TOPアメリカン・プロレスどインディー →IPW:Super Junior Heavyweight Tournament 11/6/10

IPW:Super Junior Heavyweight Tournament 11/6/10の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

2枚、2時間15分です。

@1回戦:リコシェvs.アーロン・エクストリーム
 リコシェは現王者としての貫禄を見せ付けます。
 技はスケールが大きく見えるように工夫しているし、
 ロープ・ワークも陰影をつけている。
 更には技と技の間に見せるキャラ見せも面白い。
 少々やられ方がわざとらしかったですが、
 それはアーロンの攻めが不十分なせいでもあるし大きな問題ではない。
 アーロンは技が半身になっていたりはするが一応スピードにはのれる選手で、
 まずリコシェの魅力を伝えるという点ではオープニングとして十分な内容となりました。
 平均レベル。

A1回戦:スコッティ・ヴォルテックスvs.ジェレミー・ハードレー
 他より地位の高いスコッティがゆとりを持ち、
 ジェレミーが不満屋なヒールを演じる形ではまっている。
 ジェレミーは観客を煽る時にもう少し調整を利かせた方が良いですけど
 観客、相手のスコッティへの注意の払い方に関しては比較的バランスが良い。
 ハードな蹴りで退屈させず終盤の攻防の加速も見応えあり。
 正統なハード・ヒッティングならスコッティはちゃんと試合を作れるんだ、と再認識させる内容。
 平均より少し上。

B1回戦:クリスジャン・ヘイムvs.ビリー・ロック
 決して奇を衒ってはいない内容。
 レスリングの要素による心地よい関係性から
 軽量級としてのスピード、切り返しあいを生み出しています。
 欲を言えばもう少し個性を感じさせるシーンが欲しい。
 平均より少し上。

C1回戦:ジェイク・クリストvs.ARフォックス
 クリストも上手くなったねぇ。
 フォックスの特性をしっかり見極め、
 その1ムーブの反撃のために流れを作って、その後は厳しく黙らせる。
 フォックスがトペコンを避けられるも着地し鉄柱を使ってのサマースルト・ムーンサルトを決めたのが印象的。
 後半は10分という試合時間のために綺麗に収めたという感じで、
 もう少し長くなったときにどういう試合に持って行ったかは興味を抱く所。
 まあまあ良い試合でした。

D1回戦:カイル・オライリーvs.ダスティン・レイズ
 余り手数に走らず打撃やサブミッションを前面に出した内容です。
 ダスティンが他と色分けできる程の個性を持っていないために
 必然的にそうならざるを得なかった世界観にも見えますが、
 特筆すべき良さこそないものの世界観に沿ってそつのない仕事を両者しました。
 平均レベル。

E1回戦:テレク・ザ・レジェンドvs.デイブ・クリスト
 デイブの巧みな切り返しは見られなかったものの
 最初のレスリングは平々凡々としながらも重みがある。
 場外を使い始めるとデイブの本領発揮。
 良く相手が見えていて余裕を持ちながら
 場外も交えた独創的なムーブ・スポットに持っていく。
 これに対しテレクは場外乱戦に持ち込むとIWA-MS出身者ならではのハード・ヒッティング。
 ひな壇でのフィッシャーマンズ・スープレックスなんて無茶な技もありました。
 リングに戻ってからは大技一発一発で鬩ぎあい。
 お互いの魅力を発揮、それを融合させ激戦まで持っていった予想以上の内容でした。
 中々良い試合。 
 
F準決勝:カイル・オライリーvs.ジェイク・クリストvs.クリスジェン・ヘイム
 2人に目をつけられたオライリーが連鎖ドラスクを決める事で
 すぐに一人がはけた状態になり、その後は基本1対1でつないでいく形。
 3ウェイとしては特に高度な所はなかったものの
 流石に準決勝に上がってきただけ合って
 リングに集中させるだけの見せ場は生んでいる。
 ジェイクとオライリーが若干合っていなかったですね。
 平均より少し上。

G準決勝:リコシェvs.スコッティ・ヴォルテックスvs.テレク・ザ・ジャイアント
 やはりIWA−MSの血がそうさせるのか
 こちらは3ウェイの妙と言うべきスポットや3人目に対する気遣いが見られる。
 3人全員が認識するまでの時間稼ぎは若干あるし、
 リコシェは自分のキャラを織り交ぜようとしてナチュラルさ失っていたりと
 後半の完成度はやや落ちるが、まあまあ良い試合。

H#1コンテンダーズ・マッチ:ジェシー・エマーソンvs.ジミー・ジェイコブス
 王者モクスリーに挑戦する選手を決める試合。
 エマーソンはどこかライアン・ボズを思い出させるような体が大きい選手です。
 しかし比較的器用で、技は体だけに頼っていないし、機動力も結構ある。
 それを利用してジェイコブスはロープ・ワークを上手く多用してスタート。
 ベテランとして自分の位置づけを明確にしながら
 相手の体格の大きさというメリットは損なわないようバランス良くこなしています。
 地に足がついた内容。
 まあまあ良い試合です。

I決勝:リコシェvs.カイル・オライリー
 まずはじっくりグラウンド。
 オライリーのサブミッションに対して
 リコシェがリアクション取って引き立てるんだけど
 それだけでなくしたたかに切り返して対応しているのが良いですね。
 決勝らしくそれぞれダイブが未遂に終わりながら中盤へ。
 オライリーはチョップを避けられて鉄柱に誤爆しましたが、
 リコシェに伝えきれずミスした上、そもそも手を怪我した所でその後活かせない訳で利用されず。
 まだまだシングルでリードできるには至ってないですね。
 しかしリコシェがしっかりと印象に残しながら試合を運んでいきます。
 蹴り合いから終盤に突入すると
 オライリーのラリアットのようなパワフルな技、MMAのグラウンド技
 リコシェの変化球で放つハイ・フライが上手く織り交ざった攻防で魅せました。
 しっかりMOTN達成してきた、好勝負に届かずも中々良い試合。

総評
 この面子でこれだけクオリティを残せば普通に成功といって良い。
 00年代初期のインディーの芽吹きを思い出しますね。
DVD Rating:★★★☆☆
(執筆日:9/21/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@1回戦:リコシェvs.アーロン・エクストリーム
A1回戦:スコッティ・ヴォルテックスvs.ジェレミー・ハードレー
B1回戦:クリスジャン・ヘイムvs.ビリー・ロック
C1回戦:ジェイク・クリストvs.ARフォックス
D1回戦:カイル・オライリーvs.ダスティン・レイズ
E1回戦:テレク・ザ・レジェンドvs.デイブ・クリスト
F準決勝:カイル・オライリーvs.ジェイク・クリストvs.クリスジェン・ヘイム
G準決勝:リコシェvs.スコッティ・ヴォルテックスvs.テレク・ザ・ジャイアント
H#1コンテンダーズ・マッチ:ジェシー・エマーソンvs.ジミー・ジェイコブス
I決勝:リコシェ(優勝!)vs.カイル・オライリー