TOP日本のプロレス →ベースボール・マガジン社:夢の掛け橋 4/2/95

ベースボール・マガジン社:夢の掛け橋 4/2/95の分析


名勝負 なし
好勝負 JWP提供試合:ダイナマイト関西、福岡晶、キャンディー奥津、能智房代vs.デビル雅美、尾崎魔弓、キューティ鈴木、矢樹広弓

AJPW提供試合:三沢光晴、小橋健太、スタン・ハンセンvs.川田利明、田上明、ジョニー・エース

@JWP提供試合:ダイナマイト関西、福岡晶、キャンディー奥津、能智房代vs.デビル雅美、尾崎魔弓、キューティ鈴木、矢樹広弓
 女子プロらしいとにかく動くアクション。
 とにかく動く中で選択肢を狭めている部分もありますが、
 その中でも個性をしっかり出せる関西、デビルは流石ですね。

 後半は連携技や4人同時ダイブ等
 8人タッグならではの見せ場も追加して、
 個性が弱いメンバーも存在価値を出している。

 しっかりと意識を高く持って
 これがJWPだ!と出し尽くしたファイト内容でした。

 ぎりぎり好勝負。

ALLPW提供試合:アルティメット・ファイト:神取忍vs.ハーレー斉藤
 MMA様式により1分で瞬殺。
 神取は既にネーム・バリューもありますし、
 LLPWの認知度上げるのには確かにこれでも十分でしょう。

BAJW提供試合:アジャ・コング、井上京子vs.豊田真奈美、ブリザードYuki
 源流なので当然@のJWPと同じスタイルですが、
 よりスター・パワーの高い所を見せつけます。

 京子はアクションだけでなく、
 しっかり声も通して呼びかけたりと場の盛り上げが流石。

 豊田は相変わらず超人ムーブ、受け身です。

 アジャが若干アピール不足か。

 Yukiは残念ながら他と比べて劣ることは否めず明確に足を引っ張っていましたね。

 平均的な良試合。
 
C剛軍団提供試合:エイリアン・デス・マッチ:剛竜馬vs.宇宙魔神シルバーX
 幅広い団体を一堂に会したいという意図は分かるものの
 それにしたって何故この試合まで組む必要があるのか理解不能。

 アマチュアが紛れこんできたような低レベルな内容。
 せめてコメディー・マッチなら救われますが、
 幼稚園のお遊戯レベルのエイリアン衣装をしているだけで、通常プロレスの様式です。
 試合形式もノーDQ、ノー・カウントアウトを言い換えているだけ。

 剛の掛け声であるショアが流行語的ブームになっていたからなようで
 確かに会場が一体になったという意味合いはありますが、
 15分は余りに長すぎて苦痛でしかない。

 ひどい試合。 

DIWA-JP提供試合:バーブド・ワイヤー・ボード・スーパー・スクランブル・バンクハウス:テリー・ファンク、レザー・フェイス、中牧昭二vs.カクタス・ジャック、ヘッド・ハンターA、ヘッド・ハンターB
 開始後の10カウントは同団体ファン以外は
 理解不能で呆気にとられる出だしになった気がしますが、
 それはともかく荒々しい乱戦です。

 カクタスとテリーの攻防は鉄板だし、
 ハンターズはタッグとして動き制圧するので絵作りが出来ている。

 レザー・フェイスはチェインソウ・シーンが圧巻ですね。
 チェインソウから火花も飛び散っているし、
 これがこの試合の一番の見せ場でした。

 その後コーナー上からの飛び技に切り替えて盛り上げましたね。
 乱戦スタイルなので、どのような形で終わるのか見えないので、
 フィニッシャーは通常技ではなく凶器交えたスポットにすべきでしたが、
 この当時は良くある欠点でもあるので許容範囲。

