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DDT:#251(12/3/09) & #252(12/10/09)の分析


名勝負 KO-D無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.石川修司(11/29/09)
好勝負 なし

2枚です。
SlamBamJam製。

11/29/09の大会より
@大石真翔、円華、佐々木大輔vs.ツトム・オースギ、木高イサミ、高尾蒼馬
 BOYZ提供試合。
 タッグ含め基本的能力は一通り揃っていますね。
 ただ締めへの高め方はそこまででは無し。
 悪くない試合。

Aハード・ヒット・ルール:タノムサク鳥羽、澤田篤男vs.長井満也、佐々木恭介
 ハード・ヒット提供試合。 
 澤田、長井はサブミッションが身についているし、
 佐々木はボクシング系、鳥羽はキック系で絵になっているので良い試合になるかと思いきや、
 佐々木、鳥羽を筆頭に集中力が途切れ始め、最後はリアリティーに欠けるフィニッシュ。
 少し悪い試合。

BMIKAMI vs.ヘラクレス千賀
 クルーザーゲーム提供試合。
 リングに入るなり空間的に走り回っています。
 しかし仕掛けは基本唐突でゲーム的な域を超えない5分程の内容。
 悪くない試合。

C10マン・バトル・ロイヤル
 監獄島提供試合。
 一定時間経過後武器が投入され、勝者は経営権を手に出来るルールです。
 武器といってもハードコア系ではなくネタ系。
 温い見所を揃えた内容です。
 悪い試合。

D趙雲子龍、Dragon-Achooooo、周喩公瑾vs.曹磨刀、元大老、安浦野
 (カットあり)
 新北京プロレス提供試合。
 奇天烈な格好に反して、試合の中で漫画的スタイルを取っているのは曹磨刀、元大老だけでしたね。
 他は普通にやっているのにその余りのレベルの低さで冗談になっている状況。
 GENTAROの桃白白ギミックは面白かったけど、ひどい試合。

EUWAトリオス王座戦:フランチェスコ・トーゴー、PIZAみちのく、アントニーニオ本多(ch)vs.男色ディーノ、マサ高梨、佐藤光留
 (カットあり)
 イタリア軍はトリオとして動くもその必要性は求められていない。
 相手がどぎついおかまネタのディーノに、キレのないMMAサブミッションの佐藤ですからね。
 ひどい試合。

FKO-D無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.石川修司(11/29/09)
 私の中で飯伏ってレスラーは好きでも嫌いでもなく、
 それ程好きではない、って言葉が似合う選手なんです。
 斬新なムーブは試合において創造的役割を果たす物ではないので見慣れれば余り意味が無いし、
 その構築は優等生で素晴らしいが、
 構築論全盛のアメプロを見ていると特筆すべき物ではありません。
 キレのある打撃と身体能力の高さは
 観客から受けが良いので重宝されますが
 それだけで成り立つ要素でもありませんからね。
 オメガ戦のような例外やプロレスにならない遊びを除いた
 一般的なプロレスにおいては
 トータル・パッケージで完成度は高いが面白みに欠ける選手って認識でした。
 しかしこの試合の飯伏は既存の飯伏像を遥かに超えた領域にありました。
 
 前半は受けの妙技を始めとして、
 間合いの空気感から打撃一発一発にまで意識が行き届いており
 単純な体格差の構図以上の物、石川のイメージ像までもを作り上げました。
 その表舞台に出ない荒野の強豪、不気味なまでの強さは否応なしにロマンをかきたてます。
 またその表現の上から繰り出される飯伏のムーブは
 本来の輝きを取り戻しているのも見逃せない所です。

 石川は今まで見た事がないとは思えない程素晴らしいレスラーで感心しましたね。
 強烈な印象を与えるべきポイントを正確に掴み、実行しているので
 シンプルながら非常に魅力です。
 所々もう少し上手く受身を取ったらな等
 インディー・レスラーとしての弱さも見えましたが些細な事です。

