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新日本プロレス:Best of NJPW Febuary 2021の分析


名勝負 なし
好勝負 IC王座戦:飯伏幸太(ch)vs.内藤哲也(2/28/21)

@飯伏幸太、SHO vs.SANADA、高橋ヒロム(2/8/21)
 SANADAと飯伏の読み合い、かわし合いに
 ヒロムとSHOの張り合いでバランスは良いように思うし、
 タッグの絵もコンスタントに配置されています。

 ただタッグの有機的構築がなく加速しない、思ったように加点されず。
 
 何故その場面に移っていくのか必然性がなく、
 本番の予告編としてそれぞれ見せたいから、という意図がチラつきます。

 申し訳程度の連携技、数珠打ちも中途半端です。

 この1年でタッグ、トリオで30分試合が目立つようになりましたが、
 掛け算の発想がなくて思ったように効果を挙げられていませんね。

 平均的な良試合。

AJr.ヘビー級王座戦:高橋ヒロム(ch)vs.SHO(2/10/21)
 勝気なSHOが真っ向からエルボーを打てば
 主人公ヒロムは引くこともなく打ち返す。
 その結果どちらもタイミングを逸するまで撃ち合ってしまいます。

 置いてけぼりなスタートですが、その後もズレは埋まらず。
 攻め手の能動的初手がワン・パターン。
 受け手が変化をつけますが、張り合いに帰結するので驚きは弱い。

 ショーのアーム・バーはヒロムとの差を埋める武器にしたい所ですが、
 ヒロムもサブミッションを使って張り合うので、
 本来の戦略性、気持ちを乗せる意味合いを失っています。

 そして団体の35分という試合時間設定もまた彼らの過った方向性の背中を後押ししてしまった。

 ハードだが歪に失敗してしまった内容。
 まあまあ良い試合程度です。

BIWGPヘビー級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.SANADA(2/11/21)
 まずはレスリング。
 相手の動きに対して抵抗は弱く、じっくりと入るスタート。

 SANADAがドロップキックに飛ぶかと体勢に入るが飛ばず。
 いつもなら双方飛んで空振りですから変化を意識しています。

 それでも構築自体は場外を転換点にしており発想を飛ばすにまでは至っていません。
 もっと尖って良いのに中途半端さを感じるのはG1決勝の時と同じ。

 攻め手と受け手。
 それぞれ美しいムーブを持ち味とする同士なはずなのにそんなに合致していません。
 SANADAは観客を意識し、相手の出方を計っていますが、
 この2人ならもっと躍動に任せても成立するのでは。

 終盤は激しい打撃に転じてシフト・チェンジ。
 SANADAが掟破りのかカミゴエを放つ等
 ここに来てかなり踏み込んだ変化に手を出して、SANADAの意気込みを表現しました。

 ベクトルは依然として合致していないものの
 G1決勝のリマッチとして十分な必殺技の返し合い等あり最終的に体裁を作りました。

 しかし試合としてはそこまでではなくG1決勝も超えられず。

 平均的な良試合。
 (執筆日:2/?/21)

C成田蓮vs.クリス・ディキンソン(Strong 2/26/21)
 成田は体幹を鍛え、体を大きくしないといけませんが、
 自身の目標像、会社にも期待されている柴田二世になるべく成長できている印象。

 ディキンソンはハード・ヒットと脚攻めで
 見事にコントロールして試合に大きく貢献。
 最近の充実ぶりは目を見張るものがあり、
 活躍の場も増えてきていますが、
 団体側はもう少し彼のポジションを上げて欲しいですね。

 将来のスターとして期待する成田といっても
 まだこのディキンソンに軽々に勝たせるのは早い気がします。

 平均的な良試合。

Dジェイ・ホワイトvs.石井智宏(2/27/21)
 ジェイが足を使ってリング/場外広く使いますが、
 石井もそれに対応して翻弄されず細かく一進一退。

 石井を柵の上に落としたところでジェイが主導権を握り、腹攻め。
 内容は良好なのですが、もう少しこのカードなら爆発させられる印象です。

 もっと観客を煽っても良いし、
 因縁の相手ということで石井に目を向けるなら
 もう少し攻撃的な攻めをして欲しいのですが、
 良くも悪くもレスリング・マシーンで緻密です。

 終盤も一進一退量多く見応えありますが、
 細かな切り返し合いが多すぎて
 ダメージの蓄積を感じさせず、
 そうすると石井の気迫による緩急も活きる場面は少な目。

 MOTNですが、今の2人にかかる期待値からするとやや下回ってしまったか。

 好勝負に少し届かず。

EJr.ヘビー級王座戦:エル・ファンタスモvs.エル・デスペラード(新チャンピオン!)vs.BUSHI(2/28/21)
 ファンタスモは良い味を出していますし、
 デスペラードは会場人気をつけて上手く魅せています。

 ただその一方でヒロムから託されているBUSHIは存在感弱い。
 
 ファンタスモがデスペラードに花道パイル・ドライバーを決めマスクを奪うことで
 デスペラードが一時離脱するストーリー展開がありましたが、
 BUSHIがファンタスモとここで決まるんだという
 緊迫した攻防を見せないとこのストーリーは活きません。

 3ウェイ要素もそれなりに収まっています。

 新日がシングル以外にも力を入れていることを感じる内容ですが、
 世界標準で見た時にはまだまだ課題点を感じてしまう、という
 ここ最近のタッグやトリオの30分試合等と同じ感想を抱く試合の一つになっています。
 
 中々良い試合。

FIC王座戦:飯伏幸太(ch)vs.内藤哲也(2/28/21)
 グラウンドの呼吸感は良く
 探りつつも表層的にならずに済んでいます。

 内藤がコーナーに押し込むと打撃連打。
 レフェリーも突き飛ばす荒々しさを見せます。

 その後の徹底した脚攻めといい先の淡白な飯伏vs.SANADAとは違って
 感情をぎゅっと詰め込んでドラマチックに魅せますね。

 脚攻めの際の内藤の間の手繰り方、表現性は実に素晴らしかった。

 その表現においては飯伏の受けも冴えわたっていて
 両者によって実現したものですが、
 とはいっても初手は只の低空ドロップ・キック。
 それをここまで痛がって、ウィップに走れないようにするからには
 最後までしっかり貫いて欲しかったですね。
 
 飯伏がタイミングでスイッチが入るというキャラとはいえ
 部位ダメージ無視の正統な理由には乏しい。

 終盤は攻め手の技も受け手の受け身も良く、一発の情感はお見事。
 ここに前半の脚の痛みをロジカルに絡められれば名勝負に導ける可能性もありました。
 そこは残念ながら出来ていませんが、最終的なクオリティとしては十分。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:3/?/21)


 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@飯伏幸太、SHO vs.SANADA、高橋ヒロム(30分時間切れ)(2/8/21)
AJr.ヘビー級王座戦:高橋ヒロム(ch)vs.SHO(2/10/21)
BIWGPヘビー級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.SANADA(2/11/21)
C成田蓮vs.クリス・ディキンソン(Strong 2/26/21)
Dジェイ・ホワイトvs.石井智宏(2/27/21)
EJr.ヘビー級王座戦:エル・ファンタスモvs.エル・デスペラード(新チャンピオン!)vs.BUSHI(2/28/21)
FIC王座戦:飯伏幸太(ch)vs.内藤哲也(2/28/21)