TOPアメリカン・プロレスAEW 2020年 →AEW:Double or Nothing 5/30/21

AEW:Double or Nothing 5/30/21の分析


名勝負 なし
好勝負 NWA世界女性王座戦:セリーナ・ディーブ(ch)vs.リホ

アダム・ペイジvs.ブライアン・ケイジ

タッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.エディ・キングストン、ジョン・モクスリー

AEW世界王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.オレンジ・キャシディーvs.Pac

コロナ禍後、初めて人数に制限をかけず会場を満員の状態で迎え入れる大会。

①NWA世界女性王座戦:セリーナ・ディーブ(ch)vs.リホ
 セリーナのアッパーカートの美しさといったら。
 全身を使ったしなやかで鋭いムーブ。

 受けにあたってもその体勢の表現は芸術的です。

 りほも躍動し最高クラスの攻防です。

 会場の風と声を楽しむセリーナは
 まさに世界の中心にいる、といって良い。

 りほも素直な反応で展開として広がりを抑え気味なものの
 一つ一つのムーブで注目を集め続けます。

 切り返しの妙が光り、セリーナの足サブミッションで完璧なまとめ方を見せていました。

 重ね重ねセリーナは尋常ならざるレベルで今、世界が見えている。
 このオールタイム・ベストのレベルに到達した彼女には
 世界の精鋭との試合をどんどん組んで欲しいですね。

 文句なしに好勝負。

①アダム・ペイジvs.ブライアン・ケイジ
 ペイジがハード・ヒットとハイ・フライ。
 ケイジはパワーとタフ・アーマー。

 見事に噛み合わせて最初からインパクト大の出だしです。

 落ち着かせても適切なアピールで熱を逃しません。

 両者の会場人気も良い感じに高まっていますね。

 少し表面的な攻防だったことは確かですが、
 このカードがそのまま数年後王座戦としてメインに据えられても何らおかしくないと思わせます。

 クライマックスもハイ・インパクトなスポットが多く、最高のオープナーとして会場を盛り上げました。

 ぎりぎり好勝負。

②タッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.エディ・キングストン、ジョン・モクスリー
 モクスリーらが殴りかかりカオスな乱戦でスタート。
 
 バックスのアピール力は流石ですね。
 アクションを見せなくても会場を巻き込む力があります。
 
 ただタッグの構造としてはいつも程ではありません。

 モクスリーらがスター性で勝負できるから、というのもあるでしょうし、
 タッグの孤立シーン等王道の要素に依拠せざるを得ない⑥への配慮も多分にあったでしょう。

 しかしその状況でもここまでクオリティを高めてくるとは。

 グッド・ブラザーズ、カザリアンの乱入からシフト・チェンジすると
 モクスリーが流血してドラマチックな展開に。

 モクスリー、キングストンのCZWタッグのユニークさを堪能しつつも
 バックスの妙技に酔いしれることができる一戦です。
 
 ぎりぎり好勝負。

③カジノ・バトル・ロイヤル
④コーディ・ローデスvs.ランス・アーチャー

⑤女性世界王座戦:ヒカル・シダ(ch)vs.ドクター・ブリット・ベイカーDMD
 抑え目ながらぐっと引きつけて期待感を作り出します。
 シダの芯の強さを見せつつ、
 ベイカーのコントロール力も光り一進一退。

 ベイカーはvs.ローサを経てナチュラルに生まれたスターで、
 一つ一つの絵姿も様になっていますが、
 アクションとしてはまだ心もとなさもありますね。

 丁寧な積み重ねと終盤のセコンド絡みの演出で、
 しっかりとバトンを引き継ぎましたが、
 これから王者としてやっていくには技のインパクトの面で
 成長していく必要がありそうです。

 中々良い試合でした。

⑥ダービー・アレン、スティングvs.イーサン・ペイジ、スコーピオ・スカイ
 スティングはWCW時代から相手の技を耐えてマッスル・ポーズすることもありましたが、
 この試合ではスタイルとしてタフ・アーマー要素を取り入れて
 年齢の衰えを隠しつつキャラを先鋭化させています。

 身を削るファイトを見せるアレンとのタッグは
 双方を輝かせていて本当に良い組み合わせだなと思わせます。
 このカードを最初見た時にスティングはシネマティック・プロレスだけで良い、と
 思ってしまったことを申し訳ない思うレベルです。

