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新日本プロレス:Wrestle Kingdom V in Tokyo Dome 1/4/11の分析


名勝負 なし
好勝負 Jrヘビー級王座戦:プリンス・デイヴィット(ch)vs.飯伏幸太

SlamBamJam製。

@タッグ王座戦:ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(ch)vs.ビア・マニーInc vs.中西学、ストロング・マン
 バーナード、アンダーソンが空気を呼んで3ウェイの体裁を整え、
 BMIが二身一体で動きタッグ要素を与えています。
 最後の中西、ストロング・マンはパワー馬鹿なので
 割り切って要所だけ加わっている形でこちらも存在価値はある。
 平均レベル。

Aラ・ソンブラ、マスカラ・ドラダvs.獣神サンダー・ライガー、へクトール・ガルザ
 ガルザはセクシーさが日本人には伝わらないのが功を奏したか
 アピール過多で試合を崩す事もなくリズムの良い試合運びを見せています。
 ライガーとの連携も意識していて、ルチャについていけないライダーを救ってさえいます。
 途中でドラダがダイブの際に膝を痛めるというアクシデントがありましたが、
 ここでも控えのガルザがコーナーから下りてセコンド役に転じ
 あたかも1対1であるかのように錯覚させるというアドリブを見せました。
 見事ですね。
 ソンブラ、ドラダもルチャ以外では見られないダイブを数回見せていましたし良し。
 ライガーを加えたブックは成功ではないし、アクシデントもありましたが
 その中でやる価値を見出した内容。
 平均レベル。

Bディープ・スリープ・トゥー・ルーズ:天山広吉vs.飯塚貴史
 失神でのみ決着するというルール。
 それなのにコーナー・ロープで締めると反則カウントが数えられる中途半端さ。
 飯塚は只時間稼ぎのヒール・プレイだし、
 天山も失神ルールを考えているとは疑わしい普通のファイトです。
 最後のサブミッション自体もタップであろうと失神であろうと
 その結果によってなんら変わることはない。
 ただ紙面上の抗争ネタでしかない試合。
 ひどい試合です。

Cハードコア・ルールズ:RVD vs.矢野通
 双方が凶器を使うので必然的にそれなりに楽しめる内容にはなっている。
 しかし蹴りを交えてバランスを取っているRVDに対し、
 矢野はというと凶器の数で勝負しているように
 スタイルではなくネタでしかありません。
 後、ゲストを呼ぶならその得意技や重み付けを実況は事前に調べておきましょう。
 少し悪い試合。
 
D永田裕志vs.鈴木みのる
 先輩/後輩関係というリアルな背景を持ち出したにも関わらず
 やっている事は張り手の打たせあいで、表情も作りすぎ。
 新日なら相手を押さえ込むレスリングなりで表現できると思うのですけどね。
 また打撃主体、ハードさで勝負するには歳を取りすぎています。
 しかしその方向性には懐疑的ながら上手くやっている事も確かではある。
 打撃の打ち合いを要所で交え、一極攻めや耐えから転換させて盛り上げる、
 といった構成自体はベテランの上手さがありました。
 平均的な良試合。

EJrヘビー級王座戦:プリンス・デイヴィット(ch)vs.飯伏幸太
 序盤。
 展開は同じながら基礎的動きを複合的に膨らませているし、
 アピールの仕方が上手くなったので一体感を覚えやすいですね。
 中盤、トップ・ロープ雪崩式技にはもっと価値を置くべきだがそれ以外は良い。
 数え歌=読み合い、カウンター合戦という短絡的思考に陥らず
 素直に決めた方が効果的な所ではカウンターで邪魔をしたりはしない。
 洗練された内容です。
 終盤は2つに分け、後半を前回出来なかった延長戦という意味合いを持たせているのは良いですね。
 両者のフィニッシャーはカウント2で返されますが
 それでも尚必殺技として位置づけられており、迫力満点の上位Verで持って試合を締めくくっている。
 プロレスが進化した、と実況されているがプロレスに戻ったというべき内容。
 欠落要素のない完成度の高い試合です。
 ぎりぎり好勝負。

