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日本プロレス:必殺の空手チョップ 今甦る! 力道山 伝説の格闘王の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

総時間約94分。

過去に発売されたVHS3作品のリバイバル。
時系列順にレビューしていきます。

BNWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.力道山(?/?/57)
 まずはテーズと の黄金カードですが
 そういやこの頃は60分ではなく61分でした。
 試合開始してから20秒は
 睨み合ったりして何もしないから、と意味不明な理由がつけられていたものです。
 しかしこの試合はたった9分で少々時間的に物足りない。
 ただレスリングはまるで早送りかと錯覚するぐらいの素早さで
 やはりテーズは一味も二味も違うなと改めて感じさせられました。
 この後テーズをLAで破った事で
 力道山の一プロレスラーとしての夢は実現し終わったのであります。
 この頃からテーズに殺意に満ちた、とまで言われた
 その複雑な出生や悲哀、歓喜といった
 あらゆる気持ちを込めたようなプロレスは失われ
 実業家の色がますます濃くなっていくのでございます。
 
C優勝決定戦:力道山vs.ジェス・オルテガ(?/?/59)
 テーズ戦という最高のカードを実現させてしまって
 プロレス・ブームはやや下火に。
 そんな時力道山が思いついたのは
 第1回ワールド大リーグ戦でして
 この先目玉外国人レスラーが次々と生まれる定番商品となるのであります。
 注目すべきは最後に4人が同率で並んだんですが
 力道山がミスター・アトミックを血祭りに上げ反則負けして
 力道山が決勝に行けないと気落ちさせておきながら
 最後はアトミックが試合不可で力道山が決勝に上がるという
 トーナメントという仕掛けの定番ネタを既に思いついていたと言うことですね。
 力道山がプロモーターとしても優れていた事を示しています。
 試合ですが今回ブレイクしたオルテガは
 喧嘩ファイト系で余り見る物はなく・・・。

 一方その頃アメリカでは・・・
 絶対王者テーズがNWA王者から滑り落ち
 変革の刻を迎えていたのであります。
 世界に打って出たい力道山は
 ブラッシーのWWA王座を獲得し
 ついでにそのブラッシーを日本に呼んで
 センセーションを巻き起こすのでございます。

AAWA王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.フレッド・ブラッシー (4/23/62)
 力道山が得意と していたのは
 技巧派よりラフ・ファイターでした。
 その代表格がこの銀髪鬼。
 試合はブラッシーがロープに押し込んで噛みつき
 それに対し力道山がチョップを打ち返すも決定打にならなくて・・・
 これがひたすら延々と続くので正直退屈です。
 しかし少なくとも名優ブラッシーの演技は素晴らしく
 幾多のチョップを食らいながらも
 決して倒れない不死身ぶりと
 血を滴らせながら笑みを浮かべる様には
 老人がショック死した事も納得です。
 またコメントもいかしていて
 噛みついているシーンがフィルムに映ってるぞと突っ込まれたら
 フィルムが嘘をついているんだ、なんて言っています。
 尚この試合は結構カットが入ってますが
 時間経過のアナウンスを聞いていると
 なんか順番が入れ替わってるような気がします。
 でも上記のような内容なので
 余り変わりないのですけれど(苦笑)

 しかし壮絶な流血戦はまたしても
 プロレス批判を巻き起こしました。

 さてこの頃ある男が陰謀をたくらんでおりました。
 その名をジュリアス・ストロンボー。
 AWAのプロモーターでありました。
 彼は自団体をNWAより大きな物にしたいという野望がありました。
 それにはベルトがなくては困る。
 ということで無理矢理
 力道山とブラッシーの試合を組むと
 特殊ルールを勝手に加え
 只の出血でドクター・ストップ、
 最後は戦意喪失でモントリオールの悲劇ばりの
 ハメで王座を奪ってしまうのです。
 しかしこんな勝ちではブラッシーの価値も落としていますよね。
 実はストロンボーには本命が別にいたのでした。
 それこそインテリジェント・センセーショナル・ザ・デストロイヤーその人でありました。
 こうして次の日初のマスクマン世界王者が誕生したのでありました。