 スカイはキレの良い動きで応戦し、
 ペイジはコミカルな表情作りの他、セコンドとしての振る舞いも見事でした。

 スティングの為に単純な試合構造になっていることは否めないものの
 ただ、それは必ずしも3人が犠牲になっているということではなくて
 それぞれ最高に個性を輝かせているし、
 スティングもコンディションをベストに仕上げてくることで責務を果たしました。

 団体含めて5者で作り上げた心地よい時間でした。

 好勝負に少し届かず。

⑦AEW世界王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.オレンジ・キャシディーvs.Pac
 パックは真っ向勝負を挑むスタイルに対し、
 オレンジは無気力?な読めないスタイルですから
 両極端な硬軟が織り交ぜられた攻防になっていますね。

 じっくりとそれぞれの立場から3ウェイをコンスタントに混ぜていきます。
 圧倒こそされないものの、その上質さは流石団体の名を冠する王座戦だな、という視聴感。

 後半もオメガのハードな技嗜好で上がったかと思った次の瞬間、
 オレンジのポケット・ネタが攻防の論理に組み込まれていたり、
 オレンジがふらついているだけなのに
 オメガとPacの攻防に巻き込まれチェーンしたりと
 自由自在に観るものを翻弄していきます。

 この感覚は普通の3ウェイでは中々味わえないですね。

 クライマックスはオレンジがそれまで秘めていた感情と身振りを解禁し爆発。
 オメガもドンの介入に加えて3本のベルト(AEW/AAA/Impact)を使うという
 今後も定番化できそうな素晴らしいネタで盛り上げ締めくくりました。

 文句なしに好勝負。

・マーク・ヘンリーが実況として加入が発表される。

⑧スタジアム・スタンピード:インナー・サークル(クリス・ジェリコ、ジェイク・ヘイガー、サンタナ、オーティズ、サミー・ゲヴァラ)vs.ピナクル(MJF、キャッシュ・ウィーラー、ダックス・ハーウッド、ショーン・スピアーズ、ワードロウ)
 再びのスタジアム・スタンピード。

 MJFが簡潔で見事なプロモを見せてリムジンで入場。
 インナー・サークルは上空から下降するスケールの大きな登場シーンで最高の出だしを見せます。

 MJFとジェリコは2人共役者で見ていて実に楽しいし、
 他の攻防もバックステージの中の冷凍庫を戦場にしたり
 椅子の保管庫(あってしかるべき場所とはいえ映像として圧巻!)で戦ったり、
 ユーモアとアイディアはお見事というしかありません。

 ただ今回の致命的な問題は1on1のシーンを分断せずに繋いで構成した為に
 多重乱闘感がなく、折角これほど大きな舞台装置を用意した甲斐がないことですね。
 
 ジェリコとMJFのバルコニー席でのテーブル葬、
 ゲヴァラとスピアーズの攻防も良かったものの
 ブラッド&ガッツを経てのPPVということを考えると最後の絵としては弱い。

 せめてクライマックスで全員がリングに集結していれば。
 決着後では遅いですね。

 クオリティ自体は少し勿体ない結果になってしまいましたが、
 他にない形式で十分な満足感があります。

 これほどまでにあらゆるジャンルの好勝負が1大会で続けて観れた上に
 AEWでは毎年スタジアム・スタンピードを観れそうだ、ということが最後に落とし込まれる、なんて完璧。

 好勝負に少し届かず。

 (執筆日:6/?/21)

Rating:★★★★★

注目試合の詳細

なし

試合結果

①NWA世界女性王座戦:セリーナ・ディーブ(ch)vs.リホ
アダム・ペイジvs.ブライアン・ケイジ
②タッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.エディ・キングストン、ジョン・モクスリー
③カジノ・バトル・ロイヤル(勝者:ジャングル・ボーイ)
コーディ・ローデスvs.ランス・アーチャー
⑤女性世界王座戦:ヒカル・シダ(ch)vs.ドクター・ブリット・ベイカーDMD(新チャンピオン!)
ダービー・アレン、スティングvs.イーサン・ペイジ、スコーピオ・スカイ
⑦AEW世界王座戦:ケニー・オメガ(ch)vs.オレンジ・キャシディーvs.Pac
⑧スタジアム・スタンピード:インナー・サークル(クリス・ジェリコ、ジェイク・ヘイガー、サンタナ、オーティズ、サミー・ゲヴァラ)vs.ピナクル(MJF、キャッシュ・ウィーラー、ダックス・ハーウッド、ショーン・スピアーズ、ワードロウ)