TOPコラム他 →東京スポーツ新聞社:Match of the Year 00's Part1

東京スポーツ新聞社:Match of the Year 00's Part1の分析


名勝負 GHC王座戦:小橋建太(ch)vs.秋山準(Noah 7/10/04)

GHC 王座戦:三沢光晴(ch)vs.小橋建太(Noah 3/1/03)
好勝負 佐々木健介vs.川田利明(新日本プロレス 10/9/00)


IWGP王座戦:永田裕志(ch)vs.高山善廣(新日本プロレス 5/2/02)

2000年
@佐々木健介vs.川田利明(新日本プロレス 10/9/00)
 新日本vs.全日本。
 相手の意図に抵抗するレスリングで対抗戦として順調な滑り出しを見せます。
 とはいえまだ試合が動くのは先だろうと腰を据えていたところで健介がグー・パンチを繰り出します。
 対抗戦の雰囲気を刺激する暴挙に出て、
 一方の川田も彼らしくその後すぐにマウント・パンチでやり返します。
 その後も退かずに意地の張り合い。
 その戦いに満足した上で技を決めるという流れになっていて
 試合にしても、両者の魅力の織り交ぜにしても結構バランスが良かったですね。
 終盤はこの手の試合のお約束、もとい健介のお約束で
 ラリアット合戦による耐えあいとなっていて予想内に収まってしまったもののぎりぎり好勝負です。
 (執筆日:3/4/12)


2001年
AIWGP王座戦:藤田和之(ch)vs.永田裕志(新日本プロレス 6/6/01)
 当時の新日らしくMMAを意識したファイト・スタイルなのですが
 これより良いものをUWF、RINGSは量産してきました。
 それに比べこの試合が勝っていることといったら
 それを行なう彼らの体がヘビー級に属する大きさだということだけです。
 ボクシングなど階級が決められているように
 体が大きい、体重が重いほど強いという単純な式は間違いではありませんから
 彼らの体が大きいということは確かに1つの魅力ではあります。
 いやはや、とはいっても
 仕切りながら構成した後、
 仕掛ければ100%決まる浅い攻防で、
 また仕掛けた後で、受けて側が特に発展的対応を見せないのだからどうしようもない。
 普通に良い試合です。
 しかしここから何を上乗せして一線を越えて行くか。
 まったく出来ていません。
 こんなのをMOTYにしていてはプロレスの発展的可能性を全否定するようなものです。
 まあまあ良い試合程度。
 (執筆日:3/4/12)


2002年
BIWGP王座戦:永田裕志(ch)vs.高山善廣(新日本プロレス 5/2/02)
 しっかり相手の技に受けつつも明確なダメージ値は見えません。
 MMA的な観念で、徐々にダメージを蓄積させていきます。
 高山のハイ・キックに対し永田がいきなりKO寸前になったのは
 MMA的とはいえ唐突すぎるきらいはあります。
 また今では永田と蹴りがセットでイメージされていますしね。
 高山の腕狙い、永田の脚狙いを一極攻めと呼ぶほどではないレベルで加え、
 世界観の維持とボリュームの増量の両立を図っている。
 永田の見得は今と比べると完成度が劣るし、
 最後の殴り合いもオリジナルと呼べるほど象徴的ではなかった。
 他の試合を抑えてMOTYと呼ぶには弱いが
 当時の新日の中では絶対的な欠点がなく良質。
 ぎりぎり好勝負です。
 (執筆日:3/24/12) 


2003年
CGHC 王座戦:三沢光晴(ch)vs.小橋建太(Noah 3/1/03)
 3年ぶりの黄金カード。
 三沢にそろそろ衰えが見える中にもかかわらず
 予想を裏切って往年以上に過激度な方向へと走り
 序盤から必殺技を狙うし
 かつては腕攻めにつなげたエプロンから柵への自爆スポットの後には
 場外でのハーフネルソン・スープレックスを打ちます。
 更に終盤には花道から場外へのタイガー・スープレックスなんて技も出る。
 これまで以上にリアルなダメージに頼っているものの
 その結果としてこらまでの小橋vs.三沢の精練された正の鏡合わせではなく
 ドロドロとした負の感情の奔流のぶつかり合い、という
 四天王プロレスの原点に回帰しました。
 そして間違いなくこの試合は四天王プロレスの中でも
 最も壮絶な試合という名を冠するに値するのです。
 1/20/97には敵わずとも歴史的な名勝負です。
 (執筆日:12/20/07)


