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FIP:Fallout 10/11/08の分析


名勝負 #1コンテンダーズ・マッチ:エリック・スティーブンスvs.タイラー・ブラック
好勝負 なし

1枚約2時間30分です。

YRRがリングに現れアピール。
登場してきたジョーンズをリンチしリナウロは「お前なんかに挑戦させない」と言う。
そして心配しに出てきたオズボーンとオードイルに
「お前で戦え、俺を感心させたら挑戦させてやっても言い」という。
そういう訳でオズボーンとオードイルが戦うことに。

@ショーン・オズボーンvs.CJオードイル
 オードイルは自分の動きの鈍さが分かっているのでしょうか。
 明らかにスタイルが合っていません。
 あれならパワー・ファイターでやれば良いのに。
 オズボーンは良い動きでしたが
 ベビーなのに背後からの不意打ちを1回見せたのはいけないですね。
 少し悪い試合。

Aダーク・シティ・ファイト・クラブvs.ライフガーズ
 短い試合でしたけれども
 DCFCのタッグ力がしっかり出た内容でしたね。
 少し悪い試合。

Bチェイスン・ランスvs.ノーイ・リー
 攻防を見所にしている割には
 動きが崩れたり待ちが見えすぎですね。
 悪い試合。

Cダミエン・ウェイン、レックス・ スターリングvs.ブリティッシュ・ライオンズ
 ハートブレイク・エンタープライズのアピールから始まった試合。
 ライオンズは変わった動きを見せHEは腕攻めを見せるが
 どちらも粗くて今にも崩れそうなもろい内容です。
 悪い試合。

D#1コンテンダーズ・マッチ:エリック・スティーブンスvs.タイラー・ブラック
 エリック・スティーブンス。
 5年目でまだ今後のキャリアが長い選手です。
 でも言わせてください。
 この日のスティーブンスは100点です。
 相互に高めあう前にこれだけ充実した状態になっているのは
 選ばれた者が一生に一度経験するかどうか、それぐらいの物だと思います。

 レスリングと体格。
 最初のロープに押し込んだ状態からの離れ方、
 レスリングの運びからは、技をかけているというのは
 それ自体が力の鬩ぎ合いなのだという古典的な理念を継承している。
 そして現代においてこの器用さを見せる事ができ似合うのは
 スティーブンスぐらいのものでしょう。
 それは彼の丁度良い体格が影響しています。
 あれより大きく重いと相手の動き、そしてスティーブンス自身の動きも制限される部分が出てくる。
 その一歩手前最大限の所にスティーブンスはあるのです。

 打撃。
 これまでスティーブンスはチョップをメインとして使用していました。
 しかしここでは腹へのブローをメインとして使っている。
 その動きは理想的で重みが見事に伝わってきて
 (映画ロッキーばりの充実感)
 チョップと違って攻めへの一貫性に使えるという点も利用している。
 そしてこの変更にも関わらず、素晴らしいリズムを維持している。
 ストロングの弟子は今ここに卒業しました。

 怪物性。
 怪物のダメージ状態がどうあるべきか。
 怪物がどう動くべきか。
 そしてどう動けば一番輝くか。
 この3つを完璧に理解している。
 場外で柵などにぶつけられてリングに転がり込んだり
 カバーされた後起き上がるといった振る舞いから
 チョップの打ち合いに始まる一連の流れや
 脚をしっかり掴むと打ち上げてマットに叩きつける、といった攻防・切り返しまで。
 そして最後のラリアットの使い方・吼え方もですね。
 とにかく素晴らしかった。
 
 本当にFIPでの働きをROHでも見せれるなら
 スティーブンスはタイラーを抑えてでも次期ROH王者にするべき逸材ですよ。

 一方でそのタイラー。
 流石に今回ばかりはスティーブンスに見劣りするものの彼もまた素晴らしいですね。
 シンデレラ・ボーイとして開花しただけに怪物相手への対応ができています。
 どこで溜めを置いてどこで即座の動きに移らないといけないのか。
 また単純にセカンド・ロープからショルダー・タックルを受けた時の吹っ飛び具合も最高です。

 FIPの#1にランクされる名勝負です。
 ぎりぎり名勝負。

 YRRが現れリナウロが「俺に挑戦するに値する奴はない」と言う。
 そこにジョーンズが現れリナウロに襲い掛かる。
 しかしやっぱりリンチされエプロンから椅子に立てた柵へのパワー・ボムを食らってしまう。

EShimmer王座戦:ミスチーフ(ch)vs.レイン
 レインはMRC、ヒール色なし。
 時間が余りないのでこれで良かったですね。
 やや女子ならではの迫力の無さが気になりますが
 展開・攻防共に良かったです。
 平均レベル。

