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新日本プロレス:Best of NJPW 2007の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@中邑真輔vs.川田利明(1/4/07)
 川田の痛そうな打撃に対し中邑のエルボーは中途半端。
 リアルに痛くあるべきという価値が絶対ではありませんが
 絵になっている訳でもないという。
 ニーなど足技は比較的良いですが、
 川田はどの打撃もハードでしたからね。

 中盤に形を崩して対抗戦の火花、雰囲気を作り、
 後半の攻防に移っていきますが、発展性は見られず。

 もっさりした中途半端な投げ合い、サブミッション合戦で
 どこに着地させるのか見えず、気合の使い方も下手。

 最後の一撃は強烈ですが、試合としてはまとまっていない。

 まあまあ良い試合程度。
 (執筆日:3/?/21)

AIWGPヘビー級王座戦:棚橋弘至(ch)vs.金本浩二(2/18/07)
 今や記念大会定番となったヘビー級王者vs.Jr.ヘビー級王者対決ですが、
 これが初めて実現した回だったようですね。

 序盤のレスリングは体重差問題にならないので、
 体勢を激し入れ替え合う良質なレスリング。

 続いて金本が握手を求めるふりしてソバット。
 蹴りを連打。
 手数こそありますが、普通に棚橋をドミネイト。
 気合で打撃を耐えきったりもするし、
 階級差を完全に反映できていませんね。
 
 受けるプロレスといっても階級逆転は頂けない。
 勿論これは観客を楽しませよう、その為に攻防を作ろうとして、
 理を無視し、自分の強さを犠牲にする行為で、
 それは下手さから来ているというより
 ある種の覚悟から来ているところも間違いないのだろうけれども
 それが正当化されることはありません。

 一方でこの階級差無視を考慮に入れさえしなければ
 棚橋がやりたかったことをかなりのレベルで出来ています。
 そこは十分に評価したいですね。
 実際に試合が進むにつれ
 ベースの評価は低かったですが、そこから3段くらい普通に上がりましたからね。

 中々良い試合。
 (執筆日:5/?/20)

BIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.永田裕志(4/18/07)
 棚橋レスリングの際は軸がぶれてまだまだ若いと感じさせますね。
 しかしその差をはっきりと目に見える形にせず微細な表現に留め、
 それをコンタクトしない時間による緊張感と織り交ぜることで
 非常に良い形となっていて棚橋の仕掛けへとつながっている。
 そこから荒々しい打撃の打ち合いになりますが
 棚橋の生意気なアピールの織り交ぜ方は面白く、
 打撃に打ち勝った永田もここぞで間を置いて情感的に見せている。
 永田が腕攻め後、棚橋が脚攻め。
 展開が支配せず、その場その場での戦略的意味合いが活きているのは
 その攻め方に関して試行錯誤の段階だからこそでしょう。
 棚橋が挑戦的に妙手を織り交ぜ
 永田も移動性とその場投げの攻めを上手く組み合わせている。
 バランスが良すぎるが故に終盤押し上げれない感はあったものの
 想像以上に素晴らしい試合でした。
 ぎりぎり名勝負。

CJr.タッグ王座戦:邪道、外道(ch)vs.ディック東郷、TAKAみちのく(5/2/07)
 TAKAと邪道が暑苦しく打撃の打ち合い。
 その一方でサブミッションの攻防、と幅広く見所を提供しましたね。

 そして勿論タッグ・ワークの方も問題なし。
 軽快な連携技を放ちつつムーブありきにならず、
 しっかりとタッグ全体の展開と紐づけています。

 邪道、外道の試合運びが安定している分、
 未来への道筋、ステップ・アップの作り方が不十分で、勿体なかったか。

 終盤は同時サブミッションをポイントに置きながら
 セコンドも機能的に動いて鬩ぎ合いました。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:10/?/20)

DG1決勝:棚橋弘志vs.永田裕志(8/12/07)
 相同性のレスリングからかわしあい。
 前回の試合との差別化を図ったか。
 しかし前回の試合からすれば相同性に落ち着けることがベストとは思えないのですけどね。
 永田の腕狙いを防いで棚橋が打撃。
 ロープを使ったドラスクを重ねます。
 前回でやったことは軽く決め、
 再戦をアピールする方向性ですね。
 セカンド・ロープにのってから
 場外ダウンの相手にボディ・プレスという特別な技を重ねます。
 その後も印象的なものを数ばらまいて勝負。
 永田のクロス・フェイス、張り手の打ち合いなどを織り交ぜ盛ります。
 永田がもう少しセルしてくれないと釣り合わないのが難点。
 棚橋がボディ・プレス時に膝を痛めるのは面白かったが
 前回を超えられなかったことは否めない。
 好勝負に少し届かず。

EIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.後藤洋央紀(11/11/07)
 ヘビー級の迫力 をありながらも
 クルーザー級を思わせる身軽な攻防は
 中々どうして目を見張るものがあります。
 また場外、打撃の打ち合い、一極攻め、コーナー上の攻防等展開も見事です。
 だが同時にこの展開でやや改善点もあり。
 場外、打撃の打ち合いがややしつこいのと
 後藤には脚を痛めているというアピールが欲しかったです。
 これだけ壮絶感あるのに
 (しかしミスのおかげというのも情けない話ですけれど)
 気合で起き上がってしまうシーンが
 あるのはいつも通り納得行きませんが
 これはもう日本のプロレスなら仕方ないんでしょう。
 最初の約1/3が完全に欠けているというおかしな状態で
 判断するのもあれなので適当に文句なしに好勝負としておきましょう。
 一応ベスト・マッチの可能性もある程で
 新日だと年間最高試合物ではないかな。
 TNAに出てた時はこんな冴えない奴が、って思ったけど
 随分良くなったね。
 今後新日は意外に盛り返して来るかもしれません。

