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新日本プロレス:Best of G1 Climax 2019 part.7の分析


名勝負 G1公式戦:ウィル・オスプレイvs.棚橋弘至(8/10/19)

G1公式戦:飯伏幸太vs.オカダ・カズチカ(8/10/19)

G1公式戦:タイチvs.石井智宏(8/11/19)
好勝負 G1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.KENTA(8/10/19)

G1公式戦:鷹木信悟vs.後藤洋央紀(8/11/19)

G1公式戦:ジェイ・ホワイトvs.内藤哲也(8/11/19)

G1決勝:ジェイ・ホワイトvs.飯伏幸太(8/12/19)

@G1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.KENTA(8/10/19)
 セイバーがvs.飯伏から更にスタイルを特化させて
 削ぎ落としに削ぎ落としたものに仕上げています。

 セイバーの3連続アッパーカート<KENTAのエルボー一発
 くらいのダメージ設定にした上に、
 唯一の打開策の腕攻めを抑圧して、
 後半まで刀を抜かない構築にしている。

 自分を弱く再設定しているものの
 キャリアの短いテクニカル・レスラーが
 金星を狙いに行くそれとも似て非なるものに仕上がっている。
 
 KENTAはこのセイバーの異形の構えに対し、
 良い意味で鈍感に自分の攻撃性を押し出していく。
 KENTAならではの輝きを放っています。

 終盤で打撃を交互に打つシーンで
 対等に押し上げつつも売れ線に行かずに
 独自の攻防を集中量高くやりきりました。
 
 セイバーが他とは違う風景を見れる領域に至っていることを実感させる一戦。
 文句なしに好勝負です。

AG1公式戦:ウィル・オスプレイvs.棚橋弘至(8/10/19)
 棚橋がロープを使ったドラスクから
 変形インディアン・デス・ロック。
 脚攻めは定番中の定番ですが、
 ここに来てフレッシュな見せ方を加えています。
 オスプレイが飛ぶ間際でしっかり攻防量を作ったことで
 序盤から濃密なストーリーが展開されます。

 両者受け手における足の使い方が良く、
 相手をサポートできており、
 Jr./ヘビー余計なディビジョンに囚われず、
 ディビジョン関係なく根底にある共通の技能で
 試合を高めようとする努力を続けている。
 
 オスプレイの脚のセルも絶妙で素晴らしいが、
 棚橋のG1後半のパフォーマンスもまた驚異的で、
 この2人ならではの切り返し合いが展開されるクライマックスは
 高まった熱量をまったく落とすことなく、
 フィニッシュまでやりきりました。
 
 文句なしに名勝負。

BG1公式戦:飯伏幸太vs.オカダ・カズチカ(8/10/19)
 前半はオカダの定型構築。
 いつもよりダメージ感を重たくしていますが、
 飯伏含め緩急の急のムーブが素晴らしいので、
 足を引っ張らずに成立している。
 飯伏のダメージ表現も良かったですね。
 
 15分を経過してスケール感にのっとった攻防。
 カンターが冴えていてこちらの勝ちかという場面から
 上手くダメージ・キャンセルして盤面をひっくり返してくるので
 まったく先の読めないシーソー・ゲームでしたね。
 フレッシュなアイディアもあり、素晴らしかった。

 ぎりぎり名勝負。

CG1公式戦:タイチvs.石井智宏(8/11/19)
 タイチはまだ石井に勝ったことがないという背景があります。

 タイチが開始直後にアックス・ボンバー。
 荒々しいビッグ・ブーツで雰囲気を一気に作り上げます。
 石井の定番のエルボーの打ち合い等ではなく
 敢えてダウン・モードから入る掴みは成功していて
 2人のバックグラウンドに思いを馳せさせます。

