WWE:TV Matches Best of CWC 2016の分析
名勝負 | なし |
好勝負 | CWC1回戦:ジョニー・ガルガーノvs.トマッソ・チャンパ(8/3/16) CWC2回戦:ドリュー・グラックvs.ザック・セイバーJr.(8/24/16) CWC2回戦:飯伏幸太vs.セドリック・アレキサンダー(8/10/16) CWC準決勝:TJパーキンスvs.飯伏幸太(9/14/16) |
@CWC1回戦:飯伏幸太vs.ショーン・マルタ(7/13/16)
飯伏は試合のキーこそコントロールしているものの
高望みしない試合運び。
マルタがそこまでのレスラーではないからでしょうか。
マルタは2回転トペコンにトライするも技の精度がいまいちで失敗していたし。
構築的には普通のトペコンと余り変わりないですし、
100%できない技は使うべきではないですね。
一方で飯伏も過剰な受け身など
リアリティを感じさせない表現は改善して欲しい所。
どこにでもありそうな試合内容ですが、
飯伏の飛び切りのムーブ精度は十分に伝わったはず。
まあまあ良い試合。
ACWC1回戦:ジョニー・ガルガーノvs.トマッソ・チャンパ(8/3/16)
NXTでタッグとして実績を作っている両者だけに
CWCが始まって以来意味あるビッグ・マッチですね。
時間がないので特殊なことではなくオーソドックスな手法を使ったいますが、
そのスポット選びのセンス、最小限の手数で展開させる巧みさには唸らされる。
そぎ落とされているからこそセンスが光ります。
フローを感じさせる攻防の中、
得意技に対するカウンター、
エプロンでのチョップの打ち合い、と見所も多かった。
フィニッシュも良かったですね。
そして何よりこの試合は試合後の演出だと思いますね。
まさかの敗北を喫したチャンパが1回握手を断って去ろうとするも
何やってんだ俺はとリングに戻り、
座り込んだガルガーノの横に座ると引き寄せてハグ。
素晴らしくドラマチックなシーンで胸が熱くなりました。
ぎりぎり好勝負。
BCWC2回戦:飯伏幸太vs.セドリック・アレキサンダー(8/10/16)
最初の演武からして他とは一味も二味も違います。
飛び切りの身体能力で優雅な舞を見せます。
観客も2人に魅了されていて綺麗な流れの中で盛り上がっています。
また、2人の打撃もハードで一発一発が大きな効果をもたらす。
WWEらしいシンプル・ソリッドな構築。
セドリックもこの1戦のために仕上げてきましたね。
表情はややオーバーだが、伝わってくるものがあり、
上層部がRawに起用したくなるようなパフォーマンスを見せていました。
ぎりぎり好勝負。
CCWC2回戦:ドリュー・グラックvs.ザック・セイバーJr.(8/24/16)
WWE用に動きを大きくテンポを落とさないように意識しながら
それでも彼らの魅力であるレスリング力を十分に伝えているのは良し。
えげつないサブミッションの締め上げは説得力があるし、
レスリングのテンプレートに依らない自由な動きには驚嘆する。
最後のクイックもこの2人ならではでしたね。
ぎりぎり好勝負。
DCWC2回戦:TJパーキンスvs.ジョニー・ガルガーノ(8/24/16)
TJPが彼ならではの動きを随所に。
中盤はやや落ち着いた試合運びをすることが多いのだけど
CWCの時間制限の中で最大限アピールしようとする気概がありますね。
細かな一進一退を誘導しやすく、
それにのって2人共躍動しています。
要所を鏡合わせで張り合いつつ変化を入れていく。
ただやりたいことが多くてとにかく動き続けなければいけないような状態でもある。
そんな中でガルガーノのトペ・アトミコが受け止められきれず墜落。
落ち着くきっかけにはなりましたが如何せん落差が大き過ぎか。
本来はもう少し緩やかにつなげたかった。
それでも終盤になると復活して結構動く攻防。
もう少し疲労感を使っても良い所ですけどね。
少し届かず
ECWC3回戦:グラン・メタリックvs.戸澤陽(8/31/16)
軽快な攻防からスタート。
ありがちな展開ですが、
地力はある両者ですが徐々に熱を帯びていきます。
CWCという舞台で戸澤独自の応援したくなる雰囲気感を作った上で
持ちネタのトペ連打にいけたのは大成功です。
普遍的な内容ですが観客との一体感は失われず
良い意味で、凄くはないが、その実態以上に盛り上がった試合になりましたね。
まあPWGチャントが起きていましたから
まったく更の観客を認めさせた訳ではないにしろ価値のあることだと思います。
好勝負に届かずも中々良い試合。
F3回戦:飯伏幸太vs.ブライアン・ケンドリック(8/31/16)
ケンドリックは柵に脚を引っかけたり