2004年
DGHC王座戦:小橋建太(ch)vs.秋山準(Noah 7/10/04)
 小橋が断崖式ブレーン・バスターをかけて吐血した事がクローズ・アップされますがそれは重要じゃない。
 1つに時間配分を含めた試合構築が絶妙です。
 場外に出そうとする秋山に対し、小橋が応じず
 まず10分間はリングで静かに相手への意識を迸らせま火薬を蓄積します。
 10分経過後えぐい打撃のスポットからエプロン技で秋山が主導を握り15分辺りまで。
 そこから小橋が執拗なヘッド・ロックという地味に効果を発するシーンを上手く滑り込ませてくる。
 そして20分経過時に上記断崖式ブレーン・バスターで四天王プロレスが爆発。
 25分経過時に秋山が断崖式をやり返して35分まで壮絶な死闘を繰り広げます。
 まったく勢いに頼らず生のリズムで人間の限界にまで挑みました。
 2つに秋山。
 四天王に彼を含めて五強と言われていたんだけれども彼は決して五天王になれなかった。
 それは他にバック・ボーンを含めた四天王の強烈な関係性に依る所が大きい。 
 しかし五天王になれなかった、という劣等感(彼が感じてようと感じていまいと)が
 時間を経て蓄積し小橋への偏愛と結びついた事で
 この試合の瞬間だけ、彼は五天王の一人になれたんですね。
 こうなると四天王プロレスの意味合いが出てくる訳で文句を言えない。
 秋山が追い込み側で、そこから気合で投げの打ち合い、小橋がフルコースという
 クライマックスは偏愛の表現としてもっと個人的で歪であるべきでした。
 只この唯一惜しまれる点もメジャー団体としてはこう締めるしか無かったかな、とも思います。
 歴史的な名勝負です。
 (執筆日:7/4/09)

注目試合の詳細

CGHC 王座戦:三沢光晴(ch)vs.小橋建太(3/1/03)
  小橋がショルダー・タックル。
  小橋がチョップを打てば三沢もエルボー。
  小橋が不意をついてバック・ドロップへ。
  三沢がクロス・ボディに返す。
  仕切り直し。
  レスリングの攻防。
  小橋がハーフネルソン・スープレックスを狙う。
  三沢は防ぐとレスリングの攻防からバック・ドロップ・ドライバー。
  場外に逃れた小橋にダイビング・エルボー。
  続けてウルトラ・タイガー・ドロップ。
  リングに戻しミサイル・キックにフロッグ・スプラッシュ。カウント2。
  腕を攻める。
  フライング・ショルダー・タックルを狙った小橋にエルボー。
  再び腕を攻める。
  小橋のハーフネルソン・スープレックスを防ぐと
  ドロップ・キックで落としフェイク・ダイブからフライング・エルボーへ。  
  しかし避けられ柵に激突し口から出血。
  小橋は場外でのハーフネルソン・スープレックスを決める。
  三沢を痛めつけていく。
  フェイス・ロックからカバー。カウント2。
  花道に移動しDDT。
  リングに戻り三沢が振り返し飛びかかる。
  小橋はスタンガンに返すとハーフネルソン・スープレックス連発からフルネルソン。
  三沢がロープに脚をかける。
  小橋が三沢の後頭部にチョップを打ち下ろしていく。
  三沢は耐えると立ち上がりエルボーを打ち返す。
  小橋は流れを変えさせまいとバック・ドロップを決めカバー。カウント2。
  もう1発狙う。
  三沢は防ぐとジャーマン。
  立ち上がってくる小橋にタイガー・スープレックス。
  まだ立ち上がる小橋にローリング・エルボー。
  小橋もローリング・チョップ。
  三沢がローリング・エルボーを決め両者ダウン。
  先に立ち上がった三沢がハーフネルソン・スープレックスを狙う。
  抵抗を受けタイガー・ドライバーを狙う。
  耐える小橋を痛めつけタイガー・ドライバー。カウント2。
  タイガー・スープレックス85もカウントは2。
  粘る小橋にエメラルド・フロージョンを狙う。
  小橋は防ぐとハーフネルソン・スープレックス。
  立ち上がる三沢にスリーパー・スープレックス。
  三沢がコーナーを使ってバック・エルボーを狙う。
  小橋がカウンターで延髄ラリアット。
  カバーするもカウント2。
  三沢が突進する小橋にエルボー。
  小橋はゆらぐもショート・レンジ・ラリアット。
  カバーするもカウントは2。
  垂直落下式ブレーン・バスターを狙う。
  三沢はエプロンに着地し背後に回ると花道へのブレーン・バスター。
  更に花道へのエルボー・スイシーダ。
  花道でのタイガー・ドライバーを狙う。
  防がれるも花道から場外へのタイガー・スープレックス。
  場外カウントが進んでいく。
  両者カウント19で戻ってくる。
  三沢が小橋を攻め立てエメラルド・フロージョンもカウント3ならず。
  タイガー・ドライバー91を狙う。
  小橋は耐えリバース・スープレックスに返す。
  ラリアットで相打ち。
  両者ふらふらになりながら第2撃を狙う。
  小橋のラリアットが押し切る。
  小橋が垂直落下式ブレーン・バスターを決めるもカウント2。
  ならばとバーニング・ハンマーを決め1,2,3!
  小橋が新チャンピオンに!
  両者握手を交わす。


