TOP他大陸のプロレスWXW →WXW:16 Carat Gold Day Two 3/8/08

WXW:16 Carat Gold Day Two 3/8/08の分析


名勝負 なし
好勝負 ワールド・オブ・スポーツ・マッチ:マイク・クァッケンブッシュvs.ジョニー・セイント

3枚組み3時間25分です。

@クリス・ヒーローvs.エミル・シトッチ
 前夜と同じくヒーローが脚攻めを受ける展開。
 脚攻めをすぐに始めましたが
 流石にシトッチともなると適度な使用具合を分かっていて退屈になることもありませんでした。
 まあまあ良い試合でした。 

Aダグ・ウィリアムス、マーティン・ストーンvs.アブソリュート・アンディ、PCO
 決して悪くは無かったのですが
 特に良い所もないまま長々とやっている感じで・・・
 悪くない試合。

Bバッド・ボーンズvs.エル・ジェネリコ
 前年の再戦ですが・・・
 ボーンズがベビーになっているようで
 捕食者・被捕食者というキャラクター・レスリングができない・・・。
 これは致命的でした。
 一応見所はあるものの完全に見劣りする内容に。
 平均レベル。

 Noahとの合同興行で小橋が来独する事が発表される。

C2回戦:アーレスvs.トミー・エンド
時々ですけどアーレスは上手く観客をのせて
 試合を構築しているな、と思うことがありますね。
 前年3分で破っている相手ながら今回は試合時間を大幅に延ばして構築しています。
 平均レベル。

Dアダム・ポラック、ジミー・ジェイコブス、チャック・テイラーvs.石森太二、ビッグ・ヴァン・ウォルター、マーク・スレイター
 経験1年の新人スレイターが前夜に続き醜態をさらしますが
 石森とジェイコブスが絡んだりするので楽しめなくは無い。
 少し悪い試合。

E2回戦:ブライアン・ダニエルソンvs.丸藤正道
 ROHでもそこまで凄い一戦にはなりませんでしたが
 この試合も同じく。
 なぜかと考えるにまず両者のスタンスの違いでしょう。
 同じ緩急をつけるにしろアメドラは静に、
 丸藤は動に基点があります。
 そういやこれはvs.AJにも言えますね。
 という事はAJvs.丸藤がとんでもない試合になりそうですが・・・
 それはさておき、他には
 両者のベビー/ヒール表現にあります。
 丸藤の方は基本ムーブに両足で頭部を踏みつける技などがありますが
 これはヒール・プレイなのかと観客が戸惑っています。
 もう一方のアメドラは決勝に向けて
 ヒール・モードを徐々に高めていく、という狙いがあるのですけど
 前の試合では中身が技巧的過ぎたため
 わずかに見せたヒール・プレイがそう受け取られず
 実質ベビーという反応でしたので
 この試合では、前夜と一転してヒールなのか?、とこれまた観客が迷っています。
 ついでにフィニッシュはその狙いのためにチープ・フィニッシュという選択となりました。
 しかしながら両者お互いを意識して
 同じ事をやり返すという王道的展開や
 この2人ならではだな、という攻防等見所はあり
 中々良い試合ではありました。

Fワールド・オブ・スポーツ・マッチ:マイク・クァッケンブッシュvs.ジョニー・セイント
 今でもイギリスはプロレス人気の高い国ですが
 団体・レスラーに関しては廃れていて
 伝統の英国スタイルを引継ぎし者はほとんどいません。
 そんな現状に危惧を抱いたのか
 12年前に引退(みちのくプロレスにて)していたジョニー・セイントが奇跡のカム・バック。
 さてこのジョニー・セイントなる人物はいかなるレスラーか。
 60、70年代、イギリスのワールド・オブ・スポーツ(J-Sportsみたいなものですね)の
 レスリング番組を中心に活躍し
 その天才的なレスリング・テクで何度もライト級王座についた人物です。
 そう、もうお気づきですね。
 セイントは65歳にもなるおじいちゃんです。
 そんな老人に何ができるのかと思われるかもしれませんが
英国の伝統スタイルはひたすらサブミッションをかけあう様式ですし
 魔術師の異名を持つ男は伊達じゃありません。
 ゴングが鳴れば奇術師クァック、これは私が勝手に言ってるだけですが、
 とレスリングという名の魔法の時間をもたらしてくれます。
 単純なリスト・ロックにしてもこう返すか、今度はそう返してくるか、と
 予想もつかない切り返しを見せます。
 まさに両者ともマスター・オブ・サウザント・ホールドと呼ぶにふさわしい。
 コーナー上から飛ぶ(not飛び技)、ロープに振るという行為が
 ハイエスト・スポットとして成立するような一戦が
 現代において実現するとは思いもしませんでした。
 ぎりぎり好勝負。
 今回のトーナメントにおける最大の収穫です。
 This is Wrestling!

