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50-60年代のプロレス:Best of NWA 1952の分析


名勝負 NWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(1/25/52)
好勝負 3本勝負:バーン・ガニアvs.ハンス・シュミット(10/10/52)

①NWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(1/25/52)
 テクニシャン対決。
 フェイス対決は淡泊になりがちな中で
 テーズが最高のストーリー・テリングを見せてくれましたね。

 自分の領域であるレスリングで
 ガニアが思わぬ奮闘を見せたことで
 テーズは冷静さを失うと共に、
 その勢いに押され弱々しい姿も見せます。
 
 最強のテーズのこの表現も素晴らしかったし、
 それをさせるだけのものがガニアにありました。
 単なる仕掛け、見せ方だけではこの説得力は出せませんね。
 ガニアのベーシック・スキルがテーズに比類するレベルだからこそ。

 テーズが見事なバック・ドロップで一発逆転し1本。

 2本目はガニアが打撃モード解禁。
 ガニアのアスリートしての熱量に
 テーズは今度はスカして見せたり、
 ロープに押し込んで裏技でレフェリーに見えないよう
 バック・エルボーを叩き込んで場外に落とします。

 キャリア差も構図に組み込んだアクセント。
 心理戦、試合構成、ストーリー性が
 当年代の試合の中で桁違いに豊かですね。

 これに対してガニアは翻弄されるばかりではなく
 ならばと対抗して裏技を放ち、
 ローリング・クレイドル等美しい技の協奏。

 技のどれもが一撃必殺レベルの見せ方になっていて圧倒されます。
 ガニアがパワー・スラムからスリーパーで追いつきます。

 3本目。
 お互い慎重に間合いを取りつつ最後の攻防へ。
 ガニアがロープ際でヘッド・ロックをかけると
 中央に引きずりよせスリーパー。
 これはこの試合の中でも屈指の名場面でしたね。

 新王者誕生の予感を感じさせつつ最後まで盛り上げきりました。

 オールド・スクールながら
 全く退屈しない60分間でした。

 文句なしに名勝負。
 (執筆日:5/?/20)

②NWA世界ヘビー級王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.ビル・ロンソン(6/17/52)
 オールド・スクールなレスリングな中に
 ロビンソンがヒールとして荒々しい要素をミックス。

 テーズがインターバルの中で仕草で魅せたりと
 緊張感もある良い攻防でしたね。

 テーズがやり返しビルが怒って詰めた時の鋭い翻し。
 ストーリー・テリングでありながら本物が見える一瞬でしたね。

 2本目は落ち着かせた後、打撃戦でギアを上げ、
 テーズがエプロンのビルにドロップ・キックを狙うも半分かわされ自爆。
 アクシデントをついてビルがパイル・ドライバー二発決めフィニッシュ。
 スポット自体はややわかりづらかったが
 絶対王者がピンチになるにふさわしい流れでしたね。

 ただ3本目がすぐにテーズが怒りのドロップ・キック連打。
 無駄に長引かせなくても良いが
 3本目そのままロビンソンに押し切られるのではと煽ってもらえると
 構成、流れとしてより魅力的に映っただけに勿体なかった。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:3/?/23)

③3本勝負:バーン・ガニアvs.ハンス・シュミット(10/10/52)
 ガニアの正統派レスリングに対し、
 シュミットがヒールとして良い働きを見せていますね。

 小狡いヒール・プレイ、不平を言う仕草でヒートを買い、
 大ぶりの荒々しい打撃で獰猛さを強調し、
 レスリングではポジションで地力を感じさせています。

 ガニアも殴られれば黙っておらず殴りまくって
 50年代には珍しい程激しい喧嘩ファイトのシーンもありましたね。

 それぞれの得意技が際立った使い方がされて迎えた3本目。
 シュミットがガニアを場外に追い出してリングアウトを狙ったり、
 ロープに首を絡めて締め上げたりと
 更に絵作りをしてきたのには驚きました。

 充実の一戦でしたが、
 最後シュミットの腕蹴り上げが何故反則だったのかだけ分からない。

 ぎりぎり好勝負。
 
 (執筆日:5/?/20)

注目試合の詳細

なし

試合結果

①NWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.バーン・ガニア(1-1)(60分時間切れ)(1/25/52)
②NWA世界ヘビー級王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.ビル・ロンソン(2-1)(6/17/52)
③3本勝負:バーン・ガニアvs.ハンス・シュミット(2-1)(DQ)(10/10/52)