DGHC王座戦:小橋建太(ch)vs.秋山準(7/10/04)
  秋山がショルダー・タックルするも小橋は倒れない。
  チョップを打ち破ってのハイ・ニーも小橋はガード。
  逆に小橋がショルダー・タックル決めるも秋山は倒れない。
  力比べの攻防から小橋がチョップ。
  秋山のビッグ・ブーツを避けるとフライング・ショルダー・タックル。
  秋山はすぐ起き上がるとハイ・ニーを決め小橋を落とす。
  小橋はすぐに戻り場外戦に持ち込ませない。
  チョップとフォア・アームズの打ち合い。
  小橋は打ち勝つとキッチン・シンクからロシアン・レッグ・スイープを狙う。
  秋山がレッグ・ロックに切り返す。
  小橋がロープを掴む。
  秋山がレッグ・ロック。
  小橋は首筋にチョップを叩き込んで逃れるとチョップを胸に振り下ろす。
  フェイス・ロックに捕らえる。
  再びチョップを振り下ろしカバー。カウント2。
  ブレーン・バスターを狙う。
  防いだ秋山が腕を取ろうとする。
  小橋は防ぐとチョップで打ち勝つ。
  秋山も耐えてみせる。
  小橋は首筋へのチョップからローリング・エルボー。
  秋山は避けるとフォア・アームズ連発。
  小橋はロープに走った秋山にチョップを打って止めると自らロープに走る。
  秋山がフライング・ショルダー・タックルを狙った小橋にハイ・ニーを叩き込む。
  秋山はエプロンでのDDTに柵へのカーフ・ランディング、
  そしてエプロンの小橋の後頭部にダイビング・ニー・ドロップ。
  リングに戻ろうとした小橋にニー・アタック。
  容赦なく首を中心に小橋を痛めつけていく。
  バック・ドロップを決める。
  それを利用して小橋がヘッド・ロックに捕らえる。
  秋山はバック・ドロップを2度決めるも外せずロープに手を伸ばす。
  小橋が不意をついてスリーパー・スープレックス。
  マシンガン・チョップにローリング・チョップを決める。
  崩れ落ちた秋山を捕らえエプロンから場外へのブレーン・バスター。
  技を決めた小橋自身が吐血している。
  小橋はカウント15でリングに戻るも、すぐに崩れ落ちる。
  起き上がるとハーフネルソン・スープレックスでカバー。カウント2。
  ショート・レンジ・ラリアットを狙う。
  秋山は防ぐとエクスプロイダーを狙う。
  小橋は防ぐとオレンジ・クラッシュ。
  カバーするもカウント2。
  ショート・レンジ・ラリアットもカウント2。
  バーニング・ハンマーを狙う。
  秋山は逃れるとエクスプロイダーからシャイニング・ハンマー。
  今度は秋山がエプロンから場外へのエクスプロイダーを狙う。
  小橋は防ぐとハーフネルソン・スープレックスを狙う。
  抵抗する秋山にチョップを浴びせコーナー上へ。
  秋山は捕らえると場外への雪崩式エクスプロイダー。
  秋山はカウント15で戻る。
  小橋もカウント19で戻る。
  秋山がカバーするもカウント2。
  エクスプロイダーを決めカバーするもカウント2。
  トップ・ロープ上から雪崩式エクスプロイダーを決めるもカウント2。
  変形のフロント・ヘッド・ロックを狙う。
  抵抗する小橋にヘッド・バッドを決め変形フロント・ヘッド・ロックに捕らえる。
  秋山は途中で止めるとアーム・ロック・エクスプロイダーでカバーもカウント3ならず。
  スターネス・ダストを狙う。
  小橋は防ぐとリアル・ブレーン・バスター。
  秋山は起き上がるとビッグ・ブーツ。
  小橋はガードするとハーフネルソン・スープレックス。
  秋山が起き上がりエクスプロイダー。
  小橋が起き上がりハーフネルソン・スープレックス。
  秋山が起き上がりエクスプロイダー。
  小橋がラリアット。
  両者ダウン。
  小橋がショート・レンジ・ラリアットを決めカバーするもカウント2。
  ムーンサルトを決めるもカウント2。
  ならばとバーニング・ハンマーで1,2,3!
  小橋の防衛!
  両者握手を交わす。

試合結果

@佐々木健介vs.川田利明(新日本プロレス 10/9/00)
AIWGP王座戦:藤田和之(ch)vs.永田裕志(新日本プロレス 6/6/01)
BIWGP王座戦:永田裕志(ch)vs.高山善廣(新日本プロレス 5/2/02)
CGHC 王座戦:三沢光晴(ch)vs.小橋建太(新チャンピオン!)(Noah 3/1/03)
DGHC王座戦:小橋建太(ch)vs.秋山準(Noah 7/10/04)