F杉浦貴、高山善廣vs.後藤洋央紀、岡田かずちか
 後藤X杉浦は激しい打撃を見せているが、
 単純性とそこからの変化の組み合わせ方はいまいち。
 岡田は以前と比べると地に足がついているようには見える。
 高山は相手を見下しているポジションだから、で言い訳がつかない程試合を前に進めさせない。
 対抗戦だからと根性論が強すぎて凡庸な内容でしたが、
 流石に終盤は岡田の粘りなどで一盛り上がり作る事が出来ました。
 悪くない試合。

GTNA王座戦:ジェフ・ハーディ(ch)vs.内藤哲也
 ジェフが仮面及びフェイス・ペイントでアート・センスを披露。
 しかし入場の時点でお仕事終了。
 試合が始まる前にお疲れ様です。
 試合の中身はWWEを意識した基本要素で構成されるプロレス。
 しかしそこに意味はなくジェフは全般を通してスローな進行です。
 相手から攻撃を受けるのも自分で攻めるために動くのも
 同じくらい疲れているように見え呆れ果てます。
 悪い試合。

H中邑真輔vs.潮崎豪
 中邑vs.潮崎第3戦目。
 激しい打撃からスタートしますが
 今回は早くも潮崎が脚にチョップを叩き込み脚攻め。
 これは良いですね。
 他団体の選手としてヒールっぽく感じさせる効果があります。
 そのまま潮崎が主導権を握ります。
 Noahの時もそうでしたが受け側の試合貢献は弱いものの
 攻め側が一人で完成されたものを提供していますね。
 チョップのバリエーションが非常にバランスが良い。
 カウンターも冴えており、中邑が中々反撃の機会を掴めない展開を実現しています。
 クライマックスの方向性も一致していて良かったです。
 全体的に上手くこなされていたものの
 問題は潮崎がゲストとして引き立て役に過ぎない事。
 中邑は追い込まれて豪フラッシャーまで食らったのにカウント2で返し、
 実質的に一発で戦局をひっくり返すエンディングの価値観は共有しにくいものがあります。
 特に数え歌、3戦目でやる内容としては不適切でしょう。
 中々良い試合。
 
I真壁刀義vs.田中将人
 田中は機動力を活かしながら動き回っているのに対し
 真壁は分かりやすい=余り高度ではない構成で受けも何の意味もない。
 まるでホーガンを思わせます。
 それならそれで差別化を図れば良いのに
 田中に対抗して中途半端に凶器に手を出しています。
 田中は田中で通常ルールにも関わらず
 平気で凶器を使っていてそれで勝敗との兼ね合いが上手く取れていません。
 悪くない試合。

JIWGP王座戦:小島聡(ch)vs.棚橋弘志
 小島はディティールを作るのには向いていないので
 序盤は棚橋が小さい動きを交える役割に徹して作っています。
 小島が武藤の戦略をパクり脚攻め。
 棚橋が対抗して腕攻め、というのが中盤。
 しかし棚橋の腕への攻め方はサブミッションを使わないので自分の重みをなくしてしまっているし、
 結局棚橋の面白さはカウンターにあるので、
 腕攻めを途中で入れておくと尤もらしく見えるのだけど
 それが実際に後々で試合構築において有用ようかというとそうではない。
 腕へのドラゴンスクリューも単発アイディアだし困った所ですね。
 終盤は双方が一通りの型を見せた後、
 エプロンでのラリアットを挟んで更に盛り上げました。
 成立してはいるものの小島が小島としてスケール・アップ出来ていない点で
 全日離脱が正解だといまだ納得させられていない。
 王座交代劇としてももう1歩。
 平均的な良試合。

総評
 豪華なラインナップが揃っています。
 それに伴い中身のある試合も幾つかあります。
 しかしTNAを初めとして駄目な試合も結構あるのが残念。
 まずまずの大会です。
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:8/28/11)
 

