新日本プロレス:Dominion 6/18/11の分析
名勝負 | Jrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.飯伏幸太 |
好勝負 | IWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.後藤洋央紀 |
SlamBamJam製。
2枚、約3時間30分です。
@金本浩二vs.高橋広夢
最初に張り手を打ち合って高橋が新人に求められる気概を示したものの
それだからといってちょっとした試合に発展させるつもりはない様子。
普通に金本がたいした技も出さずにスカッシュして終了です。
A邪道、外道、ブライアン・ケンドリックvs.獣神サンダー・ライがー、KUSHIDA、タイガー・マスクIV
邪道、外道が一緒に出てきたピーター・ラビットに襲いかかり用済みに。
代わりにケンドリックが入り試合に。
ラビットがアピール役として機能してきただけにここで切るのは勿体ない気がします。
そもそも代わりに入ったケンドリックがいまいちです。
邪道、外道も今回はベビーフェイスと適切な関係性を作れず。
ベビーフェイスもぶつ切れをそのままにしていましたが、
中でもタイガーは技の前に無駄に間を開けていてリズム悪い。
悪い試合。
Bミドル級王座戦:田口隆介(ch)vs.マスカラ・ドラダ
日本のレスリングの流れでいつもとやっている事と違うとはいえドラダは粗すぎる。
動いて雰囲気を変えようとした所でセカンド・ロープを踏んでのトペコンをミスして自爆。
もう1度やり直して決めましたが、それよりも只一部で技を見せれば良いという考えを何とかしないと。
田口が何とかアクションを創りだそうとしているが一人で踊っているだけ。
悪い試合。
C永田裕志、天山広吉、井上亘vs.田中将斗、飯塚高史、石井智宏
定番のカードですが、
乱闘はほとんどなく、永田の相手が田中ではなく石井ないので見応えのある攻防もない。
良かったのは孤立した井上が不器用ながら気持ちを見せた事ぐらいでしょうか。
同じような事をいつもやっているのだからもう少し良いものを見せたかった。
悪くない試合。
◆試合後、サイトーが永田を襲撃し絞首刑。
D高橋裕次郎vs.内藤哲也
花道のドロップ・キックやコーナーへのパワー・ボムなど
面白いハイ・スポットはあるのにそれを上手く扱えていない構成。
ベースが長すぎるんですね。
終盤の過激な技の打ち合いには個の気持ちを感じさせようとする意図は分かるが、
ベビーフェイス/ヒール含めて個のキャラ付けが不十分なので空回り。
平均レベルです。
E小島聡、真壁刀義vs.鈴木みのる、ランス・アーチャー
それぞれ挑発で人間関係を見せながら
ストレートな技及び変化に富む動きを行うので
どの絡みにも大きな可能性はありました。
しかしタッグという事で四通りも攻防が出来る中で1つに絞り切れず、未完成に終わってしまいましたね。
アーチャーは素晴らしくインパクトのある技を見せており、今後の活躍が期待できます。
平均より少し上。
FJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.飯伏幸太
(注意:SBJのDVDでは抜け落ちていて収録されていません。)
レスリングはいつもと同じだが
ようやくダイブの展開自体に変化をつけてきましたね。
またそれ自体はたいした事ありませんがグラウンド・サブミッションが
前後を非常に際立たせるポイントに配置されており完成度は落ちるどころか向上している。
そして注目すべきはこれまでの欠落要素が補われている上に
他に引けを取らない一級のレベルにあるという事です。
スポットに持っていくまでの過程には動的前振りだけでなく心的前振りがある。
セル、ダメージという概念に対してしっかりと向き合っているが故に
技の位置づけはより正常になり、密度の高いカウンター合戦も要所に適切に収まっている。
変形の必殺技や新技を出さずとも正統に飯伏の王座戴冠にふさわしい内容を実現しました。
ここ10年の新日Jrでベストの出来でしょう。
ぎりぎり名勝負。
Gインターコンティネンタル王座戦:MVP(ch)vs.矢野通
