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新日本プロレス:Best of NJPW 2019 Septemberの分析


名勝負 RPWブリティッシュ・ヘビー級王座戦:棚橋弘至(ch)vs.ザック・セイバーJr.(9/14/19)
好勝負 Jr.タッグ王座戦:エル・ファンタズモ、石森太二(ch)vs.ウィル・オスプレイ、ロビー・イーグルス(9/16/19)

@RPWブリティッシュ・ヘビー級王座戦:棚橋弘至(ch)vs.ザック・セイバーJr.(9/14/19)
 その先の行動、その前の行動。
 フラッシュバックさせ、予感させる
 駆け引きのあるレスリングです。

 セイバーのレスリング自体は高値で安定していますが、
 このレスリングをどう料理するか棚橋が正解を見つけたのは大きいですね。
 何度も手合わせしたからこその所もあるでしょうが、
 脚攻め/得意技/掟破りと散らして抑揚をつけつつも
 根本を押さえ続ける技量がなくては成立しない。
 それは必ずしも棚橋のベーシック・スキルかというと
 本幹ではないはずで、ここに来てまた進化を遂げているのか、
 キャリア晩年でコンディション落ちてくる頃合かと思っていた状況下での
 G1からの右肩上がり感が実に半端がない。

 芳醇なレスリングの攻防で
 個と総体が有機的に結びついている。
 最後のシフト・チェンジも成功し30分近い試合をやりきりました。

 ぎりぎり名勝負。

AJr.タッグ王座戦:エル・ファンタズモ、石森太二(ch)vs.ウィル・オスプレイ、ロビー・イーグルス(9/16/19)
 BC奇襲もオスプレイ、ロビーが対応し、
 序盤から一進一退の攻防を広げます。
 
 軽量ならではのテンポを保っているし、
 ロビーの孤立もBCがロビーをコーナー逆さ吊りにして2人で股間踏んだり、と
 彼らの形にして試合を進めることができています。

 彼らならどんどん凄い技を出して飛ばせるでしょうが
 敢えて抑えてトップギアではなく中速の微調整で勝負。
 前回より試合時間を与えられている中で中盤で遊べていますね。
 
 一方で自由にやる中で、
 プロレスの歴史が紡いできた最適効率の形に乗せることを軽視している。 

 どういう風に連鎖させるか、
 この発想は中々他のカードではできないのですが、
 その発想がそのタイミングで適切か、とか
 全体構成の中で似通ったものをもう使っていたのではないか、とか
 そういう意識が足りず脚狙い、ベルト攻撃とかも唐突でしたね。

 クオリティという観点からは横道にそれていますが、
 そう言いつつも、ぎりぎり好勝負、という評価をつけるところから
 この試合の凄さが伝われば幸い。

BWK14王座挑戦権争奪戦:飯伏幸太vs.KENTA(9/16/19)
 KENTAをWWEでの経験も無駄にさせない形で
 エンタメ・ヒールに仕立て上げるアイディア自体には異論を唱えませんが、、、。

 まず冒頭リングに入った飯伏を奇襲しケース攻撃。
 それ自体は良いけれども
 流血でもしていないのにレフェリー・チェックが入るのは
 ケースの威力的にも試合が始まったとエンジンをかけた対観客的にもNG。

 再開後はケンタのドロップキックから一方的な展開。
 煽れているし試合運びは悪くはないけれど
 ここまで一方的にするならば
 ドロップキック一発で反撃成功なんてせず
 一発技を決めても流れを変えれない、という風に繊細さが欲しい。

 蹴り合いを挟んでケンタが脚攻め。
 後半なのでレッグ・ロックによって韻踏みなんて不要です。
 ギブ・アップを狙っている感を出したかったですね。 
 エンタメに振るなら元WWEなんだし4の字を使っても良かったくらい。

 セコンドによるレフェリー妨害、介入などでお茶を濁し、
 最後はそれまでと特に繋がりのなく激戦っぽさだけ出してフィニッシュ。

 プロレスのレベルが上がった現代だからこそ
 クオリティを捨てたエンタメの内容で30分近く時間をかけるのは
 とても印象に残りますが、まったくもって邪道な方法です。

 平均レベル。

C後藤洋央紀vs.鷹木信悟(9/22/19)
 対等な打撃に切り返し合い。
 鷹木はもうヘビー級ということで織り込み済みのようですね。

 体重差要素がないと後藤の真っ直ぐさ、
 裏を返した時の幅の狭さが出てしまいますが、
 一方向でも一進一退が非常に細やかで素晴らしかった。

 その精度の高さは2人の合意によるものですが、
 それによって発想の飛躍、跳ねるポイントは少なかった。
 
 構造上の転換点を作って記憶に残る試合作りをすれば
 終盤の攻防もボリュームがあったし、好勝負入りしていました。

 好勝負に少し届かず。

DIC王座戦:内藤哲也(ch)vs.ジェイ・ホワイト(9/22/19)
 ナックル・ロックに行くと見せかけ内藤がすかす。
 前回はジェイに合わせていましたが、今回は内藤節全開でしたね。
 
 ジェイは苦戦しつつ鉄柱、柵攻撃から自分ペースへ。
 
 ちゃんと自分の形を見せた上で攻防ができるので深みが出ます。
 一進一退の精度自体は前の試合の方が高かったですけどね。

 アピール、技両方機能しており
 見ていて楽しく惹きつけられます。
 後半のハードさもテンポと受け表現で伝わってくる。

 ただ外道絡みの終盤は切り返しの調整弱く、
 緩急が歪なので最後伸びきらなかった。

 好勝負に少し届かず。
  (執筆日:9/?/19)

 

注目試合の詳細

なし

試合結果

@RPWブリティッシュ・ヘビー級王座戦:棚橋弘至(ch)vs.ザック・セイバーJr.(新チャンピオン!)(9/14/19)
AJr.タッグ王座戦:エル・ファンタズモ、石森太二(ch)vs.ウィル・オスプレイ、ロビー・イーグルス(9/16/19)
BWK14王座挑戦権争奪戦:飯伏幸太vs.KENTA(9/16/19)
C後藤洋央紀vs.鷹木信悟(9/22/19)
DIC王座戦:内藤哲也(ch)vs.ジェイ・ホワイト(新チャンピオン!)(9/22/19)