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新日本プロレス:キラー猪木4の分析


名勝負 なし
好勝負 巌流島決戦:マサ斉藤vs.アントニオ猪木(10/4/87)

総時間3時間16分です。

@巌流島決戦: マサ斉藤 vs.アントニオ猪木(10/4/87)
 まずこの試合に 至った経緯は2つの要因がありまして
 1つには魅せるという事を排除した中(=無観客)
 道場で学ぶレスリング技術で
 (通常試合では様式化されたそれなので)、
 その鍛えた体でどこまで行くことができるか確かめてみたいと言う猪木の思いでありました。
 それなら道場で勝手にやってりゃいいのですが
 ここでもう1つの理由。
 会社が次世代への切り替えを狙っていて
 万年トップでないと気が済まない猪木は
 何かアクションを起こす必要があった。
 という事で上記の夢を売り出した訳ですね。
 他ならぬ次世代であるマサ斉藤が
 こんな馬鹿げた事の相手をするのは不思議ですが
 ダーク猪木は
 「いや、まあ聞けよ、マサ。
 プライベート・マッチなんてのは建前よ。
 見せないと言えばマスコミや会社の奴らも飛びついて来るだろ。
 それで仕方なくを装ってカメラを入れてやるのよ。
 だから金もでるしお前の名もますます上がるぜ。
 どうだ。
 やる、と言えよ。
 まあ嫌なら嫌でも言いんだぜい。
 藤波にでも話を持っていくからよ」
 なんて言って無理矢理納得させたに違いないのである(笑)
 あな恐ろしや、猪木の口八丁。
 場所も巌流島というマスコミが
 勝手に現代における決闘の再現だ、なんて書きたてそうな場所を選び舞台は整いました。
 さてどんな物になったかというと・・・
 まず30分はマサ斉藤が1回姿を現しただけで
 お互い控え室代わりのテントに引っ込んだまま終了。
 武蔵vs.小次郎の1戦が行われた地ですから
 これだけで立派な心理戦と勝手に受け止められる訳ですね。
 特筆すべきは彼らは何もしていないという事です。
 魅せずして魅せる。
 魅せる事を排除して戦うという本目的から外れることなく
 最低限の商業用の装いを加えるという非常に上手い手法でした。
 そうこうして2人は姿を現して相対しました。
 これからはひたすらグラウンド・レスリングです。
 猪木の夢の部分ですね。
 これはつまらないです。そして面白いです。
 なぜつまらないかと言うと
 道場でやるグラウンド・レスリングなので
 ある意味ヘッド・ロックを何時間もかけ続けるというのが許されるような内容ですし
 基本的に(リング内外、ロープという場で自然発生する物除く)
 見せ場は作りませんから。
 逆になぜこれが面白いかというと
 その技術が100%活きている攻防だからでしょう。
 これは所謂スポーツ的な代物ですね。
 この夢の部分は1時間続きました。
 なぜ1時間になったかというと
 そこで猪木が満足したか、はたまた厭きたからでしょう。
 これで終わってもいいのですが
 一応売り物ですから汗だくまみれで決闘でしたといっても格好がつかない。
 それでは幻想を抱いてくれません。
 という事で打撃でラフ・ファイト、流血
 ついでにサービスの投げも散りばめ、
 暗闇にかがり火が燃え立つ中で
 視覚的に激戦だったというイメージづけを行った後
 猪木がスリーパーでマサ斉藤を落とします。
 実質的な決着の瞬間ですが
 これまた試合開始時と同じで憎らしい演出がありましてね。
 猪木が歩くのです。
 そう、漆黒の闇の中を歩くのですね。
 終わったから巌流島から去るというシーンなのですけど
 ふらついたり、倒れたり道を間違えたりと
 千両役者、猪木が5分、6分と歩きました。
 そして立会人がマサ斉藤の戦意喪失を確認し
 2時間5分14秒で幕となったのでした。
 (映像に残っている中では世界最長の試合でしょうか。
 最初の3、40分はフォールズ・カウント・エニウェアで
 バック・ステージに引っ込むという裏技と通じる物がありますので微妙なラインですけれど)
 総評としては・・・
 これを素晴らしい試合というのは馬鹿げているでしょう。
 逆に悪い試合というのも馬鹿げています。
 評する類の代物ではないし、
 そもそもプロレスと呼べるかも疑わしい、まさにコントロバーシャル。
 取りあえず見るべき価値はあるので、目立つようにぎりぎり好勝負に入れとく、といった感じ。

A長州力vs.アントニオ猪木(10/19/88)
 すぐに両者がターン・バックルを外すこともあって
 かなり普通の試合部分は控えめに押さえられて
 ターン・バックルの攻防、
 猪木のスリーパー、流血の3要素のみが強く印象に残ります。
 今回特筆すべきはその結末ですね。
 猪木がスリーパーを決め長州がロープを掴む。
 それでも離さず反則負けという
 筋としては良くある物ですが
 この試合では千両役者、猪木によって
 闘い、キラー猪木という狂気が見事なまでに表現されていましたね。
 試合後の血で見えないがごとく
 顔をしかめて長州ー、どこへ行ったーと叫ぶ姿は素晴らしすぎます。
 最近の日本マットの停滞振りを総合格闘技のせいにする奴がおりますが
 それはこんな風に闘いをプロレスで表現できない
 演技力の無さに対する言い訳に過ぎませんね。
 中々良い試合。