矢野がヒールとしてアピール出来る動きを只数打つだけ。
まるで試合のストーリーを作る気はなく、
戦い手、ヒールとしての試合を壊すという目的が
作り手としての試合を面白くするという目的とごちゃまぜになっている。
MVPもとても評価できる試合運びではなく終盤のずれた攻防もいまいち。
ひどすぎる試合。
HIWGP & GHCタッグ王座戦:高山善廣、佐野巧真(GHC ch)vs.ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(IWGP ch)
それぞれが同時に動く際の攻防はいまいちですね。
普段戦わないからというより、
高山の体調、佐野の凝り固まった頭によるものでしょう。
只それぞれのシーンは気持ちを込めて攻め合っていて
単純ながら盛り上がる内容となっています。
ダブル・タイトル戦としては弱いがカードを考えると一定の成功を収めたといってよい。
まあまあ良い試合。
IIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.後藤洋央紀
序盤はやや物足りない。
後藤は荒い性質をみせただけで、
棚橋はもう脚攻めの下地作りに入る。
確かにミドル・キックはインパクトがあったし、脚攻めを再開するタイミングから逆算すれば素晴らしい前振りです。
また棚橋の脚攻め自体だって鉄板です。
しかしこんな序盤でやるのは少々厳しいものがあります。
棚橋が後藤のアクションを自然に引き出すと、
後藤が場外を使って過激な後藤流の王道をいく。
その際いちいちフォールを狙わなかったのが良いですね。
全体的に自分の攻めの過激度のレベルを上げるならこのバランス感覚が命取りになります。
今回は単調になるのを防ぎ、それでいて過激な技に頼りつつもそこにフィニッシュへの筋書きがある事を示している。
上手く終盤を開始させると更に試合の攻防は激しさを増す。
棚橋が後藤の首攻めによって技を決めても動けないなど素晴らしい表現をみせていましたが、
そこには棚橋が実際に怪我するのではないか、という不安も盛り上がる一因となっている事は否めない。
今回後藤はスタイル上一つの完成形を見せ素晴らしい試合になったが、
ここまで負担がかかる内容だとフロントも王座を任せようと言う気にはならないでしょうね。
後、ここまで一線を越えてリアルなダメージを抱えた戦いになったのなら
棚橋はハイ・フライ・フロー2連発というフィニッシャーを本当に再考し直す必要がある。
定番の必殺技ではなく丸めこみ等で終わった方が良い試合というのもあるのです。
文句なしに好勝負。
◆試合後アンダーソン、バーナードが現れ王座挑戦時のパートナーは誰だ、と尋ねると
棚橋はパートナーとして後藤を選ぶ、と答える。
総評
両王座戦がトップ・ランクの内容を残していて他の微妙な試合の余韻を掻き消しています。
ただし再三になりますが、SBJのDVDにJr王座戦が収録されていないのに注意です。
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:8/28/11)
注目試合の詳細
IIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.後藤洋央紀まずはレスリング。
棚橋がヘッド・ロック。
ロープに振られショルダー・タックルを打つも耐えられる。
後藤が耐えショルダー・タックルで倒す。
腕を取ってきた棚橋にエルボー。
コーナーでエルボー。
棚橋が体勢を入れ替えエルボー。
後藤がコーナーに振り突進。
棚橋がカウンターをいれセカンド・ロープからクロス・ボディ。
低空ドロップ・キック。
脚にストンピング。
ドラゴン・スクリュー。
場外に転げ落ちた後藤にエプロンからトぺ・アトミコ。
リングに戻す。
脚にエルボー・ドロップをいれレッグ・ロック。
脚にストンピング。
チョップを打ってきた後藤の足にストンピング。
突進。
カウンターでショルダー・スルーを食らうもロープを掴むと逆上がり。
そこに後藤がラリアットで落とす。
場外でのラリアット。
柵に振ってぶつけレッグ・ラリアット。
リングに戻すと背中に蹴り。