FFIP王座戦:潮崎豪(ch)vs.ロデリック・ストロング
 チョップを放つ様子を見せないので
 それぞれチョップを殺しあう展開になるのかと思いきや
 特に腕攻めをする訳でもなく軽い位置づけでチョップを出したりする。
 腕攻めをしたらしたでチョップの価値が上がるし
 チョップに頼らないでやろうという意図をどう表現したら分からなかったんでしょうね。
 難しい問題ですが何らかの彼らなりの答えが欲しかった。
 1回もチョップを使わない、というのでも良いから。
 それ故潮崎、ストロングといえばチョップという
 イメージの呪縛によって序盤の引き込む力が弱められた事は否めません。
 それでも両者の頑張りは評価に値します。
 このリングの使い方、場所の移動と介入のポイント。
 まさに潮崎はヒールとしての試合運びができていました。
 ストロングもそれを補佐。
 潮崎に主導を任せながらスリリングな攻防を演出しました。
 終盤の真っ向からのぶつかり合いは面白く
 それを毎度のHE乱入で単純にそれで終わらせなかったのも嬉しいですね。
 好勝負に届かずも中々良い試合。 

 試合後スティーブンスが現れHEを一掃。
 2人は接触しませんでしたが
 FIPでもこのタッグを見られるようになるのでしょうか。

Gタッグ王座戦:ケニー・キング、ジェイソン・ブレイド(ch)vs.ブリスコ・ブラザーズ
 ブリスコズがいきなりダイブに持っていくも
 YRRのペースに引き込まれて捕まる、という
 それぞれの挑戦者、王者という立場を反映した筋書き。
 それを見事に演じました。
 ジェイの孤立させ方は素晴らしく素直に盛り上がった。
 各ターニング・ポイントも捻ってあります。
 13分ぐらいでしたが、これはもっとロング・マッチが見たかったですね。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

 介入してタッグ王座防衛に一役買ったリナウロがアピールしていると
 ジョーンズが急襲し次の試合へ。

Hフロリダ・ヘリテイジ王座戦:サル・リナウロ(ch)vs.クリス・ジョーンズ
 ここまでしつこく振っておいてメインに抜擢されているので
 当然王座移動になる訳ですが
 チョップすらまともに打てないのにフィニッシュにドラゴン・ラナを選んで崩れるなんて
 ほんと勘弁して欲しいですね。
 こんなのの相手をしないといけないリナウロがかわいそうになる内容でした。
 少し悪い試合。

総評
 最後にあの試合を持ってきたのには不満ですが
 それでも締めにはなっているので見逃しましょう。
 FIPを代表するレスラーが外れなしの仕事をして名勝負も生まれた最高の大会です。
DVD Rating:★★★★☆

