレイン・スピンからカバーで1,2,3!
  テーズが先取!
  テーズがショルダー・タックル連発へ。
  ロジャースは2発目をフライング・ヘッド・シザースに返す。
  執拗にヘッド・シザースで捕らえていく。
  狙いを変えキー・ロックを決める。
  逃れたテーズはヘッド・ロックに捕らえる。
  ロジャースはロープに振る。
  ショルダー・タックルを食らうもドロップ・キックを決めパイル・ドライバーで1,2,3!
  1対1のタイとなる!
  ロジャースはテーズの頭部をコーナーに投げつけていく。
  テーズがボディ・スラムを決めるも頭が痛む様子で攻撃が続かない。
  一方ロジャースはストラットを見せ付けたりと余裕を見せる。
  ラフ・ファイトになる。
  テーズがボディ・スラムからカバー。
  ロジャースはすぐに返しアッパーカート。
  ボディ・スラムを決める。
  カバーしようとした所でテーズはハンマー・ロックに切り返す。
  ロジャースはエルボーで逃れると投げ飛ばしショルダー・タックル連発へ。
  しかし避けられコーナーに激突。
  テーズがカバーするも返される。
  テーズはロジャースの腕をコーナーに叩きつける。
  ヘッド・ロックをかけられたロジャースはロープに振る。
  テーズはショルダー・タックル。
  もう1発ショルダー・タックルを決めるとその勢いで両者転落。
  両者戻ってクライマックスへ。
  ロジャースがドロップ・キックにボディ・スラム。
  テーズはカバーしに来たロジャースを蹴り飛ばしボディ・スラム。
  もう1発狙う。
  ロジャースはクロス・ボディに返す。カウント1。
  クルック・ヘッド・シザースでロジャースを追い詰める。
  ロジャースがパワー・ボムをリバース・スープレックスに返す。
  テーズはブリッジで起き上がりニー・リフト。
  再びヘッド・ロックへ。
  ロジャースも同じくヘッド・ロック。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  もう1発狙うもテーズが返そうとしている所を見て止めストラット。
  テーズはキー・ロックで苦しめる。
  ロジャースも逃れてヘッド・ロック。
  テーズがバック・ドロップに切り返す!
  低かったかカバーするもカウント3を奪えない!
  テーズはヘッド・ロックを決めロープに振らせる。
  そしてテーズ・プレス!しかしカウントは2!
  ショルダー・タックルで相打ち。
  テーズがカバーするもロープ・ブレイク。
  ふらふらのロジャースにエルボー・スマッシュ。
  脚を痛めたロジャースを見てテーズが脚を取るも60分時間切れで引き分け!


Bハンス・シュミットvs.バーン・ガニア(6/27/52)
  ガニアが荒々しい攻めで先手を取る。
  シュミットがニーを叩き込み投げ飛ばす。
  殴り合いからガニアがスリーパー!
  シュミットはすぐロープを掴んで逃れる。
  シュミットが張り手で挑発する。
  ガニアはひるまずショルダー・タックルへ。
  シュミットは2発目をドロップ・トー・ホールドに返し脚を取る。
  ガニアが素早い動きを見せシュミットの脚を取る。
  しかしシュミットは髪や顔を掴んで逃れると
  コーナーに投げつけ前腕をたたきつける。
  シュミットはバック・ブリーカーと見せかけボディ・スラム。
  場外に落とし待ち受ける。
  ガニアは戻って着るやショルダー・ブロックを連発し、場外に落としてお返し。
  シュミットはコーナーに叩きつけていきスナップ・メア連発からカバー。カウント2。
  ガニアがボディ・スラムにニー・リフトからカバー。カウント2。
  シュミットは力を生かして反撃。
  お互いロープで勢いをつけ走り合うもシュミットは途中で止めガニアのペースにさせない。
  ガニアがフルネルソンに捕らえるも 
  シュミットは投げ飛ばしスナップ・メア連発。
  ガニアがスリーパーに切り返す!
  しかしシュミットはロープに逃げ場外に出る。
  シュミットがフルネルソンからのボディ・シザースでペースを落とす。
  ガニアが腕を攻めチキンウィング・フェイスロック。
  シュミットは抱え上げるとコーナーに叩きつけボディ・スラム。
  そしてバック・ブリーカーへ!
  ガニアは後ろに逃れスリーパー!
  シュミットはどうすることもできず
  レフェリー・ストップでガニアの勝利!

試合結果

@NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.サイクロン・アナヤ(2-1)(NWA 3/31/50)
ANWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(1-1)(60分時間切れ)(NWA 1/26/51)
BNWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(1-1)(60分時間切れ)(NWA 1/25/52)
Cパット・オコーナーvs.ボブ・オートンSr.(NWA 1/16/53)