@インターナショナル王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(12/2/63)
 こうなると力道山はブラッシーではなく
 デストロイヤーに狙いを変えなくてはなりません。
 ここでもまた力道山はついていまして
 デストロイヤーと技巧戦を繰り広げ
 (必殺技が4の字というサブミッションですから分かりやすいですね)
 再び起こっていたプロレス批判論を静めてしまうのですね。
 この後はWWA(AWA)はすぐにデストロイヤーを切り捨て
 王者で無くなりましたが受けがよいので
 また呼んでこの試合が組まれたのです。
 
 試合を振り返ると・・・
 まずは予想通りのグラウンド合戦。
 デストロイヤーが場外で間を外したりしながら
 空手チョップを出させないのが見物。
 しかしゆとりを持ったレスリングは
 テーズ戦のような緊張感がなく
 力道山に殺しがなくなっていることを感じさせます。
 デストロイヤーがヒール・プレイを見せ
 (それでいてどこか紳士的だが)ロープ悪用のカバーで1本目先取。
 とはいってもセカンド・ロープではなくサード・ロープに脚をかけていては何も説得力がないですね。
 このロープ悪用フォール、80年代までセカンド・ロープを使うようにならないのだから首をかしげてしまいますね。
 
 2本目は早々にデストロイヤーが勝利を狙い4の字を狙ってきます。
 力道山は決めさせない物のコブラ・ツイストに捕らえられまして
 ロープ・ブレイクで逃れるわけですが
 離れる前に渾身一滴の空手チョップを放ち2本目を取ります。
 これはあくまで不意打ちであり
 空手チョップを出させてもらえないという展開を続けられる訳ですね。
 しかしストーリーのために犠牲も払っていて
 不意打ちということで流れがなく唐突ですし、
 ダウン状態からの空手チョップでは一撃性に欠けることは否めません。

 3本目はデストロイヤーの怒濤の4の字狙いで絶体絶命という演出。
 もはや打つ手無しと思われましたが
 力道山が4の字を狙ったデストロイヤーを蹴落とし得意の場外戦へ。
 ここでもデストロイヤーがヘッド・ロックをかけた状態で
 エプロンにぶつけるというクレバーぶりを見せる訳ですが
 これを場外でのバック・ドロップという
 空手チョップ封じのおかげで
 まったく観客の脳裏から抜け落ちていた技に切り返して辛勝したのでした。
 2本目までの攻防を利用し、その積み重ねで面白くするという分かりやすい盛り上げ方でしたね。
 初期力道山の魅力が失われている一方で、
 技巧戦のイメージを与えるために試合におけるストーリーに力を払っていることが良く分かり興味深いですね。
 この試合は64%という歴史的な高視聴率を残しています。
 中々良い試合。
 (追記:3/6/12)

 この後WWA王座奪還をもくろんでいたのでしょうが
 刺傷事件が起こり力道山は帰らぬ人となったのでありました。

総評
 力道山は試合も良いし
 その人間としても語るべき物があるので
 再評価のムーブメントが起きるべきだと思いますね。
 流智美先生の解説付きで
 この時代の映像をどんどん発掘して欲しい物です。
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