B馳浩vs.アントニオ猪木 (1/4/92)
 政治家になって1年以上リングから離れていたので更にコンディションは悪化しています。
 どちらも得意技の連発で補う情けない形ですが
 猪木は初っ端にスリーパーで落とす、という奇抜な仕掛けで
 演技力で存分に勝負しているし、
 馳も中々の受けっぷりで支えていました。
 この時代の中では貴重な見れる試合でしょう。
 まあまあ良い試合。
 (執筆日:6/24/10)

総評
 レスラーとしては完全に衰えていますが
 奇人変人っぷりを活かした仕掛け、演技力を堪能できる内容です。
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

@巌流島決戦:マサ斉藤 vs.アントニオ猪木(10/4/87)
  櫂をたずさえ猪木が先に巌流島入り。
  治まったもののまだ熱がある様子。
  1時間半後マサ斉藤も入島。
  試合開始の4:30になる。
  先にマサ斉藤がリングに入る。
  再びテントに引っ込む。
  もう試合は始まっていることが告げられる。
  5:00になる。
  ノー・レフェリーでセルフ・ジャッジ、
  リングの回りも使え、ギブ・アップ、戦意喪失、タオルのみの決着というルール。
  マサ斉藤が姿を現し猪木を呼ぶ。
  猪木も姿を現す。
  マサ斉藤がリングに上がる。
  猪木は1度姿を消してからリングを遠巻きに回る。
  猪木がリングに入る。(40分経過)
  組むかと思いきやマサ斉藤が脚を取りに行き
  道場でやるようなねっちこいグラウンド・レスリングに。
  マサ斉藤は鼻血を出している。
  猪木が立ち上がりヘッド・ロックをアーム・ブリーカーに切り返そうとする。
  マサ斉藤ももう片方の腕を放さない。
  猪木がロープを越え逆位置に変えるも決められず最後は場外へ落とす。
  場外で相対するか、いやリングに戻る。
  猪木のスライディングから再びグラウンド・レスリング。
  離れる。
  (1時間10分経過)
  再びグラウンド・レスリング。
  同じ技をかけ返すシーンが見られる。
  マサ斉藤が監獄ロックを決める。
  猪木が逃れる。
  猪木が腕を取るとサード・ロープに押し付け頬に肘を押し当てる。
  マサ斉藤がリングを降りるも
  猪木はそのままタックルしヘッド・ロック。
  マサ斉藤がバタフライ・ロック。
  猪木が逃れるも右腕が少し痛む様子。
  猪木が距離を取るも再びグラウンド。
  照明がつけられる。
  猪木が泡を吹く。
  逃れる。
  マサ斉藤がリングに連れ戻す。
  猪木がスリーパーをバック・ドロップに切り返す。
  両者ダウン。
  マサ斉藤がスリーパー。
  猪木がロープ際に這いよりその狭いスペースを利用して逃れると
  腕をエプロンに押し付ける。
  月も見えてくる。
  マサ斉藤は逃れるも腕が痛む様子。
  グラウンド・レスリング。
  かがり火がつけられる。
  猪木が逃れる形でリングから降りる。
  バックを取ろうとして離れる。
  マサ斉藤がヘッド・ロック。
  猪木は立ち上がると押し飛ばすとかがり火が倒れる。
  マサ斉藤が殴りつける。
  猪木も蹴りで返す。
  リングに戻る。
  猪木がスピン・キック。
  マサ斉藤は場外に降りリングに戻る。
  グラウンド・レスリングから猪木がボディ・スラム。
  グラウンド・レスリング。
  (1時間40分経過。)
  猪木がロープ越しに投げ捨てる。
  暗くなって見難くなっている。
  猪木がヘッド・バッド連発。
  マサ斉藤はふらふら。
  額から流血。
  猪木がリングに上がる。
  マサ斉藤もリングへ。
  猪木が引き続きヘッド・バッド。
  マサ斉藤がダウン。
  猪木が殴る。
  マサ斉藤が何とか起き上がる。
  猪木が休めっと言って離れる。
  マサ斉藤がリングを降りる。
  猪木も降りる。
  猪木が殴る。
  マサ斉藤が薪で殴りつける。
  もう1度。
  鉄柱にぶつける。
  殴りつけていく。
  猪木が薪をかがり火にぶつける。
  猪木が殴る。殴る。
  マサ斉藤がヘッド・バッド。
  猪木がマサ斉藤を鉄柱にぶつける。
  リングに戻る。
  猪木がブレーン・バスター。
  猪木がリングを降りる。
  マサ斉藤が起き上がりまだだ、と言う。
  リングを降り殴る。
  鉄柱にぶつける。
  (1時間55分経過)
  リングに戻しサイトウ・スープレックス。
  猪木が延髄切り。
  マサ斉藤が薪攻撃。サイトウ・スープレックス。
  ラリアットへ。
  避けられる。
  猪木がドロップ・キック。
  猪木がリングに降りる。
  マサ斉藤がまだだ、と言って猪木もリングに戻る。
  マサ斉藤がヘッド・バッド。
  リングを降り去ろうとする。
  猪木が追ってスリーパー。
  マサ斉藤が崩れ落ちる。
  猪木は離すと歩いていき戦場を分けるロープから出る。
  ふらふらになりながらも歩いていく。
  反対側に歩いていたので引き返し歩いていく。
  マサ斉藤がゆっくり起き上がるも動けない。
  担架にのせられる。
  マサ斉藤の戦意喪失で2時間5分14秒で幕。

試合結果

@巌流島決戦:マサ斉藤vs.アントニオ猪木(10/4/87)
A長州力vs.アントニオ猪木(DQ)(10/19/88)
B馳浩vs.アントニオ猪木 (1/4/92)