 このように構図、キャラ立てを大きく、強く描いて
 とてつもなく素晴らしい舞台を用意したのだけど、
 それと比例して、その大きな差をどう詰ていくか、詰めきれるか後半の構築が難しくなってくる。
 説得力を持たせられるのかという問題です。
 これをまた飯伏はね、表現力で解決して見せた。

 とことん追い詰められ気を失った末に、
 裏の人格が現れたが如く、
 狂気によって力関係を一気に0距離化させた。
 裏技な解決方法です。
 しかしこの変形ファイヤー・サンダー・ドライバーをカウント1で返すような行為は
 そこらへんの気合の起き上がっての打ち合いとは違う。
 ダメージも無視してはいない。
 常識的な理から外れてはいても、
 その世界の理からは外れてはいない。
 素晴らしい表現力によって為せる御技です。
 
 そして面白いのは飯伏が狂った事で応援すべき対象から外れていくんです。
 彼と一体化する事に嫌な感触を持つような不協和音が流れ始める。
 逆にこの理不尽で、人知を超えた反撃の中
 粗が飛び出そうになるのを工夫した切り返しで必死に繋ぎ止めて
 自らを貫き通している石川は
 団体破りの存在ではなく、ユニオンという家族を背負った大黒柱へと変化していく。
 ユニオンが所詮はDDT内団体という事で対抗戦的構えを観客が持っておらず
 必ずしもブレット対オースチンのように上手く観客の中で化学反応を起こせた訳ではないけれど
 信じられないようなダブル・ターンが試合の中で起こっていました。
   
 私はこれを年間最高試合に押します。
 ぎりぎり名勝負です。

 ただし試合後のやり取りは駄目過ぎる。
 石川のマイク・アピールは素人同然だし、
 飯伏は安直にノー・サイドの握手を行います
 (これはヒール・ターンする予定にないからとかいう問題ではありません)、
 そしてDDTならではの馬鹿げたスキットが完全に余韻を台無しにします。
 正直言ってこの部分は見なければ良かった、と思います。
 (執筆日:1/7/09)


総評
 相変わらずおふざけが強いですね。
 取りあえずメインは必見なのでよいけど。
 (執筆日:8/16/10)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