 あと上記ですっ飛ばされた中牧はそういうことです。

 中々良い試合。

Eパンクラス提供試合:鈴木みのるvs.クリストファー・デウィーバー
 (ダウン、ロープエスケープ合わせて5回でTKO負け)
 見せ場ないままグラウンドに入ると
 まったくドーム映えしないレッグ・ロックがかかり終了。
 他にもU系の団体が出るので何故この内容で良いと考えたのでしょう?
 悪い試合。

F藤原組提供試合:藤原喜明、石川雄規vs.ドン荒川、カール・グレコ
 大量リストラ前の時期というのもあるのでしょうか。
 迷走しているブッキング。

 グラウンドはこの日でも随一だったが、
 一部に留まっている上、荒川のコメディーがその真剣な雰囲気をぶち壊し。
 
 通常プロレス・ルールのタッグ様式に則っているが、
 それがまたレベルの低さを露呈している。

 U系スタイルにして荒川を外せば全然勝負できたはずなのに
 セールスが出来ておらず自己破壊の一言。

 ひどい試合。

GM-Pro提供試合:スペル・デルフィン、愚乱浪花、TAKAみちのくvs.ザ・グレート・サスケ、SATO、獅龍
 みちのくプロレスらしい軽快なプロレス。
 
 サスケとTAKAのハイ・フライは素晴らしかったですね。
 
 一方で浪花のコメディーは必要だったのか疑問。

 色々な要素を詰め込んだ楽しいプロレスが
 みちのくプロレスのカラーですが、
 今回は雑多な印象を与える方向に働いてしまっている。

 平均的な良試合。

HRINGS提供試合:クリス・ドールマン日本引退試合第1弾:前田日明vs.クリス・ドールマン
 (5回のダウンでTKO負け。ロープエスケープ2回=ダウン1回分、
 2回の注意or1回の警告=ロープエスケープ1回分)
 ドールマンが貢献してくれた恩義に報いたブックで
 RINGSでの最終引退試合に引き込みたいのでしょうけれども
 ドールマンがU系でとても魅せれる状態ではありません。
 何も見どころがない内容。
 長くないのが救い。
 ひどい試合でした。

IUWF-i提供試合:高田延彦、垣原賢人、ビリー・スコットvs.ゲイリー・オルブライト、山崎一夫、ジーン・ライディック
 (両チーム持ち点30からの減点。
 ダウン=-3点、ロープ・エスケープ(関節極められたままのタッチ含む)=-1点、
 スープレックス・ポイント=-1点で持ち点0になったらTKO)

 派手な打撃の交わしあいがあり、
 グラウンドも見応えがあって
 U系の良さをようやく見せることが出来ています。

 後は均衡した状況になりがちなスタイルの中で
 ポイント制が戦局を表現できる一要素なので、これを明示したかった。
 ドームのスクリーンに映っていたかもしれませんが、
 少なくとも映像の中で分かるようにはなっていません。
 他のU系と違うルールということで
 対応しきれなかったのかもしれませんね。

 魅力的な内容なので15分と言わず20分くらい試合して欲しかった。

 中々良い試合。  

・大木金太郎引退セレモニー

JFMW提供試合:ノー・ロープ有刺鉄線電流爆破デス・マッチ:グレート・ニタvs.ポーゴ大王
 いちいちロープを外して、また付け直して、という訳にもいかないので、
 別の特設リングを用意しての試合になっています。

 ニタ・ギミックがロープ・ワークを抑えるべき試合スタイルとフィット。
 鎌やバットを使いながら爆破ギミックを織り交ぜています。

 これ以上続けると単調になりそうな程よい所で 
 最後は大仁田が役者っぷりを見せてフィニッシュ。

 まあまあ良い試合でした。

KAJPW提供試合:三沢光晴、小橋健太、スタン・ハンセンvs.川田利明、田上明、ジョニー・エース
 それぞれハードな打撃を叩き込み
 他とは違うヘビー級ならではのタフ・マッチを展開。
 当時の全日の鉄板ぷりを感じますね。

