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新日本プロレス:The New Beginning 2/20/11の分析


名勝負 なし
好勝負 IWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.小島聡

SlamBamJam製。

@タマ・トンガvs.高橋広夢
 タマ・トンガの見せ場の配置の仕方は良いですね。
 またスヌーカのように個性的なスタイルです。
 高橋は若手で完成度は低いものの
 頑張っているのが伝わってくるので良いですね。
 オープニングとしての役割をしっかり果たした内容。
 少し悪い試合。

AKUSHIDA、田口隆祐、獣神サンダー・ライガーvs.キラー・ラビット、邪道、外道
 アメピグ発のキラー・ラビット。
 どんな奴かと思いきや、まず定番とは違うヒール・サイドでのデビュー。
 そんな難しい状況にも関わらず演じているのが新人なのでしょうか。
 ヒールなのにやられるシーンが目立ち、
 攻めは動きが確立されておらず、
 やる事はうさぎ跳びドロップ・キックというネタだけ。
 しかも最初やった時普通に体が崩れていましたからね。
 アメピグを絡めた新しい形であるにも関わらず成功させる気が全然感じられません。
 地元の田口や充実したKUSHIDAをこんなのに巻き込まなくて良いのに。
 悪い試合。

Bマスカラ・コントラ・マスカラ:タイガー・マスクvs.石井智宏
 まず凶器を使うならノーDQルールを付与しましょう。
 団体とレスラー間で統一すべき所は統一しなければ。
 それはともかくとして試合構成は思ったより良い。
 最初のコーナー上から場外に移る攻防のように印象に残るように意図されている。
 石井のヒール・ファイト、観客の煽りも良かったですね。
 タイガーはこのぐらいの位置で
 適度なレベルで力を入れたファイトをしてくれるのが丁度良い。
 平均より少し上。

Cエリミネーション・オーバー・ザ・トップ・ロープ・ルール:キング・ファレ、井上亘、永田裕志、天山広吉vs.高橋裕二郎、飯塚高史、矢野通、中邑真輔
 抗争中らしく控えが入って乱戦になるのは良いですね。
 また形式上7つフィニッシュがあるのでそれにより大きなスポットが7つ確保されており
 試合の緩急を作れないレスラーが何人か含まれていても問題ない。
 最後の中邑X永田も他よりも良い絡みできちんと締めました。
 しかし幾つか問題がありますね。
 まずオーバー・ザ・トップ、これはvs.UWFの名残なのでしょうが
 今回は遺恨表現として場外を使っているので不適切です。
 そのロープの上を通せば脱落させられるのに
 何の選択もなく相手を場外に落としている訳ですからね。
 また飯塚の実況襲撃ネタが絡んでいるとはいえ、
 実況が正義は必ず勝つんです、とか非常にうるさい。
 自分で自分の実況を聞きなおした事があるんでしょうか。
 うんざりさせられます。
 平均より少し上

Dタッグ王座戦:ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(ch)vs.ストロング・マン、中西学
 中西が下手な演技がら脚を痛め、
 その意図に乗っかってアンダーソン、バーナードが中西に襲い掛かります。
 アンダーソン、バーナードのトルネード式の動き方が美しいですね。
 またストロング・マンも自分が大味だという事を認識した上で動いているので
 昨年と比べると本人の物差しレベルではあるものの成長が感じられる。
 予想よりも王座戦らしい内容でまあまあ良い試合。

EJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.TAKAみちのく
 TAKAが相手という事でレスリングはテンプレートではなく
 アドリブでより細かく注意を払う必要のあるもので土台としてしっかりとしている。
 TAKAは激しい事はもう出来なくなっているものの
 煽りの動きの際に観客を見すぎないのが上手いですね。
 そして相手をダウンさせる際には微妙にえぐいハード・ヒットや
 相手を押さえつけるレスリング・ムーブで説得力も持たせている。
 デヴィットもTAKAの土俵で自分の価値を提示。
 これまでにないふり幅が見れたという点で成功したカードだといえます。
 しかしレスリングがハイ・フライと同等の価値が置かれていないので
 結局振り返ってみれば思わぬ苦戦というよりは
 息抜きのような位置づけの試合だったな、と記憶されてしまうのが残念。
 平均的な良試合です。