 補記:
 見る前にルールを理解しておいた方が良いと思うので記しておきます。
 5Rで1Rの試合時間は5分(ここら辺は昔と若干違いますね)。
 KO、TKOもしくはフォールorカウントアウト2本取られたら決着です。
 DVDのテロップが3Rなのに2Rと出たりして紛らわしいので注意。

GWXW王座戦、リラックスド・ルールズ:アレックス・ペイン(ch)vs.スティーブ・ダグラス
 抗争プロモや入場曲まで収録されている辺りに
 気合の入りようが見えます。
 さて試合は場外で投げたり椅子やテーブルの使用、
 ポールを利用したスポット、とハード・バンプの連続。
 これで実力の足りない部分を補い
 メインにふさわしい壮絶な試合になっていたと思います。
 しかし前の試合が前の試合だけにごまかし感は強いですね。
 まあまあ良い試合。

総評
 アメドラvs.丸藤がそれ程期待してなかったとはいえ
 凄い試合にならなかったのは痛いですが
 Fという素晴らしい試合(まあ万人向けかと聞かれたら困りますが)が生まれ十分にカバーしました。
 この日も良い大会だったと言えます。
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

E2回戦:ブライアン・ダニエルソンvs.丸藤正道
  四つに組んで押し合う。
  アメドラがモンキー・フリップを決める。
  ストラングル・ホールドの攻防から腕の取り合いへ。
  アメドラがブリッジから腕を払いドロップ・キック。
  丸藤が同じように側転から腕を払いドロップ・キック。
  ロープ・ワークからアメドラがドロップ・キックを放つ。
  丸藤が避けドロップ・キックを放つも避けられる。
  同時にドロップ・キックを放ち仕切り直し。
  丸藤が場外へのショルダー・スルーを狙う。
  アメドラはエプロンに着地しスリーパー。
  丸藤は逃れると場外へのサンセット・フリップ・パワー・ボムを狙う。
  アメドラはロープを掴み腕を蹴りつけて逃れる。
  場外でのブレーン・バスターを狙う。
  丸藤が逆に持ち上げエプロンに脳天から落とす。
  リングに戻しカバー。カウント2。
  攻めて行きグラウンド・サブミッションに捕らえる。
  アメドラがサミング。
  アッパーカートとチョップの打ち合い。
  丸藤は打ち勝つとコーナーにうずくまるアメドラの喉を踏みつける。
  アメドラがカウンターでキッチン・シンク。
  ロメロ・スペシャルなど腰を中心に攻める。
  コーナーの丸藤は突進してきたアメドラに蹴りを入れると延髄切り。
  同ロープ走りのアックス・ボンバーからカバーするもカウント2。
  クロス・アーム・ジャーマンもカウント2。
  コーナーのアメドラがカウンターで蹴りを入れニー・ストライク。
  カバーするもカウント2。
  アッパーカートからローリング・フォア・アームズへ。
  丸藤が避けバック・スライドへ。
  丸め込み合戦から丸藤がスーパー・キックを放つ。
  アメドラは避けるとチキン・ウィング・クロス・フェイス。
  丸藤が崩れ落ちた所でエルボー連打しキャトル・ミューティレーションを狙う。
  丸藤が決まる前にロープに脚をかける。
  アメドラはロックを離さずタイガー・スープレックスへ。
  丸藤は着地するとスピン・キックからコーナーに振る。
  アメドラはコーナーを使って一回転し裏に回るとスピン・キック。
  ロープに走る。
  丸藤が同ロープ走りのアックス・ボンバーへ。
  アメドラは避けるとジャーマン。カウント2。
  チョップとアッパーカートの打ち合い。
  丸藤がスーパー・キック。
  アメドラが耐えローリング・フォア・アームズへ。
  丸藤はバック・スライドでかがませてからスーパー・キック。
  カバーするもカウント2。
  ならばと不知火へ。
  アメドラは丸藤を逆さ吊りにすると顔面へのドロップ・キック。
  そして雪崩式バック・ドロップへ。
  丸藤は逃れるとアメドラを逆さ吊りにしコーナー・トゥー・コーナーのスプリングボード式ドロップ・キック。
  カバーするもカウント2。
  不知火へ。
  防がれ着地するとスーパー・キックへ。
  アメドラはレフェリーを盾にして丸藤の動きを止めると
  隙を突いてのスモール・パッケージで1,2,3!
  アメドラの勝利!
 