FKO-D無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.石川修司(11/29/09)
  飯伏が蹴りで牽制。
  石川が距離を詰めるもロープ・ブレイクで離れる。
  飯伏が蹴りを連打しソバット。
  場外に逃れた石川にブランチャを狙う。
  石川はキャッチすると鉄柱にぶつける。
  持ち上げると観客席のフェンスにぶつける。
  背中を殴りつけリングに戻す。
  背中を踏みつけターン・バックルにぶつける。
  フォア・アームズ。
  飯伏が打ち返し打ち合いに。
  石川がニーで黙らせる。
  カバーするもカウント2。
  ハーフ・ボストン・クラブ。
  飯伏がロープを掴む。
  アブナミドル・ストレッチ。
  脚も取って反らしあげる。
  バック・ブリーカーで反らす。
  持ち上げるとフォール・アウェイ・スラム。
  カバーするも飯伏の脚がロープにかかる。
  セカンド・ロープにのると腰へのダイビング・ダブル・ストンプを狙う。
  避けられるも突進してきた飯伏にビッグ・ブーツ。
  コーナーでチョップ連打。
  コーナーに振る。
  飯伏はコーナーにのり反転すると飛びつきヘッド・シザース。
  場外に出た石川をムーンサルトで追撃。
  リングに戻すとミサイル・キック。
  ジャーマンを狙う。
  石川は耐えて殴りつけるとロープに走る。
  飯伏がカウンターでジャンピング・キック。
  蹴りを打ち込んでいく。
  シザースで倒してレッグ・ロック。
  石川がロープを掴む。
  飯伏が張り手を連打。
  石川が避けてスラム。
  そのまま首を締め上げる。
  飯伏が脚をロープにかける。
  起こそうとする。
  飯伏がフォア・アームズ。
  石川が打ち返す。
  フォア・アームズを打ってきた飯伏の両腕を脇に挟むとヘッド・バッド連打。
  閂スープレックス。
  コーナーの飯伏にクローズライン。
  ミサイル・キックを決める。
  カバーするもカウント2。
  担ぐ。
  逃れた飯伏に蹴りを入れロープに振る。
  飯伏がマトリックスで避ける。
  ハイ・キックから石川にジャーマン。カウント2。
  バズソー・キック。
  カバー。
  返されるやもう1発。
  カバーするもカウント2。
  変形ボディ・スラムからスターダスト・プレス。カウント2。
  ブレーン・バスターを狙う。
  石川が逆に持ち上げる。
  飯伏は着地すると蹴り。
  コーナーに振り突進。
  石川がカウンターでキッチン・シンク。
  バック・ドロップ。
  スライディング・キックへ。
  飯伏は避けると蹴りをたたき込むも脚を痛めた様子。
  石川が起きあがりバック・ドロップ。
  スライディング・キック。
  カバーするもカウント2。
  スプラッシュ・マウンテンへ。
  逃れられるもニー。
  ニーにヘッド・バッド。
  飯伏がパンチにハイ・キック。
  石川が崩れ落ちる。
  飯伏はエプロンに出ると石川を起こし場外へのジャーマンを狙う。
  石川がロープを掴んで耐える。
  飯伏がフルネルソン・スープレックスを狙う。
  石川が防ぎきる。
  フォア・アームズの打ち合い。
  石川がビッグ・ブーツ。
  チョーク・スラムを狙う。
  耐える飯伏に袈裟切りチョップ。
  断崖式のチョーク・スラムへ。
  飯伏は一回転して着地するとジャンピング・キック。
  石川はエプロンに座るようにダウン。
  飯伏はエプロンに飛び乗ると後頭部に蹴り。
  そのままリングに戻る。
  石川が何とかリングに戻る。
  飯伏が張り手を連打。
  石川も張り手を打ち返している。
  やや押されていた石川がヘッド・バッド。
  飯伏はストレート掌底をたたき込んでいく。
  ガードされるもコーナーで連打する。
  レフェリーが引き離す。
  飯伏は石川にシット・ダウン・パワー・ボム。カウント2。
  フルネルソン・スープレックスを狙う。
  耐える石川の後頭部にストレート掌底。
  フルネルソン・スープレックス。カウントは2。
  変形ボディ・スラム。
  コーナー上へ。
  石川が起きあがり飯伏を捕まえる。
  飯伏がエルボーを打ち込む。
  コーナー上から逃れるとパワー・ボムを狙う。
  石川はロープを掴んで耐えハリケーン・ラナ。
  飯伏がソバット。
  ハイ・キックへ。
  避けられるもそのままペイレイ・キックへ。
  石川はキャッチすると変形ファイヤー・サンダー・ドライバー。
  カバーするもカウント1。
  2人は起きあがると顔への張り手を連打。
  石川がもぐりこみスープレックス。
  ランニング・ニー・ストライク。
  パワー・ボムを狙う。
  飯伏が体を地に伏せ耐える。
  石川は飯伏を起こすとニー。
  スライディング・キック。
  クロス・アーム・スプラッシュ・マウンテン。
  1,2,3!
  石川が新チャンピオンに!

試合結果

@大石真翔、円華、佐々木大輔vs.ツトム・オースギ、木高イサミ、高尾蒼馬
Aハード・ヒット・ルール:タノムサク鳥羽、澤田篤男vs.長井満也、佐々木恭介
BMIKAMI vs.ヘラクレス千賀
C10マン・バトル・ロイヤル(勝者:中澤マイケル)
D趙雲子龍、Dragon-Achooooo、周喩公瑾vs.曹磨刀、元大老、安浦野
EUWAトリオス王座戦:フランチェスコ・トーゴー、PIZAみちのく、アントニーニオ本多(ch)vs.男色ディーノ、マサ高梨、佐藤光留(新チャンピオン!)
FKO-D無差別級王座戦:飯伏幸太(ch)vs.石川修司(新チャンピオン!)(11/29/09)