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Impact Wrestling:TV Matches 2021の分析


名勝負 Xディビジョン王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:ジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(Before the Impact/Impact Wrestling 6/4/21)(ノー・カットVer)
好勝負 Xディビジョン王座戦:TJP(ch)vs.ジョシュアレキサンダー(Impact Wrestling 2/16/21)

Xディビジョン王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:ジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(Before the Impact/Impact Wrestling 6/4/21)(CMありVer)

@Xディビジョン王座戦:TJP(ch)vs.ジョシュアレキサンダー(Impact Wrestling 2/16/21)
 どう動かしていくか現状の探り合いが先の攻防に繋がり得ることが
 観客にしっかり伝わってくるのは素晴らしい。

 双方が切り返しを積極的に織り込みぐっと興味を惹きつけます。
 
 ジョシュがバック・ブリーカーを決めた後もアンクル・ロックを続けて
 腰と脚の二重の攻め手で追い込んだのもポイント。
 TJPのねちっこいサブミッションへの切り返しを引き立たせる結果になっています。

 終盤もレスリング力を活かした攻防。
 ハイ・フライヤーとパワー・ファイターの典型に落とし込めば
 簡単に見栄えするところをそこに依存せず個性を追求し続けました。

 試合時間は決して長くないものの美しい試合でした。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:2/?/21)

AImpact世界、TNA世界ヘビー級統一王座戦:リッチ・スワン(Impact ch)vs.ムース(TNA ch)(Impact Wrestling Sacrifice 3/13/21)
 体格差を最初から押し出した攻防になっていますが、
 スワンの低空ドロップ・キックにムースが片膝つく程度に受けを抑えたりと
 スケール感に緩急をつけているのは良いですね。
 
 両者の立ち位置スタイルそのままで安易に譲らず。
 
 体格差をここまで押し出すと王者対決の枠組みにあてこむのが難しくなりますが、
 ムースが後半も上手く譲れていてメリハリがついています。
 
 終盤の攻守の切り替え方がやや単調な印象で、
 ムースの雪崩式フォール・アウェイ・スラムが普通にカウント2といった所や
 最後のフィニッシュの見せ方等
 細かなところにも物足りなさが残りました。

 この試合の結果を受けて、次回PPVでオメガvs.スワン。
 個人的にオメガvs.ムースが見たかったですが、
 今のImpactなら引き分けとかで濁さず、ストーリー紡ぐでしょうから
 その内オメガvs.ムースも見れるでしょうね。
 
 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:4/?/21)

Bジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(Impact Wrestling 4/15/21)
 まずはTJPが密着のレスリング。
 ジョシュはTJPに付き合ったうえでパワフルに投げ捨てます。

 攻守逆転後にそこまでの過程を踏まえた感情:イラつきを表現できているのがGood。

 変則的なサブミッションの折り込みも利いていて見応えあり。

 前回と同じく試合時間が10分前半、と
 もう少し試合時間を与えて欲しい、という思いは変わらず。

 また、狙い目が少し一律的な点で前回にはやや劣りました。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:4/?/21)

CXディビジョン王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:ジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(Before the Impact/Impact Wrestling 6/4/21)
 (まずはCMあり版でのレビュー)
 Impact初の60分のアイアン・マン・マッチです。

 事前番組からスタートというのが不思議ですが、
 試合が始まるや1分で約5分のCMを挟んできて嫌な予感がします。

 筋は通っているものの彼らにしてはオーソドックスな攻防。
 それぞれ得意技の前振りを利かせてセットアップしていきます。
 ジョシュがジャーマン連打に移った所でCM。
 試合のステージが切り変わった所でCMは良くありますが、
 ジャーマン連打していて終わっていない所でCMには呆気に取られました。

 丸め込みの応酬からジョシュが先取したのが20分経過時。
 
 場外転落スポットやロープ絡みのサブミッション、と
 スポットが見栄えするようになりますが、
 まだ明確な戦いの意図がないまま時間が進んで35分経過。

 ここでようやく攻防に狙いが見えてきます。
 CM入って残り15分になると
 エプロン、花道に移り、この特別な試合にふさわしいドラマチックな見せ場になります。

 ただ見せ方による盛り上げなので、
 アクション・スターのTJPの良さがどこまで出ているかというと疑問。

 残り8分となって本編の番組:Impact Wrestlingに突入。
 流血したジョシュに対し、
 0-1で負けているTJPが盛り返しますが、
 先ほどと明確に技のテンポ感を変えていますね。

 終盤に向けたギア・チェンジが半分。
 残り半分は明確な番組意識。、
 悪くはなかったので、やや語弊はありますが、
 これだとBefore the Impactの攻防は手抜きでは、という感も。

 ジョシュがアンクル・ロックを重ねがけで追い込み、
 0-2という屈辱の結果をせめて避けるのが精いっぱいかと思わせて、
 最後の驚きの切り返しは実にお見事なムーブでした。

 良い形でサドンデスを迎えましたが、
 最後の展開考えるとTJPは脚の痛みで動きづらくして欲しかったし、
 ジョシュがラッシュをかけて押し切るのは拍子抜けで、
 この状態からシーソーゲームを出来るのがこの2人では。
 サドンデス余りに短かったですね。

 数え歌化してこの形式が組まれた時は歓喜の声を上げましたが、
 十数分の試合でいつも見せていた濃縮なアクションは見られず。

 ロング・マッチの構成としては確かに間違いがなく、右肩上がりになっていますが、
 単なる良質な60分マッチでは物足りない。この2人ならではの凄さがもっともっと出せるはず。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:6/?/21)