注目試合の詳細

EJrヘビー級王座戦:プリンス・デヴィット(ch)vs.飯伏幸太(1/4/11)
 ヘッド・ロックとハンマー・ロックの攻防。
 仕切りなおし。
 プリンスがヘッド・ロック。
 ロープに振られショルダー・タックル。
 伏せて跳んでのロープ・ワークから幸太がドロップ・キック。
 場外に落ちたプリンスにセカンド・ロープからのムーンサルトを狙う。
 場外に入ってきたのでエプロンからクローズラインを狙う。
 プリンスはかわすとドロップ・キックで落とす。
 ロープに走る。
 幸太がすぐにエプロンに上がりスプリングボード式ドロップ・キック。
 カバー。カウント2。
 スリーパー。
 抵抗するプリンスを上から殴りつける。
 カバー。カウント2。
 蹴りを打ち込んでいく。
 ロープに走る。
 プリンスが追いドロップ・キックで落とす。
 トペ・コンヒーロで追撃する。
 リングに戻す。
 ミサイル・キック。
 カバー。カウント2。
 チョップ。
 コーナーに振り突進。
 カウンターで蹴りを食らうもコーナー上に座った幸太にジャンピング・キック。
 トップ・ロープからスーパープレックス。 
 カバー。カウント2。
 チョップ。
 幸太は振り返すとクローズラインを狙う。
 かわされるもハリケーン・ラナで場外に出す。
 トップ・ロープに飛び乗るとムーンサルト。
 リングに戻すとスプリングボード式ドロップ・キック。
 カバー。カウント2。
 エルボーの打ち合い。
 幸太が蹴りを連打。
 スタンディング・シューティングスター・プレス。
 続けてムーンサルトへ。
 かわされるも二段目を決める。カウント2。
 ハーフネルソン・スープレックスを狙う。
 逃れられるもクローズラインを受け止めジャーマン。カウント2。
 コーナーのプリンスに突進。
 カウンターで蹴りを食らうもコーナーに上ろうとした
 プリンスに側転からのペイレイ・キック。
 トップ・ロープから雪崩式ハリケーン・ラナ。カウント2。
 ファイヤー・バード・スプラッシュ。カウントは2。
 側頭部を狙う。
 プリンスがかわし蹴りを放つ。
 幸太もかわしけりを放つ。
 プリンスがかわしオーバーヘッド・キック。
 両者ダウン。
 カウント9で両者起き上がる。
 突進してきたプリンスを幸太が丸め込む。
 そのまま持ってきたバック・ドロップ・ブリッジ。カウント2。
 変形ボディ・スラム。
 フェニックス・スプラッシュへ。
 プリンスがかわし自爆させる。
 コーナーに上ると後頭部にミサイル・キック。
 コーナーに上るとダイビング・ダブル・ストンプ。
 カバーするもカウントは2。
 ならばローリング延髄切り。
 ブラッディー・サンデーを狙う。
 すぐには持ち上げられないと見てリバース・ブラッディー・サンデー。
 しかしカウントは2。
 コーナー上にのせると雪崩式ブラッディー・サンデーを狙う。
 幸太はエプロンに逃れるとそこからペイレイ・キック。
 トップ・ロープに飛び乗る。
 そこをプリンスが捕まえ雪崩式ブラッディー・サンデー。
 カバーしカウント3!
 プリンスの防衛!

試合結果

@タッグ王座戦:ジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン(ch)vs.ビア・マニーInc vs.中西学、ストロング・マン
Aラ・ソンブラ、マスカラ・ドラダvs.獣神サンダー・ライガー、へクトール・ガルザ
Bディープ・スリープ・トゥー・ルーズ:天山広吉vs.飯塚貴史
Cハードコア・ルールズ:RVD vs.矢野通
D永田裕志vs.鈴木みのる
EJrヘビー級王座戦:プリンス・デイヴィット(ch)vs.飯伏幸太
F杉浦貴、高山善廣vs.後藤洋央紀、岡田かずちか
GTNA王座戦:ジェフ・ハーディ(ch)vs.内藤哲也
H中邑真輔vs.潮崎豪
I真壁刀義vs.田中将人
JIWGP王座戦:小島聡(ch)vs.棚橋弘志(新チャンピオン!)