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新日本プロレス:Best of NJPW 2020 Julyの分析


名勝負 なし
好勝負 NEVER無差別級王座戦:鷹木信悟(ch)vs.SHO(7/12/20)

タッグ王座戦:棚橋弘至、飯伏幸太(ch)vs.ザック・セイバーJr.、タイチ(7/12/20)

IWGPヘビー級王座&IC王座戦:EVIL(ch)vs.高橋ヒロム(7/25/20)

鈴木みのるvs.永田裕志(7/31/20)

@NEVER無差別級王座戦:鷹木信悟(ch)vs.SHO(7/12/20)
 NEVERに基づき真っ向からぶつかりあって、
 尚且つこの2人ならではのスピード感を付与。

 激しさを見せつつもポイントでは焦らしたり、
 相手の得意技をベースに攻防を作りあげ、
 それを膨らませたりと期待通り良い関係性を築けていますね。

 真っ直ぐである中でSHOの腕攻めの入りが浮いているのが唯一の課題でしょうか。

 スタンスがぶれないでやり通す中で
 単純性と豊かな変化があり、
 終盤ではSHOの腕攻めも機能している。

 とはいえ最後のまとめ方含め
 鷹木がベテランの妙を見せていて、
 それに比較されるとSHOは少し至らない部分も見えました。

 その点ではSHOがスターとしてステップ・アップする上で
 NEVER王座は遅かれ早かれ奪取するのでしょうし、
 それ自体は正解に思えますが、
 NEVERスタイルに入れ込み過ぎないように注意して欲しい所。
 まだまだ若く可能性は広がっていて新日を背負える選手ですからね。

 ぎりぎり好勝負。

Aタッグ王座戦:棚橋弘至、飯伏幸太(ch)vs.ザック・セイバーJr.、タイチ(7/12/20)
 ゴング鳴る前に棚橋が殴りかかりダブル・プランチャ。
 形を作り華のあるスポットを見せている中に
 切り込まれるセイバーのリアルな脚攻めが印象的ですね。

 観客の拍手込みでフェイス/ヒールの彩りを加えながら
 適度なペースで試合が運ばれます。
 特にセイバーの緩急の付け方はお見事です。

 孤立させた棚橋に強烈な首攻めを行いますが、
 部位攻めの理と攻防の鮮やかさの両立ができています。

 因縁あるマッチアップなので個の攻防も間違いないですが、
 そこにタイチvs.飯伏も加わると信じさせるに足る程この絡みも良かったですね。

 タイチがパンタロンを脱いだ所からギアがまた上がってタッグならではの打ち合い。
 最後のタイチが棚橋を押さえつけている中で
 セイバーが両足を破壊してフィニッシュする様は大変に印象的でした。

 ぎりぎり好勝負。

BIWGPヘビー級王座、IC王座戦:内藤哲也(ch)vs.EVIL(7/12/20)
 場外で間を置くEVILに内藤が襲いかかり柵にぶつけていきます。
 LIdJ脱退の裏切りに対する攻めとしては
 間を意識し過ぎているし、
 飄々としたキャラとはいえもう少し表情に出しても良かったのでは。

 EVILが反撃後内藤の脚狙い。
 攻めが一直線ではありますが、
 その攻めの中においてはターン・バックルを外してぶつけたりと
 絵が作れる攻撃を重ねるので悪くはない。

 また、実況席のLIdJのアクセサリーを壊し、
 怒ったミラノを攻撃したのは良かったですね。
 昨夜足りなかった煽りが一定量あります。

 内藤が良いダメージ表現で観客を引き込む一方で、
 EVILは受けている時こそ良いのですが、
 カウンター、反撃に転じるときに疲労感、ダメージ感の余韻を引っ張れていないのが問題ですね。

 テーブルへのニー・クラッシャーから
 技の攻防に移るも試合の流れにはさほど乗っていません。

 後はレフェリー誤爆から乱入劇。
 BUSHIもEVILに続いて離反と思わせてからの
 ディック東郷参戦はサプライズではありますが、
 2日間連続で試合のクオリティとしては弱く、
 試行錯誤のコロナ禍といってもEVILの王座戦線に不安が残ります。