 シチュエーションにのった適切なダメージ量で絶妙な綱引き。
 タイチがヘビー級転向後積み重ねてきたストロング・スタイルが結実した感がありますね。
 攻めては多彩な蹴り技を繰り出し、
 受け手はヘビー級ならではの重厚なダメージ感を与える。
 石井の安定感ある一進一退も相まって
 終盤ギアが一段も二段も三段も上がっていったのはとても信じられないレベルでした。

 圧倒的な熱量の篭った魔法のような時間。
 G1市場最も濃密な12分間です。
 師の天龍vs.川田になぞらえて表現されても
 名前負けしない戦いでした。
 こんな試合まで生まれるとは恐るべし、今年のG1。

 ぎりぎり名勝負。

DG1公式戦:鷹木信悟vs.後藤洋央紀(8/11/19)
 挑発しながら打撃を交わし、
 悪くない土台を作っていきます。

 後藤に複雑なことはできないが
 シンプルな中で色をつけ、
 緩急は鷹木がリードして作り上げましたね。
 細かな綻びこそあるも
 基本的にはまとまっている。

 スピードにのった気迫の打撃から
 勝利を目指す熱い攻防を終盤は展開。
 中盤まではある程度かみ合っているくらいの印象だったのですが 、
 最後はG1決勝進出が決まりうる試合としての
 重み、熱量のこもった非常に素晴らしい攻防でした。

 ぎりぎり好勝負。 

EG1公式戦:ジェイ・ホワイトvs.内藤哲也(8/11/19)
 ジェイのすかしは内藤も良くやるスタイルですから
 ジェイに気持ち良く動かせていますが、
 ただキャラ被りで内藤が余り個性を出せなかった印象が残りましたね。

 外道介入からのチープ・ショット合戦や
 必殺技の防ぎあいでどっちが決勝に進出するか、という
 最低限求められるところは演出できていましたけれど、
 後者においては体勢入れ替えすぎで
 余り絵になってなかったですね・・・。

 まあまあ良い試合程度。

FG1決勝:ジェイ・ホワイトvs.飯伏幸太(8/12/19)
 ホワイトはバレット・クラブを大勢つれて登場し挑発。
 外道が早くも退場処分になってましたが、
 その煽り能力考えればもう二三手焦らした方が良かったですね。

 続いてジェイの脚攻め。
 インパクトある技も適度に混ぜ
 バランスよく追い込むので
 落ち着きすぎ高いテンションを維持していますね。
 飯伏もポイントでの抑えた反撃の中で
 良いスポット使いをしていました。

 15分経過後、
 攻守バランスを徐々に均衡した形に戻すと
 レフェリー気絶、外道カムバック、と
 こてこてのヒール演出。
 ここは賛否両論ありそうですね。

 ジェイが椅子攻撃から脚攻めを強めて追い込みます。
 キー技を構築の要所に置いて上手い構築でしたね。
 飯伏がキレて反撃開始。
 さっきの演出の後なので大げさなリアクションをしそうなものですが、
 ジェイは敢えて抑えることで、その先を作る余地を残しています。
 これは良かったですね。

 ジェイの拘り具合を考慮すると
 飯伏にはもう少し脚のセルをして欲しかったところですが、
 決勝としての派手さを担保する意味では仕方ないか。
 クオリティとしては若干伸び悩むも
 フェイス/ヒールを活かして決勝らしい
 ドラマチックな試合にするという点では満点の内容でした。

 ぎりぎり好勝負。
  (執筆日:8/?/19)

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@G1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.KENTA(8/10/19)
AG1公式戦:ウィル・オスプレイvs.棚橋弘至(8/10/19)
BG1公式戦:飯伏幸太vs.オカダ・カズチカ(8/10/19)
CG1公式戦:タイチvs.石井智宏(8/11/19)
DG1公式戦:鷹木信悟vs.後藤洋央紀(8/11/19)
EG1公式戦:ジェイ・ホワイトvs.内藤哲也(8/11/19)
FG1決勝:ジェイ・ホワイトvs.飯伏幸太(優勝!)(8/12/19)