新日本プロレス:Tanashi vs. Okada Seriesの分析
名勝負 | IWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(4/7/13) |
好勝負 | IWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(2/12/12) IWGP王座戦:オカダ・カズチカ(ch)vs.棚橋弘至(6/16/12) IWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(1/4/13) |
@棚橋弘至vs.岡田カズチカ(1/31/10)
棚橋が序盤は執拗なヘッド・ロック。
中盤も脚攻めを行うので、岡田は防戦一方。
その中で気持ちで立ち向かう様子は見せれています。
試合のRatingは高くないものの
求められていることをきっちり行うことがそこに直結しているので、
非難されるべきことではありません。
このカードが黄金カードになるとは思わなかったですね。
平均より少し上。
(執筆日:3/?/25)
AIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(2/12/12)
オカダは本物か。
結論から言うと未完の大器です。
内藤よりも王座を任せる価値があるでしょうが
いまだ継ぎ接ぎの張りぼてです。
試合の中で説明していきましょうか。
序盤、棚橋が打撃面で棚橋<オカダを作り上げ、
その裏に身長差があることを仄めかします。
オカダは技に余韻を生み出す動きを付加していますが、
その技の動きと余韻の動きが完全に接着していませんね。
オカダがこのように不完全に技の脅威を見せた後、
棚橋が執拗なヘッド・ロックに出ます。
ここではオカダがやたらジタバタしていたのがいけません。
ヘッド・ロック以外の走り方にしても小刻みすぎる。
もっと歩数を絞らなければいけません。
しかし技は高身長を活かしていてダイナミック。
基本技のドロップ・キックが持ち技といえるレベルで
実際コーナー上の棚橋にドロップ・キックを決めるというのが
試合の転換点となっています。
ここからオカダの首狙いへ。
試合運びはグラウンド・サブミッションと技を交互に混ぜる
教科書の基本にのっているそれです。
しかしドロップ・キックのみならず他の技も総じてスケールが大きく、
またサブミッションも幅広いプロレスに接したためか
テクニカルなサブミッションを使用しているため
他のレスラーの同じ試合運びよりも魅力的です。
勿論それはオカダの努力と無縁でないものの
生来の魅力であり例えば内藤がいくらキレを増しても真似できない武器です。
シーン内の一進一退は並列的で
これはやばいと思わせた所でかわし反撃を実らせる、といった
付加的な情緒を加えることはできていません。
しかしこの試合において感心したのは
オカダの駄目な部分も分かった上でこの試合を実現させているということです。
シーン内の一進一退をくみ上げられないならと
これまでの防衛戦と異なり1シーンの時間を短めにして
展開数を多くする事で対応しています。
ツームストンにしたってそうです。
これはオカダの技の中でも飛びぬけて印象的な技です。
しかし技を要所で使い、それを最大化するために他を組み立てるなんてことは出来ない。
だから中盤の置き技として使っているし、
場外ツームストンというカードも秘密兵器的位置づけなんかではなく
単なる展開稼ぎとして大胆に切ってくる。
そして更に終盤とは別のクライマックスという展開も必要だからこそ
必殺技はレインメーカーという名のショート・レンジ・ラリアット。
かわすことで自然な流れでロープ・ワークに移り、
それまでのダメージを引きずらないスピーディーな切り返し合いを生み出せる。
完成されたレスラーにとっては技の特性上
レインメーカーが持ち技でツームストンがフィニッシャーであるべきです。
しかし発展途上のオカダにとっては
敢えて逆にすることで大一番を行なうことが可能になっている。
かくしてオカダの戴冠劇は見事な洞察によって
最高でなくとも最善の方法が選択され、
棚橋という最高のレスラーで組み立てられました。
蛇足ですが最後のレインメーカーの受身は素晴らしかったですね。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:1/?/12)
BIWGP王座戦:オカダ・カズチカ(ch)vs.棚橋弘至(6/16/12)
序盤のレスリング。
オカダがカリスマ性を感じさせるアピール及びダイナミックな基本技を見せます。
棚橋はこれに対し脚狙い。
序盤らしく抑え気味に攻めて行きます。
1回コーナー上からの転落ネタを挟んでから定番のコーナー上へのドロップ・キック炸裂。
これでオカダのペースとなります。
オカダの攻めは前回に比べ多視点から見ても隙のないものでしたね。
棚橋が低空ドロップに場外へのダイビング・クロス・ボディを決め反撃。
ここまではお互いの正統な良さを出す必然の構築です。
それ故若干既視感は覚えますが、
2戦目らしい読み合いの攻防を後半まで抑え、
前半を完成度の向上に努めたことには好感が持てます。
終盤は棚橋のテキサス・クローバー・ホールドの見せ方が上手く、一層深みのある攻防でした。
完成度はピカイチ。ただ名勝負と呼ぶにはドラマ性、特別性がほんの少し足りないかもしれない。
文句なしに好勝負。
(執筆日:9/?/12)
CIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(1/4/13)
まずはアピールからオーソドックスなレスリング
3戦目としては味気ない印象です。
勿論台風の前の静けさとしての意味合いを期待してのことでしょうけどね。
オカダがいつものドロップ・キックを未遂にし代わりのDDTで主導権を握ります。
スケールの大きな技をベースにしながら支配。
オーソドックスな主導権の移行後、
棚橋がドラスクで放つも単なる前振り、そこで足攻めにはいきません。
オカダもドラスクを打ち返すなど色々伏線を散りばめます。
20分の段階でまだ下準備ですね。
ただ構成自体は主要なスポットを伏線に落としているだけで
根本的な改善にはなっておらず、広く薄くした印象になっている。
オカダのドロップ・キック、花道スポットから終盤へ。
綺麗に一進一退を繰り広げた後、
棚橋の足攻め、掟破りで大いに盛り上げました。
レインメーカーアピール時含めてカメラの演出も良かったですね。
しかし20分の前振りを最大限に活かした内容とはいえない。
結果的に前回の試合には届きませんでした。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:1/?/13)
DIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.オカダ・カズチカ(4/7/13)
序盤は何もしないことで何をするのかと期待感を煽る。
棚橋がレインメーカーを試して挑発したりします。
オカダの才気溢れるものの憎たらしい若造というキャラを活かして
王者/挑戦者という立ち位置とそれを逆に捉えた認識という面白い見せ方を作りました。
そこに深い読み合いを攻防として加えました。
オカダがエプロンでのDDTという見栄えのするスポットから展開。
オカダは特殊な新しい試みを意欲的に取り入れ、
包囲網を絞り込むように棚橋を追い込んでいます。
棚橋は鉄柱スポットから腕狙い。
ドラスクを使うなど脚攻めのエッセンスを持ち寄っていますが
展開的にならず細かい段組を実現している。
オカダも完璧なタイミングで完璧なスポット選びを見せます。
斬新な自由性を持ち、カウンターのバランス感覚も優れた素晴らしい攻防でした。
2013年のMOTY。
文句なしに名勝負です。
(執筆日:4/?/13)