Fワールド・オブ・スポーツ・マッチ:マイク・クァッケンブッシュvs.ジョニー・セイント
  ラウンド1。
  セイントがヘッド・ロック。
  クァックがリスト・ロックに返す。
  セイントがブリッジから取り返しグラウンドに持っていく。
  両肩を押さえカバーに持っていく。
  カウント2で返され離れる。
  クァックがリスト・ロック。
  セイントは相手に背を向けると腕に脚をかけ取り返す。
  続けて脚を取りハーフ・ボストン・クラブ。
  レッグ・ロックへ。
  クァックが体を反転しリスト・ロック。
  セイントはかがむと相手の両脚を広げて腕を取り返す。
  続けてフルネルソン。
  クァックは両手で自分の足を掴みロックを外すとアーム・ロック。 
  セイントがかがんで反転し取り返す。
  クァックが跳び起きて取り返す。
  セイントがグラウンド・ヘッド・シザースに返す。
  クァックは後転して逃れるとレッグ・ロックを決める。
  その状態で両手を取り押し込む。  
  セイントは押し返すと脚のロックを外し立ち上がる。
  後転しダブル・リスト・ロック。
  ここで5分が経ちラウンド1が終了となる。

  ラウンド2。
  クァックはセイントを倒すと再びレッグ・ロックから両肩を押し込む。
  何回押し込んでもセイントが簡単にカウント2で返していく。
  切り替えされる前にアンクル・ロックに変える。
  セイントは起き上がるとモンキー・フリップ。
  セイントがアブナミドル・ストレッチ。
  クァックがフロント・ヘッド・ロックに返す。
  セイントはリスト・ロックに切り返すと腕へのレッグ・ドロップでカバー。カウント2。
  攻めきれないと見て一旦離れる。
  クァックがリスト・ロック。
  セイントは自分の方に持って行き空間を作りリスト・ロックに返す。
  倒すと手を掴んで押し込む。カウント2。
  起き上がらせるとサンセット・フリップへ。
  クァックがカウント2で返すと共にカバー。
  カウント2で返されるやフロント・ヘッド・ロック。
  セイントがリスト・ロックに返す。
  回転してマットに叩きつける。
  クァックはブリッジで起き上がるとリストを取って倒しボディ・シザース。
  セイントが後ろに押し込む。
  カウント2で返されるもその隙を突いて体を反転させる。
  ボディ・シザースを食らったままクァックにフロント・ヘッド・ロック。
  抱えた状態からボディ・スラムに持っていくが、ここでラウンド2が終了。
  
  ラウンド3。
  セイントが腰折り。
  クァックは体を起こすと複雑なサブミッション。
  そのままカバーに持っていく。 
  カウント2で返されるもロックを外さない。
  セイントはロックを外していき後転して逃れる。
  クァックを引き寄せるとロープに振る。
  リープ・フロッグからモンキー・フリップを狙う。
  クァックがロープを掴んで止まるのを見るやそのまま丸まってクァックを誘う。
  のってきたクァックを引きずり込みカバー。
  クァックがカウント2で返し突進。
  セイントは四つん這いになってクァックの脚に引っ掛けると
  股の間から両肩を押し込んでカバーし1,2,3!
  セイントが1本先取(1分30秒)!