@インターナショナル王座戦:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(12/2/63)
  力道山がフライング・ヘッド・シザース。
  デストロイヤーは抜け出ると脚を取ろうとする。
  力道山はすぐにコーナーに逃げる。
  デストロイヤーがショルダー・ブロックを入れてから離れる。
  デストロイヤーが首投げを打っても
  力道山がすぐにグラウンド・ヘッド・シザースに切り返す。
  何度しても 同じ。
  5分経過。
  デストロイヤーがリバース・チン・ロック。
  力道山がロープを掴む。
  デストロイヤーは中々外さないが力道山が空手の構えを取るなり場外に避難。
  デストロイヤーが背中から腕を極める。
  力道山は体勢を整えるとベア・ハグ。
  デストロイヤーがロープに脚をかける。
  デストロイヤーはボディ・シザースに捕らえたままカウント5寸前まで離さない。
  両者離れる。
  デストロイヤーがハーフネルソンを狙うもコーナーに逃げられ、
  離れぎわに背を叩く。
  今度は力道山がバックを取り寝技に持ち込もうとするも
  デストロイヤーはすり抜け場外で間をおく。
  10分経過。
  脚を取ろうとしてきたデストロイヤーにフロント・ヘッド・ロック。
  デストロイヤーはロープ・ブレイクで逃れる。
  力道山はデストロイヤーを持ち上げるとエプロンに下ろして心理戦を仕掛ける。
  デストロイヤーがアーム・ドラッグ。
  力道山が逃れる。
  デストロイヤーがフロント・ヘッド・ロックから丸め込むもロープに脚がかかる。
  デストロイヤーは顔をひっかいたり
  ロープで締め上げたりする。
  ドロップ・キックも決める。
  力道山をコーナーに押し込むとショルダー・ブロックへ。
  力道山は避けると逆にデストロイヤーをコーナーに追いつめる。
  デストロイヤーは許しを請うと場外に逃げ間を置く。
  15分経過。
  力道山がボディ・スラムから顔を踏みつける。
  デストロイヤーが場外で間をおく。
  デストロイヤーがサミングに顔をかきむしる。
  首投げからドロップ・キック2発。
  ニー・ドロップからダイビング・ニー・ドロップヘ。
  避けられ自爆。
  だが先に起きあがりボディ・スラム。カウント2。
  ボディ・スラムからカバー。カウントは2。
  ならばとボディ・スラムからロープ悪用し1,2,3!
  デストロイヤーが先取(18分)!
  1本取られてはやる力道山に対し
  デストロイヤーは場外で間を置きじらす。
  デストロイヤーが4の字を狙う。
  力道山は決まる前にロープに逃がれる。
  デストロイヤーがコブラ・ツイスト。
  力道山はロープに逃れる。
  離れ際に空手チョップを放ち1,2,3!
  これで力道山が追いつく(22分)!
  デストロイヤーはコーナーに押し込むと殴りつける。
  腕を蹴りつけニー・ドロップ・。
  ロープ悪用のカバーに行こうとする。
  力道山がその前にロープに脚をかける。
  だがデストロイヤーは離れずダブル・ニー・ドロップ。
  力道山の脚をロープにのせヒップ・ドロップへ。
  力道山は避けると踏みつけチョップを打っていく。
  デストロイヤーはガードするも場外に転落。
  デストロイヤーは力道山の脚を取って倒すとロープを使って伸ばす。
  リングに戻りレッグ・ロック。
  ロープを使って威力を強める。
  力道山がロープを掴む。
  デストロイヤーはリング中央に持って行き4の字を狙う。
  力道山が体を反転させる。
  デストロイヤーは力道山の体を戻し4の字を狙う。
  力道山はデストロイヤーの脚を掴んで完全には決まらないようにする。
  完全に決まる!
  力道山がロープを掴むもデストロイヤーはすぐには離さない。
  またも4の字を狙う。
  力道山は体を反転させるも戻されロープを掴む。
  力道山は4の字を狙うデストロイヤーを蹴り飛ばして落とす。
  力道山もリングを降りる。
  デストロイヤーはヘッド・ロックに捕らえると、そのままエプロンにぶつける。
  デストロイヤーがリングに戻ろうとする。
  力道山が戻らせない。
  デストロイヤーが再びヘッド・ロックからエプロンにぶつけていく。
  力道山がバック・ドロップに切り返す!
  力道山がリングに戻った所でカウントアウト!
  力道山の勝利(30分)!
  納得できないデストロイヤーが力道山に噛みつくも引き離される。