ターン・バックルにネック・ブリーカーしたりと
上手く環境を使った攻めを見せてくれます。
受けにおいてはヘタレっぽさをエッセンスにしています。
ここにヒールとしての身振りが加わると面白いんですけどね。
それがなかったのでトータルで観ると完成しきれていない印象を受けましたね。
飯伏は一定以上のスキルのレスラーと当たったとあって
1回戦ではできなかったこと含めてやりたい放題。
ケンドリックもバーニング・ハンマーを解禁して
良くも悪くもインディーっぽい派手な技の攻防が見られました。
好勝負に少し届かず。
GCWC3回戦:ザック・セイバーJr. vs.ノーム・ダー
ダーは派手な痛がり方と攻めの一貫性、緻密さが両立されていて
癖になる魅力を作り上げることができていますね。
セイバーは同じユーロ勢のダーを
思う存分動かせつつ落ち着いて対処している印象。
先輩、トーナメントに残る者としては正しい選択だったかもしれませんが、
この試合単独としては行動量の差をもう少し埋めた方が
より面白くなったのではないかな。
終盤のねちっこくサブミッションに引きずり込む攻防はテクニカルで素晴らしい。
ただ少し抑揚に欠けていたのは設定時間を意識しなければいけない TVプロレスの弊害か。
最後のサブミッションは芸術的でしたね。
好勝負に少し届かず。
HCWC準決勝:グラン・メタリックvs.ザック・セイバーJr.(9/14/16)
この日2試合目もしないといけないシチュエーションの中で
メタリックが速攻トペコンで仕掛けます。
対するセイバーはロープにひっかけての腕蹴りでメタリックの動きを止めて反撃。
ここでセイバーも速攻狙い等シチュエーションへの意識があれば良かったですね。
単純に試合単体としての構築を優先させたような形にも見えてしまいます。
メタリックが技一つ一つを印象的に見せれば、
セイバーも負けじと張り合いストーリーのある攻防の連鎖が生まれます。
中盤以降のまとめ方が思ったほど伸びなかった印象もありますが、充実の一戦です。
好勝負に少し届かず。
HCWC準決勝:TJパーキンスvs.飯伏幸太(9/14/16)
TJPが変則的な動きで攪乱。
飯伏のムーンサルトを防止したりと、
準決勝だからこそ相手の動きを防ぐ深みのある攻防を
初対決であっても実現させることができています。
飯伏の方は余りそういう意識なく飄々としたものですが、
それはそれでキャラにあっているし対比的で良い。
ここまで何試合か重ねてきて飯伏のムーブに
観客が期待する状態になっていて盛り上がりも上々ですね。
TJPもインパクトの大きな技の数々を繰り出すと
飯伏も危険技解禁で派手な盛り上がり。
最後のフィニッシュも締めとしては悪くなく、まとまりがあります。
飯伏を決勝に期待する観客からは少しブーイングもありましたけどね。
文句なしに好勝負。
Iクルーザー級王座戦、決勝:TJパーキンス vs.グラン・メタリック(9/14/16)
決勝ではありますが、丁寧なスタート・アップ。
お互いに技を交わしながらも
綺麗にスイッチしており試合運びには好感触が持てます。
特別なスイング感にまではいっていないけれども
それぞれが全力を出し尽くそうとしていて、
決勝としてまさにあるべき姿といえます。
TJPが脚攻めで主導権を握ろうとする中、
メタリックがどんな苦境に立たされようと
スーサイドなハイ・フライを止めず立ち向かうのは良い。
マスクマンの弱点を補って余りある程惹きこまれます。
その対比で言えばまだまだTJPは
一時期よりましとはいえ移入感が足りない。
終盤観客へのアピールをもう少し入れたい所ですね。
好勝負に少し届かず。
(執筆日:9/?/16)
注目試合の詳細
なし試合結果
@CWC1回戦:飯伏幸太vs.ショーン・マルタ(7/13/16)ACWC1回戦:ジョニー・ガルガーノvs.トマッソ・チャンパ(8/3/16)
BCWC2回戦:飯伏幸太vs.セドリック・アレキサンダー(8/10/16)
CCWC2回戦:ドリュー・グラックvs.ザック・セイバーJr.(8/24/16)
DCWC2回戦:TJパーキンスvs.ジョニー・ガルガーノ(8/24/16)
ECWC3回戦:グラン・メタリックvs.戸澤陽(8/31/16)
FCWC3回戦:飯伏幸太vs.ブライアン・ケンドリック(8/31/16)
GCWC3回戦:ザック・セイバーJr. vs.ノーム・ダー
HCWC準決勝:グラン・メタリックvs.ザック・セイバーJr.(9/14/16)
ICWC準決勝:TJパーキンスvs.飯伏幸太(9/14/16)
Jクルーザー級王座戦、決勝:TJパーキンス(新チャンピオン!) vs.グラン・メタリック(9/14/16)