 (続いてノー・カット版でのレビュー)
 放送時は随分とひどいCM編成がされていましたが、
 フルVerがアップされていたので再視聴。

 自分の動きのコントロールが出来ていますね。
 自分の動き出しのタイミング、
 相手にバトンを渡すタイミング。

 これまでの数え歌で見せていた高度なフリー・テクニックのレスリングの攻防ではありませんが、
 流した演舞にもせず長い道のりの最初の土台として適切なものに仕上げています。

 ジョシュが腕に狙いをつけるもTJPは制されないように逃れ、
 プランチャで逆にリードを狙うも不発。
 押さえつつ見せ場をしっかり作る堅実な構築です。

 10分経過し、投げも解禁する中で、
 ジョシュがドラスクを決めればTJPも脚DDT。
 地味なプロセスながら積み重ねとしては非常に大事ですね。
 派手なスポットではないのでCMカットの犠牲にするなら
 ここというのも納得できるが試合を毀損している。

 15分経過して切り返し合い。
 先になかった大きなメリハリをつけてジョシュが完全に主導権を握ります。
 テンポ・アップして最初のクライマックスへ。
 演舞の中で未遂に終わった動きの意味性が感じ取れるのが素晴らしい。
 60分の中の20分の位置なので過激な所は押さえつつ
 軽さを感じさせない最初の丸め込みフィニッシュでした。

 ジョシュが首狙いへ。
 展開の中で流すこともできたでしょうが、
 それぞれ自分の意志で個々の場面作りを考えていてイノベイティブでしたね。

 場外への道連れスープレックスなど
 両者の志向性が攻防に色濃く出始めます。
 TJPの欠点であった感情面も問題ありません。

 1ポイント優位に立ったジョシュが
 アンクル・ロックに滞空式ブレーン・バスター。
 両面からの追い込みはジョシュを更に強大に際立たせます。
 
 1ポイントの差を厳然と突きたてた中で
 TJPへの応援の熱も高まっていきましたね。

 丸め込み合戦という定番の攻防を挟みますが、
 お約束を感じさせつつも
 それに安易に流れず、緻密に見せ方をコントロールしています。
 自分の見せたいもの、作りたいものがそこにはあります。

 残り20分。
 ストーリーの補強を重ね、激しく疲弊しながらも
 全体の中でのラインからぶれずに真っすぐベクトルを合わせていますね。

 再びエプロンに打ち付けられ絶望的なTJP。
 花道に移って完全にジョシュが仕留めようとする所で、
 TJPが何とか隙を突いて切り返してツームストン。
 ジョシュの流血もあり、エピック・マッチの熱を帯びていきますね。

 50分経過時に本編に突入し、レスラーがリング・サイドを取り巻いて応援します。
 また一気に雰囲気がより入っていくのでこの仕掛けは良いのですが、
 番組が切り替わったから、なんて無粋なタイミングにせず、
 先ほどのエプロン、花道の攻防当たりで入れて欲しかったのが本音。

 追いつくはずなのに追いつけない、
 一刻一刻なくなっていく試合時間との戦いはお見事。
 最後の奇跡的動きは演者も素晴らしかったですが、
 取り巻くレスラーも良い表情していましたね。

 サドンデスはふらつきながらの殴り合いから
 疲労感MAXの中で端的にまとめました。
 ここはもう少し時間を割いても、という気はしますが、帰結としては悪くない。

 総じてアイアン・マン・マッチの名品。
 ただCM編集が仕方ないかな、と同情はしつつも想像以上に微妙。
 ノーカット版が公開されて良かったですね。

 Wrestling Heart認定世界三大アイアン・マン・マッチの
 エドワーズvs.ビフを僅差で追い抜く出来ですね。

 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:8/?/21)

Dジョシュ・アレキサンダーvs.鈴木みのる(Impact Wrestling 11/18/21)
 現役最高峰のジョシュを相手に
 みのるは仮想的に応対する必要がありますが、
 それを良く理解しているので攻防のチェーンが続きます。

 意図がかすっている所もあるけれど
 あまり気にならない程にこの1回限りの戦いを
 観客は楽しんでいるし、演者もまた変なストーリーのしがらみ抜きに楽しんでいます。

 みのるの張り手合戦は毎回ある定番ですが、
 間合いと仕草ともに素晴らしく、
 みのるのロードの中でもトップ3に入る出来栄え。
 
 そしてその後の終盤の攻防も変則ではなく真っ直ぐとはいえ、
 ここまでかなり良い感じにまとまるとは思わなかったですね。

 10分ながら非常に充実。

 好勝負に少し届かず。


注目試合の詳細

なし

試合結果

@Xディビジョン王座戦:TJP(ch)vs.ジョシュアレキサンダー(Impact Wrestling 2/16/21)
AImpact世界、TNA世界ヘビー級統一王座戦:リッチ・スワン(Impact ch)(新チャンピオン!)vs.ムース(TNA ch)(Impact Wrestling Sacrifice 3/13/21)
Bジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(Impact Wrestling 4/15/21)
CXディビジョン王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:ジョシュ・アレキサンダーvs.TJP(1-1→サドンデス→2-1)(Before the Impact/Impact Wrestling 6/4/21)
Dジョシュ・アレキサンダーvs.鈴木みのる(Impact Wrestling 11/18/21)