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Noah:Best of Noah 2022 part.7の分析


名勝負 なし
好勝負 GHCタッグ王座戦:小島聡、杉浦貴(ch)vs.拳王、中嶋勝彦(10/30/22)

@GHCヘビー級王座戦:拳王(ch)vs.清宮海斗(9/25/22)
 格式作りつつ技のかわしあいへ。
 スピーディに行いつつも、かわしあいの締めくくりが何故かフラッシング・エルボーがヒット。

 序盤に限らずフィニッシャーまで
 随所に武藤継承者はどっちだ、というのを巡る攻防が出てきます。

 その張り合いで相動性を持たせる中で
 拳王が本領の受けモードに入れたのは後半から。

 同じく清宮もまた綺麗な試合運びから抜けた先にある
 攻撃性、情念のゾーンに突入するのが後半。

 ということで不自然な枠組みに歪さも生まれ、
 想像していた程には試合自体が伸びない結果に。

 ただ清宮のシャイニング・ウィザードは思いのほか格好よく決まっていましたね。
 ヒットのさせ方も現代若者風にアレンジしていて、
 これに縛られ過ぎないならば表現の幅が増えて長い目で見ると良いことだと思います。

 第3者の武藤という存在に踊らされた内容。

 中々良い試合。

Aマーシャル・アーツ・ルール:船木誠勝(ch)vs.桜庭和志(10/30/22)
 3カウントなしで場外エスケープ等にイエローカードが出るルール。

 独特の緊張感が漂っており、牽制合戦ですら見応えありますね。

 MMAの風景の中で意味性もあって
 船木の張り手にダウンしたり
 桜庭のレスラーとしてのアクセントが深読みの良いネタになっています。
 
 試合柄そんなに長い試合時間は望みませんが、
 そうはいっても3分は短すぎて、もう少し見たかったのが本音。

 面白い試合でした。

 平均的な良試合。

BGHCタッグ王座戦:小島聡、杉浦貴(ch)vs.拳王、中嶋勝彦(10/30/22)
 小島がコンディション良好で拳王の受けスタイルとはまっていましたね。

 相手をのせつつも止めるべき所では止めて観客を焦らし、煽る。
 これが凄く上手くいっていました。

 ドラマをこのカードに譲りつつも
 中嶋も小島に対する良い試合運びを見せていました。

 小島も任せるべき所を現役最前線の感覚に任せつつ
 自分が貢献できるポイント、頑張らないといけないポイントを良く分かっていました。

 杉浦は小島とは違う質感のある打撃戦を見せて
 小島と名前で呼び合う関係性はテンコジのような
 タッグになる感じもありましたね。

 ぎりぎり好勝負。

Cナショナル王座戦:エル・イホ・デル・ワグナーJr.(ch)vs.稲村愛輝(11/23/22)
 ワグナーは比較的体格ありますが、
 ハイ・フライ絡めた演舞を見せます。
 このルチャ風味はNOAHヘビー級において新鮮ですが、
 それで上質なものが生まれるかは別問題ですね。

 稲村もまた可もなく不可もなくな試合運び。

 ビッグ・ダイブ・シーンなど盛り上がるシーンはありますが、
 点で留まって線になり切らない印象がありました。

 ただ終盤なるとお互いのスタイルも交わってきて
 26分汗をかいただけのものも出てくるので最後の印象は良かったですね。

 平均的な良試合。

DGHCヘビー級王座戦:清宮海斗(ch)vs.ティモシー・サッチャー(11/10/22)
 ティモシーのねちっこいグラウンド。
 サブミッションを極めると同時に別の場所を押さえつけて
 逃れにくくしていたりと本物の技術を体感できます。

 手足も長いので絵になりますね。

 ティモシーの強みと清宮の苦境は明確に伝わってくる一方で、
 それをどう発展させるかという時に
 その時間が長く続いて脱せないという以上のものを超えなかったのは勿体ない。

 場外ボディ・スラムなどを挟んで次のステージに移ると
 ティモシーはなんだかんだ自分の立ち位置に準拠して一歩下がってしまうんですよね。

 元WWEの割に格付けが中途半端なティモシーが
 前半では真価を如何なく発揮した一方で
 後半はミッドカード・レスラーとしての便利さ、合わせを見せてしまった感。
 良質な攻防には仕上がっているのですが、
 ティモシー・ファンとしては後半も清宮を食うくらいの勢いが欲しかったか。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:12/?/22)