 相手の攻めに簡単に引かずに打ち返し、
 より激しく、よりスケール感を増していきます。
 
 いつも通りのパフォーマンスを見せつつも
 他団体ファンも何気に考慮して
 試合の構成・スポットは正統派にも寄せている。

 尽きないニア・フォールで
 ストーリー・テリングこそ弱いものの
 試合時間の最後の最後までヒート・アップさせ続けました。

 文句なしに好勝負。

LNJPW提供試合:G1公式戦:橋本真也vs.蝶野正洋
 ゴングが鳴るなり勢いよく始めるも空元気。
 全然呼吸が合わずまともに切り替えれないので、
 レフェリーが注意した隙を突く形で中盤に移行。

 蝶野のコンディションが相当悪いようで、
 蝶野が理を求めた展開に見せかけた時間潰しの脚攻め。

 橋本も蝶野の痛めている腕を攻めますが、
 取りあえず触れただけで恰好すらついていません。

 脈絡なく終盤に移ると取りあえず得意技置いて締め。
 
 これは悲惨な試合でした。

 蝶野のコンディション問題は
 明らかに一時的なものではなく慢性的なもの。
 何故この状態の蝶野を引っ張り出したのか首を傾げざるを得ない。

 ひどい試合。

総評
 対抗戦ではないとはいえ1995年に
 このようなオールスター大会が組まれていたとは驚きました。

 こんなプロレスもあるのか、と視野を広げることのできる
 興味深いイベントだったと思います。

 しかし、如何せん長いですね。
 全団体が意識高くベストを尽くしてくれたならそれでも満足できるのですが、出来にばらつきがあり過ぎます。

 普段から全力を尽くすAJPWと女子は今回も文句なしで、
 デス・マッチ系も他ジャンルと同会場を使うやりにくさがある中で良い仕事をしていますが、
 メインを張った新日が稀に見るひどさで、
 U系もカード・メイクから本来の魅力を発揮できず。
 
 これなら出ない方が良かったのでは、と視聴後に思ってしまいます。

 それにしてもこういう対抗戦抜きに
 それぞれの団体が提供試合という形で火花を散らすのは
 今の時代は今の時代で求められていて、
 また各団体もそれに応える力があると思うので、
 日本もアメリカも是非やってくれないかなぁ、と夢想しますね。
 (執筆日:5/?/20)
Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@JWP提供試合:ダイナマイト関西、福岡晶、キャンディー奥津、能智房代vs.デビル雅美、尾崎魔弓、キューティ鈴木、矢樹広弓
ALLPW提供試合:アルティメット・ファイト:神取忍vs.ハーレー斉藤
BAJW提供試合:アジャ・コング、井上京子vs.豊田真奈美、ブリザードYuki
C剛軍団提供試合:エイリアン・デス・マッチ:剛竜馬vs.宇宙魔神シルバーX
DIWA-JP提供試合:バーブド・ワイヤー・ボード・スーパー・スクランブル・バンクハウス:テリー・ファンク、レザー・フェイス、中牧昭二vs.カクタス・ジャック、ヘッド・ハンターA、ヘッド・ハンターB
Eパンクラス提供試合:鈴木みのるvs.クリストファー・デウィーバー
F藤原組提供試合:藤原喜明、石川雄規vs.ドン荒川、カール・グレコ
GM-Pro提供試合:スペル・デルフィン、愚乱浪花、TAKAみちのくvs.ザ・グレート・サスケ、SATO、獅龍
HRINGS提供試合:クリス・ドールマン日本引退試合第1弾:前田日明vs.クリス・ドールマン
IUWF-i提供試合:高田延彦、垣原賢人、ビリー・スコットvs.ゲイリー・オルブライト、山崎一夫、ジーン・ライディック
JFMW提供試合:ノー・ロープ有刺鉄線電流爆破デス・マッチ:グレート・ニタvs.ポーゴ大王
KAJPW提供試合:三沢光晴、小橋健太、スタン・ハンセンvs.川田利明、田上明、ジョニー・エース(30分時間切れ)
LNJPW提供試合:G1公式戦:橋本真也vs.蝶野正洋