TOPルチャ・リブレCMLL 2012年 →CMLL:Best of 2012 Part.2

CMLL:Best of 2012 Part.2の分析


名勝負 なし
好勝負 オキシデンテ王座戦、3本勝負:スマーカーvs.ベイビー・カバナリオ(8/28/12)

NWA世界ヒストリック・ウェルター級王座戦、3本勝負:ネグロ・カサス(ch)vs.アンヘル・デ・オロ(9/2/12)

3本勝負:イホ・デル・ファンタズマ、レイ・コメタ、ヴァリエンテvs.ニエブラ・ロハ、プーマ・キング、ヴィルス(9/21/12)

@オキシデンテ王座戦、3本勝負:スマーカーvs.ベイビー・カバナリオ(8/28/12)
 スマーカーはテキパキと物事を進め、
 カナバリオは多少拙い部分も荒々しさで隠し通せている。
 どちらもトップ・クラスではないものの
 無名の選手としては想像以上にしっかりしている。
 カナバリオがスピード・バトル時の身振りで魅了し、そのまま1本。

 2本目はインパクトあるスポットでいきなり掴みます。
 カナバリオが場外パワー・ボムを決め、更には場外ダウンしているスマーカーにダイビング・ボディ・プレス。
 地力で勝負ができている上でここまで体を張って演出してくると素晴らしい試合になるのは当然ですね。
 シャツを破り捨てられたスマーカーがリベンジを果たしタイ。

 3本目。
 お互いヒート・アップしマスク剥ぎにも手を出す。
 マスク剥ぎといえばルードが主導権を取ったシーンで見せるものです。
 しかしこの試合においてはスピード感のある攻防の繋ぎとして使っている。
 規定概念に囚われない発想ですね。
 またスポットの見せ方、その後の間の取り方も実に正統。
 アンダーカードの試合でこういう試合ができるとは。
 驚嘆した試合です。
 ぎりぎり好勝負。

Aウニベルサル・トーナメント決勝、3本勝負:棚橋弘至vs.テリブレ(8/31/12)
 棚橋ルードになりきれていないですね。
 あくまでそれっぽいことをしているだけ。
 一応テリブレがたいしたことないことにも
 しっかり受け手として対応しているので成立していますけどね。
 観客がシーンを理解するための時間も与えています。
 棚橋が唐突にジャーマンを決め3カウント。
 1本です。
 普段主戦場にしていないレスラーにとっては共通認識がないので難しいでしょうが
 これでは悪い意味で何でも決まりそうに見えてしまいます。
 テリブレがダイナミックな動きで反撃。
 敢えて丸め込みで決着を緩急をつけてきました。
 3本目。
 一進一退を前面に押し出し、
 中々目を見張るバランスで調整を利かせています。
 とはいえ棚橋はメヒコ調を曲解し単発模様。
 良い試合ではありますが、どこにでも転がっているレベルです。
 まあまあ良い試合。

BNWA世界ヒストリック・ウェルター級王座戦、3本勝負:ネグロ・カサス(ch)vs.アンヘル・デ・オロ(9/2/12)
 まずはレスリング。
 オロが頭で考えてから動くしかないので制約はあるものの
 その場で考え選択する必要のあるレスリングとなっています。
 オロが素晴らしい真っ直ぐなトペを決め、そこから1本。
 2本目は完全にリセットして再びレスリング。
 先ほど以上にレスリングの妙で魅了します。
 カサスが打撃で切りながら実質的にラ・マヒストラルのみで1本取り返します。
 3本目はオロが感情を見せて、つんのめり気味に攻め立てます。
 そこから単純にムーブで勢い押しかと思いきや
 カサスが上手く試合をコントロール、押さえ込み、
 試合が動いていく様に観客の注意をひきつけました。
 オロもカサスが要求する技で攻防。
 決して攻防にスピード感はある訳ではないしオロにより動きが止まる場面もあるものの
 そのディティール、一つ一つの選択が光るチェスのような攻防でした。
 ぎりぎり好勝負。