 前の王座政権に縛られず試合時間設定を20分台に戻して
 ケヴィン・オーウェンスみたいな
 喋りながら相手を甚振るスタイルにでもすれば
 ブレイクスルーできるような気もしますが、どうなることやら。

 平均的な良試合。

CNEVER無差別級王座戦:鷹木信悟(ch)vs.エル・デスペラード(7/25/20)
 鷹木が感情的に襲いかかります。
 ベルト攻撃を狙いかけたのは良い演出でしたね。

 デスペラードは柵にぶつけ鉄柱にぶつけてから、
 脚攻撃で試合を制しに行きます。

 ヒールとしての印象付けの王道。
 鷹木の首攻めとの一本筋が通った
 テクニカルで見応えのある攻防でしたね。

 デスペラードの持ち味が出ていましたが、
 どれもこれも脚攻めに結び付けてるのではなく、
 もう少し抑揚をつけて膨らませたかった。

 好勝負に少し届かず。

DIWGPヘビー級王座&IC王座戦:EVIL(ch)vs.高橋ヒロム(7/25/20)
 ヒロムがいきなりジョン・ウーで仕掛けていきます。
 裏切られたストーリー・ラインにのっていますが、
 演武要素はもっと排除しても良いですね。

 EVILは場外に落とすとセコンドの東郷の加勢を受け、
 定番の首に椅子をはめて椅子攻撃。
 ヒールとして積み重ねていく形ですね。
 ただヒールよりも王者のイメージ像が強いのか
 泰然としていますが、新生活様式でブーイングも飛ばせない中で
 通常よりやりすぎても良いくらいですから、もっともっと煽って良い。

 ヒロムはヘビー級にも問題なく対応。
 場外へのサンセット・フリップ・パワー・ボムで
 EVILを東郷にぶつける等十分なスポットで構築できています。
 
 色気たっぷりに疲労感漂わせる一方で、
 鋭く技を打ち込んだりと見事な役者っぷりで
 リングの主役になれる才覚を見せました。

 EVILは細かな足し算で構築できていて、
 その点ではEVILの良い所で勝負できています。
 反面元々のスタイルは好勝負が限界のスタイル。
 その限界を超えて、跳ねることはできていません。

 終盤の東郷絡めた1対2の演出も中途半端。
 こういう演出の経験が足り合いことが出てしまった印象。
 そこは伸び白とも言えますが、
 フェイス/ヒールを一番深堀できる関係/スタイルのこのカードで
 このレベルですから改善にはもう少し時間がかかるか。

 vs.オカダと違って34分という試合時間を長すぎるとは感じませんでしたが、
 非効率なくどさもあり、時間を重ねることで、
 クオリティは上がりもしなければ下がりもしなかった。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:7/?/20)

E鈴木みのるvs.永田裕志(7/31/20)
 NJCで飛び切りの試合をした結果、
 この間隔でリマッチが組まれるスピード感が良いですね。

 試合はいきなり蹴り合ってエルボーの打ち合い。
 
 みのるが柵やロープを使った脚攻めで展開を挟んだ後、
 再びの打撃戦でヘッド・バッド合戦など。

 単なる打撃の打ち合いを、
 崩れる、膝を突く、間を置く、
 様々な微調整で豊かな表現に拡張していくみのるの美技に酔いしれます。

 一方で永田は合わせにいっており、
 前回に比べるとそれぞれの見ている景色に差がありましたね。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:8/?/20)

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@NEVER無差別級王座戦:鷹木信悟(ch)vs.SHO(7/12/20)
Aタッグ王座戦:棚橋弘至、飯伏幸太(ch)vs.ザック・セイバーJr.、タイチ(新チャンピオン!)(7/12/20)
BIWGPヘビー級王座、IC王座戦:内藤哲也(ch)vs.EVIL(新チャンピオン!)(7/1/20)
CNEVER無差別級王座戦:鷹木信悟(ch)vs.エル・デスペラード(7/25/20)
DIWGPヘビー級王座&IC王座戦:EVIL(ch)vs.高橋ヒロム(7/25/20)
E鈴木みのるvs.永田裕志(7/31/20)