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全日本プロレス:Tsuruta vs. Misawa Seriesの分析


名勝負 ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(6/8/90)

#1コンテンダーズ・マッチ:ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(9/1/90)
好勝負 三冠王座戦:ジャンボ鶴田(ch)vs.三沢光晴 (4/18/91)

①タイガー・マスクvs.ジャンボ鶴田(3/9/88)
 7番勝負の最終戦。
 序盤はタイガーが執拗なヘッド・ロック。
 確かに体重差があるので戦略性があるのは良い事ですが繋がる先がないんですよね。
 普通に速攻狙いでも良かった気がします。
 鶴田側も上手く痛がれていませんし、ニー・クラッシャーという反撃方法も違和感があります。
 中盤は鶴田が投げまくり。
 場外スポットで追い込むもタイガーが脅威の粘りを見せる終盤となっています。
 3段仕立てで結構盛り上がりましたが、
 最後タイガーがクイックしか勝つ策がないのは痛いですね。
 スリリングではありますが目指すべき勝ち方がここまで低いと移入も削がれる所があります。
 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:9/?/10)

②ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(6/8/90)
 鶴田の間から生み出される一発のスケールの大きさはとてつもないですね。
 三沢が反撃しダイブを決めた所でリセットです。
 このシーンに関してはベスト・フィットの一進一退ではなかったように思います。
 もう少し差異を調整するか、リセットせずに鬩ぎ合う必要があるでしょう。 
 そこに存在する圧倒的な当量で勝負しているので仕切った所で情感が増す訳でもありません。
 張り手で挑発してからテンポを落として支配シーン。
 エルボーがそこまで激しくないのは③で鶴田が鼓膜を負傷したからなんでしょうね。
 教科書にのっている1つの試合運びに大きなムーブを溶け込ませ実行。
 三沢のビッグ・ダイブからの終盤は最高峰。
 三沢が攻めでは丸め込みを上手く織り交ぜ、
 受けでは防御により観客の移入度を一層高める。
 鶴田は更に強烈な技を繰り出してきます。
 最後は普段見られない特別な相打ち、自爆から、
 温存して一撃性を高めたバック・ドロップによりフィニッシュへ。
 最後の体勢の入れ替えは最初は微妙でしたが見る度に深みを増していますね。
 文句なしに名勝負。
 (執筆日:9/?/10)

③#1コンテンダーズ・マッチ:ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(9/1/90)
 まず前回の欠点、打撃が改善。
 鬼気迫るハード・ヒットで序盤から吐きそうな程タフなハーデスト・マッチを展開します。
 凶器的なエルボーとキッチン・シンク。
 サブミッションは時として休んでいる、と言われますがこの試合にはそれが必要だと感じさせます。
 バタフライ・ロックなど前回の攻防を流用していますが、
 単純に攻防に工夫をこらしているのではなく1回戦ったという歴史を利用して意味合いを持たせているのが素晴らしいですね。
 途中から前回使わなかった蹴りを解禁するので転回も利いています。
 また前回の全てを15分でやりとげる、という驚異的なハイ・ペースで試合は進行。
 まだ見ぬ境地へと突入していきます。
 鶴田は耐えの表現と椅子で更に強さを膨らませ、
 三沢は後のベースとなるエルボー中心の試合運びで追いすがります。
 その新規な挑戦を鶴田が受けで補佐していたのも見逃せませんね。
 終盤で幾つか攻防の乱れはありましたがその選択には唸らされるばかりで特に問題ではなし。
 最後は変に捻らずバック・ドロップ・ホールドで〆。
 有名な6月の試合より更に上のレベルでの化学反応で驚きました。
 歴史的な名勝負です。
 (執筆日:9/?/10)

④三冠王座戦:ジャンボ鶴田(ch)vs.三沢光晴 (4/18/91)
 三沢が序盤から激しいエルボーで押し、
 鶴田もキッチンシンクから腹攻め。
 それぞれ重たさを表現しつつ、
 自分本位にならずライバル関係のバランスを取ります。

 攻防自体はやや平面的ですが、
 場外を適切なタイミングで混ぜて広げ、
 鶴田が三沢に場外テーブルへのニー・クラッシャーから脚攻め追加。

 15分を過ぎて鶴田がラリアットを使い始め、
 その恵まれた体躯の強大さを押し出してギアをあげます。

 バック・ドロップを耐えられつつもコーナーにぶつけたり、
 三沢も延髄切りを連打したりと印象的なシーンが幾つもありましたね。

 依然として綺麗に五分に戻しすぎるきらいはありますが、
 受け身の鋭さはそれぞれ素晴らしく一発で惹きつけられるのは強みです。

 強烈なフィニッシュで締めくくり。

 ぎりぎり好勝負です。
 (執筆日:3/?/22)

⑤CC公式戦:ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(4/2/92)
 鶴田が序盤からスリーパーを決め主導権を握ると
 三沢など敵ではない、と追い込んでいきます。

 5戦目にして改めて見せる鶴田の力強さは魅力的ですが、
 展開数を絞った中で意味合いの薄い攻防もチラホラ。
 
 耐え抜いた三沢の終盤の反撃も限定的で
 リアリスティックに拘った良さもある一方で地味なことも否めない。

 好勝負に届かずも中々良い試合。
 (執筆日:3/?/22)

注目試合の詳細

なし

試合結果

①タイガー・マスクvs.ジャンボ鶴田(3/9/88)
②ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(6/8/90)
③#1コンテンダーズ・マッチ:ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(9/1/90)
④三冠王座戦:ジャンボ鶴田(ch)vs.三沢光晴 (4/18/91)
⑤CC公式戦:ジャンボ鶴田vs.三沢光晴(30分時間切れ)(4/2/92)