FMVP、タイチvs.本間朋晃、真壁刀義
 タイチは良い意味で適当なヒールで
 俺について来い的なスタイルに合ったものとなっている。
 キレのある蹴りも良いですね。
 対する本間も上手く変化をつけていてセンスあるのだけどいつも負け役なんだよね。
 確かにメジャーに求められるスター性は弱いのだけど勿体無い。
 MVPはWWEでは中間の体格であったものの
 新日では紛れもなくヘビー級にカテゴライズされます。
 それが良い影響を及ぼしそうだな、という予感はさせるものの
 上の2人に比べると取り立てて良い所はない。
 真壁とのスーパースター対決と煽っているように
 本当はMVPと真壁で試合を引っ張りたかったのだろうけど
 その絡みで見るべきものはなく中身は真逆になってしまいましたね。
 平均レベル。

G後藤洋央紀vs.内藤哲也
 まずは場外を多用したクリエイティブな土台構築。
 そこにテーブル上でのネック・ブリーカーというハードコア・スポットを繋げます。
 後藤の絵姿からするとやや蹴りの配分が過剰なものの
 蹴り及びコーナーを組み合わせた試合運びは構築上素晴らしい効果を上げている。
 私の中でシングルで通用するイメージのない内藤も
 ジャーマンなど非常にインパクトのある技で後藤に対抗。
 終盤は双方の技に価値が置かれた理想的な状態での攻防でした。
 内藤をトップ・シングルと扱うに当たって
 そのきっかけとしてこの試合が挙がっても違和感がない、
 それ程素晴らしい試合内容でした。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

HIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.小島聡
 これまでよりレベルが高いレスリングでスタート。
 小島は良いタイミング取りを見せています。
 棚橋は王者としての重圧を自分の中でメリットとして変換できるようで
 09年の王者時代を思わせるような充実感のあるきびきびとした動きを見せています。
 腕攻めもスタンディング/グラウンドの意識が通っていますね。
 中盤に入るに当たって小島のDDTにアクシデント的意味合いを付与したのは面白い。
 全日の小島を新日的に迎え入れる方法を遂に見出しましたね。
 小島がそのスポットを十分に引き継ぐ、相手を壊しそうな首攻めが中盤。
 棚橋が終盤前に一度試合を落ち着かせますが、
 自分の攻めで首を更に痛める可能性を見せているので
 中盤の過程をリセットした訳ではなく、その首攻めの意味合いを含有したままである事に大きな意味合いがあります。
 終盤も一通りの技を見せた後での工夫という二段構えが成功していて
 小島の"正々堂々と潰しにいく"というスタンスもドラマとしてしっくりくる。
 棚橋vs.小島として1つの答えを見つけ出した内容で、ぎりぎり好勝負。

総評
 メインは再戦だし、パッと見の訴求力は弱いラインナップですが
 トップ、2番手、アンダーカードとそれぞれがしっかりした仕事をして充実の内容となっています。
 良大会。
DVD Rating:★★★☆☆
(執筆日:8/28/11)
 

