新日本プロレス：藤波vs猪木 8.8死闘60分の分析
| 名勝負 | なし |
| 好勝負 | IWGP王座戦：藤波辰巳(ch)vs.アントニオ猪木（8/8/88） |
①IWGP王座戦：藤波辰巳(ch)vs.アントニオ猪木（8/8/88）
藤波の4の字、猪木のスリーパーなど観客の中にあるそれぞれのイメージ像を活かして見所のある攻防を生み出し、
一方では藤波のジャイアント･スイングや猪木の現代的なハイ･スポットといった意表をついた動きを織り交ぜる。
観客のテンションを切れさせず集中力を呼び起こすレスリングの攻防を潤沢に見せています。
そこに猪木の感情表現やIWGP王座戦という格式、古館の名文句がついてきます。
これは猪木のラスト･マッチだろうと感じさせ、
猪木vs.藤波を”象徴”している（日付までぞろ目だし）、と誇りを持てる内容です。
しかしそれは同時に実体に乏しい事も意味している。
藤波が持ち前の上手さで引っ張っているにも関わらず、
試合の構築は崩れていき意味のない時間帯もしばしば。
終盤なんて滅茶苦茶で、もし59分で決着して意味合いを奪われたら一気に凡戦に転じてもおかしくない状況でした。
そこに藤波が仕留められないでいる原因なんて1つも提示できていません。
新日が掲げる勝負論が崩れ去った後に残されたのは藤波の同情だけです。
一方で猪木は4の字をかけられて「折れ」と呼びかけますが、
85年のようにその裏に優しさがある訳ではありません。
完全に形だけの行為、ただのリプレイです。
また後半は完全にロートルで動きが落ちていて、見得で補う事が出来ません。
観客が盛り上がってくれているのは目の前のシーンの裏にこれまでのキャリア、積み重ねを見てくれているからです。
決して内容自体が凄い訳ではありませんが、
猪木、藤波、ブッカー、観客の4つが揃ったからこそ実現した、
この中のどれが欠けてもなし得なかった、45歳でのフル･タイム戦。
良い意味でも悪い意味でもネバー･エンディング･ストーリーと称するのがぴったりです。
ぎりぎり好勝負。
（執筆日：8/19/10）
DVD Rating：★☆☆☆☆
注目試合の詳細
①IWGP王座戦：藤波辰巳(ch)vs.アントニオ猪木基本技で試合開始。
藤波はハイ・キックを受け止めると
ジャイアン・スイングから4の字。
猪木はロー プ・ブレイクで逃れるも
長い時間掴まってしまう。
腕の取り合いから猪木はバックを取る。
藤波が逃れて一旦間が空く。
猪木の羽折りを藤波は返すと
リバース・インディアン・デス・ロックを狙う。
猪木はすぐに察知して逃れる。
猪木の延髄切りから試合はスピード・アップ。
藤波がドロップ・キック、猪木がバック・ドロップを決める。
再び間が空きスロー・ダウン。
猪木は力比べをブリッジから立ち上がると
リバース・インディアン・デス・ロックを決める。
藤波が逃れてドラゴン・スリーパー。
藤波は落ちたと勘違いしたか自ら離してしまう。
猪木はこのミスを突き攻勢に転じ脚攻め。
ロープ・ブレイクで離れると両者ロープに走る。
藤波がチキン・シンクを丸め込みに返す。カウント２。
猪木がすかさずコブラ・ツイストを決める。
猪木はスリーパーから逃れるとバックを取り
ジャーマン・スイープレックス・ホールド。カウントは２。
猪木の前転蹴りを食らった藤波は場外で間を取る。
藤波がバック・ブリーカーから4の字。
猪木はロープを掴むも藤波は離さず場外に転落する。
それでも藤波は決め続けていく。
藤波は戻ってきた猪木に襲い掛かり逆サソリ。
猪木は逃れるとミサイル・キックを決める。
藤波がドロップ・キックと見せかけヘッド・シザース。
だが猪木は強引にサソリ固めにいく。
藤波はアリ・キックを見せ反撃する。
猪木も体力がなくなってきたか
エプロンの藤波にスリーパー。
猪木はショルダー・スルーから卍固め！
藤波はヒップ・トスで返すとバック・ドロップ。
そして掟破りの卍固め！
猪木も黙っておらず逆に卍固め。
猪木が脚の痛みからか自ら離す。
試合開始からもう４０分が経過している。
猪木が張り手を食らわせていくが藤波は耐えている。
だが延髄切りを食らって崩れ込む。
猪木はブレーン・バスターにアルゼンチン・バック・ブリーカー。
立ち上がれはしなかったがバック・ドロップ、パイル・ドライバーとつなげる！
カバーするもカウントは２！
藤波はドロップ・キックを避けるとブレーン・バスター。
猪木は三角締めから逃れるとバック・ブリーカーからダイビング・ニー・ドロップ。
カバーするもカウント２。
藤波がコーナー上の猪木を捕らえスーパープレックスを狙う！
猪木は抵抗し耐え切る。
両者中々決定打を決めれず互角の中５０分経過が告げられる。
猪木が4の字を決める。
藤波が反転させる。
猪木が更に反転させるもロープ・ブレイクに持ち込まれる。
藤波はアリ・キックを耐えると
一瞬の隙を突きドラゴン・スリーパー！
猪木は丸め込みに返す。カウント２。
猪木の脚はふらついている。
残り５分。
猪木がダブル・アーム・スープレックス。
カバーするもカウント２。
藤波が卍固め！
ラリアットからカバー。カウント２。
藤波がドラゴン・スープレックス・ホールドを狙う。
猪木は逃れると低空ブレーン・バスターにバック・ドロップ。
カバーするもカウント２。
藤波はコーナー上の猪木を捕らえデッドリー・ドライブ。
カバーするもカウントは２。
猪木が藤波に卍固め！
残り１分！
藤波がコブラ・ツイストに返す！
残り３０秒！
猪木がコブラ・ツイストに返す！
残り２０秒！
猪木はそこからカバーに持っていく。カウントは２！
残り１０秒！
猪木は何度もカバーするがカウント３にならず時間切れ！
藤波の防衛となる。
猪木は自ら藤波にベルトを巻く！
長州力が猪木を肩車して健闘を称える！