ブレーン・バスター。
シャープ・シューター。
ロープ・ブレイク。
張り手を叩きこむ。
エルボーを打ってきた棚橋に蹴りをいれ倒す。
コーナーに振り突進。
棚橋がかわしバック・エルボーにドロップ・キックで倒す。
ロープに振り返されるもフライング・エルボー。
セカンド・ロープからセントーン。カウント2。
10分経過。
ロープに走る。
後藤は同ロープに走る。
ラリアットをかわされるもそこからローリング・ラリアット。
蹴りを叩きこみコーナーに振るとラリアット。
コーナーに上るとダイビング・エルボー・ドロップ。カウント2。
エルボーの打ち合い。
激しく打ち合う。
棚橋が連打。
後藤も連打。
棚橋が張り手。
ロープに走る。
後藤が担いでTKOを狙う。
棚橋がスリング・ブレイドに切り返す。
ドラゴン・スープレックスを狙う。
後藤は振り払うとラリアット。
両者ダウン。
エルボーの打ち合い。
棚橋は蹴りを受け止めるとドラゴン・スクリュー。
グラウンドでドラゴン・スクリュー。
テキサス・クローバー・リーフ。
ロープ・ブレイク。
ドラゴン・スクリュー。
ロープに走りラリアットをかわすとスリング・ブレイドを狙う。
後藤がキャッチしバック・ドロップ。
バック・ドロップを狙う。
耐えられるも決める。
そのまま持ち上げるとアングル・スラム。カウント2。
コーナー上に載せると雪崩式リバース・ブレーン・バスターを狙う。
抵抗する棚橋に雪崩式ネック・ブリーカー。
首裏にエルボー・ドロップを落としていく。
コーナー上へ。
棚橋が捕まえスーパープレックスを狙う。
後藤がヘッド・バッド。
雪崩式サンセット・フリップ・パワー・ボム。カウント2。
ブレーン・バスターを狙う。
棚橋が後ろに着地しだるま式ジャーマン。
しかし首が痛みホールドできない。
先に後藤が起き上がる。
胸に蹴りを打ち込んでいく。
受け止められるも延髄切りへ。
棚橋はかわすとうつぶせの後藤にドラゴン・スクリュー。
棚橋がロープに走る。
後藤が同ロープに走り反対のロープへ。
棚橋が同ロープに走りスリング・ショット。
ファルコン・アロー。
ハイ・フライ・フローへ。
後藤はかわして自爆させると後頭部にラリアット。
後藤が立ちあがり胸を蹴り飛ばそうとする。
棚橋が受け止め丸めこむ。カウント2。
バック・スライド。カウント2。
バックを取られたので丸めこもうとする。
後藤がつぶす。
後藤が起き上がりコーナーにもたれる棚橋の背後にラリアット。
コーナー上に載せる。
担ぎあげる。
そこから飛んで膝へのネック・ブリーカー。
カバーしにいくもカウント2。
ブレーン・バスターを狙う。
棚橋が耐え張り手。
後藤も打ち返す。
同時に張り手。
後藤がヘッド・バッド。
担いで掌天。カウントは2。
起こすと持ち上げる。
棚橋が着地し脚にストンピング。
ヘッド・バッド。
かちあげ式ラリアット。カウント2。
ドラゴン・スープレックス。
ロープにもたれラリアットにきた所をかわしドラゴン・スープレックス。カウント2。
ロープに走りスリング・ブレイド。
ハイ・フライ・フロー。
もう1発決めカウント3。
試合結果
@金本浩二vs.高橋広夢A邪道、外道、ブライアン・ケンドリックvs.獣神サンダー・ライがー、KUSHIDA、タイガー・マスクIV
Bミドル級王座戦:田口隆介(ch)vs.マスカラ・ドラダ(新チャンピオン!)
C永田裕志、天山広吉、井上亘vs.田中将斗、飯塚高史、石井智宏
D高橋裕次郎vs.内藤哲也
E小島聡、真壁刀義vs.鈴木みのる、ランス・アーチャー
FJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.飯伏幸太(新チャンピオン!)
Gインターコンティネンタル王座戦:MVP(ch)vs.矢野通
HIWGP & GHCタッグ王座戦:高山善廣、佐野巧真(GHC ch)vs.ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(IWGP ch)(新チャンピオン!)
IIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.後藤洋央紀