注目試合の詳細

D#1コンテンダーズ・マッチ:エリック・スティーブンスvs.タイラー・ブラック
  握手を交わす。
  スティーブンスがロープに押し込むもクリーンに離れる。
  レスリング。
  タイラーが前転から腕を取り返す。
  スティーブンスが前転から脚を取って倒しレッグ・ロック。
  脚にエルボー・ドロップを落としレッグ・ロック。
  タイラーがアーム・バーを狙う。
  スティーブンスは防ぐと力でクルーシーフィックスに持っていく。カウント2。
  仕切りなおし。
  スティーブンスがヘッド・ロック。
  ロープに振られショルダー・タックル。
  タイラーはロープににじり寄ってから起き上がる。
  タイラーが牽制の蹴り。
  脚を蹴りつけるとグラウンド・ヘッド・ロック。
  スティーブンスがグラウンド・ヘッド・シザースに返す。
  タイラーは倒立からヘッド・ロックに返す。
  スティーブンスは起き上がるとエルボーを入れヘッド・ロックに返す。
  ロープに振られショルダー・タックル。
  ロープに走る。
  リープ・フロッグにいったタイラーをキャッチしサモアン・ドロップ。
  タイラーを起こしてヘッド・バッド。
  背中を殴りつけて倒す。
  起こしてコーナーにもたれさせるとショルダー・ブロックを叩き込む。
  カバーするもカウント2。
  腹にパンチ。
  殴りつけて倒す。
  ロシアン・レッグ・スイープを決めるとそこからクルーシーフィックス。
  カウント2で返されるもすぐにサブミッション。
  タイラーが両肩がつくように持っていく。
  スティーブンスはカウント2で返すとすぐにアックスを落とす。
  頭部にエルボーを落とす。
  腹にパンチを叩き込んでいく。
  タイラーの喉に脚を押し当てる。
  ダウンしたタイラーがロープを使って蹴りつける。
  もう1発。
  スティーブンスはニー・アタックで黙らせる。
  カバーするもカウント2。
  エルボー・ドロップから変形キャメル・クラッチ。
  タイラーがロープを掴む。
  ロープにもたれさせてチョップ。
  ロープに振ろうとする。
  タイラーが振り返しドロップ・キックへ。
  ロープを掴んで止まったのを見るやそのまま一回転して着地しクローズラインで落とす。
  逆上がりで戻る。
  場外に下りるとスティーブンスを殴りつけエプロンにぶつける。
  柵にぶつける。
  胸にチョップ。
  エプロンにぶつける。
  スティーブンスがリングに転がり込む。
  タイラーは後を追ってリングに入るとスナップ・メアから胸に蹴りを入れる。
  カバーするもカウント2。
  起こして殴りつける。
  スティーブンスが腹にパンチを入れる。
  タイラーはバック・エルボーで黙らせるともう1発バック・エルボー。
  コーナーに振るとすぐに後を追いクローズライン。
  ブロンコ・バスターからカバー。カウント2。
  スティーブンスは起き上がると近づいてきたタイラーに蹴り。
  タイラーは殴りつけるとチョップ。
  スティーブンスが打ち返す。
  チョップの打ち合い。
  タイラーがサミング。
  バック・ドロップを決めカバー。カウント2。
  殴りつけて片膝をつかせると反対側のコーナーへ。
  脚を踏み鳴らし突進。
  スティーブンスはカウンターで蹴りを入れるとコーナーに座る。
  タイラーがペイレイ・キックで蹴り落とす。
  そしてトペ・コンヒーロで追撃する。
  リングに戻すとスプリングボード式クローズライン。
  カバーするもカウント2。
  タイラーは脚を踏み鳴らすとランニング・エルボー。
  コーナーに振ろうとする。
  振り返されコーナーを使ってヘッド・シザースを狙う。
  スティーブンスは首に巻きついてきた脚をしっかり掴むと打ち上げてマットに叩きつける。
  続けてセカンド・ロープからショルダー・タックル。
  カバーするもカウントは2。
  タイラーをコーナーにぶつけると反対側のコーナーへ。
  脚を踏み鳴らしスプラッシュへ。
  タイラーは避けて自爆させると担ぎ上げる。
  スティーブンスはエルボーを入れて逃れるとバックを取る。
  ジャーマンを狙う。
  タイラーはエルボーを入れて逃れるとロープに走る。
  スティーブンスは持ち上げて担ぐとパワー・スラム。カウントは2。
  タイラーを起こそうとする。
  タイラーが不意を付いてジョー・ブリーカー。
  ロープに走る。
  スティーブンスがカウンターでキッチン・シンク。
  ベリー・トゥー・ベリーで投げ捨てると脚を踏み鳴らしスプラッシュ。
  ロープに走りラリアットへ。
  タイラーは避けるとロープに走る。
  スティーブンスがショルダー・スルーを狙う。
  タイラーがサンセット・フリップを狙う。
  スティーブンスが逃れて寝転がっているタイラーを一気に持ち上げる。
  担ぐとTKO。
  カバーするもカウントは2。
  アピールするとロープに走る。
  ラリアットへ。
  タイラーは避けると同時に腕に巻きついて体勢を変えるとコーナーへのパワー・ボム。
  ロープに走る。
  スティーブンスがカウンターでラリアット。
  カバーするもカウントは2。
  首をかっきるポーズ。
  タイラーを起こすそうとする。
  タイラーが不意をついてスクール・ボーイ。
  カウント2で返されるもすぐに側頭部を蹴りつける。
  ロープに走りビッグ・ブーツ。
  スティーブンスは耐えて吼えるとロープに走りラリアットへ。
  タイラーは受け止めて担ぎ上げるとフェイス・バスター。
  スーパー・キックにつなげるもカウントは2。
  ならばとゴッド・ラスト・ギフトにつなげ1,2,3!
  タイラーの勝利!

試合結果

@ショーン・オズボーンvs.CJオードイル
Aダーク・シティ・ファイト・クラブvs.ライフガーズ
Bチェイスン・ランスvs.ノーイ・リー
Cダミエン・ウェイン、レックス・ スターリングvs.ブリティッシュ・ライオンズ
D#1コンテンダーズ・マッチ:エリック・スティーブンスvs.タイラー・ブラック
EShimmer王座戦:ミスチーフ(ch)vs.レイン
FFIP王座戦:潮崎豪(ch)vs.ロデリック・ストロング
Gタッグ王座戦:ケニー・キング、ジェイソン・ブレイド(ch)vs.ブリスコ・ブラザーズ
Hフロリダ・ヘリテイジ王座戦:サル・リナウロ(ch)vs.クリス・ジョーンズ(新チャンピオン!)