Cirque de Soleil:Varekaiのレビュー
内容 | 魔法をかけられた奇妙な生物が棲む不思議な森の物語。 火山の頂上の森の奥深くにどんなことでも可能になる素晴らしい世界があります。それが「バレカイ」です 。 空から孤独な若者が舞いおり、ストーリーが始まります。想像上の生き物が住む万華鏡のような魔法の森に降り立った若者は、ちょっと滑稽ですばらしい冒険の旅に出ます。時の彼方で、どんなことでも可能になる場所で 、再発見された命へのすばらしいマジックが始まります。 「バレカイ 」 とは、世界中を旅するジプシーのロマニー語で"何時でも"という意味です。この作品は遊牧民の魂、サーカスの伝統の精神と芸術性 、「バレカイ 」に通じる道を求める者の限りない情熱への賛辞です。 (公式HPより) (2002年北米公演より収録) |
演目リスト | ・ソロ・アクト:網に捕らえられたイカルスがもがき飛び上がる演技。 ・イカリアン・ゲーム:足の裏にパートナーをのせて回転させていく芸。 ・ウォーター・メテオール:子供3人がポイを振り回す芸。 ・トリプル・トラピス:三連つながった空中ブランコで4人がポーズを決める技。 ・ジョージアン・ダンス:膝を折りたたんだ状態で回転する伝統的なダンス。 ・スリッパリー・サーカス:マットを滑りながら組み体操を決めたりする演技。 ・ソロ・オン・クラッチーズ:先が丸まった松葉杖を使って回転する芸。 ・エアリアル・ストラップス:ストラップに手首をかけてデュオで飛びまわる。 ・ジャグリング:普通の玉だけではなくバスケットボールから麦藁帽子まで何でもござれ。 ・ハンド・バランシング:「蝶に変わる幼虫」が手でバランスを取りながらポーズを取っていきます。 ・ロシアン・スイング:ブランコからその先の高台、ハンモックへのダイブ。 |
レビュー | ヴァレカイという空想の世界を舞台にしているので、 それぞれに明確なキャラクター付けがされています。 演目は垂直方向の高さが際立っています。 イカルスのソロ・アクトはこれまでロープでやっていたものを 網でする事によってより幅広い動作を可能とし、具体的な方向に沿って演じる事を可能としています。 見事なアイディアですね。 イカリアン・ゲームは観客が驚愕し、応援しやすいダイナミズムに溢れています。 ウォーター・メテオールはそこそこ。 トリプル・トラピスは万華鏡のようなポーズ変化が見応えあり、それを女性陣だけで行ってしまう驚きもある。 ジョージアン・ダンスは単純ながら信じられない動き。 スリッパリー・サーカスは演技自体は印象に残らないがそれを行う多用な演者と陽気な音楽が印象的。 ソロ・オン・クラッチーズは日常的な松葉杖を使って現実に存在しない生物の行動形態を実現しているのが妙。 試合そっちのけで演技に100%の力を入れたときのムタみたい。 エアリアル・ストラップスはとにかく高い。他のショーのそれより高く飛び上がる。 単純にそれだけなのに圧倒されてしまいます。 ジャグリングは大きさを変えるのは予測ついたがまさか麦藁帽子に行くとは思わずアイディアの勝利。 ハンド・バランシングは「蝶に変わる幼虫」のソロが必要だっただけで演目自体はそこそこ。 ロシアン・スイングはステージ前のイカルス、「蝶に変わる幼虫」の背後に聳え立つ大きなセットというビジュアル面で素晴らしい。 演目の間に挟まれるピエロのスキットは2種類。 架空の世界で医者と警官に位置づけられる?不思議な生物は面白いマイムのやり取り。 もう1種類はマジシャン兼シンガーと暴走アシスタントのこてこてなどたばた劇です。 サーカスの中のピエロの芸というより一般的なコメディー要素が強い気もしますが面白いですよ。 振り返ってみれば普通とは違う事をするために豊富なアイディアが見られます。 ただそのアイディアは採用した後に、それで何をするか、を余り突き詰めるものではありません。 またキャラクターもどうしても動物的、自然的になりがちで人間性は失われている所があります。 一方でジョージアン・ダンスやマジシャン兼シンガーと暴走アシスタントはコメディーは余りに俗っぽすぎます。 だから他のショーと比べると深みが足りずエンターテイメント以上の感動は生まれていませんね。 しかしそのエンターテイメント性に関しては太鼓判を押せる内容です。 最後にイカルスを演じるアントン・チェルノコフの色気が半端なかった事を記しておきます。 |
お勧め度 | ★★★☆☆ |