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Cirque de Soleil:Dralionのレビュー


内容 東洋と西洋のアクロバットの粋を融合した作品。

さまざまな手法を取り込む Cirque du Soleil のアプローチと 3000 年におよぶ中国のアクロバット技術が融合した Dralion(ドラリオン)は、東洋の哲学、そして東洋哲学の永遠の命題である人間と自然の調和にインスピレーションを得ています。ショーの名前は、東洋を象徴するドラゴンと西洋を象徴するライオンという 2 つの生物に由来します。

Dralion では、自然界を支配する 4 つの要素が人間の形を借りて登場します。擬人化された要素は、それぞれの要素を象徴する色で表現されます。つまり、青は空気、緑は水、赤は火、黄土色は土を表しています。Dralion の世界では、文化の融合、人間と自然界の一体化、調和が重要なテーマとなっています。
(公式HPより)
演目リスト ・シングルハンド・バランシング:片手でバランスを取ってのポージング。
・バンブー・ボール:振り回される旗をかわしていく。
・ジャグリング:様々な体勢からボールをジャグリング。
・ティターボード:シーソーで飛び上がり人間タワーを積み上げていきます。
・ダブル・トラピス:2連の2本バーがついた空中ブランコ。
・バレエ・オン・ライト:ステージに敷き詰められたライトの上での組み体操。
・ドラリオン:玉乗り。
・フット・ジャグリング:足の裏で傘を自在に動かします。
・スピリッツ:上空のワイヤーにつるされた男女ペアのダンス。
・エアリアル・パ・ド・ドル:男女ペアがローブを使って飛び上がり、それを絡ませてのアクション。
・フープ・ダイビング:中央に置かれたフラフープを勢い良く潜り抜けていきます。
・スキッピング:大縄跳びの中でバク転したり人間タワーを作ったりします。
レビュー シングルハンド・バランシングは手を置く台が結構な高さにあって、
只ポーズを維持するだけでも相当なバランス感覚を要求される事が分かる。
バンブー・ボールはオリエンタルだからと選ばれたのでしょう、
他に比べるとまだ演目自体にどこで凄さを見せるのかはっきりしない。
ジャグリングはこのショーの方向性から外れているがそんな事は関係ない程素晴らしい。
音楽に合わせて常に身体をしなやかに動かし(WORMもあります)、
それはジャグリング以上のポージング芸術となっています。
このショーに足りない表現力はこのジャグリングだけで十分に堪能できます。
ティターボードは単純な演目ながら人間タワーを5段まで積み上げたのには只々驚きます。
ダブル・トラピスはブランコをこぐスピードが桁違いで
上空の段から下の段にキャッチしてもらう時の飛び方もPacばりに捻りを入れたりしている。
バレエ・オン・ライトはライトの上でやっている凄さが中々伝わりにくいが
千手観音や蓮の花などオリエンタルなイメージのポーズを作り出す事には成功している。
ドラリオンは玉乗り故に工夫の余地がないと思いきや獅子舞を使って呆気に取られる事をやってのけました。
フット・ジャグリングは対人よりもインパクトでは劣るが、
完全に下の人がコントロールしきらないといけない訳で重さも軽いのだからその難易度は語るに落ちる。
スピリッツは中央のシンガーと合わせてやっているので演目自体が主人公にはなっていない軽いもの。
エアリアル・パ・ド・ドルは他のショーのそれと比べると見劣りします。
フープ・ダイビングは所謂トペ・スイシーダやトペ・コンヒーロのような動きをする訳ですが
低いフラフープから入り、その上の高いフラフープで抜けたトペ・スイシーダには驚きましたね。
これプロレスでやったら一躍そのレスラーを象徴するムーブになると思いますが、そう簡単には出来ないか。
スキッピングは他のショーの締めと比べるとスケールに乏しいがWORMで大縄跳びするとか異常です。
演目の間に挟まれるピエロ劇はミュージシャン2人組みと観客弄りの小男。
前者は演目の超簡易版をやってお情けの拍手をもらう定番タイプでいまいち笑えないが、
後者は観客の雰囲気を見事に醸したサクラと絶妙のハーモニーを奏でてミラクルを起こしてくれます。
 
東洋と西洋の融合を掲げるも東洋一辺押しになっているように見えますね。
しかし中国アクロバティックの強みをいかんなく発揮していて、
演劇部分やエンターテイメントの構成が多少弱くても
他の誰も真似できないような高難易度、高精度の技を見せれば誰も文句をつけれまい、と見事にはったりをかましている。
TLCであったり他を寄せ付けないムーブ満載のスポット・フェストのような内容です。
これもまた一つの正しい方法論ですね。
お勧め度 ★★★★★