AAWA王座戦:力道山(ch)vs.フレッド・ブラッシー(4/23/62)
  ブラッシーが組もうとするも力道山が嫌がる。
  ブラッシーがレッグ・ロック。
  力道山は逃れると腹にパンチ。
  ブラッシーは反則だと抗議。
  ブラッシーはヘッド・ロックから殴りつける。
  力道山をロープに絡めると噛みつく。
  力道山が痛烈なキック。
  レフェリーが警告。
  力道山がチョップを放っていく。
  ブラッシーがダウン。
  立ち上がった所にチョップを入れカバーするもカウントは2。
  踏みつける。
  組み合う。
  ブラッシーがヘッド・ロックから殴りつける。
  お互いロープ・ブレイクで逃れていく。
  ブラッシーがタイツを掴んでレフェリーの注意を引きながら
  もう片方の手ではチョーク。
  逃れようとする力道山に噛みつき。
  ブラッシーが腕を取ろうとする。
  力道山が鮮やかに蹴りつけ逃れる。
  ブラッシーが反則パンチを繰り返す。
  ブラッシーは力道山をロープに固定させ噛みつき。
  レフェリーが引き離すもブラッシーは執拗に噛みつき。
  力道山は流血している。
  力道山がショルダー・タックルを決めていく。
  ブラッシーが蹴りを入れて動きを止めネック・ブリーカーで1,2,3!
  ブラッシーがロープ・ブレイクの際に殴りつけていく。
  力道山もロープ・ブレイク時にチョップ。
  ブラッシーのパンチに力道山がお返しのチョップ。
  ブラッシーが転がり落ちる。
  ブラッシーはカウント10で戻る。
  力道山はコーナーに追いつめチョップ。
  ブラッシーはコーナーのロープ・ブレイクで時間を稼ぐ。
  次の瞬間反撃に転じ噛みつき。
  力道山はエプロンに出て逃れる。
  リングに戻るとチョップからボディ・スラム。
  カバーするもロープに脚がかかる。
  チョップを決め再びカバー。ロープに脚がかかる。
  ロープにもたれかかっているブラッシーに力道山がチョップを打っていく。
  ロープに振り空手チョップで1,2,3!
  ブラッシーは場外で間を置く。
  力道山がチョップを放っていく。
  ブラッシー、ダウン。
  起きあがってきた所にチョップを放ちカバー。カウント2。
  またチョップを放ちカバー。ブラッシーがロープに脚をかける。
  力道山は相手のタフさ加減に攻め手を欠いている様子。
  力道山がバックを取り丸め込み。
  ブラッシーは返すとチョーク。
  ニー・ドロップからカバー。カウント2。
  力道山がチョップを打つ。
  ブラッシーの殴りに対して力道山はチョップを打ち返す。
  ロープに振り空手チョップ。
  ブラッシーは崩れ落ちるもロープに脚をかけカバーさせない。
  チョップを打っていきエプロンへのボディ・スラム。
  エプロンのブラッシーにチョップを打ち落とす。
  リングに戻ってきたブラッシーは殴りかかる。
  力道山もチョップ。
  時間が迫っている。
  ブラッシーが反則のパンチを繰り出すと力道山は転落。
  力道山はエプロンに登るとブラッシーにショルダー・ブロック。
  カバーし1,2,3!


BNWA王座戦:ルー・テーズ(ch)vs.力道山(?/?/57)
  まずはテーズが挨拶とばかりに反則エルボー。
  バックを取ってきた力道山を転がすとグラウンド・ヘッド・シザース。
  力道山は逃れると腕を取る。
  テーズが取り返す。
  力道山が逃れて脚を取る。
  テーズがロープを掴む。
  力道山がヘッド・ロック。
  テーズがバック・ドロップを決め1,2,3!
  テーズが先取(3分)!
  5分間インターバル。
  テーズがキー・ロック。
  力道山がロープを掴むがテーズは中々離さない。
  どちらも仕掛けれずロープ・ブレイク。
  テーズがヘッド・ロック。
  力道山がロープに振るとショルダー・タックル相打ち。
  テーズがヘッド・ロックから拳を打っていく。
  力道山はテーズをロープに振ると空手チョップ。
  カバーし1,2,3!
  これで1対1(6分)!
  5分間インターバル。
  力道山がヘッド・ロック。
  テーズがバック・ドロップを狙う!
  力道山は脚をかけて防ぐと首投げ。
  ヘッド・ロックで締め上げる。
  テーズはふらふら。
  テーズは立ち上がるとロープに振り抱えあげる。
  エアプレイン・スピンへ。
  そのまま両者転落。
  引き分けとなる(9分)!
  ダブル・カウントアウトになる。

試合結果

@インターナショナル王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(2-1)(カウントアウト)(12/2/63)
AAWA王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.フレッド・ブラッシー(2-1)(4/23/62)
BNWA王座戦、3本勝負: ルー・テーズ(ch)vs.力道山(?/?/57)(1-1)(ダブル・カウン トアウト)
C優勝決定戦:力道山(優勝!)vs.ジェス・オルテガ(?/?/59)