FMW:Best of FMW 1992の分析
名勝負 | 3本勝負:エル・イホ・デル・サント、大仁田篤、ターザン後藤vs.ネグロ・カサス、ティム・パターソン、ホレース・ボルダー(5/16/92) |
好勝負 | なし |
@3本勝負:エル・イホ・デル・サント、大仁田篤、ターザン後藤vs.ネグロ・カサス、ティム・パターソン、ホレース・ボルダー(FMW 5/16/92)
FMWのUS興行。
サント、カサスとFMWというおかしなカードになっています。
ルチャとFMWがトリオとして機能するのか心配していたら
なんとほぼ独立してデュアルで戦いが進行すると言う
単純明快でありながら普通思いつかない手法がとられています。
ゴングが鳴るなり全員が激突し、
FMWは場外乱闘で散らばり椅子攻撃にパイル・ドライバー。
一方でリングではルチャ最大の抗争カサスxサントが行なわれます。
FMWはリング無視、まるで別の試合かのように場外戦を繰り広げます。
しかしリングに戻ってきてエプロンに上がれば一転、
リングの中はサント劣勢ではなくサント孤立に早変わり。
サントが素晴らしい抑揚・スピードのある攻防をカサス相手に見せると
ルチャ・ルールにより連携の問題を解消しながら加速度的にフィニッシュまで走りきりました。
2本目が開始すると再びFMWは場外乱闘。
カサスとサントは再びリングにいます。
どこを見ようか観客は迷いそうなものですが
カサスとサントはここぞで自分たちに視線を集め、
この2人にしか出来ない攻防を見せ付けてきます。
特にこの日のカサスのスピード感は良い意味で異常。
不意打ちトペを食らってすぐにリングに戻る感覚は普通ありません。
ラ・マヒストラルでカサスが取り返します。
そして3本目突入。
実は3本目自体は特筆すべきことはなく比較的あっさりしています。
尤もデュアルな戦いというアイディアは面白いものの単純ですからこの選択は正解。
3本のバランスとしても良い塩梅です。
アメリカン・プロレスにおけるラフ・ファイトの歴史において
メンフィス参戦時に足跡を残した大仁田がFMWの過激さを引っさげて再来米。
そのFMWの激しい乱闘をバック・ファイトに
サントとカサスが比類なきルチャを見せた夢のような一戦。
90年代とは思えない凄まじい盛り上がりでした。
歴史的な名勝負。
(執筆日:3/?/12)