 (ノー・カットで再視聴)
 挑発から始めて、後藤の荒々しさを表現する機会を作り出します。
 棚橋はオーソドックスな流れと見せかけて
 ヒール調の打撃と不意打ちの攻撃で意表をついてきます。
 後藤もそれを耐えることでタフさを出してくる。
 荒々しくも豪胆で勢いのある表現です。
 棚橋が強制的に脚攻めに持ち込み中盤戦。
 観客に応援させる間を適切に作っていますが、
 これを敢えて観客をほとんど見ずに作っているのが面白い。
 この試合においてはこれで成立している。
 当時のスキルを考慮すれば観客を見過ぎると歯車が狂ったかもしれないですから。
 加速度的にテンポを増して攻防戦。
 サブミッションもスロー・ダウンしすぎませんし、
 場外の攻防もナチュラルに入れ込めています。
 スポット単体ではなく幾つかの技がセットとして
 考えられているから戦いの激化が非常にスムーズで、
 構築が前に出過ぎないのが良かったですね。
 クライマックスの打撃シーンはやや冗長だし、
 後藤の技を決めた後の時間の処理が下手で気になるものの
 感情表現で誤魔化し、最後まで突っ走りました。
 2007年だからこそ生まれた部分もある素晴らしい内容。
 ぎりぎり名勝負です。
 (執筆日:7/?/14)

注目試合の詳細

EIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.後藤洋央紀(11/11/07)
  (カット約9分)
  棚橋がスリーパーを狙う。
  後藤はすぐに体勢を入れ替えるとドラゴン・スリーパーへ。
  棚橋が体勢を入れ替える。
  後藤はロープに脚をかける。
  棚橋が軽快に攻めていく。
  エプロンの後藤にジャーマンを狙う。
  後藤は逃れるとクローズラインで棚橋をリングに入れる。
  棚橋はひるまずロープを使ってのドラゴン・スリーパー。
  回復する暇を与えずエプロンからトペ・アトミコ。
  鉄柱にぶつけようとする。
  後藤は防ぐと逆に鉄柱にぶつけスピン・キック。
  更にスプリングボード式トペ・コンヒーロ。
  リングに戻しダイビング・エルボー・ドロップでカバー。カウント2。
  棚橋がネック・ブリーカー・ドロップを決める。
  両者ダウン。
  フォア・アームズを打ち合う。
  棚橋が打ち負けたかと思いきやフォア・アームズを避けジャーマン。
  後藤も起き上がってお返しのジャーマン。
  張り手を打ち合う。
  押され気味の後藤は殴りつける。
  10カウント・パンチ。
  注意したレフェリーを付き飛ばす。
  棚橋はロー・ブローを決めるとネック・ブリーカー・ドロップ2発。
  20分経過。
  カバーするもカウント2。
  タイガー・スープレックスを狙う。
  防がれるもすぐに狙いを変えダブル・アーム・ロック・ジャーマン。カウント2。
  脚に狙いをつけテキサス・クローバー・リーフ。
  後藤がロープを掴む。
  脚へのフロッグ・スプラッシュを狙う。
  後藤は膝を立てて防ぐとバック・ドロップ。
  そして昇天を決めるがカウントは2!
  もう1発狙う。
  棚橋が丸め込みに返す。
  カウント2で返されるが引き続き丸め込んでいく。
  後藤が潰すようにしてドライバーに切り返す。
  レフェリーは棚橋が続行できないと引き離そうとする。
  後藤は構わず首を集中攻撃。
  首へのダイビング・エルボー・ドロップでカバーするもカウント2。
  ドラゴン・スリーパー・ドロップもカウント3ならず。
  コーナー上へ。
  棚橋が後藤を捕まえる。
  後藤も首にエルボーを入れ抵抗。
  後藤が雪崩式ヨシタニック。カウントは2。
  ならばと昇天へ!
  棚橋はネック・ブリーカーに切り返すとジャーマン。
  後藤はカウントは1で返すとラリアット。カウント2。
  棚橋はショート・レンジ・ラリアットを避けるとドラゴン・スープレックス。カウント2。
  30分経過。
  ファルコン・アローもカウント2。
  棚橋は脚へのフロッグ・スプラッシュからテキサス・クローバー・リーフ。
  後藤は耐えるがリングに戻され、たまらずタップ・アウト!
  棚橋の防衛!

試合結果

@
AIWGPヘビー級王座戦:棚橋弘至(ch)vs.金本浩二(2/18/07)
BIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.永田裕志(4/18/07)
CJr.タッグ王座戦:邪道、外道(ch)vs.ディック東郷、TAKAみちのく(新チャンピオン!)(5/2/07)
DG1決勝:棚橋弘志vs.永田裕志(8/12/07)
EIWGP王座戦:棚橋弘至(ch)vs.後藤洋央紀(11/11/07)