注目試合の詳細

HIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.小島聡
 小島がロープ際で体勢を入れ替え離れる。
 ハンマー・ロックを返そうとした棚橋から逃れる。
 小島が倒しヘッド・ロック。
 棚橋がロープに押し込み離れる。
 小島がヘッド・ロック。
 棚橋がヘッド・ロック。
 小島が髪を掴んでヘッド・ロックを返す。
 ロープに振られショルダー・タックル。
 ロープに走りもう1発。
 ロープに走る。
 棚橋がアーム・ドラッグ。
 もう1発。  
 グラウンド・ヘッド・シザースに返されるも跳ね除ける。
 棚橋がフロント・ヘッド・ロック。
 倒してアーム・ロック。
 逃れようとした小島の腕にドロップ・キック。
 腕にストンピング。
 バックを取る。
 小島が振り払いDDT。
 ドクターがチェックする。
 小島は動けない棚橋にストンピング。
 エプロンでDDT。
 リングに戻る。
 棚橋は何とかカウント18でリングに体をいれる。 
 小島が頭部にエルボーを打ち下ろしチン・ロック。
 ネック・ブリーカー。 
 ブレーン・バスターを狙う。
 棚橋が後ろに着地しエルボー。
 小島が蹴りつけロープに走る。
 棚橋がカウンターでドロップ・キック。
 ロープに振られフライング・フォア・アームズ。
 ボディ・スラム。
 セカンド・ロープからセントーン。カウント2。
 場外に落とすとエプロンからトペ・アトミコ。
 リングに戻しストンピング。
 腕を蹴りつける。
 腕にドロップ・キック。
 コーナーに振ろうとする。
 小島が振り返しフライング・フォア・アームズ。
 いっちゃうぞ馬鹿ヤローと叫ぶ。
 起き上がって突進してきたのを見てラリアットを狙う。
 棚橋がかわしセカンド・ロープからフライング・フォア・アームズ。
 ロープに走る。
 小島がカウンターでスパイン・バスター。
 コーナーに上りダイビング・エルボー・ドロップ。
 カバーするもカウント2。
 エース・クラッシャー。
 セカンド・ロープにのせ雪崩式エース・クラッシャー。カウント2。
 エルボー・パッドを外しロープに走る。
 ラリアットへ。
 棚橋はガードするとドラゴン・スープレックスを狙う。
 小島が防ぎエース・クラッシャーへ。
 棚橋がカウンターでファイナル・カット。
 腕にドラゴン・スクリュー。
 もう1発。
 腕折。
 もう1発。
 変形ファルコン・アロー。
 そしてハイ・フライ・フローへ。
 小島が両膝を立てて迎撃。
 コーナー上にのせる。
 ヘッド・バッドで落とされるもラリアットを叩き込む。
 カウント18まで進む。
 小島が自ら下りる。
 花道に持って行きDDT。
 エプロンに叩きつけのせる。
 リングに戻るとリング内へのブレーン・バスター。
 カバーするもカウント2。
 ロープに振りラリアットを狙う。
 棚橋が受け止めドラゴン・スープレックスを狙う。
 防がれるもジャーマン。カウント2。
 両者ダウン。
 小島が起こしてショート・レンジ・ラリアットを狙う。
 棚橋がかわすと同時に巻き込んで倒す。
 腕へのドラスク。
 もう1発。
 ロープに走る。
 小島がカウンターで左のラリアット。カウント2。
 棚橋を起こすと左右のエルボーを叩き込んでいく。
 ローリング・エルボー。
 ロープに走る。
 棚橋がカウンターでラリアット。
 ロープに走りスリング・ブレイド。カウント2。
 ドラゴン・スープレックス。カウント2。
 コーナー上へ。
 うつぶせの小島にハイ・フライ・フロー。
 コーナーに上りもう1発。
 カウント3!
 棚橋の防衛! 

試合結果

@タマ・トンガvs.高橋広夢
AKUSHIDA、田口隆祐、獣神サンダー・ライガーvs.キラー・ラビット、邪道、外道
Bマスカラ・コントラ・マスカラ:タイガー・マスクvs.石井智宏
Cエリミネーション・オーバー・ザ・トップ・ロープ・ルール:キング・ファレ、井上亘、永田裕志、天山広吉vs.高橋裕二郎、飯塚高史、矢野通、中邑真輔
Dタッグ王座戦:ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(ch)vs.ストロング・マン、中西学
EJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.TAKAみちのく
FMVP、タイチvs.本間朋晃、真壁刀義
G後藤洋央紀vs.内藤哲也
HIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.小島聡