  ラウンド4。
  セイントがバック・サイド・ヘッド・ロック。
  クァックがクロス・フェイス・チキン・ウィングに返す。
  セイントは崩れるも体を回転させリスト・ロックに返す、
  脚を取り引っ張る。
  クァックが脚を取りに行く。
  セイントは脚をクァックの頭部にかけ叩きつける。
  セイントがスナップ・メアからアーム・ロック。
  クルーシーフィックスへ。
  クァックはカウント2で返すとスリーパー。
  起き上がった所でクラバートへ。
  セイントは足で押し込みクァックに膝をつかせると回転してリスト・ロックに返す。
  チン・ロックから両膝を腰に押し当てる。
  クァックはロックを外すとうつぶせにさせ両手を取って丸め込み。
  カウント2で返されるや覆いかぶさりカバー。
  何度カバーしてもセイントの腕がするりと上がる。
  クァックは離れて起き上がらせる。
  セイントがフルネルソン。
  クァックがフルネルソンに返す。
  セイントは屈伸でロックを外そうとするも無理。
  ならばと尻で押し込んで逃れる。
  クァックがリスト・ロック。
  セイントは回転しまくってリスト・ロック。
  クァックが後転して逃れた所で5分経ちラウンド4終了。
  
  5R。
  両者握手する。
  クァックがフルネルソン。
  膝を上げる動きでロックを外しリスト・ロック。
  クァックがリスト・ロック。
  セイントが後方に倒れると脚を使って取り返す。
  アイリッシュ・ウィップを決めてからアーム・ロック。
  逃れようとするクァックの動きを封じる。
  クァックがセイントの膝を外し起き上がる。
  セイントはクァックを倒すと腕をマットに叩きつける。
  アイリッシュ・ウィップ。
  クァックは跳躍しコーナーに座り込むと
  向かってきたセイントをかわして着地。
  その動きに思わずすくんでしまったセイントのバックを取る。
  セイントに反転されるも両脚を引いて倒すと上に座り込む形でカバーし1,2,3!
  クァックが土壇場で追いつく(1分46秒)!
  この見事な動きにセイントが握手を求めクァックも応じる。

  これで5Rが終了し引き分けという結果。
  両者の腕が上げられる。
  クァックはマイクを取るとセイントとこのドイツのファンの前で戦えた事を光栄に思う、と告げる。
  セイントがまたこのエッセンに戻ってきた時には是非ともリマッチを行いたいと言う。
  去りかけていたセイントはこの言葉に戻ってくると
  また戻ってくるからさよならとは言わないよ、今度やる時は6Rでやろう、と言ってクァックと握手。
  クァックはセイントの腕を上げる。

試合結果

@2回戦:クリス・ヒーローvs.エミル・シトッチ
Aダグ・ウィリアムス、マーティン・ストーンvs.アブソリュート・アンディ、PCO
B2回戦:バッド・ボーンズvs.エル・ジェネリコ
C2回戦:アーレスvs.トミー・エンド
Dアダム・ポラック、ジミー・ジェイコブス、チャック・テイラーvs.石森太二、ビッグ・ヴァン・ウォルター、マーク・スレイター
E2回戦:ブライアン・ダニエルソンvs.丸藤正道
Fワールド・オブ・スポーツ・マッチ:マイク・クァッケンブッシュvs.ジョニー・セイント(1-1)(5R引き分け)
GWXW王座戦、リラックスド・ルールズ:アレックス・ペイン(ch)vs.スティーブ・ダグラス(新チャンピオン!)