C3本勝負:イホ・デル・ファンタズマ、レイ・コメタ、ヴァリエンテvs.ニエブラ・ロハ、プーマ・キング、ヴィルス(9/21/12)
 まずはヴァリエンテとヴィルスが確かなレスリングを見せます。
 記念大会をスティールしたコメタvs.プーマはここでも好調。
 コメタの立体的な動きは見事だし、プーマはルードとして観客を手のひらで躍らせます。
 ルード支配の展開になります。
 すぐにまとめず十分アクションで魅せてから決着。
 ついでにケモニートも攻撃して煽ります。
 2本目。
 さっきのアクションとは打って変わり甚振る形にシフトしました。
 この切り替えは素晴らしいですね。
 花道へのヒップ・トスを食らいコメタが花道でダウンする様はテクニコ劣勢を強く印象付けました。
 その後でコメタとプーマが抜群の攻防で火薬に燃料をつけ派手にまとめあげました。
 3本目。
 プーマとコメタに負けじと他も奮闘。
 特にロハの佇まい、仕草の見せ方、スケール感が素晴らしかったですね。
 ぎりぎり好勝負。

DNWA世界ミドル級王座戦、3本勝負:プリンス・デヴィット(ch)vs.ドラゴン・ロホJr.(9/28/12)
 1本目。
 オーソドックスな中にデヴィットの鋭い動きが光ります。
 ロホの動きを読む形からドロップ・キックを叩き込むとそのまま1本。
 2本目はすぐにロホがやり返す形。
 ロープ・ワークをアクセントにデヴィットのダイブを混ぜたのは良いですね。
 ややミスしたもののパワー・ボムでロホが取り返します。
 3本目は正統な一進一退。
 変化のつけ方が素晴らしいですね。
 花道からの技という分かりやすい絵にしながら競う合います。
 一定の加速度をつけたニア・フォールは豊かでフィニッシュもまた良質。
 テクニコ/ルード要素もないので印象に残りにくい欠点はあるもののハイ・レベルな試合。
 好勝負に少し届かず。 

E世界スーパー・ライト級王座戦、3本勝負:ヴィルス(ch)vs.フエゴ(10/1/12)
 かなりゆっくりした状態でレスリング。
 ここまで意図的にスピードを殺しているのも珍しいですね。
 一つ一つの動きに集中させるために
 こうした見せ方もあるのかと感心しますね。
 また動きをスローにするのって難しいんです。
 完成度が観客に見抜かれやすくなりますし、
 また力のいる動きをゆっくりやるのは相当に体力を消耗します。
 特殊なレスリングでしたが1本目のクライマックスは
 定番どおりロープ・ワーク、ハイ・フライングを加えて1本。
 2本目も同じくゆったりグラウンド。
 打撃を加え、ほんの少しスピードを加えていますが
 完全にコントロール下における状態に抑えています。
 ある種のアンチテーゼではありますが、
 プロレスの面白みという観点から考えると
 別にここまで抑えなくてもというところは正直ありますね。
 最後のフィニッシュもちょっと拍子抜けでした。
 好勝負に少し届かず。


(執筆日:11/1/12)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@オキシデンテ王座戦、3本勝負:スマーカー(新チャンピオン!)vs.ベイビー・カバナリオ(2-1)(8/28/12)
Aウニベルサル・トーナメント決勝、3本勝負:棚橋弘至vs.テリブレ(優勝!)(2-1)(8/31/12)
BNWA世界ヒストリック・ウェルター級王座戦、3本勝負:ネグロ・カサス(ch)vs.アンヘル・デ・オロ(2-1)(9/2/12)
C3本勝負:イホ・デル・ファンタズマ、レイ・コメタ、ヴァリエンテvs.ニエブラ・ロハ、プーマ・キング、ヴィルス(2-1)(9/21/12)
DNWA世界ミドル級王座戦、3本勝負:プリンス・デヴィット(ch)vs.ドラゴン・ロホJr.(新チャンピオン!)(2-1)(9/28/12)
E世界スーパー・ライト級王座戦、3本勝負:ヴィルス(ch)vs.フエゴ(2-1)(10/1/12)