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全日本プロレス:2011 Jr Heavyweightの分析


名勝負 なし
好勝負 Jrヘビー級王座戦:カズ・ハヤシ(ch)vs.稔(1/2/11)

3番勝負第3戦:佐藤光留vs.大和(12/4/11)

@Jrヘビー級王座戦:カズ・ハヤシ(ch)vs.稔(1/2/11)
 同じシンプルな感覚を持ちながらレスリングを交錯。
 派手さはないですが稔の高いセンスには唸らされますね。
 世界観が溶け込んでいるのでカズの仕掛けも浮いていません。
 ドラスクからカズが得意技で攻めたてるも
 稔が徐々に腕を追い込み、ハードな蹴りで加速させる。
 後半のカウンター合戦も本当に試合として成立していますね。
 緩急のつけ方もその後どう動かすかを考える時間稼ぎの一面もありつつ
 同時に攻防の見せ方の都合も考えたりと
 複合的な視点から組み立てているのが素晴らしい。
 分かりやすい凄さはないが完成度の高い試合。
 ぎりぎり好勝負。

AJrヘビー級王座戦:近藤修司vs.KAI(6/19/11)
 KAIは見得を切って臨むもスターとして見せれる物がありません。
 近藤が厳しいファイト・スタイルで脚攻めを行い
 KAIの魅力を引き立たせようとして追い込んでいくも
 その選択肢が正しかったと断言するには今一歩足りない。
 それでもKAIが腕狙いを絡めたハイ・フライングで反撃する様は
 狙いから逃げずに立ち向かう姿が見えて好感が持てましたけどね。
 近藤の一つ一つの技が重く終盤も盛り上がりましたが、
 ドラマチックな舞台に立つ領域にはKAIがまだ辿りついていない、それに尽きる試合でした。
 平均的な良試合。

BJrリーグ決勝:KAIvs金本浩二(9/25/11)
 KAIは準決勝で脚を痛めたようで
 金本は最初からその脚に狙いをつけて支配し打撃を打ち込みます。
 フェンスでフェイス・ウォッシュをしたりとやりたい放題ですね。
 そのくせ老獪さを印象付けるスポットも使もだから性質が悪い。
 ヘビー級に近いスタイルを持つKAIは思うように試合出来ず。
 打撃面では全日的に様式で張り合う事しかできませんし、
 スプリングボード式ドロップ・キックを売ってみても受け身を取ってもらえず
 KAIらしからぬ張り手の打ち合いを強要されたりしています。
 結局最後まで序盤の構図が変わらなかったですね。
 金本が全日おける異物であるという事は
 一応結果に意義をもたらしているけれども
 決勝の内容としては不十分と言わざるを得ない。
 まあまあ良い試合。

CJrヘビー級王座戦;KAI(ch)vs.ケニー・オメガ(10/23/11)
 オメガが武藤ムーブでヒールをアピールしてきたのは面白いですね。
 一方のKAIはしっかりしているものの装飾的な部分で物足りないレスラー。
 対照的な2人でお互いに欠ける要素を試合に持ち込んでいますが、
 同時に動く攻防の部分では若干のずれが見られます。
 トペコン後のエプロンの攻防でKAIが弾劾式LATを放ち中盤へ。
 オメガのダブル・チョップからユニークな流れで反撃開始。
 しかしここからコーナーへのパワー・ボムといったり
 不必要に無茶な過激技が目立ってきます。
 クライマックスも雪崩式含めてクロイツラスをやたら押していて
 どうも化学融合の方向性がずれている印象の残る内容。
 中々良い試合。

D3番勝負第3戦:佐藤光留(1)vs.大和ヒロシ(1)(12/4/11)
 佐藤はMMAをコンセプトに試合をするには丸くなっているし、
 今どきのJrは佐藤という個性を殺してしまう。
 トータルで考えていくと全日に参戦したのは素晴らしい選択です。
 序盤は大和の抵抗により佐藤のサブミッションが際立ちます。
 大和は打撃の打ち合いに応じながらも
 流れを読み取り、良いタイミングで流れを切って見せました。
 大和が自身の良さを見せつけて、今度は佐藤の番。
 ゼロ線キックのカウンターで脚へのブリーカーを決めると
 (普通に腰にやろうとしてずれただけかもしれませんが)
 腰と脚両方を同時に追い込む、というありそうでなかった展開に。
 大和は色の薄い分頑張りが表に出やすく、
 シンプルな流れで観客に訴えてきます。
 終盤は真っ向の打撃勝負からエスカレート。
 ヘッド・バッド合戦に発展し、大和が額から流血します。
 流血しながらも青春味の残る素晴らしい試合でした。
 佐藤の攻防もユニークで面白く今後も参戦して欲しいものです。
 ぎりぎり好勝負。
(執筆日:12/23/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@Jrヘビー級王座戦:カズ・ハヤシ(ch)vs.稔(新チャンピオン!)(1/2/11)
AJrヘビー級王座戦:近藤修司vs.KAI(新チャンピオン!)(6/19/11)
BJrリーグ決勝:KAI(優勝!)vs金本浩二(9/25/11)
CJrヘビー級王座戦:KAI(ch)vs.ケニー・オメガ(新チャンピオン!)(10/23/11)
D3番勝負第3戦:佐藤光留(1)vs.大和ヒロシ(2)(12/4/11)